ブルーインパルスの日

今日明日はブルーインパルスの日、コスモスクエア、千里万博公園、自宅(4月10日自宅上空通過シーンです)等、色々候補を考えたあげく、美術鑑賞を兼ねて中之島で狙ってみることに決めました。7分30秒間隔で4両編成、激混みの千日前線(大阪で一番キライな路線です)からなんばで四つ橋線に乗り換え、空いた車内でぼーっと座っていたら西梅田まで乗り過ごしてしまいました。

肥後橋駅へ引き返し、筑前橋から中之島へ渡ります。道路左手円盤状のビルは大阪市立科学館、鉄パイプのオブジェは国立国際美術館、その向こうの黒いビルが中之島美術館です。馴染みのない筑前橋ですが、江戸時代初期に福岡黒田藩蔵屋敷の便を図って現在地より川上に架けられたのが最初らしい。

Ship's catが迎えてくれる中之島美術館、開催中の「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」が最初の目的です。ほとんど世に知られていなかった伊藤若冲が大ブレイクしたのは2000年に京都国立博物館で開催された展覧会がきっかけ、若冲に次ぐスーパースターを探そうという狙いの展覧会です。去年野田藤を訪ねた時はモネ展を開催中で、美術館をぐるっと囲むほどの長蛇の列でした。もし今日もそんな行列だったら端から諦めるつもりだったのですが、静まり返っていたので、ユーザーインターフェースのわかりにくい券売機で1800円払って入場。

日本美術の鉱脈展

1階から4階まで続く長いエスカレーターを上って行くとなにやら細長い提灯のようなオブジェ。よくみるとルイヴィトンのモノグラムではないですか。

「ルイヴィトン ビジョナリー・ジャーニー」展が15日から開催で、それに関連する展示と分かりました。1000点以上もの歴史的アイテムや資料が展示されるらしく、ヴィトン大好きおねえさま方には必見かと。

写真撮影OK一部NGではなく、写真撮影NG一部OK。展示室に入ると一転して結構混雑していてビックリ。普段ほぼ誰もいない乃至は混んでいない美術館や博物館ばかり訪ねているので戸惑います。順路に関係なく比較的空いている展示を選ぶか、前の人が見終わるのを待って鑑賞の繰り返しです。

写真撮影OKの伝岩佐又兵衛「妖怪退治図屏風」(江戸時代初期)。坂上田村麻呂の鬼神退治伝説を描いたものらしい。あまり怖くなさげな妖怪たちと、あまり強くなさげな田村麻呂軍団です。岩佐又兵衛は荒木村重の末子で信長への謀反の後一家惨殺も逃げおおせ母方の姓を名乗り、京都や越前北之庄、江戸で活躍、浮世又兵衛と異名を持ち、浮世絵の元祖とも呼ばれる絵師。

特別展示の伊藤若冲「釈迦十六羅漢図屏風」デジタル推定復元、焼失し白黒図版のみが残されていた図屏風の復元で、ドット絵のように見えるのは元々このような技法で描かれていたものだそう。雪村周継の水墨画、白隠慧鶴の大達磨…と続くものの、若冲のような大ブレイクは難しそう。

利休の黄金の茶室ならぬ鉄の茶室に並んで建てられていたバラック小屋の茶室「携行折畳式喫(山口晃)は撮影OK。右下の小窓の陰に茶釜ならぬカセットコンロとやかんが置かれているのが見え、にじり口に手を伸ばして写真を撮っていたら係の人に怒られたのですが、たぶん作者は内部もしっかり見てほしいと思っているかと。

これが見たくてやってきた今日の展覧会、重要文化財「人体文様付有孔鍔付土器」(南アルプス市鋳物師屋遺跡出土、縄文時代中期中葉)、三本指の土偶レリーフがYeah。側面は縄模様だけ。

このレリーフに似た雰囲気を持つ、東北地方の遮光器土偶とはかなり趣の異なるキュートな土偶が、中央東線沿線に点在する博物館にあり、国宝「縄文のビーナス」の茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館の他、釈迦堂遺跡博物館(中央高速釈迦堂PA内)、山梨県立考古博物館(甲府市)、南アルプス市ふるさと文化伝承館、韮崎氏民俗資料館、井戸尻考古館(長野県富士見町)、岡谷美術考古館と自分のGoogle Mapにはいってみたいマーカーが並んでいて、遠からず訪ねてみたいと計画を練っているところです。

露出を落として撮ってみたところと、腰を落として撮ってみたところです。

周囲の人たちの映り込みが避けられず、忙しない地下鉄駅ナカに展示された土偶付縄文土器という趣、やはり南アルプスや八ヶ岳の大自然の中の博物館で縄文時代に思いを馳せたいところです。

ハープのような文様が描かれた、重要文化財日本遺産の深鉢形土器は縄文時代中期後葉・殿林遺跡(甲州市塩山)出土。後ろに見えるのは縄文土器から着想を得たドレス(岡崎龍之祐)。

縄文土器がヘンシン!西尾康之「アルファ・オメガ」、カッコよくて力強い。弥生時代の埴輪がヘンシンした大魔神とどっちが強いか想像を膨らませてみます。

45分ほどで出て来ました。全般的に1800円は高いと感じてしまった展覧会です。長いエスカレーターを下りて外へ出るとシップスキャットの背中。

関電ビルは万博バージョン。フェスティバルプラザのキッチンジローでランチ、メンカレ(メンチカツ+カレー)です。

木陰が多そうな土佐堀川沿いを歩くとサルスベリがもう咲いてました。夏です。

中央公会堂前の広場です。3時前にここでブルーインパルスを狙ってみるつもり。

東洋陶磁美術館

5月に訪ねたばかりですがふたたび大阪市立東洋陶磁美術館。暑さで外観を撮るのを忘れました。65歳以上の大阪市民無料で免許証を提示して入場。

まずは明代の鼻煙壺(かぎたばこ)のコーナー。前回アップと被らないよう順に玉龍耳遊環鼻煙壺、ラピスラズリ蝙蝠文鼻煙壺、海鼠釉印花網目文鼻煙壺。

鼻煙壺の展示室です。この展示室だけでなく、展示ケースに肘を載せられる台が設置されているのがこの美術館の大きな特徴で、とても快適に展示品をじっくり鑑賞することができます。

国宝油滴天目、やはり超絶的に美しい。前回と違ってZV-E10で撮ったので色合いに深みが出ています。

壁際のベンチに腰を下ろし望遠で側面を撮ってみました。外側の油滴も美しい。白い部分は鏡に反射した光がさらに反射しているものかと。

油滴天目だけの展示室の上に置かれているのは何か、近くにいた係の人に訊ねると、三国時代の鴨形土器と教えてくれました。

よくみると真下に小さなプレートがありました。中国の魏・呉・蜀の三国時代ではなく、高句麗・新羅・百済の朝鮮三国時代です。東洋陶磁美術館の係の人たちは中之島美術館の人たちより一回りくらい年上も、みな愛想がよくて感じいいです。

前回何故かアップしていなかった青磁陽刻蓮唐草文壺(高麗・12世紀)。

青磁陽刻菊花文椀(高麗・12世紀)はイマイチピンボケ、前回のほうがくっきり撮れてます。

シャッター音が自分でも耳障りなのでZV-E10をバッグに戻し、音が大きくならないようにiPhoneを手のひらでくるんで撮ります。何も装飾のない「翡色のミニマリズム」、緊張感を感じるほど薄い青磁洗(高麗・12世紀前半)、指ではじくとピーンという音が鳴りそうです。

青磁瓶(高麗・12世紀前半)は端正としか表現しようがないバランスのとれたシンプルな花壺。

東洋陶磁美術館のマスコットキャラmocoちゃんが青花虎鵲文壺に飛び移るところです。

日本陶磁器コレクションの色絵牡丹椿文八角壺(江戸時代初期、肥前有田焼、高さ42.1cm)は海外向け輸出品で長くヨーロッパにあったものらしい。

白釉鉄釉菱形水指(17世紀、高取窯)は秀吉の朝鮮出兵の際、黒田長政が連れ帰った陶工八山により始められた高取窯(福岡市)のもの。

中国陶磁コレクションには前回アップした木葉天目茶碗や緑釉黒花牡丹文瓶の他にも重要文化財がびっしり。白磁刻花蓮花文洗は宋代五代名窯のひとつ河北省定窯(ていよう)独特のアイボリーホワイトの白磁。透き通るほど薄く成形され内外に美しい蓮の花が描かれています。

白磁銹花牡丹唐草文瓶は褐色の牡丹唐草文が浮かび上がる白磁、宋に続く金時代の定窯の作品。

元時代景徳鎮窯の青花蓮池魚藻文壺と青花牡丹唐草文盤。

明代宣徳帝時代景徳鎮窯の瑠璃地白花牡丹文盤と、明代永楽帝時代景徳鎮窯の青花枇杷鳥文盤、中央に描かれた鳥は綬帯鳥と呼ばれどうやらサンコウチョウらしい。

鴨形土器が油滴天目を見守っている展示室に戻ってきました。

国宝の飛青磁花生を見ていないなと探していたら1番の展示室を見逃してました。青磁長頸瓶銘「鎹」は寛政年間の鴻池家道具改帳にも記載されていて、近年は川端康成の手にあったらしい。

無料で再訪でも眼福感を堪能できる東洋陶磁美術館に大満足。

ブルーインパルス

さて2時15分、そろそろブルーインパルスの時間です。中央公会堂との構図は絵になりそうですが、引き気味の角度を狙って天満橋方へ歩いてみると、難波橋の欄干に20人くらいが集まっています。ブルーインパルス待ちの人たちで間違いなさそう、みな東を向いていて中央公会堂とは逆です。

自分も難波橋欄干グループに入れてもらいしばしスタンバイ。2時45分、ブルーインパルスは関空を離陸しこちらに向かっているはず。振り返ると道路の向こうにも人がいっぱい集まっていてビックリ。飛行ルートは公会堂側じゃないことは間違いなさそうです。

「来た!」の声が聞こえ、どこどこと探すまもなくブルーインパルス登場。右下のビルは北浜ネクスビル、1973年竣工の地上30階建、西日本初の超高層ビルだそうです。

1分かからず上空を通過して見えなくなったものの、万博公園、ひらかたパークと回って戻ってくるはず。

5分ほどで戻ってきました。左下はパークナード中之島公園ロジュマンという2010年竣工地上26階建のタワマン。

青い空、白い雲とブルーインパルスのコントラストが美しい。

南の方へ見えなくなりました。このあと夢洲上空でアクロバットがあるはずですが、ここからは見えません。

SNSをチェックすると早速、大阪城天守閣や通天閣、太陽の塔とブルーインパルスの写真や動画も多数アップされていました。難波橋のライオンを手前に撮れたはずですが大満足です。

なんばパークス

帰宅後いつもの飲み屋の若いニイちゃんにブルーインパルス見てきたよと話していたら、かなりの航空マニアと分かり、明日はどこで見るか談義。で思いついたのがなんばパークス。

ここからは7月13日(日)の追記です。

2時半のなんばパークス9F、パークスガーデンには既に人垣。人垣側に回って、あまり意味がないけど伊丹へ着陸態勢のJAL機で試し撮り。

15分ほどスタンバイする内にどんどん人が増えて、500人くらいはいたかと。航空ファン、ミニタリーファンじゃなくて老若男女問わずいろんな人たちが集まっていて、普段こういう場所であまり見かけないおばさまがたが目立ちます。一眼レフとかは殆どいなくてほぼ全員スマホを空に向けてます。

2:45、誰かの「来た!」という声。南の空に6本のスモーク。

センタラグランドホテルを突き抜けます。タイ系資本の5つ星ホテル、このホテルのせいでなんばパークスからの南海電車トレインビューが見えなくなってしまったのですが、うめきた辺りのアメリカ系の5つ星よりずっとリーズナブルで評判もいいようです。

北へ向かって見えなくなりました。

と思いきや、昨日と違って高い場所にいるので、遠くを飛行している様子もそこそこ見えます。

思わずWOWと唸ってしまいました。旋回してこちらへ向かってきます。帰宅後自分の撮った写真を見てWOWとなることはたまにあって、コハクチョウやカワセミでも経験があります。

こんどは左から右へ。

行ってしまいました。自分の立ち位置が狭くなるくらい人が集まっていたのですが、周りはみな笑顔だったのが印象的。鉄道と違って被写体が空の上でお互いじゃまになることが無いことも大きいかと。

ルリマツリ、ハス、白いアガパンサス、花は少なめのパークスガーデン。

なんばパークス3F喫煙所からの眺めです。いつもの難波駅ビルとブルーインパルスで撮れたかも。でも飛行コースはもう少し東だったような。

早速YouTubeにブルーインパルス動画が多数アップされていて、中でも5番機360度機内映像離陸から帰還までフル動画には圧倒され、ブルーインパルスだけじゃなく関空の管制官たちも大仕事だったと気付かされました。