昭和な神戸、港町神戸

数日前、飲み屋のテレビをボーッと見ていたら、3月末で営業終了する神戸のショッピングセンターのレポートが気になって自分の目で見てきたくなりました。

ずっと工事中だった新開地駅西側に5軒のお店がオープンしていました。でも喫茶「u」の姿はありません。神鉄1番線の3000系ははげちょろけ、ウルトラマン電車の精悍さはなくなってしまいました。

3番線に入線してきた普通西鈴蘭台行2000系が先発です。400mだけ乗って湊川に到着、初めて下りる駅です。新開地湊川間は神戸高速鉄道なので、神鉄の運賃はかかりません。

改札を出ると完全シャッター通り、かと思いきや、神鉄横丁という飲み屋街で、夜には賑やかになるようです。

その先を行くと店舗もなく広告も外されたダダっ広い地下道が兵庫区役所へと続いています。駅のホームから地上に出たはずなのに、なぜ地下道なのか、左側の坂道が進むにつれ見えなくなり、真上にある湊川公園の下にほぼ水平に作られた地下通路と分かりました。

地下通路の奥に横尾山と高取山と分かるタイル画、武庫連山海陸古覽(部分)とあり、江戸時代末期の兵庫の様子だそうです。奈良時代に行基が大輪田泊を開き、平清盛が大修築して以降、戦後まで神戸の中心地だったのは三宮じゃなくて、この辺りです。

タイル画のところを右へ曲がると家具店があって、ここがいきなりテレビで紹介されていたミナイチでビックリ。

地下フロアの大半は家具店に見えたなんでも屋さん、中古家電とか骨董品とかがが所狭しと並べられていてます。その脇に和菓子屋さんの製造部。

テレビで紹介していた洋食中華のお店は長蛇の列、ここでオムライスを食べようと思っていたのですが諦めます。テレビを見てやってきた人が少なくないようです。この一角は飲食店が集中しているものの営業しているのはこの一店舗だけ、一階にうどん屋さんが営業していたもののこちらも行列。

紳士洋品店、ちょっと失礼な表現ですが、ババ服店はよく見かけるもののジジ服店は貴重です。「最終回!よるミナイチ」のポスター、営業終了日のイベント開催とは悲しくも嬉しい企画です。

1階へ上がってみると、食料品店がずらり、空き店舗は少なくどのお店も元気に営業中です。肉屋さんじゃなくてかしわ屋さん、唐揚げが美味そうです。

魚屋さんの石鯛の水槽には活穴子もいます。発泡のケースにはトラフグらしきが丸で入っていて、その上にはクエの張り紙も。市場に顔の効く、目利きのできる、難しい注文もこなしてくれる魚屋さんと思われます。

外の商店街に面したババ服店さん、閉店売りつくしセール中です。八百屋さんの天井からぶら下がっているゴミ箱はゴミ箱じゃなくて釣り銭入れで間違いないかと。50年ぶりくらいに見ました。子供の頃におつかいに行った公設市場そのものです。

惣菜やさんと塩干やさん、魚屋さんと塩干やさんは別、塩鮭は塩干やさんのテリトリーです。

その隣はなんとクジラの専門店。お店の奥さんが、最後は盛り上がって終わりたいと、お客さんに話してました。もう1軒の八百屋さんでもバケツの釣り銭入れ、店じまい直前でも仕入に手を抜いていないです。

3階から10階は松本住宅という市営住宅で築50年のビル、新しい住宅兼商業ビルが2023年にできるそうです。震災を乗り越え、昭和な商店街が守られてきた訳ですが、平成も幕を閉じる今、全面的なリノベーションはやむを得ないでしょうね。何事にも終わりはあると感じます。

ミナイチの向かい側にもショッピングセンターがあります。中を覗くとミナイチとほぼ同じテナント展開、昆布やさんではこの時期の神戸ならではのいかなごの佃煮も販売中、これがあるとごはん何杯でもいけます。

周辺は複数の商店街が迷路のように張り巡らされています。上湊川本通では手焼きせんべいや野球カステラを手焼き実演販売中。

すぐとなりに東山商店街、シャッター下りてる率は低く、お客さんも多いです。

串かつ揚げ物のお店は、中で飲めるようです。角打ちスタイルの揚げ物やさんです。かなりそそられましたが、今飲んでしまう訳にいかないのでガマン。甘いものやお餅は苦手ですが、こういう木のケースには惹かれます。

さらに大型の商店街があり、ダイエーがあります。DOMDOMバーガーに惹かれたもののガッツリ食べたいので見送ります。

ミナイチ、ハートフルみなとがわ、東山商店街、湊川商店街、さらに気づかなかったマルシンという商店街と5つの商店街で神戸新鮮市場を構成すると分かりました。上湊川本通が見当たらないのですが、たぶん東山商店街に含まれているものと思われます。ウェブサイトもなかなかよくできています。西日本最大級との由、ミナイチがなくなってもその昭和な商店街は神戸新鮮市場全体で守られ、さらに4年後にできる新しい商業施設でも再現されていくと期待できそうです。

大盛り無料に惹かれてうどん屋さんでカキフライ定食、フロア担当のおねえさんがとても愛想よくて気に入ったのですが、満腹してからかなり気になる佇まいの洋食屋さんを発見、湊川、かなり奥が深そうです。

岡本とか北野とかと違って、湊川、新開地はかなり自分にしっくり来ます。神戸というと枕詞は「おしゃれ」ですが、ポジティブに180°逆向きの神戸です。生協発祥の地であり、ダイエー躍進の地でもあるにもかかわらず、昭和な商店街が今も地域の生活を支えている神戸です。駒川商店街千林商店街など、大阪にも地元密着型の元気な商店街があるものの、良し悪しじゃない何か大きな違いを感じます。それが何なのか、何ゆえなのか、まだはっきりつかめないでいます。分かったらまた書きます。

この項続く