ウーウーウー

コハクチョウたちの北帰が近づいてきました。X(旧ツイッター)を丹念にチェックすると、安曇野のコハクチョウたちは既に北帰、新潟でも瓢湖にはまだいるものの、佐潟や鳥屋野潟からはほとんど去ってしまったようです。今季訪ねるつもりだった能登半島の根元に位置する邑知潟のコハクチョウたちは地震で富山県氷見市に避難していたものの邑知潟に戻ってきたそうですが、その邑知潟のコハクチョウたちも22日頃には北帰したとのこと。

湖北野鳥センターからはオオワシはまだ滞在中もコハクチョウは減ってきているとの情報、去年は訪ねそびれたのですが、一昨年は3月5日に訪ねたくさん会うことができています。ハズレを覚悟で行ってみることにします。

プロローグ

米原駅に到着、西口へ向かう途中に階段と塀で仕切られ目立たない短い両方向のエスカレーター。左側が上り方向かと思いきや逆回転していてビックリ。利用している人はほとんどいなくて、さらに右手奥にエレベーターもあるので、電気代の無駄遣いと断言してよさそうです。

レンタカーやさん前の交差点に足のない飛び出し坊や、さしずめ、ゆうれい坊やです。

ナビを設定せずに湖岸道路を北へ。まずは早崎内湖をチェック、カモたちはたくさんいるもののコハクチョウは見当たりません。既に田んぼへ出勤した可能性が高そうです。引き返してJA北びわこカントリーエレベーターへ。1ヶ月前雪原に11羽いたのですが、今日は1羽もいません。

湖北野鳥センターに到着すると上空にムクドリサイズの十数羽。

葉を落とした木に止まったのはヒレンジャクたち。枝被りでなかなかピントが合いません。

じっとしてくれているので自分が木の周りをグルグルまわって位置を変えてようやくカッコいいところが撮れました。

隣の木にやってきたのはモズ。

湖北野鳥センターのホワイトボードのコハクチョウに◯印が付いていないのですが、右下のKOHAKUCHO METERには320羽とあります。若い女性レンジャーさんに尋ねてみたところ、コハクチョウたちの塒はセンター前から早崎内湖に移動してしまったとのこと。

700羽くらいいたのが半数くらいは既に北帰してしまったものの、コハクチョウなうのマップの紫色のエリアあたりにいる可能性が高いとのこと。JA北びわこカントリーエレベーターはオレンジ色なので11月まではいたようです。この後、紫色のエリアをメインに、マップにマークされたエリアを虱潰しに回ってみることにします。

何年かぶりに塒に復帰したものの、まだ工事中らしき早崎内湖にマコモとかが生育する環境が再生されているのか、気になっていたことを思い出してさっきのレンジャーさんにもう一度尋ねてみたところ、塒は寝るだけなんです、とめちゃわかりやすい回答で疑問が解けました。

ちょうど10km向こう、近江今津の町並みがくっきり。目立つビルは今津サンブリッジホテル。竹生島の背景は美しい雪山、箱館山はもうちょっと北の方なので別の山ですが名前が分かりません。

コハクチョウなうマップのマーカーをたどる前にちょっと北の方へ行ってみます。山本山の麓にはオオワシの飛び出しを待つカメラマンがびっしり、百人は下らないと思います。

山本山の北側と貫く片山トンネルを抜けると、前回雪景色が気になった余呉川。赤尾橋という小さな橋を渡った対岸の公園に駐車場を見つけひと休み、米原のコンビニで買ってきた冷めたホットドッグで遅い朝食。寒々とした景色ですが、春になると蝶や花で賑わいそうな小川です。

木之本(駅名は「木ノ本」)で国道8号じゃなくて福井側通行止めらしい国道365号に入ります。敦賀を経由する8号に対し、木之本からまっすぐ今庄へ抜け越前海岸をぐるっと回って加賀市まで繋がっています。木之本から南へは小谷城の南側から山沿いを関ヶ原へ抜け、養老山地の西側を南下して三重県へ、員弁川沿いを四日市までを繋ぐという突拍子もないルートの国道365号です。小谷城麓の西池や、三岐鉄道北勢線など、色んなところでお世話になっていてる覚えやすい番号の国道です。

余呉湖口交差点を左折、県道西浅井余呉湖線に入ると踏切が鳴り出し近江塩津行新快速が通過。

以前から来てみたかった余呉湖です。正面は賤ヶ岳でその向こうは琵琶湖ですが水面の標高差が50mもあるそうです。右手からワカサギ釣りの桟橋が伸びていて賑わっています。コガモらしきがいっぱい浮かんでいるもののほぼ爆睡中です。

湖岸からほど近いところに余呉駅、この先余呉湖を一周する道路があるだけで、近江塩津への道路はなく鉄道しかありません。

余呉川は余呉湖から流出しているのかと思いきや365号沿いに遡った福井県境辺りが源流で、余呉湖北側で余呉導水路を分岐して逆に余呉湖へ流れ込んでいると分かりました。さらに余呉川への放水トンネルもあるそうですが、もともとは水の出入りの殆ど無い閉鎖湖だったようです。

コハクチョウたち

来た道を辿り、2年前の3月にコハクチョウたちと遊んだ高月町宇根辺りで目を凝らして探すも見つからず。上掲のコハクチョウなうマップの青いマーカー周辺も見当たらず、今日はダメかと弱気になったら、その少し南、コハクチョウなうマップの紫色マーカーの辺りで白い点々、漸く漸く会えました。

全部で50羽くらい、500mほど離れた東の方にもまとまった数が見えます。湖北野鳥センターのレンジャーのお姉さんの教えてくれた通りです。

くちばしを泥だらけにしたコハクチョウです。

湖西の山々は雪に覆われているのに伊吹山は全然積もっていません。

北東方の谷間には金糞岳が白い頭をのぞかせています。山本山と今日の相棒のAQUA、ハイブリッド車です。一昨日予約しようとした時はもうひとつ下の一番安いクラスが空いていたのに、もうちょっと様子見してしまったら昨日はもういっぱいになっていてひとつ上のクラスで1,650円高くついてしまいました。

お腹が減りました。コハクチョウたちすぐさま行ってしまうことはなさそうなので、何か食べて戻って雇用と虎姫駅周辺まで行ってみたものの手頃なお店は見つからず、ローソンでおにぎりを買って戻ってきました。

新たにファミリーがやってきました。幼鳥5羽+成鳥3羽のファミリーと幼鳥3羽+成鳥2羽のファミリー。いずれも子どもたちが先を飛んで親が後ろから監視するポジションです。

風が強くノイズがすごいです。画面に少しホコリもご容赦。

自転車の少年が通過、コハクチョウたちまで10mほどですが動じる様子はありません。長浜えきまちテラスの壁画に描かれた「自転車の自分」そのものの景色です。

山本山とコハクチョウたち。

ふつう首をまっすぐ伸ばして飛ぶコハクチョウですが、首をたわめて飛んでます。

首をくねくね、喉に詰まった二番穂を飲み込んでいるようです。

どっしりとしたした山は横山岳1.132m。

横山岳をバックに色々とポーズを取ってくれた表現力豊かなコハクチョウくんです。

足元にオオイヌノフグリ。

やっぱり首をまっすぐ伸ばして飛んだ方がカッコいい。

ホトケノザがいっぱい咲いてました。

500mほど東にいるグループへ行ってみます。農業用水路の土手にレンゲ畑のようなホトケノザ。

伊吹山とコハクチョウたちです。

こっちの方が数が多くて150羽くらいいます。振り返るとぽっこりした山、山じゃなくて竹生島です。

首を上下させながらウーウーウー、通訳すると、ほなそろそろ行こか、せやな行きまひょ、関西弁なのかロシア語なのかは不明です。

美味しいのはどこかな?あっ、見っけ。

強風の中、延々と続くコハクチョウのもぐもぐタイムです。

クルマを置いた西の方へ戻ります。水路の土手のきらきら光るオオイヌノフグリをバックにホトケノザ。

コハクチョウたちの大好物、二番穂です。品質が劣るため収穫されること無く放置されるそうです。

少しギャラリーが増えていたもののオオワシとは桁違い。少し近づいても構わないかな、脅かさなければ大丈夫っぽいですね、と近づいていったご夫婦。コハクチョウバードウォッチングのマナーを知っている人が多いようです。

東の方にいたグループがどんどんこちらへ移動してきます。

強風にあおられながらも翼をうまく操作して飛んできます。

一旦全員集合してから塒に帰るようです。たぶんあと1時間も待てば一斉に飛び立つシーンも見られるはず。あるいは塒になっているはずの早崎内湖へ向かうことも考えたものの、風が強く寒くてカメラを持つ手がかじかんできました。今季のコハクチョウ巡りはここでお開きとします。

前回、ウーウーウーとコハクチョウたちとのお話もできなかった消化不良は完全に癒やされ大満足、今度会えるのは早くて多分11月、コリマ川までの長旅、気ぃつけてな!

エピローグ

長浜と米原の中間点にある道の駅「近江母の郷」でひと休み。さっきとは角度を変えた伊吹山が見えます。

お蕎麦屋さんは既に営業終了していたのですが、池のある公園が隣接。

オオムラサキ、イタチ、ツルシギ、タシギ…、これはなかなかの公園のようです。

なぜか福井県と米原市だけがフィーチャーされた観光看板、東尋坊や永平寺、恐竜博物館と伊吹山や米原市内の観光地が並んでいて、現在地から福井への観光ルートが案内されています。福井県観光連盟の広告で、北陸新幹線延伸で不便になってしまう関西への気遣いキャンペーンと思われます。

道の駅から道路を渡ると琵琶湖が広がっています。右手にぽっこり山本山、左端には竹生島が浮かんでます。淡い光で琵琶湖がキラキラ。

米原じゃなくて彦根でレンタカーを返却、ガソリン代の精算は115kmも走って僅か588円、リッター160円として実に31km/L、一番下のクラスとの差額の半分くらいは取り戻せたようです。行ったことのない彦根城を訪ねてみようと考えていたのですが、コハクチョウで満足したし、もう4時を回っているので今日はパスとします。

近江鉄道彦根車庫に昭和な西武鉄道色の820形、旧型国電風サボ受けには近江鉄道開業125周年のヘッドマーク、この車両自体元西武鉄道401系です。西武鉄道創業の堤康次郎が当地の出身で、今も西武鉄道100%子会社の近江鉄道です。

ライオンズカラーにレオくんヘッドマークを付けた220形、後ろにバラスト運搬の貨車を繋いでいるので機関車代わりでまだ現役のようです。近江鉄道に残された唯一の吊り掛け駆動車、運用復帰すればかなりの人気者になるはずです。

そうそう、遠からず引退が予想される西武池袋線・秩父線の4000系を近江鉄道に持ってくれば集客効果はかなりかと。池袋に住んでいた時、4000系運用の快速急行長瀞・三峰口行のボックスシートに揺られ石神井公園まで行くのが週末の楽しみだったのですが、湖東の広大な田園地帯を行く4000系に乗ってみたいものです。

マップに行ってみたいマーカーを付けておいた「さざなみ酒店」、膨大なお酒のコレクションが陳列された一画にこじんまりとした角打ちコーナーがあり、3種類試飲セット。何十種類もある県内外の地酒から3つ選べます。アテは小鮎の甘露煮。

壁に見覚えのある絵が架けられていました。テレビで見たのか、ネットで見つけたのか、ゾウより大きいカマキリにインパクトがあったことを覚えています。画像検索で出雲市斐川町在住の玉木喜久代さんの作品と分かりました。斐川町のコハクチョウやマガンを訪ねたことがあります。

3種類の試飲の内「一博」が気に入っておかわりしようとしたら、ビールのメニューも相当豊富なことに気づきました。ビールの冷蔵ケースをチェックしてみるとベルギービールだけでかなりの種類、飲んだ記憶があるCHIMAYにしました。アテはアンチョビ風味のオリーブ。

向いに立った東京から転勤してきたばかりというおにいさんと話が盛り上がりもう1杯。ベルギービールといえばチェリービール、チェリービールが売り切れだったのでカシスビール。これもかなり美味、欲を言えば冷やさずに飲みたかったかも。

お店を出ようとしたら同時にお店を出たにいちゃんが向いのお店へ。沖縄料理店で喫煙可のステッカーを見て、吸い込まれてしまいました。さっきのにいちゃんは店長さんのようです。せっかくなのでオリオンビール、つきだしが出てきたのでアテは特に頼まず、ソーキそばで仕上げええ塩梅に。勘定を済ませお店を出るとなぜかお店のおねえさんが追いかけてきてちんすこうを手渡されハッピーに。

彦根駅前はまだ7時前なのにひっそり。新快速発車の3分前、間に合うだろうとトイレで用を済ませ階段を駆け下りると行ってしまいました。次の快速よりその次の新快速の方がずっと早く着くので30分ぼーっと駅で待ってました。