清水寺から建仁寺

紅葉のピーク、怖いもの見たさで去年は嵐山・嵯峨野へ行ったので今年はもうひとつの大混雑エリア、清水へ行ってみることにしました。

天満橋からだと座れるかどうか分からないので淀屋橋から京阪特急。予想があたり天満橋から座れない人が多数、京橋で満員。紅葉だけじゃなくて、3000系のプレミアムカーが2両に増えて一般車が1両減ったことが影響しているかも。

車窓から京都競馬場のパドックの馬が見えると気づきました。5R障害3歳以上未勝利戦です。七条駅前のマックでランチを済ませ、七条通を東へ。

七条から清水

同じ名前の地図出版社のCMソングを思い出させる鰻屋さん。蒲焼じゃなくてうなぎ雑炊メインのお店らしい。鰻屋さんはひらがなですが地図出版社はカタカナでワラジヤ、明治5年創業も2002年に破産されていました。ワラジーヤーのちーずー♪

夜間特別拝観で訪ねたばかりの三十三間堂です。

三十三間堂向かいの交番は東山警察署大仏前交番、方広寺の大仏に由来するのは間違いないですが、方広寺大仏が京名所だったのは寛政10年(1798年)に焼失した3代目までのはず。それに大仏殿跡まで500mくらいあり、東山警察署がなぜ三十三間堂前交番じゃなくて大仏前交番としているのか訊ねてみたい。

京都国立博物館の煉瓦塀が続きます。明治28年築の重要文化財らしい。

七条通のどんつき東山七条交差点、智積院総門です。智積院の紅葉も良さげですが、初志貫徹で清水寺へ。智積院北側は京都女子大通学路の女坂。坂道の向こうは頂上に豊臣秀吉のお墓、豊国廟のある阿弥陀ヶ峰。

東山通から斜めに分岐する五条通に入り、さらに東西の道に入ると坂道の先に清水寺の三重塔が見えてきました。坂道の清水焼のショーウィンドウが素敵、他にも清水焼のお店が並び、茶わん坂と呼ばれるらしい。

清水寺

清水寺石垣上の紅葉です。清水坂の混雑は予想通り、これを避けるため清水五条からじゃなくて七条から歩いて来た次第。

重要文化財の仁王門、その右手に西門と三重塔、いずれも重要文化財。清水寺は9年も前に雪見して以来です。

三重塔は紅葉と完全に同色。本堂舞台にやって来ると真っ赤な海。

「今年の漢字」の投票箱が置かれていました。思わず浮かんだ字を書いて投票、もう少し夢のある字にすればよかった。赤い海の向こうに京都タワー。

谷の向こうは奥の院、下を覗くと音羽の滝。奥の院前から清水の舞台、この付近はボトルネックでみんな立ち止まって写真を撮るので大混雑。

重要文化財、奥の院の堂内と茅葺き屋根の鬼瓦。奥の院といえば本堂からかなり離れた山奥のイメージですが、清水寺では本堂から100mも離れていません。

三重塔と紅葉と京の町。

子安塔への坂道から紅葉の木の間隠れから本堂舞台と三重塔。重要文化財子安塔、なぜか誰もいませんでした。大混雑の人気観光地もメインルートからちょっと外れるだけでこんな感じなのは嵐山・嵯峨野や大阪城も同じ。

子安塔前からの絶景。本堂舞台と三重塔が見えるように、それでいて紅葉も堪能できるように、自然のままじゃなくて、庭師さんの手が入っているのは間違いないかと。通常の庭の広さじゃないですが。

子安塔から下りてきた坂道から本堂舞台と紅葉。音羽の滝前の滝の家さん、ここで「はてなの茶碗」を実演したのは12年前

音羽の滝では口をすすぐのではなく、すくった分を飲み干すのが作法だそう。清水の舞台を見上げたところです。

音羽の滝から西門の方へ戻る道はまさに真っ赤っ赤。

まさに燃えるような紅葉、混雑を覚悟でやってきただけの値打ちがありました。

三重塔まで戻ってきました。京都の町に大きなお堂が3つ、左から東本願寺御影堂、西本願寺御影堂と阿弥陀堂です。

清水坂の駐車場に喫煙所でいっぷくして人が少なくなった清水坂を下ると前方に舞妓さん、モザイク入れるのが惜しい。北へ道を取ると八坂の塔。

イチョウ並木の高台寺南門通の鳥居は京都霊山護国神社一の鳥居。東山通を渡ると安井金比羅宮、この先の縁切り縁結び碑の周りに長い行列。

建仁寺

建仁寺です。3年前の土砂降りの日以来。

この前法然院で、靴が見つからないよく見る悪夢があやうく正夢になるところだったので、忘れないように写メを撮っておきました。右の棚の上から2段目です。クルマを持っていた時、ららぽーとやディズニーランドでどこにクルマを駐めたのか忘れてしまったことを思い出しました。

俵屋宗達・風神雷神図屏風、キャノンによる高精細複製プロジェクトによるものです。

照明によるものと思われますが、離れるとピカピカ、近づくとしっとりとした金色、紅葉の赤ばかり見てきたので優しげにも感じます。俵屋宗達・風神雷神については山田五郎オトナの教養講座がとても為になります。モデルになったのが三十三間堂の風神雷神ですが、恐ろしげな三十三間堂に対して、愛らしさすら感じさせます。

京博寄託の国宝は10年前の展覧会で尾形光琳作と酒井抱一作と並べられていたようです。さらに親交があったと伝わる本阿弥光悦と共作の鶴下絵三十六歌仙和歌巻まで、こんな機会はもう無いかも知れません。

◯△□之庭と潮音庭。

別の角度から潮音庭。

細川護熙氏筆の達磨です。前回は正面から見ることができたものの書院には入れなくなってました。書院にはこの軸以外にも同氏の障壁画など。細川忠興直系の熊本藩細川家18代当主、熊本県知事、第79代内閣総理大臣、60歳で政界を引退、現在は陶芸家、茶人で87歳。その主張は自分の考え方には相容れないところが多いものの、その芸術は素晴らしい。

軒丸瓦に「建仁」、真っ赤なモミジ。

明治期の画家、田村月樵筆の唐子遊戯図。掛け軸は「美意延年」、「心が楽しく充実していれば、自然と長生きできる」の意。

方丈には安土桃山時代の絵師、海北友松により描かれた障壁画。いずれもキャノンによる高精細複製品で、重要文化財の原本は風神雷神同様に京博に寄託されているらしい。まずは花鳥図琴棋書画図

そして雲竜図。いずれもキャノンの綴プロジェクトサイト(各テキストリンク)の方が間近で見えます。

枯山水の大雄苑。前回の雨の日の方が風情を感じます。

方丈からスリッパを履いて法堂へ。釈迦如来坐像と脇侍の阿難尊者像、迦葉尊者像の上に小泉淳作による蒼龍図(2002年)。海北友松より力強い龍です。

小さな石庭の童地蔵。風神雷神Tシャツは3,000円、ちょっと欲しいかも。

西来院

無事に靴を履いて外へ出てくると何やら気になる看板、寝っ転がって龍を見られるらしい。西来院(せいらいいん)という塔頭寺院、門の中が真っ赤。

お庭のモミジはまさに真っ赤。シダレモミジ、こんなの初めて見ました。

宋から来た建仁寺11世住持・蘭渓道隆が創建、長く非公開だったものの、昨年3月に公開されたばかりらしい。

靴を脱いで拝観料を払って上がるとひとり用ソファが置かれていました。しばし腰を下ろして「九華青蓮」と名付けられた前庭の紅葉を愛でます。

本堂前の枯山水庭園は「峨眉乗雲」。

本堂の仏前で多くの人が寝っ転がって天井を見上げています。

自分も真似してみました。中国人女性アーティスト陳漫による白龍図、雲竜図や蒼龍図と較べ、龍の眼が特徴的。

見たことのある顔ぶれが並ぶ「俳句涅槃図」は俳人・黛まどかさんと壁画絵師・木村英樹さんの共作、十二単は紫式部ではなく清少納言らしい。木村英樹「登龍門絵図屏風」は鯉と阿吽の龍。どこかで見たような色使い、青蓮院門跡の襖絵です。

床の間に達磨図、文字は「無功徳」とChatGPTが解読してくれました。見返りを求めない修行こそ道である、という禅宗の言葉だそうです。手前の花生け2つには龍の絵が。

ひょろひょろの竹が並ぶ石庭の水盤に青い蘭の花。蘭の寺というキャッチフレーズで3つの庭に1200株の蘭が植えられているとあったのですが、こういう豪勢なランじゃなくてどうやら5月頃に咲く素朴なシランです。

名残の真っ赤っ赤。双龍図の法堂の外観です。

四条大橋のひとつ川下、団栗橋を渡ります。すっかり常連扱いしてもらえるようになったロココさんでいっぷく。

阪急河原町駅に下りるとちょうど京とれいん雅洛が発車するところで乗り込んだものの満席も桂から座れたのですが、普通に9300系の方が快適です。