トビハゼとチゴガニ

大阪市の最高気温は34.8℃、京都市は35.8℃、和歌山市は31.0℃。和歌山は大阪より涼しいとブログで書いた3年前より温度差は大きいです。一般的なイメージとしては南国の和歌山の方が暑そうですが、内湾の大阪や盆地の京都と異なり風の流れが良いためでしょうね。ということで和歌山へ。

3年前はラピート特急券購入のインバウンドさんたちの長い列に混じって購入した和歌山観光きっぷ、今日は手持ち無沙汰っぽい窓口さんに右側の指定席を取ってもらいました。

サザンプレミアムのインテリアは京阪のプレミアムカーより高品質感がありますが、アテンダントさんの笑顔は京阪の勝ち。

汐見橋線の2200系がいい感じで撮れました。男里川を渡ります。シギチの秋の渡りにはまだちょっと早いはず。

南海本線の絶景区間、鳥取ノ荘からみさき公園までの車窓です。みさき公園の観覧車やジェットコースターはすべて撤去されてしまい、町立みさき公園として7月1日から開園したそうです。長松海岸へ抜けられるようであれば楽しくなるのですが、そのルートはどうやらまだ工事中のようです。

紀の川を渡り、3年前は更地だった和歌山市駅に到着しました。

目的地の不老橋周辺へは、4系統新和歌浦行で不老橋下車の他、30系統雑賀崎行で権現前下車、あしべ通を運河に沿って10分ほど歩くのもオススメ。次のバスは30系統です。

車庫前バス停は高松北に改称されてしまいました。バス停に表記はないものの「高松北、旧車庫前」とアナウンスされていました。かつて南海電鉄和歌山市内線の車庫があり、和歌山ラーメン車庫前系発祥の地ですが、和歌山市内線が廃止されて50年、それに周辺にラーメン店が集積しているわけでもないので、改称は妥当なところかと。

権現前に到着。柵の向こうは御手洗池公園、その右手に紀州東照宮、さらに右手に明光商店街があり、去年のブログに詳しく書いてます。

あしべ通

運河を覗いてみると、今日もキビレとチヌが悠々と泳いでます。

過日某テレビ番組制作会社さんから、以前この付近で撮ったチヌの写真を番組で使わせて欲しいとの連絡があり快諾も、結果使われなかったようですが、その旨丁寧にお詫びをいただいています。その後別のテレビ番組でインタビューを受け、湖北のコハクチョウたちの写真までオンエア、親戚友人たちの反響が大きかったのですが、色んな所で下手な写真を撮り続けてきて良かったと思います。

泥地にはかなりの数のカニ、クロベンケイガニかと。

もう少し川下でチヌたちが列をなしてました。松と鯛、きれいに盛り付けられた日本料理のようです。

いました!トビハゼ。チヌやトビハゼが棲む町中の松並木の運河、ある意味、有明海より貴重な存在なのかも知れません。

ゴロリン、死んだふりポーズも見せてくれました。

歌額が掲げられていました。

打ち出て 玉津島よりながむれば みどり立そふ布引の松 - 豊臣秀吉

秀吉の歌というのを初めて知りました。秀吉が紀州征伐でここに立ち寄った時に詠んだ自作だそうです。秀吉は、権力を誇示するためでなく、心底風流を愛していたものと分かります。

露と落ち 露と消えにしわが身かな なにはの事も夢のまた夢

そういえば、この秀吉の歌は有名ですね。

もう一首は万葉集。

若の浦に 潮みちくれば 潟をなみ 芦辺をさして 鶴なきわたる - 山部赤人

自分もこの歌をもじって一首詠んでます。額にタンチョウが描かれていますが、古代であってもこの地にタンチョウはありえないはず。ググっていたら紀の川の中洲にナベヅルが飛来という記事がありました。山部赤人が見たのはコウノトリだったという可能性もありそうです。

不老橋が近づいてきました。今日のトビハゼ君2号です。

不老橋バス停に4系統新和歌浦行が到着、これに乗っていれば運河のチヌやトビハゼに会えなかったかも。

不動橋に並行するあしべ橋、1991年開通も周囲の景観にマッチした趣のある橋、先日Facebookのお友達が作られた橋と知ってビックリしたばかりです。

大潮で干潮ピークの12:33、潮位は4cm。松の木が提供してくれるわずかな陰でひと休みも、足元の石板が熱くて腰を下ろすことはできません。

妹背山

妹背山へ渡ります。三断橋の修復はほぼ完成したようです。島の東側から観海閣へ廻る道は閉鎖されていました。

ハクセンシオマネキ、あっ、期待していたチゴガニもいました。

チゴガニの手ブレ動画その1、バンザイアクションです。

ハクセンシオマネキ、左右のハサミの役割が全然違ってます。

背中と脚はマダラ模様、甲羅の大きさは1cmくらい。自分よりでかいのがやってくるとスッと穴に引っ込みます。

チゴガニその2、巣穴から大きくは離れないことがチゴガニのひとつの特徴といえそうです。よーくみると1mmくらいの極小のカニがいます。

妹背山の反対側に廻ってみてビックリ、観海閣が消えてました。去年来た時の姿です。頼宣公の頃の姿に木造で再建してほしいと思っていたのですが、どうやらそのセンで計画が進んでいるようです。

干潟には炎天下でじっと観察を続ける研究者さんらしき人たち。自分は気のむくままに観察しているだけですが、教授に決められたノルマを黙々とこなしていると思われる研究者さんたちに頭が下がります。もし人生やり直せるとしたら生物学者を目指したいと思っているのですが、自分に務まるかどうか。

クロベンケイガニ(たぶん)が何やら別の種類のカニを捕まえて移動中です。

その横で黙々と採餌するターコイズブルーのチゴガニ、残酷で美しい小さな大自然です。

ナミアゲハがやってきました。おそらく塩分(鉄分)補給のためと思われます。ナミアゲハの近くにチゴガニが写ってます。チゴガニにすればナミアゲハはモスラに見えるかと。

チゴガニその3、食事シーンです。両手が使えるので、ハクセンシオマネキより便利かと。

とてもマッチョなハサミのハクセンシオマネキ、これは♀にモテそうです。

ヤマトオサガニが通り過ぎるのを注視しているチゴガニたちです。

干潟の一画が木枠で囲まれヨシが伸びていて、その葉陰にハクセンシオマネキ。おそらくヨシの試験栽培かと。「芦辺をさして鶴なきわたる」和歌浦の再現を目指しているものと思われます。

トビハゼも手ブレ動画で。何が気に入らないのかキックで巻貝を吹っ飛ばしているシーンは笑えます。

琴ノ浦温山荘園

バスに乗ってもう1箇所、琴ノ浦温山荘園へ行ってみます。

潮の干満により池の水位が上下する潮入式池泉回遊庭園、産業用ベルト製造の大手ニッタ株式会社創業者、新田長次郎の別荘庭園で個人庭園としては日本最大、国の名勝に指定されています。ハマユウが咲いていました。

Google Mapにヘドロが臭いというクチコミがあって心配していたのですが、残念ながらクチコミ通りでした。特に西の池はきついです。水をかき回す装置も設置されているのですがなかなか追いつかないようです。作業中の造園業者さんも少なくなくて決して放置されている訳ではありません。夏の盛りの訪問が最悪のタイミングだったのかも知れません。

庭園の奥にトンネルがあって海辺に出られるようになっていますが、目の前はマリーナシティが視界を遮っています。左手も日本製鐵製鉄所の埋立地で遮られ、小さな湾は蓬莱岩辺りの海と比べようもなく、正面も左手も海が広がっていた頃の様子を想像してみる他ありません。

元々狭い湾だったところがマリーナシティで蓋をされてしまったことが、潮入式池泉のヘドロの原因ではないかと推測せざるを得ないです。温山荘は今もニッタ関連の公益財団法人により管理されていて、ホームページで事業報告書も公開されているのですが、問題の解決は一財団法人の手に負える規模のものではなさそうです。国指定の名勝としての強力なサポートが求められているかと。

庭園と浜辺をつなくトンネルはしばらく通行止めだったのが補強工事をして通行再開したそうです。海側から見ると巨大な岩山に開けられた手掘りのトンネルと分かります。この庭園を守って行こうという強い思いが伝わってくるトンネルです。

せっかくなので隣接する2年前に来た和歌山県立自然博物館に立ち寄ってみます。

順に紀伊水道の魚、枯木灘の魚、熊野灘の魚です。紀伊水道にはさっき見たチヌ、枯木灘には縦縞のイシダイ、熊野灘には横縞のカゴカキダイ。和歌山県は広いです。

チンアナゴですが、周りがとても騒々しい。小さな子どもたちが大声あげて密閉空間を走り回っています。魚たちもストレスが貯まることかと。がまんできなくて展示室の外へでると窓の向こうに温山荘園のトンネルの先が見えます。

和歌山に来たらここ、多田屋さんです。がまんできなくて写真を撮る前にイッキに飲んでしまいました。帰りの10000系サザンで夕日の動画を撮っていたらそのまま寝落ち、サザンの座席だけが30分映ってました。

難波に到着、泉北準急は6000系トップナンバー。