渇水の琵琶湖

コハクチョウの季節が始まりました。まだ数は多くないはずですが、来週から寒波がやってくるようなので、自転車でのんびり回れるのはこの週末がたぶんラストチャンス。

いつもよりちょと早め7:30の新快速で出発。いつもは関西1デイパスですが、長浜往復だけだと360円安いだけ、前日に購入するリスクを避けてICOCAです。

長浜のレンタサイクルはまた場所が変わって、東口のえきまちテラス長浜内の観光協会に移転してました。ふだん1000円の電動アシスト付がJRでやってきた人は500円だそうです。どこにも告知を見かけなかったありがたいけど不思議なキャンペーン、関西1デイパスのおまけにすれば効果あるかと。

いつもと違う琵琶湖

豊公園の浜辺でセブンのホットドッグの朝食。オナガガモたちがのっぺりした水面に浮かんでます。

沖を行くのは竹生島クルーズのリオグランデ号。晴れてるものの霞がかかって視界が効かないだけじゃなく、なんとなくいつもと浜辺の雰囲気が違う気がします。

打ち上げられた枯れた水草の山にセグロセキレイ。

湖周道路を走り始めると、沖へ伸びた浅瀬に白い大きな鳥たち、手前にはカンムリカイツブリがたくさん。

撮った時は、ひょっとしてコハクチョウ? でもこんなところにいるはずがない、と先へ進んだのですが、写真を確認するとやはりコハクチョウ。建物が並ぶ向こう岸は3kmほど先の南浜水泳場です。自分が見た最南端のコハクチョウということになります。

いつものように第1チェックポイント、JAカントリーエレベーター周辺です。コハクチョウはいません。山本山は霞み、伊吹山は薄いシルエットだけ。

第2チェックポイント、1年前はまだ重機が入っていた早崎内湖ビオトーブは湿生植物が繁茂し、いい感じになってきました。

コハクチョウはいないもののカンムリカイツブリたちが寛いでます。数年前のようにコハクチョウたちのねぐらになるのも時間の問題かと。

海老江漁港の堤防の向こう、長く伸びた浅瀬に50羽ほどいました。右手の黒っぽいのはオオヒシクイです。

左手の沖にも。コハクチョウのまわりにはカンムリカイツブリとオオバン。

オオヒシクイたちが飛び立ちました。

浅瀬に並んだコハクチョウたち。上空にも1羽。

と、一斉に飛び立ちました。手前の地面は沖の小島につながっています。こんなところに地面はなかったはず。琵琶湖が小さくなっているというニュースを思い出しました。14年ぶりの低水位で湖西では幻の坂本城の石垣が姿を現したそうです。豊公園の浜辺で感じた違和感はこの渇水のせいと分かりました。

コハクチョウとオオヒシクイ。

コハクチョウたちは琵琶湖の沖の方に下り立ちました。その向こうをリオグランデ号が長浜に戻って行きます。船上からもコハクチョウの観察ができるかと。

さっきまでいた浅瀬はもぬけの殻。こんなところに浅瀬の地面が広がっているのも渇水のせいです。琵琶湖の水で生きている大阪市民としてはいささか心配。

竹生島をバックにオオヒシクイたち。コハクチョウたちと分かれ、湖面に下りずに旋回してきました。

オオヒシクイたちは野鳥センター前付近に下りていました。

昨日、山本山に「おばあちゃん」と親しまれるオオワシ♀が帰ってきたそうです。24年連続の飛来です。このどこかにいるはずで、早速10台ほどカメラマンのクルマが並んでいますが、飛び立ってくれない限りカメラに収めるのは難しいです。

道の駅でランチのつもりが、経営が変わったようでお気に入りのラーメンがなくなっていて、空腹のまま引き続きコハクチョウ探しを続けます。

湖岸のコハクチョウたち

野鳥センターの、いかにも動物好きそうなお嬢さんのレンジャーさんにコハクチョウたちの居場所を訊ねてみたところ、10月半ばの飛来以降、今年は田んぼに移動したのは数回だけで、殆ど琵琶湖にいるそうです。渇水のせいでコハクチョウたちの大好物、マコモなどの水生植物を湖面で楽に採餌できるので、わざわぜ田んぼへ移動する必要がないためだそうです。野鳥センターより南の湖面にいることが多いようです。

オオヒシクイたちはおやすみモードに入ったようです。

山本山とコスモスを撮って、レンジャーさんのアドバイスに従って湖岸を戻ります。

海老江漁港沖の小島に人影、陸続きでも島の中に道があるわけでなくあそこまで行くのは大変です。釣り竿やカメラではなく手には採集網、琵琶湖の渇水に関係しての学術調査と思われます。

陸続きになった海老江島(?)の全体像です。

早崎漁港の堤防の向こう、遠くないところにコハクチョウたち。漸く顔まで撮れました。首だけ出してるホシハジロと較べるとかなり大きく見えます。

タケノコになってマコモ(たぶん)をせっせと採ってます。体が大きいのでカモたちより深いところまで採れるはず。

早崎漁港の堤防下の道幅は50cmくらい、おそるおそるカニ歩きして撮りました。

田川という琵琶湖に注ぐ小さな川の橋から白い点々が見え、湖岸緑地八木浜の砂浜に出てみました。タケノコになっているコハクチョウたちです。まわりにオオバン、ホシハジロ、マガモたちも集まっていますがタケノコになっていません。体が小さくてマコモ(たぶん)に届かず、コハクチョウたちをうらやましげに見ているだけです。

水中に地下茎を伸ばしていてこの時期のマコモは栄養たっぷり、肥大化した新芽はマコモタケとよばれタケノコのような食感で中華料理によく使われるらしい。アメリカでよく食べられるワイルドライスはマコモの近縁種の実だそうです。沖に竹生島が浮かんでます。

日本鳥学会の興味深い論文を見つけました。PDF4ページ目にハクチョウがマコモの地下茎をタケノコになって採餌する様子のイラストがあります。水中の地下茎をどうやって空中から見つけるのかも疑問だったのですが、地下茎から水上に伸びた茎や葉をコハクチョウたちが空中から見つけるものと推測できました。

ウーウーと合唱が聞こえてきました。翼を広げて、さあ行くよという仕草です。

飛び立ちました。

遠くに3羽、シベリアから到着したばかりのように見えます。

山本山と湖面に散らばったコハクチョウたちです。

もう一箇所まわりたいところがあるので、後ろ髪を惹かれつつ、またくるでぇ、と声をかけて去ります。

今朝豊公園近くから見えたコハクチョウたちを逆方向から確認、バックは朝食をとった豊公園の砂浜です。ここらがコハクチョウたちの琵琶湖南限かと思いきや、琵琶湖大橋のさらに南、草津辺りの湖岸でも見られるそうです。

今日は、田んぼの時のように間近では撮れなかったコハクチョウたちですが、湖面で楽々採餌している水鳥本来の様子をじっくり観察できたので満足。

醒ヶ井宿

自転車を返却、今日の相棒ヤマハpas withです。パワフルで電池の持ちもいいけど、小回りが効かないのがちょと難。

もう1箇所行きたい場所は中山道の宿場町醒ヶ井です。JR東海エリアなので券売機できっぷを買っておきます。次の米原方面は14:29の新快速網干行、まだ30分以上あるので、駅前の平和堂のフードコートで遅いランチ。フードコートといってもお店は2軒だけ、それもランチタイムはとっくに過ぎているので暇そうです。ところが席はほぼ満席、ジャージ姿の女子高生の団体や居眠りしている老人たちばかりで、食事はしていません。

マナーの悪い人たちだなと思いつつ列車の時間で駅に入ると人がいっぱい、さっきのジャージのお嬢さんたちもやってきました。至近のダイヤ改定で日中の長浜-米原間は30分ヘッドから1時間ヘッドになり、駅周辺に休む場所もなく、フードコートにいたようです。これはマナーの悪さを責めるよりJRに問題がありそうです。新快速でもこの区間は4両編成、かなりの混雑です。JRで来た人は電チャリのレンタサイクル半額キャンペーンはありがたいものの、不便になりすぎたJRとの交渉こそ観光協会さんの出番かと。

米原からひと駅、醒ヶ井に到着。313系を見送ると伊吹山が正面に。

人気が殆どないだだっ広いだけのJR東海在来線最西端の駅です。

滋賀県米原市内ですが中日新聞圏内に入ったようです。

和菓子屋兼タバコ屋さんの自販機にはなぜかメビウス系の限られた銘柄だけが並んでいるものの全て売り切れになってます。10月以降の新価格になっているし、TASPOの読み取り装置も付いてます。なら稼働させればいいのに。よく見ると入口の上には額縁に入った古いマルボロのポスターが掲げられていて、タイルの上のショーケースにはケントも見え、JT専門ではなさそうです。

見事な皇帝ダリアとたわわに実った柿の木に挟まれた地蔵川、琵琶湖に注ぐ天の川の支流です。川の藻に小さな白い花が見えます。上を横切っているのは名神高速。

消防信号のホーロー看板、それほど古いものではなさそうですが、「應援信号」と旧書体も混じってます。

醒井の湧水のひとつ、西行水です。

透明な水にカタツムリ。新・平家物語にたびたび登場する佐藤義清=西行法師、鎌倉に捉えられた静御前を庇う安達清常(頼朝の雑色)の前に西行さんが姿を現すくだりまで読み進んだところです。

赤くないですがサワガニです。10円玉らしきコインも。

水草にモミジ。写っていないものの魚影も見えます。

日が傾いてきた醒井宿、中山道69次の61番目の宿場です。

国の天然記念物、了徳寺の御葉附銀杏、葉面上に銀杏ができる貴重なイチョウだそうです。

宿場に沿って流れる地蔵川、川の藻に小さな花、梅花藻です。夏だけかと思いきや、この時期にも咲いているとは。宿場を流れる清流や湧水だけでも見ることができれば、とやってきたのですが、嬉しい誤算です。

ここでも川を掃除しています。冷涼な清流でしか育たない梅花藻、地元の人たち皆で丹精して育てているようです。

京懐石の吸い物のお椀の中のようです。

左岸に道はなく、それぞれの家屋毎に石の橋が架かってます。

夕暮れ時の淡い光、ちょっとした角度の違いで藻の色が変わります。

紅葉は既に盛りを過ぎています。やはり湖北の冬は早いようです。

石垣の下から水が湧き出る居醒の清水、地蔵川はここでプツリと途切れています。ここが淀川水系の源流のひとつと言えそうです。この辺りに雪が積もる頃には琵琶湖の渇水も元に戻るのではないかと思われます。

和菓子屋さんの店先に置かれた縁台でいっぷくさせてもらいました。長〜い自分の影。

ヤマキ醤油、明治39年創業だそうです。聞いたことがあるような屋号と見たことがあるようなロゴですが、ヤマサ醤油は人の下にサ、鰹節のヤマキは人がふたつの下にキです。

夕日を浴びて首を傾げているセグロセキレイ。

さっき見かけた魚を確認すべく西行水に戻ってきました。もしかして、清浄な湧水が生息の必須条件の絶滅危惧種のハリヨかも、と思ったのですが違っているようです。

柿とセグロセキレイ。背景は名神高速の防音壁です。

電車に乗り遅れる

醒ヶ井駅に戻ってきました。次の米原行は16:33、10分ほどでやってきます。簡易委託の有人駅ですが窓口は閉まっていて営業時間は細切れで16:30から営業とあります。券売機も置かれていなくてTOICAの入場記録機があるだけです。ICOCAでも入場はできると思われますが精算が面倒になりそう、それに途中下車できなくなります。16:30に窓口が開いたので大阪までの普通乗車券を無事ゲット。

駅前からの夕日が見事です。夢中で撮っていると電車の音が。16:33なのに16:37と勘違いしていて、さらに跨線橋を渡る上下線島式ホームなのに改札口を入ってすぐのところに米原方面の電車が来ると思いこんでいました。

16:33の豊橋発米原行快速が行ってしまいました。いい感じの写真が撮れたのでいいか。

だいぶ暗くなってきました。ちょっと一杯で時間をつぶせるようなお店もなく、コンビニもありません。人も歩いていません。ちょっと歩いたところにショッピングセンターとあるショッピングセンターとは思えないお店が営業していました。スーパーマーケットというよりも食料品店という感じですが、中に入ると鮮魚の品揃えが多く、元々魚屋さんなのではないかと思われます。

鱒の甘露煮240円と缶ビールをゲット。駅のホームの待合室で座布団に座っていただきました。ぱっと見、生臭そうですが、かなりの美味でビックリ。骨があるのか分からないくらい柔らかいです。乗り遅れて良かったです。

JR東海 313系車内です。全席方向転換でき窓側席にも肘掛けがあるのがJR西日本の223系や225系との違いです。

米原2番線に到着、3番線に止まっているはずの新快速が止まってません。なんと運休で次の普通(高槻から快速)姫路行を待つ人たちでホームはごったがえしています。京都までは普通が先着と案内しているものの、アプリをチェックするとその次の新快速の方が大阪には先着です。駅員さんに訊いてみると次の新快速も運転されるかどうか分からないので、普通姫路行にご乗車ください、と言われたものの、とりあえず改札を出て駅の外でいっぷくすることにしました。乗車券の大阪の「阪」の字の上に捺されているのはその時の途中下車印です。ICカードではできない途中下車、普通乗車券は正解、駅の外から満員の姫路行きを見送りました。

17:47分の新快速播州赤穂行は定刻通り、それにガラガラ。近江塩津発なのに次の新快速が運転されるかどうか分からないと答えた米原駅の情報管理に首を傾げます。高槻手前で姫路行を追い抜き大阪到着です。