高野線を満喫

友人からいただいた3回分の南海株優、先々週、難波10時発のこうや5号の1号車3番のカブリツキ席チケットを運良く前日にゲットしたものの、その夜に台風接近で線状降水帯が紀の川沿いを直撃、ひょっとしてと懸念していた通り、土砂の流入と倒木で高野線山岳区間は運休と相成りました。

数日運休していたようですが程なく復旧、ということで今週こそ、と勢い込んだけど9時発のこうや3号も10時発のこうや5号も1号車3番はすでに売り切れ。どうすっべぇかと考えているウチ、こうや号を最後部から楽しんでみようと思いつきました。4両編成でも山岳区間の急曲線で先頭車まで見えるはずです。こうや3号の4号車51番のチケットは難なくゲット。去年の脱線事故から奇跡の復活を遂げた30001編成に乗りたいところですが、こうや号は30000系2本と31000系1本だけなので確率は1/3。

特急こうや3号4号車51番

難波駅のセブンでサンドイッチを買っておこうとしたらレジは長蛇の列。隣のサンマルクで、目玉焼きののったクロワッサンをゲット。Paypayにチャージし忘れていてちょっと恥ずかしい思いをしてしまいました。

改札を抜けると4番線には30000系、これで確率は1/2に。

ドキドキしながら車番をチェックするとやったぁ、30001。

1年近く入院していたのでコンセントくらい追加されているかも、と期待したものの、脱線事故で損傷したのは前方の2両だったためか車内は以前のまま。

ラピートと同時発車で並走。難波から萩之茶屋までと天下茶屋から岸里玉出通過までをつなぎ合わせました。一瞬こうや号が抜きかけるもののあえなくラピートが先行、今宮戎と萩ノ茶屋で高野線下り線は外に張り出しているので必ず南海線の勝ちになるのは、自分が子供の時の11000系vs21000系の頃から変わっていません。

動画最後の岸里玉出駅の長〜い高野線ホームの閉鎖された区画は南海線高架化以前の汐見橋線発着のホーム。ここから汐見橋線は難波への線路を分岐して直進し南海線をオーバークロスしていました。

目玉焼きクロワッサンをほおばり。大和川を渡ります。この前この河原からこっちを撮ってます。台車の真上辺りに座っているせいか、高速走行時はよく揺れます。1983年製でちょうど40歳の抵抗制御車です。

株優は関空を除き南海電車のどこまで乗っても1回分、でも途中下車はできません。ケーブルカーの高野山駅まで行ってすぐ引き返し、天下茶屋で乗り換え、加太まで南海電車最長片道きっぷの旅というアイデアも思いついたものの、忙しすぎます。できれば帰路は高野下で下りてキセキレイに会いたいものの、3回分を1日でつかってしまうか高野山-高野下を別途支払うことになります。カワガラスに会えるかも知れない極楽橋で途中下車しても同様になるはず、ケーブルカーは普通に払うとかなりお高いです。この先どうするかまだ決めかねないままとりあえず極楽橋まで向かいます。橋本を過ぎて紀の川を渡りUターン、先頭車が見えてきました。

高野線のハイライト区間、九度山から終点極楽橋までの動画、沿線の見どころなどをテキストで書き込んでみました。25分ほどあるのですが、終点極楽橋までの車窓をたっぷりお楽しみください。

極楽橋駅に到着。もう大年増の女王様ですが、まだまだ美しい。

途中下車できないと思いこんでいてケーブルカーに乗り換える橋の上から不動谷川を眺めていると、改札口に「途中下車できます」と掲げられていることに気づきました。念のため駅員さんに確認すると株優でもここでは途中下車できることが分かり、早速外へ。

不動谷川をじっくりチェックしたもののカワガラスやキセキレイは見当たらず。

お地蔵さんのところから極楽橋駅の眺めです。極楽橋を渡ったところに押印所、クマ出没注意と京大坂道不動坂の看板。女人堂まで2.6kmほど、歩いて行く場合は、鈴を鳴らしながら歩いた方がよさそうです。

やはり高野山に上ることにしました。天井画を眺めながらケーブルカーに乗り込みます。

ケーブルカーは満員、それも9割方ヨーロッパ系の人たち。前に立っていた数少ないアジア系の女性ふたりがなぜかしゃがみこんでくれたので、ケーブルカーのすれ違いが撮れました。

バスに乗り込み千手院橋で下車するととても爽やか。大坂市内より5℃くらい低いようです。

見たことのないトンボが足元に。オオアオイトトンボ♀と思われます。

タイミングを逃すと混み合いそうなので早めに腹ごしらえ。お正月も営業している丸万の前を通るとお店の大将と目が合ってしまい入店。まずは般若湯を注文、向かいに座っているダウン症のお嬢さんのカレーがえらく美味しそうだったので、カレーうどんにしました。ちょっとお高めですが、精進料理とは逆にお肉たっぷりでなかなか美味。

高野山真言宗の総本山金剛峯寺、檜皮葺の屋根にのった天水桶は防火用です。

壇上伽藍

 

壇上伽藍への参道、ノムラモミジが美しい。

背の高い杉並木の奥に朱色の壇上伽藍が見えてきました。向こうから有髪の若い尼さんがやってきて何故かドキドキ。

低い空に高野山のシンボル、根本大塔です。その隣の御影堂(みえどう)の釣燈籠が金ピカのものに付け替えられていました。

壇上伽藍の蓮池、昭和のはじめ頃までは蓮が繁茂していたものの、改修工事で水質が変化、現在はほとんど蓮は植生していないそうです。

蓮池にはコイじゃなくて10cmくらいの金魚たち。

1時になったので鐘の音を聞きに戻ってきました。最後の2回分です。2回連打でオシマイ。

鐘が鳴り止むやいなや、すぐ隣で弘法大師物語の紙芝居が始まりました。演ずるのは墨染の衣を纏ったくりくり丸坊主の高野山高校の生徒さんたち6人、太鼓や仏具の楽器を使ったサウンドイフェクト付きでなかなかの熱演。

手水舎の裏にある何かいそうな阿字池。

小さな池に大きなコイが1匹だけ。

ノムラモミジの道を戻ります。ノムラモミジをバックに青モミジ、ちょっと鮮やか過ぎる気がします。

奥の院

久しぶりに奥の院にやってきました。奥の院バス停から入り、法然上人墓所や浅野内匠頭墓所を経て弘法大師御廟へ。帰りは中の橋を経て一の橋への人の少ない道を歩いてみました。すれ違った夫婦のご主人が、歴史に名を残した人たちや歴代の武家のお墓の側に、様々な大企業の慰霊碑が並んでいるのを見て、いかがなものかと呟いていました。お考えはよく理解できます。でも、昭和の終身雇用の大企業は江戸時代の武家と変わらないポジショニングにあったとも理解できそうです。

「みどり」と名を掲げた1mくらいの高さにある水盤の真ん中から湧き水、どうやって汲み上げているのか不明ですが、電気仕掛けではなさそうです。

一の橋にほど近いところに司馬遼太郎文学碑がありました。「歴史の舞台-文明のさまざま」の一節、Kindleになっていないので自分は未読の作品です。

まことに、高野山は日本国のさまざまな都鄙のなかで、唯一ともいえる異域ではないか。

なぜかように高野山がヨーロッパ(アメリカを含む)の人たちを惹きつけるのか、を調べていて、多くのフランス人が高野山を目指す理由とは!?というウェブページに、「京都は観光客が多く、思ったほど日本らしさが感じられなかった。しかし高野山は私が思い描いていた日本の風景だ」というフランス人観光客のコメントがありました。司馬先生の唯一の異域という言葉に通じるコメントです。

山なみがひくくたたなずき、四季四時の虚空がひどく大きい。

にマーカーを引いているようなカタツムリ。

雪の日に来たことのある「ひぐらし」で一服。

山を下ります。ケーブルカーを下りると30003編成のこうや号と2300系の橋本行が並んでいて、難波へは特急が先着とアナウンスしているものの2300系に乗車。中吊り広告は姉妹鉄道のスイスMOB(モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道)の紹介。とても魅力的な電車ですが、世界一物価が高いスイス、さらにこのところの円安、とても高野線と比較にならないくらいお金がかかるはずです。

前の席の女性は発車するやいなや日差しの眩しさにカーテンを下ろしスマホの世界へ。前の席と窓が別だったのはラッキーです。このひくくたたなずむ山なみと大きな空を見ないのは何とももったいない。

紀伊細川にはわずかなアジサイ。以前は花がいっぱいだった高野下もかなり寂しく、依然こうや花鉄道とは謳っているもののいささか尻すぼみ気味です。

九度山駅のおにぎり屋さんは元気に営業中。紀伊清水にヘラブナ釣りの聖地があるとは知りませんでした。橋本から極楽橋間で紀伊清水だけ下車したことがありません。

橋本に到着、2300系の難波方に6500系の急行難波行が停車中。そこへ、極楽橋で並んでいた30003編成のこうや号が入線。

2300系の向こうにJR和歌山線の227系が2本。

3500系急行難波行カブリツキ

6連の3500系先頭車に乗り込むとまだカブリツキ席が空いてました。

運転士さんがやってきて発車前のていねいな始業点検、目の前に荷物を置かれるかと思いきや、床に置いてくれました。

30003編成が先発。

紀見峠駅脇にアナベル。若い運転士さん、なぜかタブレットの運行表と手書きの運行表を並べています。手書きの方は北野田までしかありません。

紀見トンネルで上下線が離れ単線もどきになります。

上り線トンネル上のガードレールのところから撮り鉄したことがあります。

紀見トンネルを超えると大阪府、天見駅で向こうからやってきたのは6000系の林間田園都市行区間急行でテンション上がります。

難波方の幌付きの顔もカッコいい。7000系/7100系と違ってジャンパ栓が並んでいないものの自動連結器の下に電気連結器があります。

河内長野に到着、乗車中の電車と同じ6500系2本の向こうに近鉄長野線のあべの橋行準急。

堺東に到着、6000系橋本行急行です。手書きの運行表はいつの間にか裏返されていました。

大和川を越えると期待していたラピートの泉北ライナー。高野線を走るラピートにテンションマックス。30001編成代走のラピートですが、30001編成復活後も走っているのはたぶん6両編成分のチケット予約システムが簡単に変えられないためかと。

天下茶屋手前でサザンとすれ違い。高野線上り本線には先行の泉北準急が見え、減速信号表示。

さらに6000系、こんどは和泉中央行準急です。

難波に到着。30003編成が特急りんかんになって折返してきました。

南海本線との渡り線を越えて4番線に入ります。よほど運転士さんに床に荷物を置いてくれてありがとう、とお礼を言いたかったのですが忙しそうだったので控えました。橋本からずっと右を向いたままだったので首が痛くなりました。