青銅器講演会
弥生文化博物館の「中国古代青銅器、魅力と見どころ」講演会へ。
企画展「いのち輝く古代中国社会のデザイン」
去年11月以来2回目の弥生文化博物館、講演会の整理券をもらって中へ。
6月22日まで開催中の企画展「いのち輝く古代中国社会のデザイン」、参加予定の講演会はその関連イベントのひとつ。
仰韶文化(紀元前4000年頃)の彩陶双耳壺が2点、久保惣美術館でも1点展示されていたのを見たばかり。幾何学模様だけじゃなくオレンジの実と葉のような模様も。6千年も前とは思えないモダンさを感じさせます。
龍山文化(紀元前3000年 - 紀元前2000年頃)の陶器、山東龍山文化(黄河下流域、写真左)のろくろで薄く整形された黒陶と、中原龍山文化(黄河中流域、写真右)の灰陶。
二里頭文化の爵など青銅器出現期の展示はなく、青銅器がピークとなる殷代(紀元前16 - 紀元前11世紀頃)の饕餮文銅觚(とうてつもんどうこ、写真左)。饕餮文が簡単に「妖怪の文様」と括られているがちょっとナットクできない。パネルに描かれた線画のさまざまな青銅器は見覚えがあります。出典は泉屋博古と注記されてます。東博所蔵の饕餮文鼎(とうてつもんてい)の小さな写真が参考になっていますが、東京まで行かずとも奈良国立博物館に行けば大迫力の饕餮文大鼎や鳳凰文卣を見ることができます。
線画の右に弥生文化博物館のキャラクター「カイト」と「リュウさん」の会話形式で「饕餮はとても大喰らいで悪いものまで食べてしまうと考えられていたんだよ」と「妖怪の文様」の意味が説明されてるのはOKですが、アカデミックさをスポイルしてしまっているよなこの演出は好きじゃないです。右手の水差しは時代が飛んで戦国時代(紀元前5世紀 - 紀元前221年)の匜(い)。殷代の青銅器展示は限定的でちょっと寂しい。
龍鳳文玉璧(戦国時代)、青銅ではなく玉で作られた璧(へき)、「壁」ではなく「璧」、あし(漢字の土台部分)が土じゃなくて玉です。割れていない壁が「完璧」。勉強になりました。
龍鳳文玉璧を含む後漢から漢代の副葬品の数々と、パネルでは西周代には人間の9つの孔(目2、耳2、鼻2、口、肛門、陰門)である九竅(きゅうきょう)に玉を配置して埋葬していたとの説明。出土品も展示されていて玉製目蓋・鼻栓・耳栓、それと説明が読み取れない右側の棒は下半身用みたい。
最後に1970年万博のパンフレットとその手前に「命」の字の変遷のパネル。青銅器の展示ではピンとこなたったけど、玉璧や九竅まで学ぶことで、企画展「いのち輝く古代中国社会のデザイン」の意図することが漸く理解できたような気がしてきました。
金印のレプリカを側面から。正面からだと分からなかった、紐がとぐろを巻いた蛇であることが確認できました。左上に蛇の頭、右の方へとぐろを巻いてます。
露出を落として印面、右が「漢」直線の左が「委(倭)」と「奴」、左に「国王」。95%金、5%は銀と銅だそうです。実物は大阪市立美術館の日本国宝展で最初の2週間ほどだけ展示されていたものの結局見に行けませんでした。今は福岡市博物館に戻って、7月末から太宰府の九州国立博物館に出張だそうで、なかなか多忙な金印です。
講演会
和泉市久保惣美術館副館長による「中国古代青銅器、魅力と見どころ」講演会、130名定員で100名ほどの参加者で盛況、自分も含めて95%くらいジイサンばかりで若い女性がひとり、夫婦連れが数組といった聴講者で若い男性はゼロ。
まずは久保惣美術館の紹介、一番の目玉は何と宮本武蔵の「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず )」と聞き、この前訪ねた時には見逃したか展示されていなかったか、見ていないのがショック。いずれ再訪しなければなりません。枝先に止まったモズが枝を這い上がってくるイモムシを狙っているところを描いた重要文化財の水墨画ですが、剣豪宮本武蔵が画人だとは全く知りませんでした。吉川英治の宮本武蔵はまだ半分強を読み終えたままになってました。
自分が訪問した時に新館に入って最初の展示室は大河ドラマ絡みで「浮世絵の黄金時代 - 蔦屋重三郎と写楽・歌麿」だったのですが、普段最初の展示室には青銅器がびっしり、自分が訪問した時に本館で見た青銅器の何倍も展示されているそうな。久保惣美術館のコレクションには元々青銅器は含まれていなかったものの開館後追加購入、その資金も久保惣株式会社によるものだったとのこと。
青銅器コレクションが充実している美術館として、泉屋博古館の他、白鶴美術館と根津美術館が紹介されていました。調べてみると、久保惣や泉屋と違って白鶴も根津も展示品撮影NG、撮影OKな奈良国立博物館青銅器館を紹介してほしかったかも。それと「饕餮はその時代の最高神」と話されていたと記憶するのですが、それも違うと思います。上述の「カイト」と「リュウさん」の会話に近いのですが、「饕餮は財貨や飲食を貪る貪欲な悪い怪獣であるものの、何でも食べるということから魔も食らう魔除けの意味を持ち、当時の人々に愛されたキャラクター」というのが自分の理解です。
先週「夏王朝より前の超古代中国はどうなっていたのか?」という5時間動画で青銅器が出現する以前、夏王朝より前の中国史を勉強、動画のブリッジで度々登場する青銅の人面や青銅の鶏にすごく惹かれました。調べてみると三星堆博物館(四川省成都市付近)の青銅辮索冠人頭像と青銅公鶏(いずれも殷代晩期)と分かり、今日の展示や講演でも登場しないか期待してたのですが、青銅立人像と青銅金面人頭像がパワポで紹介されてテンションが上がりました。夢洲万博の中国パビリオンで三星堆博物館の青銅神樹、青銅仮面、青銅獣首冠人像のレプリカが展示されていると分かりました。レプリカを見るために長い行列と禁煙を覚悟すべきかもう少し悩んでみます。今日の企画展と講演会で万博入場者がひとり増えたとしたら弥生文化博物館にとって本望かも。
昨日のこと
美術館博物館からみでちょっと昨日のことを。大阪市立美術館では「日本国宝展」、奈良国立博物館では「超国宝」、京都国立博物館では「日本、びのるつぼ」が開催もいずれも6月15日まで、3館とも連日大盛況で大行列だったらしい。いずれも2,000円以上の入館料で基本的に撮影NGなので行くつもりはないのですが、ランチがてら平常展を見てみようとまだ訪ねたことのない大阪市立美術館へ。
谷町線で天王寺に着くもあべちかのお店は11時前でまだ開店準備中ばかり。外へ出るとびっくりドンキーが営業中でした。タブレットを見るとまだモーニングがOK、ドンキースペシャルブレックファスト(目玉焼き)チーズトースト990円にしたものの、注文が通ったかどうか微妙な感じです。店員さんに確認してみるとやはり11時をちょうど過ぎたところで通っていなかったものの、口頭で注文を受けてくれました。目玉焼きの下にベーコンとソーセージが隠れてます。いかにもアメリカンな朝食で満足度高い。満腹してでてくると入口付近はかなりの行列でビックリどんきー。
大阪市立美術館前にはテントが張られ行列、事前の時間帯予約で入館する方法になっているようです。常設展だけ見るにはどうすればいいか尋ねてみると、6月何日から常設展だけの入館はできなくなってるとのこと。係の人(たぶん美術館員じゃなさそう)のつっけんどんな応対にもちょっとプッツンした次第。万博はもっと行列が長そう、でも応対はディズニー並とはいかなくてもうっけんどんな対応は無いはず。中国パビリオンだけじゃなくオリエント文化発祥の西アジアのパビリオンも見てみたいところ、やはりもう少し悩んでみます。