遠すぎてお話できず

3月になると北の国へ去ってしまうのに今季はまだコハクチョウたちに会っていません。この週末はかなり暖かくなるとの予報、レンタカーじゃなくてレンタサイクルで湖北を回れるので急遽長浜へ。

長浜への道

青空の広がる大阪駅です。7:30の新快速近江塩津行に乗車、上淀川橋梁を渡ります。朝早い遠出でワクワク感が募ってきます。

野洲川の向こう、間近なはずの三上山がたぶんPM2.5で霞んでました。近江八幡を過ぎると一挙に広大な田園地帯が広がります。

彦根から米原までのカブリツキです。普段正面に伊吹山が見え隠れしていたはずですが、今日はさっぱり。

阪田駅付近で漸く伊吹山が姿を現しました。田村駅の線路に挟まれた空地はかつて機関車の留置線だった跡です。子供の時のスキーでよく利用した急行きたぐには、深夜の米原で直流電気機関車(たぶんEF58)からディーゼル機関車(DF50だったかと)に付け替え、ふた駅先のここ田村でさらに赤い交流電気機関車に付け替えていました。

大阪から1時間40分、なぜかずっとボックス席を独り占めで長浜に到着。駅前に盆梅展の案内、コハクチョウのあと、訪ねたいと思います。

電チャリを借りて出発、豊(ほう)公園の浜をチェック。ちょっと沖にキンクロハジロ、もう少し沖にはオオバンがびっしり。

いつものコハクチョウ第1チェックポイント、びわカントリエレベーター周辺はハズレ。第2チェックポイントの早崎内湖もハズレ、それでもミコアイサに会えました。

白い点々

コハクチョウに会えず!というブログタイトルが浮かんできたところで、海老江漁港にやってくると琵琶湖の湖面に白い点々、コハクチョウがざっくり300羽くらい。やっと会えたけど、遠い。200mくらいありそうです。

遠景の雪山はたぶん三国山876.3m、近江、若狭、越前の三国境に立つ山です。

2年前の渇水時に歩いて渡れた奥の洲、現状もかなりの渇水状態で陸続きになっているものの、水門北側の堤防の石段を下りたところからは渡れそうにありません。竹生島の前にコハクチョウたちの白い点々。

海老江漁港から700mほど北、岸壁で囲まれただけの簡易な停泊所(延勝寺漁港と呼ばれるらしい)からも、さっきより少し近い位置に白い点々、こちらも300羽くらい。双眼鏡で観察していた女性によると、東の方から飛んで来たところらしい。

手前に繁茂している水草はハス、花期にはなかなか見事な景色になるそうですが、ほぼ毎年尋ねている湖北へ夏に来たことはありません。

露出を落とすと遠くてもピントが合いやすくなると気づきました。手前のハスはボケて一応コハクチョウにピントが合ってます。背景は竹生島の断崖、沖の横に長い浅瀬に並ぶ黒っぽい鳥たちはオナガガモ、その間の湖面は表情が異なりオナガガモたちの向こう側は深くなっているようです。帰宅後レタッチして露出を上げています。

水中に首を突っ込んだままなのはたぶんヒシの実を食べているところかと。

優雅なコハクチョウファミリー、劇場の3階客席からオペラグラスでバレエの白鳥の湖を鑑賞している感じです。

浅瀬のコハクチョウたち、水深は3cmくらい。

時々羽ばたいて駆け出してはくれるものの飛び立たず。

大半は首をお腹にのせて爆睡中。

ブサイクな動画です。ウーウーウーと聞こえてくるものの、田んぼで間近じゃなくて遠すぎるので、コハクチョウと会話できるとうそぶく自分も、今日はお話しできません。

湖北野鳥センターにやってきました。「コハクチョウなう」は、見てきたばかりの野鳥センター南の湖面を指しているだけ、どうやら田んぼにはいないようです。

雪かきで積まれた雪がまだ残ってます。

コハクチョウメーターは610羽も10日前のデータなのがちょっと残念。やはり湖面にいたコハクチョウで全部っぽいです。

このどこかにオオワシがいるはずの山本山、今日はギャラリーが少なそうです。

延勝寺漁港まで戻ってきました。しずしずとコハクチョウペア、バレンタインデーなので、2羽で首をハート型にしているところを期待していたのですが、今日それは贅沢すぎます。右端と中央で羽を広げているのはオオヒシクイ。3時半頃まで待てば2年前のような次々に飛び立つシーンが見られそうな気がするのですが、今日は盆梅展を見に行くことにします。

田んぼに出かけずひねもす湖上なのは、やはり渇水が原因かと。キツネやアライグマが襲ってくる危険の残る田んぼで二番穂やイネの根を食べなくても、水位が低いので、湖底のヒシの実やマコモの地下茎を簡単に採るることができます。天気、気温、風速など何度もチェックしてやってきたのですが、琵琶湖の水位というチェック項目を忘れてました。

念の為、コハクチョウがいる可能性が考えられる田んぼ経由で戻ります。

ペダルをこいでもこいでも景色がなかなか変わらないところを進んでいくと、タゲリを見つけました。6年ぶりです。10羽くらいいたけど、田んぼの真ん中辺ばかりでこちらも遠い。

去年のノーベル生理学・医学賞受賞の坂口志文博士の母校、びわ中学校です。

今朝の第1チェックポイント、カントリエレベーターの東側まで戻ってきたものの、広大な田園が広がるばかり。今度ハクチョウを見に行くときは連れてってと頼まれていたものの、思いついたのが昨日の今日だったこともありお誘いしなかったのですが、今日のように湖面の白い点々だけだとお誘いしなくて正解でした。

長浜市内まで戻って来て、以前入った記憶のある湖周道路沿いのお蕎麦やさんでランチ、のぼり旗前の自転車は今日の相棒です。

焼鯖ずしが付いてくる牛ごぼうそば定食、れんこんサイズのごぼうの輪切りの天ぷら、ごぼうとニンジンのきんぴら、べったら漬、大根とごぼ天のおでん、沢庵、壺漬け、と根菜づくしでした。

盆梅展

盆梅展の会場、慶雲館です。ボンバイテンという響きがいい、イノキ、ボンバイエと頭の中で響きまます。普通名詞の盆梅展だけで長浜盆梅展を指すらしく、昭和27年から続く日本一の規模の盆梅展です。

玄関を上がると金屏風に「仙客」と名付けられた盆梅は樹齢伝100年の野梅性玉簾という品種。掲げられた額の「慶雲館」は伊藤博文の揮毫(複製)、慶雲館は明治19年に明治天皇京都行幸のために建てられた迎賓館で、伊藤博文が命名とのこと。表に明治天皇長濱行在所と石柱が建てられてます。東海道線の全通は明治22年のことで、それまで長浜-大津間は琵琶湖の航路でした。

梅匂う湖北のをみなうつくしき

と瀬戸内寂聴の句が掲げられた小さめの白梅。

「清麗(せいれい)」は樹齢伝40年藤牡丹枝垂れ。「華冠(はなかんむり)」は樹齢伝80年の月影、小さいながら枝ぶりのバランスがとてもいい。書は「慶福」でしょうか。

銘は読み取れないもののSASANAKIとあり、たぶん「笹鳴」。ウグイスのチャッチャッチャッの地鳴きのことを笹鳴というらしい。梅にウグイスじゃなくて梅に来るのはメジロ、とかこだわるのは野暮。ちなみにメジロの地鳴きはチーチーチー。

笹鳴の太い幹は空洞になっていて根元が割れて苔に覆われています。見頃を迎えている花だけでなく見どころの多い盆梅です。

杏性(あんずしょう)千歳菊という品種で樹齢伝250年高さ210cmの「瑞光」、これも幹は空洞、元の太い幹から分かれた新しい幹がメインになって見頃を待つ花を咲かせています。見事です。

斜めに伸びているので支柱に支えられているものの樹齢なんと伝400年のその名も「不老」、品種は杏性緋の袴。さほど大きくない鉢にこれだけ大きな梅の木の根を収めることができるのか不思議ですが、どうやらそこが盆梅を育てるポイントらしい。

ずいぶん凝った演出は樹齢伝150年の「蓬莱」、品種により見頃が異なるので適宜見頃の鉢に展示替えされているそうですが、まだつぼみだけの蓬莱がかように豪華な展示されているのは、盆梅展で欠かせない主役のためと思われます。

どの盆梅も銘は紹介されているものの、人が手塩にかけた芸術作品なのに、会場でもホームページでも作者名は紹介されていません。人が手塩にかけたことよりも自然の為す不思議を見て欲しいということかと。

梅の香漂う展示室です。隣の展示会場への廊下に置かれた小さな盆梅も素敵。

さらに廊下の小さな盆梅。ミニ盆梅に両側から光で花の影。

隣の展示室には梅や琵琶湖にちなむ掛け軸が数本、野口雨情の軸は、

夜明け頃まで琵琶湖の上に、寒の月さへ影うつす

田辺聖子の軸は画像で読めます。

奥の展示室は夜の梅を演出。

メインの展示室より開花が進んでいて、品種も銘も分からないものの美しい。自然と人の手が融合した芸術を堪能させてもらいました。

2階はカフェと売店、その壁際に雛壇のミニ盆梅、階段には長浜曳山祭りの垂れ幕、夏まつりかと思っていたら春まつりです。

庭園に下りてみました。無鄰菴や平安神宮神苑の七代目小川治兵衛による作庭です。池泉回遊式なのに池に水が貯められていなかったのが残念。

外に出ると盆梅の即売会、その向こうに新快速。続いて名古屋行しらさぎ。

慶雲館の真向かいが長浜鉄道スクエア、以前来たことがあるような気がしてパスしてしまったのですが、来ていなかったみたい。

長浜の中心街の向こうに雪をかぶった伊吹山、信州の松本あたりを彷彿とさせる景色です。

えきまちテラス長浜の小さなびわ湖水族館で琵琶湖固有種のビワマス、小さい方はアジアの熱帯・温帯の淡水・汽水域に広く分布するヨシノボリ。

えきまちテラス長浜の壁画に描かれた田園地帯を自転車で走る自分(たぶん)、今日は見ることができなかったコハクチョウの舞も描かれていますが、綺麗に編隊を組んでいるところを描いてほしかったかも。

帰り道

えきまちテラスのドアの無い居酒屋でもう少し時間を潰し長浜駅へ。4番線から当駅始発の新快速播州赤穂行のドアボタンを押します。琵琶湖の夕日です。

米原駅にJR東海の313系。311系は既に引退、代わってロングシートの315系が導入され、米原-大垣ピストン運転の普通列車は殆どが315系らしい。彦根駅には新たに導入された黄色いままの元西武2000系がちらり、近江鉄道では200系と呼ばれるようです。

えきまちテラスで飲んだビールが効いてきてトイレに行きたくなりました。気休めですが万一に備えパソコンをリュックに入れてきたので、リュックを置いて車内のトイレを利用するのは憚られ、野洲駅で一旦下車。野洲始発の新快速に乗車のつもりが、次は草津始発と分かり、普通(高槻から快速)で滋賀県乗降客数1位の草津へ移動すると草津線ホームに京都行221系。

最後尾に回ると何と前パンタの2丁パンタでえらくカッコいい。前パンタは集電用ではなく霜取りパンタ、大和路線の221系にはありません。この付近でSLびわこ号のC56 160号機返却回送に感動したのはもう8年前。