芦屋のマンション
豊田市民芸館で見たアーツ・アンド・クラフツ運動のアメリカでの継承者で、近代建築の三代巨匠のひとりとされるフランク・ロイド・ライトが設計した芦屋にあるヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)が公開されていると知り、早速訪ねてみることにしました。
ヨドコウ迎賓館です。吹き抜けの空間は車寄せ、空間の右側は意外なほど狭い玄関、その前に大谷石で作られた水槽があり、中には金魚。
金魚の水槽の脇に狭い扉があって、扉を開くと薄暗い玄関にチケットデスク。入館料は1989年の開館以来の500円(シニア400円)が10月1日から1,000円に改訂だそうで急いでやってきた次第。
スリッパからサンダルに履き替えバルコニーへ。3階の屋上から2階の屋上へ抜けられるようになってます。正面はうっすらと和泉山脈、左端に芦屋浜シーサイドタウンが見えます。
芦屋川の対岸に鷹尾山272m、その向こうに日本のロッククライミング発祥の地、ロックガーデンがあります。反対側の丘の上にはいかにも芦屋な洋館、これぞマンションといった風情、サンタクロースが雀躍しそうな煙突です。こちらヨドコウ迎賓館もマンションという言葉本来の意味(大邸宅・豪邸・お屋敷)からすると間違いなくマンションです。
日本では、1950年代から安価な賃貸集合住宅がアパートと呼ばれていたため、それと区別すべく不動産業界で中高層集合住宅のことをおしなべてマンションと呼ばれますが適切じゃないです。英語だと分譲賃貸に関わらずフラットもしくはコンド(コンドミニアム)で、タワマンや億ションもマンションではありません。マンハッタンの10億円の集合住宅もマンションではなくコンドです。
ましてや自分ちのような集合住宅のワンルームをワンルームマンションと呼ぶのはとても恥ずかしく、I live in a single room manshion、と言えば、体育館のようなところに住んでるのかと誤解されてしまいそうです。今風の英語だと、I live in a studioが適切と思われますが、日本語で自分ちのスタジオと言えるのクリエイターだけかと。なので、アパートでも構わないのですが、いちおう「自分ちのビル」とごまかしています。
階段にあった電球と観葉植物、電球は市販品も、ソケット(白い円筒部分)、ソケットカバー(真鍮の立方体部分)、マホガニー製ベース(壁に固定する部分)はライト設計らしく、細部に至るこだわりがハンパない。よく見ると上掲の洗面室の照明も同じ形で大きさの違う電球とソケット、ソケットカバーです。
3階に戻ると、廊下には四つ葉のクローバー型の銅板の隙間から柔らかい日差し。細部まで目の行き届いた本物のマンション、フランク・ロイド・ライト設計の周囲の環境や立地の地形と一体になった「オーガニック・アーキテクチャ」、かなり念入りに丁寧にメンテナンスされていることも伝わって来て、何よりも写真に撮れた限り12箇所も美しいアレンジメントと花器でさりげなく飾られていた花が、オーガニック・アーキテクチャをぐっと引き立てていました。遠からず神戸北野の風見鶏の館も訪ねて見たいと思います。