播磨灘のスナガニ

オポナカムラ以来3ヶ月ぶりに西へ、目的地はコアジサシが繁殖しているとの情報があった舞子。以前は磁気カードだった阪神・明石市内1dayチケットがQRコードのチケットになってました。スルッとQRttoというスルッとKANSAIが運営するサイトでQRコードをゲット。阪神電鉄全線と明石市西端の西二見までの山陽電車がフリーエリアで1,690円、通常の難波-舞子公園往復で1,940円なのでなかなかのコスパです。

上本町からiccocaで入場してそのまま阪神・山陽に乗っていくとどうなるのか不明なので、とりあえず一旦難波で出て入ってして尼崎に到着。やってきた特急は復刻塗装の8000系。1編成だけ復刻の南海7100系と違って8000系全19編成を復刻塗装に変更するらしい。

御影で向こうからも復刻塗装8000系。

ロープウェイ鉢伏山上駅を見上げつつ山陽須磨に到着、1番線の3000系は当駅始発の姫路行普通、乗ってきた特急は次の須磨浦公園止まりなので向かいの姫路行に乗り換えます。

復刻塗装阪神8000系と万博ラッピングの山陽5000系が並んだところを撮ったりのんびりしていたら姫路行3000系が先発、危うく乗り遅れそうだったのですが、車掌さんがしっかり見ていてくれてセーフ。

3000系車内から塩谷海岸を行くJR207系。その先、海沿いの高台にある滝の茶屋駅はたぶん関西で一番眺めのいい駅です。

舞子

舞子公園じゃなくひとつ手前の霞ヶ丘駅で下車、「五色塚古墳前」と副駅名が付けられていると気づきました。五色塚古墳は5年前に訪ねています。まだ古墳マニアになる前のことです。

小さな無人駅なのでQRコードで出場できるのか心配していたのですが、QRコード読み取り機付き自動改札機が2台も設置されていました。

五色塚古墳と逆方向へ歩くと、見たことのない住宅街からの明石海峡大橋。国道2号線の向こうに海。

目的地のアジュール舞子、舞子浜海水浴場に到着。そこそこ賑わっています。子どもたちより真っ黒に焼けたムキムキのおじさんたちの方が目立ちます。ビキニのお姉さんとかはいません。海の家とかもありません。

正面の堤防にびっしり一列に並んでいるのはコアジサシじゃなくてウミネコたち。

水辺にウミネコがびっしり。水色のブイをつなぐロープの内側が遊泳区域、50mプールひとつ分くらいの感じです。

浜の西側の草の生えた一画がロープで囲われていて、日本野鳥の会ひょうごによる注意書き。ここがコアジサシの営巣地です。野鳥の営巣地を公表するのは基本NGのはずですが、これだけ目立つ場所なので、致し方ないところかと。

さんざん探してみたもののコアジサシは不在。もう巣立った可能性も考えられますが、キツネに襲撃された可能性が高そうです。

カツオノエボシが打ち上げられたりすることもあるようです。

ハマゴウです。その上の黄色いのはハマゴウに寄生するアメリカネナシカズラ。

丸栄じゃなくてたぶん栄丸という名前のタグボート、なかなかカッコいい。

明石海峡大橋のプロムナードへ上ってみようかと思っていたものの歩く距離が短そうと分かり止めました。コアジサシに会えないのは想定内、来る前に見つけた漁港の食堂へ向かいます。

垂水

円筒埴輪のレプリカが並ぶ五色塚古墳です。左が前方部、右が後円部。

三井アウトレットパークマリンピア神戸の人工浜に何やらソファが並べられた建屋、ソファの奥にはミスマッチなBBQコンロが。

マリンピアを抜けカンカン照りの下を少し歩くと垂水漁港の神戸市立水産会館。この2階に目指す垂水漁港食堂があります。2階に上がると入店待ちの名簿に名前を書く自分の嫌いな方法で、10人くらいのひとが入店を待っていました。どうしようか迷って待つことにしました。

15分ほど待ってテーブルに着け、とりあえず生。正面には明石海峡大橋。

垂水漁港食堂の海側の眺めです。垂水漁港定食1,550円、おつくりはカンパチとサーモンとマグロの中落ち、サーモンフライ、シラス丼、サーモンのアラ汁です。箸をとって口にいれるとアレ、昨日の夜から調子の良くない左上の2番目の奥歯にあたると響いてきます。かかりつけの先生と衛生士さんの厄介になりつつ1年近く歯周病をだましだまし今日まで持ちこたえてきたのですが、ヤバそうです。右側の歯を使ってなんとか完食。お店を出ると50人以上が順番待ち、少し早めに来たのが正解だったようです。

頭上に南中した太陽、正午です。漁港のマンホールの蓋は漁船と大漁旗、ポートタワーとクルーズ船とかと違う神戸です。

垂水漁港のすぐ北側に位置する海(わだつみ)神社、神功皇后創建と伝わります。浜に向かった鳥居の中に垂水漁港食堂が見えます。

浜の鳥居から一直線に参道が伸びているものの国道2号線を渡れないのが残念。国道沿いに二の鳥居、今日は夏祭りで大賑わい。

タバコが吸える喫茶店を探していると垂水センター街という商店街、200mくらいあるそこその規模の商店街もシャッター下りている率は極めて低く、新規開店のお店もあり賑わっています。概して神戸の商店街は大阪の商店街より元気です。

商店街に入ったところの喫茶レストラン・ブラジルでいっぷく。アイスコーヒー以外にお冷も2杯ガブ飲みしてしまいました。開業以来価格以外は何も変わっていないんじゃないかと感じさせる昭和なお店、メニューがとても豊富で漁港食堂も美味しかったけど、最初からここにする手もあったかと。

駅前でJKさんたちが猛暑の下で能登のための募金活動、みんな可愛いので思わずがんばってやと募金。

魚住

歯の痛みが残るものの帰るのはもったいないので、5000系の直通特急でフリー乗車区間を西へ向かうことにしました。

明石で6000系の普通に乗り換え、江井ヶ島、西江井ヶ島とソリハシセイタカシギの鳥見などで何度も訪ねたことのある駅を過ぎ、山陽魚住駅で下車。阪神の直通特急も停まる駅は魚崎、ここは魚住、ややこしい。当駅もQRコード問題なし。

魚住で下りたのはこの駅がこの付近で海に一番近そうだったため。

駅から海へ向かって5分ほど歩くと森に囲まれた住吉神社。

見事な藤棚が広がっています。よくみると1本の幹が大きな藤棚全体に枝を広げているようです。

境内の真ん中に能舞台。能舞台の奥は拝殿、その奥に4棟の本殿が横に並んでいます。住吉大社や京都の平野神社、岡山の吉備津神社などにも通じる古式ゆかしい様式、雄略天皇8年(西暦464年頃)創建と伝わる古社です。

能舞台の海側に楼門、その先に山門と石の鳥居と常夜燈、その向こうに青い海、楼門を涼しい風が吹き抜けます。

山門から振り返った楼門は江戸時代初期の建立。

石の鳥居を抜けたところから振り返ると、山門、楼門、能舞台、拝殿、本殿が見事に一直線に並んでいます。

石の鳥居から石段を下りると堤防の向こうに播磨灘。沖に浮かんでいるのは小豆島。

堤防の向こうの浜辺にイソシギ。

同じ浜の右手にスナガニ。思い出して視線を戻すもイソシギはいなくなっていました。

堤防を越える階段。いつものぼんさんが屁をこいたの要領で少しずつ近づいてみます。

5mもないところまで近づいたものの穴にひっこまずに砂団子を作り続けています。

せっせと巣穴づくり、穴の奥から大きな砂団子の搬出作業を繰り返してます。0:30くらいからは作った砂団子を弾き飛ばしているスナガニ。1:00くらいからは喧嘩しそうも結構仲良くやっているスナガニたち。

向こうの子にピントが合ったところと手前の子にピントが合ったところです。

赤くないスナガニと、コメツキガニじゃなくてたぶんスナガニの稚ガニ。

左手に見える山並みはてっきり金剛山や葛城山と勘違いしていましたが、ここは播磨灘、山並みは淡路島です。

スナガニたちの浜の全貌です。だいぶ近づいているのに全然逃げません。漁協事務所とかはないもののここが魚住漁港です。カニに夢中で向こうで漁具の整備とかしているおじさんがいることに全然気づきませんでした。

漁港を囲む石垣堤防です。堤防左の漁港の水は濁っているものの小さな魚影を確認。

石積堤防の右側の水は透明。その浜に乾いたスナガニたちの巣穴と砂団子、たぶん午前中はこっちにいたようです。

30分以上炎天下でカニの観察をしていました。熱中症になりそうなので住吉神社の木陰に戻りしばし休憩。

浜辺に鳥居がふたつ並んでいます。小さい方は末社の鳥居。全国に住吉神社は600社もあり、大阪の住吉大社がその総本社ですが、この魚住の住吉神社は神功皇后伝説による住吉神社発祥の地とされるそうです。今は阪堺電車の走る通りに面する住吉大社の鳥居は、かつてこんな感じで浜辺に立っていたはずと想像してみます。

山門に風鈴が下げられていました。

清潔なトイレを借りてそろそろ帰ろうかとおもったものの、もう一度浜辺にでてみました。

右手西の方にも砂浜が伸びているのが気になり、止せばいいのにチェックしてみると西側の浜にも砂団子がいっぱい広がっています。

浜辺に下りず遠くから望遠で撮っただけでが、こちらの浜にもスナガニ。

瀬戸川という小さな川の河口の干潟にウミネコたちがビッシリ。ウミネコ以外にはカワウが数羽だけ。

河口付近の堤防が高いので背伸びして撮ってみると小さくコチドリが写ってました。

川上へ少し歩くと水辺にコチドリ。さらに西、二見にも浜辺が続き、東は江井ヶ島へも浜辺が続いています。イソシギやコチドリと留鳥であれシギチを確認、それにあれだけウミネコがいたということは相当生態系も豊かなはず、シギチのピークシーズンに再訪したいと思います。男里川河口と並ぶお気に入りポイントになりそうです。

10分ほどの炎天下の道のりをかなりヘロヘロになって魚住駅に戻ると待つことなく須磨行普通がやってきました。明石でちょっといっぱいと思ったものの歯の調子がいまいち、直通特急に乗り換え、三宮で下りることも止め、尼崎で西大寺行普通に乗り換え。

水位高めの淀川からの梅田がマンハッタンぽい。阪神なんば線淀川橋梁が架替られるとこの角度で見ることはできなくなるはず。