鵯越のハグロトンボ
鵯越(ひよどりごえ)は、一の谷の戦いで、源義経が急峻な山を馬で駆け下って平家を急襲、源平の戦いで源氏の優勢を決定づけた、鵯越の逆落しのあった場所とされているところです。
神戸電鉄も湊川を出てすぐさま急坂を登って行くわけで、周りには須磨アルプスと呼ばれる、高度はさほど高くないものの、急峻な山が並んでいます。横尾山馬の背とか菊水山ルンゼとか、かなり本格的な登山を身近に体験できる場所でもあるそうですが、自分でも行けそうなところで、電車も鳥(orトンボ)も楽しめそうなところとして、石井ダムと烏原川(からすはらがわ)という場所を見つけ、どうしても行ってみたくなりました。
まずは腹ごしらえ、新開地駅構内で神戸電鉄への乗り換えの通路の喫茶店でモーニングサービス、壁に須磨アルプス登山の写真が飾られていて、盛り上がります。
写真を撮りそこねましたが、鵯越駅を過ぎると目的の石井ダムが左車窓に見えます。鈴蘭台で下車。
あいにくの雨です。どうしようかなぁ、引き返そうかなぁ、と15分くらい悩んでましたが、せっかく来たので行ってみることにします。
雨合羽は持って来たのですが、蒸れて暑いのは間違いなく、駅前のファミマで、ビニ傘、それから、カロリーメイトと水を買って石井ダムへ向かいます。
駅から10分程歩いて神戸電鉄の鈴蘭台車庫を過ぎると石井ダムへの歩行者専用道になります。
大川峠みたいな感じですが、廃道ではなくて、キレイに整備されています。
歩行者専用道は神戸電鉄の線路に沿っています。急勾配を駆け上ってくる電車を間近で眺められます。
雨だからということもあるでしょうが、人っ子ひとり歩いていません。途中、ダムの工事関係者と思われる人たちに会っただけです。気持よく声をかけてくれます。
さっきのゲートからさらに10分くらいで広場がありました。その先、道が二つに分かれています。
最終的には同じ石井ダムに着けるようですが、上の道は橋の上、下の道はダム湖の湖底の方を廻って行くようです。水辺広場という案内を見て下の道を選ぶことにしました。
がっ、すぐさまこんな注意書きが。今日は雨です。まさかこの程度の雨でダム湖が沈むはずもないのでしょうが、やはりちょっと不安なので、途中で引き返して上の道を行くことにします。
広場から見えた橋の先に「名号岩」という大きな岩山があります。大学山岳部のロッククライミングの練習にも使われているところのようです。
源義経の逆落しもこんなところだったのかも知れません。
石井ダムが見えてきました。
流れる川が烏原川で、その治水のためにつくられたダムだそうです。
ダムの上までやってきました。下を覗くとこんな感じです。神戸電鉄の線路も見えます。
下り(山登り)の5000系、谷間の向こうに海が見えます。
同じく1100系と上り(山下り)の3000系
ダムを横からみたところです。階段を降ります。
ダムを見上げるとこんな感じです。
5000系HAPPY TRAINが坂を登って行きます。
1100系が坂を下ってきました。真横から見ると勾配のスゴさが実感できます。
キバナコスモスにマツヨイグサ
ダムの下はハイキングコース風の道になります。アメリカアサガオです。
石井側との合流地点付近に「放水門」と右から書かれた水門がありました。
この見事に苔むした欄干の向こうの草むらに何か黒いものが舞ってます。
ハグロトンボ発見!
その先に河原へ降りることができるところがありました。
ハグロトンボ、いっぱいます!
胴が黒いのが♀、青いのが♂です。チョウトンボに似ていますが、翅全体が黒く、胴は細め、その胴を丸めたりするポーズがキュートです。
二匹の♂が全く同じ翔び方で追っかけっこしていて、ずっと見とれてしまいました。
例によって手ブレ動画ですが、ハグロトンボの優美な翅の開閉アクションがバッチリ!翅を閉じた時のパタンという音まで聞こえます。
超満足して、烏原貯水池の方へ向います。人工っぽい水底ですが、魚も泳いでいます。
鳥が多い季節が楽しみな感じの貯水池です。
カルガモやカワウもいます。
カワウの向こうが貯水池の東の端で、グルっと廻って、鵯越駅の方へ向かうつもりだったのですが、看板を見ると、このすぐ先にバス停があるようです。
バス停の方へ向かって行くと、いきなり視界が開けました。
マジ、ビックリしました。おもいっきり神戸です。地図でチェックしてみるとここからポートタワーまで2.5kmしかありません。
義経の鵯越奇襲作戦の効果が実感できる思いです。
振り返るとこんな急坂。石井町というバス停がありました。神戸駅行の市バスが10分間隔くらいで運行されてました。
APPENDIX
下界へ下りて、新長田の鉄人28号を見に行って、地元のB級グルメ「ぼっかけ焼きそば」を食べ、まだ食べ足りないので、明石まで足を伸ばし、海鮮丼8種盛り540円(別に明石まで来なくても食べられるのですがお気に入りです)を食べて満腹。
鳥分(トンボ分を含む)は満足したものの、鉄分がいささか不足しているのを感じ、もう一度鵯越まで行ってみることにしました。
新開地で準急を見送り普通電車に乗車、神戸電鉄って全部ワンマン運転だったんですね。
ちなみに準急といっても一つ手前の丸山とこの鵯越を通過するだけです。南海本線の「普通」が通過して高野線の「各停」だけが停車する今宮戎と萩ノ茶屋みたいな感じですが、周りの環境は全然違います。
駅の西側は住宅がいっぱいあるのですが、東側を急坂で、5分も歩くともう森の中です。烏原貯水池まで1kmほどのようです。
駅のすぐ南側に短いトンネルがあります。前々からこういう短いトンネルの向こう側に電車が覗いて見える写真を撮ってみたいと思っていたのですが、ここ鵯越で叶いました。
続いて1100系の下り電車、ちなみに1100系と1300系、似ていますが、1100系は運転席の後ろは座席、1300系はドアです。つまりかぶりつきをやるなら1100系がオススメ。
1300系です。
鉄分も十分補充できたので、この5000系で帰ります。インテリアは阪急電車まんまです。