昭和な神戸、港町神戸 その2

承前。今日の神戸ではもう一つ目的があるのですが、少し時間があるので、鵯越へ。

やってきたのはまたもや西鈴蘭台行、鈴蘭台での3分停車も含め20分だけの運転です。万一粟生線廃止の事態になっても西鈴蘭台までは大丈夫でしょうね。

神鉄で一番お気に入りの1100系ツードア車、何がいいかというと、1000系シリーズの中でも運転席後ろにも席があり、先頭カブリツキがゆっくり楽しめます。

右側カブリツキは先客がいて運転手さん肩越しの左側カブリツキです。湊川を出ると地上にでてすぐに急勾配に取り掛かります。右側カブリツキゲットだったら鵯越で下りずに西鈴蘭台まで乗り通していたかと。

車内の萌黄色のパネルは新しいものに取り替えられているようです。1971年製ですが、まだまだ神鉄主力の一翼として現役続行かと。

トンネルの向こうに鵯越駅、後ろ髪が引かれるもののやはり下車します。

50‰を駆け上がっていきました。数分後に三田行の準急、こっちは1300系でカブリツキは立ったままになります。

新開地行の最新型6500系を見て、烏原貯水池へと歩きます。階段と坂道を10分ほど下ると菊水山方面からの道と合流、クルマも通れるのですが、ハイキングコースです。

ウグイスの声が近くの梢から聞こえてくるものの写っていたのはシジュウカラ。ツバキがキレイです。

鵯越のヒヨドリです。この烏原貯水池沿南側の山なみの稜線にひよどり道というのもあります。でも今日はゆっくり鳥見している時間はありません。

烏原貯水池から坂道を少し下ると神戸港の景色が広がります。ポートターミナルに停泊中はQuantum of the Seas、今日2つ目の目的です。海の向こうに大阪府庁咲洲庁舎が見えます。

市バスとポートライナーを乗り継いでポートターミナルに到着。Quantum of the SeasがQ1、Q2、ふたつのバースいっぱいに停泊しています。

16時の出港予定です。日の高い時間の出港は珍しく、巨大クルーズ船の出港風景を見たかった次第。ポートターミナルには臨時の特大スーベニアショップが営業、神戸観光から戻って来た大勢の乗船客が神戸土産や日本土産のショッピング中ですが、特別に富裕層という感じじゃないです。

全長348m、船首から船尾まで新幹線の1号車から14号車くらいあります。米国Royal Caribbean International社のカリブ海クルーズ船で、168,666総トン、乗客定員が4180人、乗組員1500人。以前見たNorwegian Joyの167,725総トンを僅かに上回っていて、その時の参考ページによると同率世界6位の大きさのクルーズ船です。いずれにせよ、自分が見た船としてはコンテナ船やタンカーも含め最大です。

元町中華街へのシャトルバスが5分毎に運行されています。乗船客以外も乗せてくれるかどうか、試してみる度胸はありません。神戸大橋からQuantum of the Seas、神戸大橋よりはるかに背が高く、くぐれません。

神戸大橋の下をタグボート桜丸、Quantum of the Seas曳航でしょうか。ポートアイランドの桟橋にはカメラマンが並んでいます。あそこからCelebrity Milleniumを撮ったのですが、今日は出港なのでターミナルでスタンバイすることにします。

3時半までに船に戻ってください、という英語と中国語のアナウンス、乗船客が船に戻って行きます。中国人9割、欧米系1割くらいの感じです。ブリッジではその様子を見守っています。

一通り乗船が完了し乗船口が閉じられます。ポートターミナルの送迎デッキでは甲南大学生さんたちのビッグバンドジャズの歓送演奏が始まりました。カッコいいです。船から「こうべ、さいこー」という声がかかりました。

送迎デッキの手すりにもたれて出港を待っていたら、隣にいた船マニアらしいおじさんが2枚の旗を掲げました。訊いてみると上の旗はU、下の旗はW、2枚でUW旗となって「ご安航を祈る」という意味の国際信号旗だそうです。天保山でこういうのは見たことがなく、さすが港町神戸です。

もう3時50分ですが、もう一つの乗降口へ走っている乗船客がいます。まだ来ていない乗船客がいそうですが、次の寄港地は横浜なので新幹線に乗れば上海へ帰れます。

船腹に自分たちの影、左側の長い棒の右側の影が自分です。襷を掛けたミスなんとかのおねえさんもお見送り、手にはミニサイズのUW旗。

素敵な1枚が撮れました。右側から2本のUW旗、その隣の長い棒の右側が自分、両手を広げ力いっぱい見送っているのがミスなんとかのおねえさん、その左の影が低くなっているのは甲南大学のビッグバンドジャズ、さらに見送りの人たちがびっしり。その影がさらに海面に反射しています。影がこんなに楽しい絵になるとは初めて気づきました。水色の船腹のQuantum of the Seasならではです。

ブォォォーっと汽笛を鳴らし船首が離岸します。UW旗とQuantum of the Sea、ご安航を!

船上の赤いくまは何?とググってみると詳しいページが見つかりました。ローレンス・アージェントさんというアーティストによるモニュメントだそうです。

Quantum of the Seasの全容がようやくファインダーに収まりました。

取舵とぉぉりかぁじ、左舷にタグボートがいるかと思いきやいませんでした。自力だけで出港です。

ポートアイランドの桟橋のカメラマンはさっきよりかなり増えてます。あっちはあっちでいい写真が撮れたでしょうが、こっちもいい写真撮れましたよ。

面舵おもぉぉかぁじ、手前は神戸港遊覧のロイヤル・プリンセス414総トンとタグボート早風丸164総トン。

上海の宝山港から大阪、神戸、横浜を巡る7泊8日のクルーズで、海側客室で$1,103、つまり12万円程度、これに食事やアトラクションも含まれています。船上にはなんとロッククライミング、船上サーフィン、スカイダイビングのアトラクションまであります。お金以上に時間が必要です。船上でパソコンを広げて仕事は阿呆です。それに1週間仲良くしていられるパートナーが必要ですね。

三宮に戻りググって名前に惹かれた立呑屋さん、昭和ゴールデン。ハイサワーの「なか」を3杯おかわり、丁寧に焼き上げた焼き鳥が美味いです。

ええ塩梅になって、昭和なままのJRの高架下を歩いていると見つけた、昭和感たっぷりの神戸ラーメン第一旭三宮本店。チャーシュー麺のBラーメンがデフォルトのようです。昭和な神戸で始まって、港町神戸を満喫して、昭和な神戸で締めることができました。