北帰行直前のコハクチョウたち

どうしようかずいぶん悩みました。湖北野鳥センターによると昨日時点で湖北のコハクチョウは576羽、昨年は2月中に殆どが北帰してしまっています。湖北の人気者、オオワシの「おばあちゃん」も3月3日に北帰が確認されています。この週末が今季のラストチャンスになるのはほぼ確実です。

今季のコハクチョウは11月に遠くの湖面にいるところに会えただけ、このままだと秋までコハクチョウロスはかなりつらいです。湖北から北帰した後、北海道辺りまで追っかけることも考えたものの、北海道に行けるかどうかなんて全然見込みが立たないし、土曜日の長浜市の予報は晴れ午後から曇り、最高気温は13℃、殆ど無風、日曜日は寒の戻りもあるようなので、やはり土曜日にでかけることを決心しました。ところが、朝起きると膝が痛い。歩くのが辛いくらい、自分の体調は出かけるかどうか最大の判断基準な訳ですが、シャワーを浴びて暫くすると膝の痛みは消えました。

今日行くことを決めたばかりなので前日までに買わなければならない春の関西1デイパス(3,600円)は買えません。ICOCAは使わず切符を買ってみました。大阪駅から米原でも長浜でも同じ1,980円、券売機で1,980円区間を押すと何故か同じ値段でもさらに駅を選択するようになっていて、間違って1,980円米原を押してしまいました。たぶん米原行きの切符でそのまま長浜まで乗っても金額が同じなので追加料金を取られることはないとは思うものの、一旦払い戻してもらい1,980円長浜を買い直しました。

ところが手にした切符は「発売当日限り有効、下車前途無効」になっています。JRのルールでは100kmを超える場合、途中下車OKのはず、大阪から長浜まで118.2kmあります。11月に醒ヶ井駅で買った大阪までの切符は同額の1,980円で2日間有効、現に米原で途中下車してハンコまで押してもらっています。ICカードだと途中下車できないのは一応理解できるものの、駅窓口と券売機で切符の効力が違うということなのか、もしそうだとしたら、駅窓口が絶滅危惧種なので、途中下車という制度そのものが破綻しつつあることになります。JRに問い質してみたいところですが、先を急ぎます。

(3/8追記:醒ヶ井-大阪は途中下車できるのに、大阪-長浜が途中下車できないのは、長浜が大都市近郊区間に含まれているため、と分かりました。大都市近郊区間内の場合、距離に関係なく途中下車ができないものの、逆に「大回り乗車」が認められ、例えば米原から長浜まで200円の切符で、長浜→近江塩津→山科→米原と途中下車しなければ琵琶湖を一周することもOKのようです。鉄ちゃんを自称する自分なのに迂闊で恥ずかしい。)

いつものチェックポイント巡り

晴天で暖かく風も無いので、長浜駅からはレンタカーじゃなくてレンタサイクル。長浜観光協会のレンタサイクルは種類も増え極太タイヤのファットバイクも並んでしました。雪道走行が楽しめるそうです。自分はママチャリの電チャリにします。豊公園前のセブンイレブンの駐車場には除雪した雪の山が残っていました。

霞がかっていて快晴とはいい難いもものの大きな青空、湖面はのっぺり、福井県境は雪山が並んでます。右側にぽっこり膨らんだ山本山を目指します。膝は大丈夫です。

第1チェックポイントのカントリーエレベーター周辺、コハクチョウは1羽もいません。

今日の伊吹山です。山本山に向かってさらに北へ。

第2チェックポイントの早崎ビオトーブ、ウーウーという声が聞こえたような気がしたのですが空耳でした。上空をミサゴが通過。昨日までいた576羽が全員もう北帰してしまったのか、不安が募ります。

海老江漁港です。去年11月に来た時は渇水で沖の島が陸続きになってました。

湖面に浮いているのは殆どカンムリカイツブリのようです。

もう湖北野鳥センターにほど近い湖面にいました! 100羽くらい。

自分のカメラでもなんとか撮れるくらいですが、いかんせん遠いです。一緒にいるのはマガモばかり、ヒシクイたちはすでに北帰してしまったのかも知れません。

湖北野鳥センター裏側の山本山の麓もチェック、やはりいません。途中の野田沼に探鳥会らしきグループの人たちがいて、そのレンズの向かう先をチェックしようと道のないところを進むと見事に滑ってひっくり返ったものの、枯葉が積もった足元のクッションで事なきを得ました。

湖面のコハクチョウで全部かどうか訊いてみようと湖北野鳥センターへ向かうと、階段の下に「コハクチョウなう」との案内。200円の入場料を払わずとも貴重な情報、めちゃありがたいです。鳥たちのイラストも素敵。

長浜市高月町宇根

早速地図のポイントへ向かいます。まだ残雪が残っている道路も。時折ヒバリやセグロセキレイが姿を現すものの、ここはコハクチョウまっしぐら。これまでのコハクチョウウォッチングで最悪になるかも、やはり北海道へ行くしかないのか、と不安を膨らませつつペダルを漕ぎます。

20分程走って、白い点々が並んでいるのが見えました! 湖北野鳥センターのパネルの案内はパーフェクト、来たことのないJR高月駅まで2kmくらいのエリアです。

コハクチョウたちは脇目も振らずせっせと採餌、目前に迫った北帰行に備え目一杯のエネルギー充填です。

むしゃむしゃ食べる音が聞こえてきます。コハクチョウたちは二番穂を食べに田んぼへやってくると思いこんでいたのですが、今の時期に二番穂が残っているはずはなく、その落ち穂拾いかもと考えたものの、どうやらイネの根っこを食べているようです。

ウーウーウー、何を話しているんでしょう。旅路は長いからしっかり食べときや、ウン分かってる。

新たなグループもやってきました。おそらく野鳥センター前の湖面に浮かんでいた約100羽の一部です。

旋回して着地。

一羽が単独テイクオフ、かなり離れた誰もいないところに降り立ちました。自分に似た性格のコハクチョウのようです。

まだまだやってきます。

一部を残してくちばし全体が黒い子はアメリカコハクチョウとコハクチョウのハイブリッドかも。

さすがに食べ疲れたか、どっかり腰を下ろしてしまっている子も。

山本山をバックにコハクチョウたち、ざっくり400羽程です。

おやおやぐっすり爆睡中です。何とも眠そうなコハクチョウ、こんな表情初めて見ました。

まだまだやってきます。いつのまにか天気予報通り曇り空、ちょっと肌寒いものの大丈夫です。

背景に見えるヨーロピアンな建物はバブル時の結婚式場か何かと思いきや、ヤンマー会館と呼ばれる東阿閉(ひがしあつじ)公民館と分かりました。随分立派な公民館ですが、当地出身のヤンマー創業者、山岡孫吉の寄贈で、新しく見えるものの昭和27年の建築だそうです。ぼくの名前はヤン坊、僕の名前はマー坊♪、農家の機械はみなヤンマー♪、当地の農業にヤンマーが大きく寄与していることは間違いなく、ひいてはコハクチョウたちがここに集まる素因なのかも知れません。

飛んでいてもくっきり、やはり新しいカメラいいです。

雪解け水の冷たさはへいちゃら、凍ったイネの根っこをバリバリ。

自分から一番近いところ10m程のところにいるこの子、不審げな車が近くを通るとウーウー、すると周りのコハクチョウたちも頭を上げて警戒。どうやら見張り役を仰せつかっているようです。

保険のCMに出てくるアヒルを彷彿とさせる見張り君を動画で、やはり食べているのは二番穂じゃなくてイネの根っこのようです。と、向こうの方で大合唱、するとまた空から新しいグループがやってきました。

三々五々という言葉通りにやってきます。ヤンマー会館の尖塔をバックに。

一羽だけでランディング、さっきの自分に似た性格らしい子が戻ってきたようです。

ここに来てからちょうど1時間、たっぷり楽しませてもらったので、引き上げることにします。

と、今までで最多の20羽のグループがやってきました。

上空を旋回して自分の頭上を通過。もう湖北のコハクチョウは全員集合かも知れません。

ランディングよりテイクオフの方がかっこいいので、飛び立つまで見たいところですが、雨がパラパラ、やはり引き上げます。

足元にヒバリ。

まだ後ろ髪が惹かれ振り返ります。Bon voyage!

帰り道で80羽くらいの集団。編隊は組まずにバラバラ、そこそこ体が大きくて、羽が長く、首が短いです。ガンでもカモでもなく、カモメかな。

雪の残る姉川の河原です。正面に午前中とは表情の違う伊吹山。長浜市街まで戻るとそこそこ本格的に降り出しました。あのままコハクチョウたちの場所に居れば琵琶湖名物の虹も見ることができたかも、でもビショビショになっていたはずです。