尼崎の博物館(後編)

承前、尼崎市歴史博物館を2時間近くかけて見学、猛暑の外へ出てきたところです。

石垣風の門柱は昭和2年に建てられた尼崎市立高等女学校のもの。

マンホールの蓋にはトンボやホタル、ハゼ(?)やドジョウ。尼崎でホタル?と調べてみると猪名川河川敷や西武庫公園等で見られるようです。

尼崎城

平成30年に建てられたばかりの尼崎城、たぶん向こうのタワマンの方がずっと古い。手前の芝生は暑さを照り返してくる人工芝。

500円の入城料を払ってエレベーターで最上階の5階に上って来るとピッカピカのフローリング。歴史博物館と違ってこっちはそこそこ入館者が。

北側に阪神尼崎車庫、復刻塗装8000系がやってきました。クレーンが2本立っているところがレンガ倉庫のあった場所です。平地に立ち、他の方角は阪神高速などに遮られ視界が効かず、いざ戦となってもあまり役に立ちそうにない天守閣です。

2階から4階は武将や忍者、お姫様コスプレとか、鉄砲剣術体験とかがあるものの自分の興味を惹いたのは尼崎城本丸御殿跡等から出土した土人形だけ。忍たま乱太郎「尼ヶ崎にご招待の段」というショートアニメを2階のVRシアターで鑑賞、原作者の尼子騒兵衛さんが尼崎の出身。アニメファンの人たちには結構受けていたのですが、自分はピンと来ませんでした。

暑いけどもうひとつの博物館へ行ってみます。お城の南側に歴史博物館の「近世Ⅱ」で近松門左衛門と並んで紹介されていた契沖の生誕比定地の碑、万葉集の研究に大きな功績を残した真言宗の僧です。

庄下(しょうげ)川を渡ります。 川辺を尼崎の港があった辺りまで歩いてみたいものの、いかんせん暑い。

交差点の信号機が作った細い影で青になるのを待ってます。

5分ほど歩くと、ドアを開け放った中華料理店、カウンターにお客さんが並んでいるものの「売り切れました」との貼り紙。来る前にGoogle Mapで行ってみたいマーカーを付けておいたお店です。餃子で知られるかなりの人気店で朝早く並んで整理券をゲットする必要があるそうです。

尼信会館

スマホをチェックして目的地を行き過ぎていたと気づき、少し戻って南へ入ったところにレンガ造りの尼崎信用金庫記念館。

警備の人にお断りして入らせてもらいます。1階には銅像2体と暖炉、テレビではあましんのCM放映中。

2階に上ってきました。レンガ壁に掲げられた阪急神戸線と県道五合橋線の立体交差(塚口駅西方)の写真。阪急電車900系(たぶん)と坂を上ってくるスバル360。バタバタバタっと空冷エンジン音が聞こえてきそうです。よく見るとベビーカーならぬ乳母車を押すおばあちゃんの向こうにもスバル360。

コインミュージアムがあると聞いてやってきたのですが、ここではないようです。

隣の白壁のビルが尼信会館のメインで、中に入るといかにも銀行員といった感じの女性がコインミュージアムは2階と案内してくれました。

1階では「第1回兵庫一水選抜展」を開催中。作品目録をもらってゆっくり鑑賞させてもらい、2階へ上がると常設展の「城下町尼崎展」。

出窓スペースにピンセットがないと弾けないような極小そろばんや、どうやって計算するのかわからない上段に2コマ並んだそろばん、右側のスティック状のものは収入印とか押すスタンプではないかと。

隣の出窓には天秤と分銅。いかにも金融機関の博物館らしい展示です。

「城下町尼崎展」は尼崎市歴史博物館と重複するテーマも、こちらには重要文化財、太刀守家・附蒔絵太刀拵・本阿弥光温極書という大げさな名前の太刀、後ろには尼崎藩桜井松平家の九曜紋。

「幕末から明治の貨幣経済」では尼崎藩発行の藩札や兵庫県下の藩札の紹介。

尼崎藩札や兵庫開港札、太政官札、兵庫県札。藩札は藩の資金調達の際の借用証書みたいなものと理解すると、兵庫や西宮を取り上げられた尼崎藩も、取り上げた幕府や明治新政府も資金繰りはかなり厳しかったと伺えます。これも金融機関の博物館らしい展示。

「明治から令和の紙幣」がずらり。下から2段目、右から2つ目の50円札は初めてみました。肖像は二二六事件で暗殺された第20代内閣総理大臣・高橋是清。

2階の奥にコインミュージアム。日本や世界のコイン2,500点を展示、展示室奥にはブンデスリーガ・堂安律選手のユニフォーム、やはり尼崎出身だそうです。

訪ねたことのある国のコインを探し、アメリカのリンカーンの1セントとか、フランスの種まくマリアンヌの5フランとか見つけ懐かしさだけでなく、帰国便搭乗前に使い切れなかったコインを募金箱へ入れていたことを思い出しました。

にっぽん博覧会ものがたり

3階では「にっぽん博覧会ものがたり【後編・現代編】」を開催中。【前編・近代編】は6月22日まで開催されていたそうです。

「湯島聖堂博覧会」のポスター、明治10年の第1回内国産業博覧会に先立つ明治5年の開催。どうやら【前編・近代編】の一部資料が引き続き展示されているようです。ポスターに描き込まれた人人人、博覧会って本質的に人を集めてナンボということは明治初年も令和の今も変わらないようです。人人人の向こうに展示の目玉だった名古屋城の金のしゃちほこが見えます。

昭和5年兵庫埋立地や湊川公園で開催された「観艦式記念海港博覧会」のポスター。第三会場が「関西学院あと」、原田の森のことのようです。

昭和14年西宮球場で開催された大阪朝日新聞主催、陸軍省海軍省後援「大東亜建設博覧会」のポスター、新聞販売キャンペーンと大東亜建設をひとまとめにする新聞社の傍若無人とそれを後援する軍の軽率さが際立ってます。

戦後復興期の博覧会、昭和26年の日本貿易産業博覧会神戸博でも原田の森の関西学院チャペルは戦災を受けたものの、「瀬戸内海観光館」として利用されていたらしい。中央のカラー本には懐古行列やら島原太夫道中やら。

昭和29年には「栄える産業博覧会尼崎博」がセンタープール付近一帯と甲子園阪神パークを会場に開催され42万人が来場。

昭和44年12月の大阪万博会場航空写真、お祭り広場の屋根から建築途中の太陽の塔の黒い胴体だけが伸びています。

タイからやってきた象たちが神戸港から万博会場へ向かって171号線を更新する途中、武庫川の甲武橋付近の河川敷で休憩しているところの写真です。伊丹空港北側の食堂のおばちゃんが聞かせてくれたお話そのものです。対岸に六甲が見えるので尼崎側の武庫川左岸と分かります。今年もこんな素敵なイベントがあるものと期待していたのですが特に無いようです。

大阪万博のチケット、大人¥800、ダイダラザウルスが¥100。1970年と2024年の消費者物価指数を比較すると3.5倍(参考)くらいなので、夢洲万博の¥7,500はやはり高すぎると分かります。

昭和56年のポートピアは当日券が2,000円。

昭和60年のつくば博、松戸に住んでいた頃なのでこれは訪ねています。それ以前の「赤電」から白地に青帯に塗り替えられた415系電車に乗って万博中央駅(現ひたち野うしく駅)まで行った記憶があります。

つくば博のチケットやパンフ等々。右下のチケットは招待券なので、価格が記載されておらず、調べてみると当日券は2,700円だったと分かりました。万博中央駅の入場券はJRじゃなくて国鉄です。大阪万博の北大阪急行臨時駅は「万国博中央口駅」、つくば博の国鉄は「万博中央駅」です。遮光器土偶が表紙の松下館では、立体テレビで体験する古代のくらしとかの展示があったようです。

平成2年の花博。咲くやこの花館付近を1kmも周遊するウォーターライド、日本庭園や国際庭園周辺を周るパノラマライナー、大池をまたぐロープウェイ、さらにSL義経号と4つもの魅力的な会場内交通があったことは驚きです。

「城下町尼崎展」やコインの展示はイマイチ惹かれなかったものの「博覧会ものがたり」はなかなか見応えあり、万博とか博覧会とはなんぞや、を考察するよすがになりました。まだ訪ねていない夢洲万博ですが、いちおうチケットは1枚購入済みで、訪ねた際にその考察の結果を書いてみたいと思います。

カードの写真は今日集めた「Pick up あまがさき」というカード、歴史博物館で10枚、尼崎城で8枚、尼信会館で2枚、合計20枚、カードを1枚ずつ取り出すアクリルケースに入っているものの1枚ずつなかなか上手く取り出せないのを都度苦労して取り出したもので、全部で63枚あるらしい。裏面には表面写真の説明と音声ガイドページへのQRコードがあるものの、QRコードの飛び先ウェブサイトが全部同じで、飛び先でカード番号を選択しなければならないのは不便。自分が依頼されたとしたらアンカーポイントか別URLで個別にしてます。泉屋博古館でも同様なカードが配布されてました。集めてどうなるものではないものの、御朱印帳みたいな感じかも。

現在地は寺町エリア、初代藩主戸田氏鉄が寺院を集積させたエリアで現在も11か寺が軒を連ねています。歴史博物館周辺は城内エリア、駅北側の中小企業センターやアマゴッタショッピングモールは文化公共エリア、そして商店街エリアときれいに分かれていて、綺麗に区画整理された城下町の歴史を感じさせます。

高架線には近鉄電車、炎天下の尼崎じゃなくて八戸ノ里辺りを歩いているような錯覚が。

尼崎中央商店街です。日本一早い優勝セールマジック「53 」と掲げているのは、タイガース優勝が近づくとよくテレビに登場する「めでタイガー」。

めでタイガーが動き出しビックリ、さらに0:40辺り、めでタイガーが向きを変えると同時に「六甲おろし」が聞こえてきました。1:20からサビの部分を繋いだのですが、さらに2番3番とフルコーラスになってました。音は「めでタイガー」からからじゃなくて商店街から鳴っていたようです。

今日は甲子園でDeNA戦ナイターがあるせいか商店街にもユニフォームの人たちが少なくありません。「ユニフォーム割」でユニーフォーム着用のお客様ファーストドリンク94円とかのお店も。甲子園周辺よりも暑い熱いかもしれない尼崎です。

帰り道、先週同様に淀川から梅田を撮ってみました。撮った時には全然気づかなかったけど、梅田上空に虹が架かっていてビックリ。