京都で紅葉狩り

人出は覚悟して嵐山へ向います。

阪急の京都・嵐山1dayパスを買って、桂で嵐山線じゃなくて河原町行準急に乗り換え。久々に乗った3300系、昭和42年ナニワ工機製、南海6000系あたりと同世代です。

西院で下車。白い帽子を被っていない阪急電車に萌えます。

出遅れたのでもう11時半、嵐電の電鐘式踏切のすぐそば、開店準備ができたばかりの鉄板焼やさんに入ってみました。靴を脱いで二階に上がります。

ハンバーグをこねるところから丁寧に鉄板で焼くところまで目の前に眺めながら待つこと20分、京都ポークのハンバーグのワンプレートランチです。最初に口にしたプレート右下の聖護院蕪のスープが絶品でビックリ。とろっとろにすりつぶした蕪のポタージュに胡椒の効かせ方がハンパないです。思わず目の前にいるシェフに指でGOOD!サインを送りました。

ハンバーグのデミグラスソース、サラダのドレッシングもとても美味い。ホームページをチェックしてみるとそれもそのはず、シェフ(若いオーナーさん)は野菜ソムリエです。

嵐電

標準軌のがっしりしたカーブに囲まれた西院の車庫、旧塗装のモボ301はいないので稼働中のようです。モボ101は洗車中。係りの人が車体を拭っているので、洗車機をかけ終わったばかりかと。

電鐘式踏切です。カンカンカンカンだけだといいんだけどブザー音が重なっているのがちょっと残念。

ツルンツルンのモボ105、この顔を見るといつもオバQを思い出します。あたまーのてっぺんに毛が3本♪

西大路三条のカーブからモボ621系が姿を現しました。

紅葉の観光シーズンなので2両編成、後ろは同形式じゃなくてモボ501形。いつまでも撮り鉄していると紅葉が見られなくなるので、やってきたモボ612に乗車します。

山ノ内から嵐電天神川の専用軌道の勾配を上るモボ611形ツリカケ音です。平成生まれもモボ111形の下回りを流用していて、嵐電でツリカケじゃないのは、モボ2001形の2両だけです。

太秦広隆寺で旧塗装のモボ301がやってきました。ちなみにモボとはモーター付ボギー車の意味です。ワムとかトラとか2軸貨車が絶滅して、今やボギー車じゃない鉄道車両は工事用のモーターカーくらいで、「ボ」に大きな意味はないものの、「モボ」という響きは耳に心地いい。

迫る山は嵐山382m、シザースクロッシングの先が終点嵐山です。

天龍寺

天龍寺駐車場の係りの人が掲げる「満車」が物語るように嵐山に賑わいが戻りました。これだけの人の顔にモザイクを掛けるのは大変なので、顔が分からないくらいまで縮小しておきます。

嵐電嵐山駅の真正面の天龍寺、手前に枯山水が広がる曹源池庭園は日本庭園の最高傑作のひとつとされるそうですが、人が多いので先へ進みます。

足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うために開基した寺院で、その頃の様子は私本太平記の最終帖黒白帖に詳しく描かれています。

規模の雄大なことは想像を絶していた。――亀山、嵐山、大堰川をとりいれて、――その中心に祇園精舎にならった毘盧遮那仏の本堂をすえ、塔、楼閣、講堂、山門、七十七の寮舎、八十四間の外廊、鐘楼、輪蔵、池泉、橋、そのほか、景勝の所には亭や書院を配するなど、これの竣工には、じつに六年の月日がかかった。

往時は帷子ノ辻駅辺りまで寺域が広がる、延暦寺や南都東大寺、興福寺にも匹敵する巨刹だったようです。後醍醐天皇は足利尊氏にとって言わば生涯の宿敵ですが、後醍醐天皇の遺徳を偲び、億衆の民生福祉を祈念することを大義としつつ、足利幕府の威望を天下に知らしめることが創建の目的だったようです。

「←御手洗」「百花苑→」という立て札で道が分岐、御手洗だけとは思えない左へ進んでみるとぐっと人が少なくなりました。

紅葉のピークまでまだ2週間くらいかかりそうですが、控えめの紅葉も艶っぽい。ピークを過ぎて地面に枯葉が敷き詰められるまで長く楽しませてくれます。

モミジの赤とマンリョウの赤。

渓流が流れその向こう側にキノコがいっぱい、名前は分かりませんが、2種類生えてます。

スギゴケの間から生えた、こびとの妖精が棲んでいそうな丸いキノコ。ハイホー、ハイホー、声をそろえ♪

草木に植物名の木札が立てられているのはとてもありがたい。花びら1弁だけが長いワインレッドはダイモンジソウ、いかにも京都な花の名です。

透明感のある緑と赤のグラデーションが素敵、真っ赤ももちろん素敵です。

曹源池に戻ってきました。岩の上に止まったのはたぶんネキトンボ。

もう一周、立て札の分岐点を右、百花苑の方へ回ってみます。

スギゴケの上を横に伸びたササリンドウ。

紫のシュウメイギクは初めてみました。大輪の白いサザンカ、中央部はつぼみ。天龍寺の庭師さん、レベル高いです。

三たび曹源池、向こうは嵐山。

大方丈越しに曹源池の紅葉、もう少し赤いといいのですが、JR東海のCM風ではあります。

もう一箇所、府立植物園へ向います。モボ611/621/631形以外がやってこないかと2本ほど見送ったらモボ501がやってきました。背景は比叡山です。

京都府立植物園

帷子ノ辻で北野線に乗り換え、北野白梅町でバスに乗り換え植物園前まで1時間以上かかってしまいました。天神川で地下鉄に乗り換え植物園北山門まで40分ほどで行けたのにと後で分かりました。

植物園正門前のケヤキ並木です。

久々の京都府立植物園、とりあえず植物会館に入り開催中のコケ展を覗いてみました。老若男女かなりの賑わいで楽しみ方もさまざま、鉄道や鳥同様、コケマニアもかなりディープな世界と分かります。

バラ園の向こう、比叡山に低い日差しがあたってます。300mmにズームすると山頂にメタセコイアが並んでいるのも確認できます。左下の白い建物は叡山ケーブルの駅。

紫の花はコンギク、背の高い大きな紅葉はハナノキ。京都府立植物園は殆どの草木に植物名札があります。長居植物園だと植物名札は一部だけです。広さはいずれも24haほどですが、品種は京都が圧倒的、長居のようなイベント案内や注意事項の大音量アナウンスも聞こえず、アミューズメントパーク的な長居に対して、京都はずっとアカデミックです。

植物園の広さを調べていたら、長居植物園がリニューアル工事で11月から来年3月まで休園中と分かりました。整備概要を見ると長く閉ざされていた北側のゲートに自動改札が設置されるようです。これで植物園からの帰りに駒川商店街でちょっと一杯が楽しめることになります。東住吉区にあるのに東住吉区の人たちが植物園を利用するにはかなりの遠回りを強いられていた訳で、よほど植物園にクレームしてみようかとも思っていただけに嬉しい。北側の外周に遊歩道も整備されるらしく期待できそうです。

一方、京都府立植物園にも再開発計画があるらしく、こちらはどうやら現状のアカデミックな魅力を壊しかねない計画のようで、先行きが心配です。

細長い花には名札が見当たらないものの見覚えがあります。アキチョウジです。赤紫の花はイトラッキョウ。

漸く鳥に出会えました。マガモとモミジ。

池面に反射したヤマモミジ。

傾いた日差しを透かしてヤマモミジ。ヤマモミジと名札があるものの、イロハモミジとの区別は容易ではなさそうです。

4時を過ぎたばかりなのにだいぶ薄暗くなってきて、半月を撮ってみました。一旦北山門を出たもののまだ去り難く、もう一度入場して正門へ向います。

通って来なかった道を選んだものの特に何も現れません。今日から紅葉のライトアップが始まるそうです。去年紅葉ライトアップを撮った時、昼間の方がよほど綺麗だった記憶があるので、センニチコウの花壇を見て正門を出ました。

夕暮れの鴨川

未練がましく夕暮れの鴨川を歩いてみます。

仲良くならぶカイツブリのカップル。コガモはせっせと夕ご飯。

目の前をオレンジの光が横切り、中洲の河原に降り立ちました。薄暗い中30m以上先でもくっきり撮れました。ずいぶん久しぶり、今年のお正月にお城で会って以来、新しいカメラでは初のカワセミにテンション上がります。このカメラなら憧れのカワセミ飛び込みシーンもいずれ撮れるかと。

茜色の川面にハクセキレイのカップル、雌雄は分かりません。キセキレイもいました。

いよいよ暗くなってきました。コサギが多数、おそらくここが塒だと思います。コサギに住所を訊いたら、京都市北区北大路通鴨川下ル、と答えてくれるはずです。

ふたたびキセキレイ。あっ、セグロセキレイもいました。この夕暮れにセキレイトリオコンプです。

どっぷり日が暮れ、もう周りにジョギングや犬の散歩の人たちもいなくなりました。さっきの半月が夜空高く煌々と輝き、西の空に宵の明星。

三条や四条付近と違って真っ暗になった鴨川沿いを結局出町柳まで歩きました。出町柳から京阪で帰ると楽なのですが、阪急の1dayパスを持っているので祇園四条で下ります。四条河原町の人通りがすごくてちょっとビビります。覗いてみた立ち飲み屋も満席。このまま梅田まで帰ることにします。

京都・嵐山1dayパスと地下鉄、バス代を足すと2210円、1dayパスを買っていなかったら同じルートで2150円、京阪で帰っていれば1960円で済んでいると分かりました。普通にicocaにしておけば、混んでる阪急じゃなくてプレミアムカーで楽々帰っていたところです。

相当歩いたし体も冷えたので座れて熱燗が飲めてタバコが吸える店を探します。今やこのシンプルな条件がずいぶんハードルの高いものになってしまいました。漸く駅前第4ビルに新しくできた立ち飲み屋さんにテーブル席があることを発見、テーブル席はお通し代がかかりますと言われたものの、ひじきのお通し代200円は価値がありました。

大して飲んでいないのに、気がついたら四天王寺前夕陽ケ丘、一駅とはいえ久々の乗り過ごし。22000歩で16.3km、よく歩いて疲れただけでなく、緊急事態宣言以降お酒が弱くなったと感じます。