京都御所と旧三井家下鴨別邸

紅葉に合わせて京都各所で開催中の秋の特別公開や特別拝観、人出が格段に増え、それにこの時期だけ拝観料がアップしたりするので避けていたのですが、先週の法然院にはハマりました。

11月もおしまいなので、ラストチャンスを探していると超ビッグな特別公開を見つけました。普段予約しないと入れない京都御所が予約無しで自由に参観可とのこと、もちろん無料です。もう1箇所行ってみたい特別公開も見つけ今週も京都へ。

阪急梅田駅2階改札から1号線に出ると8:50発の特急がいません。と、2号線に準特急、9時になるまでは準特急だったと思い出し、2号線へ移動、ロングシートの1300系ですが、先頭車右かぶりつきをゲット。

ずっと右を向いたままで首が痛くなったところで桂川を渡ります。正面に比叡山、快晴です。

烏丸で地下鉄に乗り換え今出川に到着。御苑に入る前に何か食べておこうとファミマで好物のハムカツサンドを買って道端でぱくついていると道路の向こうにやよい軒、しまった。

京都御所

乾御門から京都御苑に入ります。

広い砂利道左手の築地塀の中が京都御所です。京都御苑は京都御所を含む公園全体で皇居外苑や新宿御苑も管理する国民公園協会の管轄、御所はもちろん宮内庁の管轄です。

清所門から入ると荷物検査があって番号札の入ったストラップが渡され首にかけます。

入場してすぐ右手に参観者休所、売店には皇室カレンダー。

ちょうど見どころ解説が行われていて10分ほど説明を聞いて出発。

平安京は現在地より2kmほど西にあったのは知っていたものの、いつ現在地へ引っ越してきたのか、京都御所関係略年表で南北朝時代北朝初代光厳(こうごん)天皇によるものと分かりました。

北朝が発祥とはかなり意外です。鎌倉時代までは千本丸太町付近、室町時代移行は現在地に御所があったと覚えておくと、京都の町歩きに便利かと。

宜秋門と清涼殿につながる御車寄。御苑の門と比べて御苑の門は格段に豪華です。

参内者の控えの間となる諸大夫の間、一番格式の高い公卿が控える虎の間、殿上人が控える鶴の間、諸大夫が控える桜の間があります。

朱塗り瓦葺きの回廊で囲まれた紫宸殿、西側の門は月華門。御所にこの色使いは意外ですが、復元された平城宮跡や平安神宮の大極殿もこの色です。

紫宸殿回廊の南側に回ると右近の橘が覗き見えます。

振り返ると南面正門の建礼門。安徳天皇母の平徳子の建礼門院はこの近くに住んでいたということではないそうです。

承明門から覗き見た紫宸殿、平安神宮の社殿は平安京大内裏朝堂院の5/8スケールですが、紫宸殿はまさにリアルスケール、迫力が違っています。はるか昔、バッキンガム宮殿やヴィルサイユ宮殿を訪ねた時の感動を思い出しました。

紫宸殿東側の広場に蹴鞠実演会場が設営されていて、周囲に並べられたパイプ椅子に空席を見つけました。正面に紅葉、それに順光です。何とも優雅な所作で蹴鞠が始まりました。

勝敗を競うものではなく、専用の沓を履いた8人が輪を作って、鹿革でできた鞠を落とさないようにパスを続ける球技です。

意外と高く上がる蹴鞠です。制限時間とかもなく、誰かがもうおしまいにしましょうとすることで終わるそうです。

紫宸殿の回廊の中へ。平安時代様式の寝殿造りも江戸時代末期の再建だそうです。手前は左近の桜。

広がる南庭の向こうは承明門の内側です。

紫宸殿を正面から。実物の高御座の高御座が見えます。今上天皇陛下の即位の礼は記憶に新しいところですが、この高御座を東京の皇居に移送したそうです。

御学問所前の御池庭と池に架かる木橋。

御池庭の紅葉、幹の曲がり方が何とも見目好い。

先へ進み、もういちど御池庭を見たくなって戻ろうとしたら一方通行ですよと係の人に叱られました。修学院離宮の時のようにガイドさんについて行くんじゃなくて、ある程度自由に歩き回れるもののそれなりに規則があります。

それでも日本の美のひとつの極致を堪能させてくれた御所を後にします。今日のイヤーワームはやはり君が代。

ランチタイム

御苑の北は同志社今出川キャンパス。朝食を食べ損なったやよい軒でランチとも考えたものの、せっかく京都まで来たんだからと同志社寒梅館の学食、Hamac de Paradisにしました。

4種のハーブフライドチキントマトソース700円です。満腹して次の目的地へ向かいます

相国寺の紅葉、たぶんモミジの大木2本です。

瀟洒な洋館は同志社アーモスト館、1932年、ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる設計で、現在も外国人研究者の長期滞在施設として使われているそうな。

ヴォーリズって聞いたことあると思ったら、母校関学図書館の設計者で、メンソレータム(現メンターム)の近江兄弟社の創設者、昭和16年に帰化、終戦直後はマッカーサーと近衛文麿との仲介に尽力し天皇を守ったアメリカ人とも称されるそうです。

御苑へ戻り石薬師後門を抜けます。黄葉はたぶんケヤキ。

右書き町名看板みっけ。區京上中筋通石薬師上ル大猪熊町、サビ方もいい感じです。

タバコの吸える喫茶店、タナカコーヒ(タナカコーヒーではない)今出川店です。コーヒーが550円でホットケーキセットが800円と分かり、普段甘いものは食べないのですがホットケーキを追加。

コーヒーが出て来るまでに撮ったセルフィー、昨日イオンのブラックフライデーで買ったセーターです。

それと、岡山へ行った時リュックのファスナーが壊れしまい、なんばCITYの一番奥にあるワークマン女子で購入した新しいリュックです。

近くのお店に貼られていた「皇陵参拝案内図」、皇紀二千六百年記念とあり、昭和16年頃の地図を復刻したもののようです。不思議な地図で左手前が京都、右手前が大阪、右上が奈良、橿原、明日香。さらに地図外に地図なしで下関の安徳帝陵、崇徳帝の讃岐白峰陵、淡路鉄道路線図付きの淳仁天皇陵、そして多摩御陵が紹介されています。左横書きはこの頃から普及したらしい。

今日の出町ふたばの豆大福やみたらし団子を求める列は半端なく、何と賀茂川近くまで続いていました。

旧三井家下鴨別邸

もう一箇所の秋の特別公開見学は糺の森の南側、賀茂川と高野川が合流地点に建つ旧三井家下鴨別邸。1階と2階の見学だけだと土日祝で600円、3階望楼も含めると予約優先で1100円、1階と2階だけでも構わないつもりだったのですが、3階も予約なしですぐに上がれるとのことで上がることにしました。

靴を脱いでポリ袋に入れ1階の縁側に腰を下ろしてお庭を眺めます。

三井家の歴史や別邸の由来、間取り図など。

1階座敷のお茶会で使われる水屋、茶筅や柄杓、茶釜などひと通りの茶道具が並べられています。

お手洗いの板戸がなんとも懐かしい。開けてみなかったけど現役で用を足せるようです。

衝立が立てられた内玄関、こんな上品なものではなかったものの、いちおう自分の実家の玄関でも衝立は立てられていました。障子や襖にいたずらをしても玄関の衝立にいたずらをした記憶はありません。

丸太の手すりのある裏階段、階段じゃなくて段梯子と呼びたい。

越後屋呉服店の紹介パネル、越後屋おまえも悪よのう、が時代劇の決め台詞になってしまったのは三井家には甚だ心外かと。因みに三井家の祖、三井高利は越後新潟ではなく伊勢松阪の出身です。

もうひとつの少し傾斜が緩めで手すりの無い段梯子で二階へ上ります。

3階へは時間が指定されていて、2階の座敷に腰を下ろして暫し待ちます。

緑のカーペットが3階への段梯子。荷物やポリ袋に入れた靴を置いて置けるようになっています。

2階からのお庭の眺め、まだ3時なのにだいぶ日が傾いてきました。

明治後期の川床の写真です。元々木屋町にあった三井家別邸は大正14年に下鴨に移築されたそうです。戦後の財閥解体後国に譲渡され、隣接する京都家庭裁判所の官舎となり、平成23年に重要文化財に指定、平成28年から一般公開。

山鉾の曳き綱のような太いロープが取り付けられたカーペットの段梯子を登ります。

2階から3階への途中にも和室、中2階ならぬ中3階です。

3階望楼からの眺め、大文字山です。左手には比叡山。

望楼雨戸開閉の実演、上半分は上から、下半分は下から出るようになってます。

望楼からのお庭です。池の向こうのモミジは去年の同じ時期には真っ赤だったそうで、今年はやはりかなり遅れているようです。

屋根瓦を入れて大文字山と紅葉。

2階へ下りてきました。掃除が行き届いているので擦り切れた廊下も悪くない。

2階便所、大正時代の便器で洋式和式兼用になってます。

1階へ下ります。1階から2階へは階段が3箇所もあることになります。

簀子が敷かれた浴室、手前は脱衣所。たぶん檜風呂ですが、実家は五右衛門風呂でした。

窓の格子が美しい洗面所。

こんなに立派じゃなかったけど実家を彷彿とさせる縁側、電球の笠も素敵です。

松阪に関する展示も行われていました。松阪には何度も訪ねているのに、干潟や河口ばかりで町中は殆ど歩いていませんでした。

お庭の池の反対側から旧三井家下鴨別邸、西側からだと4階建、南側からだと3階建になります。

大富豪だった三井家の邸宅としては驚くほど簡素でかつ機能的、ところどころで祖父母がまだ若くて手入れが行き届いていた頃の実家を思い出させてくれました。

カワアイサ

賀茂川にカワアイサが来ている頃カモ、行ってみます。

糺の森を抜け、下鴨一老女さんの献灯のところから西へ。

森の中になぜかフォルクスワーゲン。

賀茂川に出るとダイサギとコサギたち。

いつものカワセミポイントの木にやってきました。

おっ、いましたカワアイサ♀。しばらく遊んでくれて川下へ飛んで行きました。

ベンチでいっぷくしていると川面を小さな黒い影2つがビューンと通り過ぎました。一瞬コバルトブルーが見えたのでカワセミペアだったはず。見えなくなった辺りまで探してみたものの見つからず。

西日の賀茂川、まだ4時を回ったばかり、1日が短すぎます。

と、カワアイサの集団、9羽います。堰堤の端っぽにいるのはマガモ。

西日を受けた川面のカワアイサ。

左端の小さいのはたぶん幼鳥。

ダイサギとのツーショット。

次第に集まって来ているように見え、コハクチョウのように一斉に飛び立つのではないかと待ってみます。

9羽じゃなくて10羽です。賀茂川の対岸にもカメラを構えた人がひとり、たぶん自分と同じことを考えているようです。

もう30分近くこの場所にいて体が冷えてきました。カワアイサたちはまだ同じ場所にいるのですが、日もとっぷり暮れたところで引き上げます。今日の日没は4時45分、冬至より4分も早い。