山焼きの日
今朝のSNSで大仏殿に雪が積もっているのを見て今日は奈良に決めました。
快速急行で奈良県内に入り振り返った生駒は雪。
腹ごしらえは東向商店街のとんかつがんこ。なんさん通りも心斎橋も閉店してしてしまい、今やとんかつがんこはここ1店舗だけのようです。昔ながらの奈良町家が居抜きでうなぎの寝床の奥には瀟洒な前栽、ついお銚子を頼んでしまいました。
東向商店街はかつてすべての建物が東向きだったことに由来するそうです。なぜすべて東向きだったかというと東側には断層を挟んで興福寺の高台になっていて建物が建てられなかったためです。
興福寺に繋がる坂は不開坂(あけずのさか)という名前と分かりました。ずっと閉ざされたままの門があったそうです。
その少し南側に日本聖公会奈良基督教会、東向き商店街に対して西向きに立てられた初めての建物と最近読んだ記憶があるのですが出典が思い出せません。
興福寺金堂の向こうに見える春日山は真っ白も、五重塔は瓦屋根の端に僅かに雪が残るだけ、大仏殿の雪もたぶんもう解けてしまっているかと。
春日野園地から若草山
この付近で何度か見かけたことのある、奈良公園の鹿で一番人気者だった垂れ耳のロクさんは12月に亡くなったそうです。
雪原を翔る鹿たちを期待していたのですがハズレ、朝早く雪が降ったようなので、早朝だったら見られたようです。飛火野へ行くつもりだった予定を変更、標高が高いはずの二月堂へ向かうことにします。若草山の方からバン、バン、バンと爆竹のような音が聞こえてきます。あっ、ひっとして今日は山焼きかも。
春日野園地のぼっちの鹿、孤独のグルメ風に。
やはり大仏殿の雪は消えていました。東塔跡付近の人通りの無い道ではわずかに湿雪が苔を覆っています。
物欲しげに店頭の鹿せんべいを見つめる鹿。
若草山の麓には珍しく露店が並んでいて、やはり今日が山焼きのようです。若草山では鹿せんべいとばし大会をやってました。ブルーシートで囲われたのは山焼きの火床のようです。
水谷茶屋の茅葺屋根には雪が残ってました。周囲に人は多いのですが、なんとか鹿だけで撮れた茅葺です。
春日山原生林には雪が残っているかも、と向かってみると入口のところに警備員の人が立っていて、立入禁止の立看で引き返しました。あとで気がついたのですが、午後2時からとあります。この時はまだ1時前でした。
あまり歩いた記憶のない茶山園地、今日はよく鹿と目が合います。
二月堂と周辺
手向山八幡宮を抜けると三月堂の手前に坂道が伸びていて奥に見たことのないお堂があることに気づきました。五月堂、はたまた六月堂かと思いきや不動堂です。二月堂、三月堂、四月堂よりずっと小さいお堂ですが、ご住職が常駐しているようです。
不動堂の脇からまだ山奥へ道が続いていて枯葉の積もった道を少し上ると牝鹿がやってきました。少し雪が残っている牝鹿と自分だけの空間、平城京のお姫様が魔法で牝鹿に変えられたのではないかと妄想してみる。
枯葉の道の脇に石仏が5mおきくらいに並んでいます。第一番紀伊国那智山から始まって、第二番紀伊国紀三井寺、第三番紀伊国粉河寺、第四番和泉国槇尾山、第五番河内国葛井寺と並びその奥は立入禁止と立看があるものの左手に細い道が続いていて石仏が並んでいます。仁和寺の裏山で見つけた御室八十八ヶ所と同じコンセプトの西国三十三所版のようです。
引き返して不動堂を北側に抜けるとクルマの通れる山道が伸びていて二月堂の裏側にでてきました。
右手の森の中にも石仏が並んでいるのが見え第一番からの続きと分かります。
山道のピークまで歩いてみると下り坂が続いています。どうやら以前裏参道から分かれた道を途中まで歩いた、まんなをし地蔵への道につながっているようです。
ちょっと引き返し石段を下ります。石仏はまだ続いていて、なんと番外河内国四天王寺、さらには番外信濃国善光寺まで並んでいました。
石段を下りると見覚えのある場所、二月堂の休憩所です。
二月堂の舞台から建物の北側の屋根には雪が少し残っているのが確認できます。
授与所前に石仏の道への入口があり、石仏の道は二月堂西国三十三所巡拝道と分かりました。石仏は古いものではなく、ググっても全然情報が見つからず、ごく最近整備されたばかりのようです。
生駒から雪雲がこちらにやってくるのが見えます。雪雲の現在地は富雄付近。
登楼を下りたところから超広角の二月堂です。
人が通っていない瞬間を待って裏参道、さすがにサワガニさんたちは冬眠で不在。
大湯屋の屋根にも雪が残っていました。台地になった駐車場には山焼き狙いのカメラマンのおじさんたちが早々と集まってます。
講堂跡付近も工事中。ちょっと掘っただけでも何か出土する可能性があり、かなり気を使う工事かと。
大仏池にはコガモたち。
池の西側にはカイツブリたち。池の真ん中にいることが多いカイツブリですが今日は間近。
連射じゃないのに勢いをつけて潜り込むところがバッチリ撮れました。
急に激しく雪が降ってきました。さっきの雪雲の到着です。太い木の陰でしばし退避、今日はここにも警備員さんがいて山焼きのビューポイントになっていると分かります。
雪のカイツブリ。皆冬羽でも個体差が大きいです。
ほどなく雪は止み雪雲は若草山上空へ。草をはむバンビが可愛い。
吉城園
吉城園に着くとすっかり腫れ上がっていました。池は凍っていません。
スギゴケにシャーベット。
茶花の庭に来ると、ヒーホイヒーとイカルのいい声が響いてくるのですが、姿を見つけられません。梢の先を見上げつつチェックしていると自分と同年輩に女性に、いい声ですね、何という鳥ですかと訊かれ、とっさにイカルの名前をど忘れしてしまいました。何科の鳥ですかと訊かれ、アトリ科のはずですとまでは答えられたもののやはり名前が出てきません。チョコボールのキョロちゃんみたいなやつです、分かったらお声がけします、と返事しつつスマホをチェック。後ろで女性がじっとスタンバイしているのが感じられ焦ります。ようやく自分のブログでチョコボールを検索してイカルが出てきて、間違っていたらスミマセンとスマホの画面をお見せできました。
女性は茶花の庭の木戸をくぐり氷室神社へ抜けていくと、ヤマちゃん登場。
エゴノキの実を加えています。貯食して隠しておいたのを取り出してきたのかも知れません。元旦のブログで一にコハクチョウ、二にミユビシギ、三四がなくて五にカワセミと書いたのですが、六もしくは、三か泗にランクしていいくらい大好きなヤマガラです。飛んでいっても遠くへ行ってしまわないのも魅力です。貯食した場所があるためだと思います。
3つに分かれたマンリョウ。苔の庭の奥からちょっとだけ雪を被った茶室です。
また茶花の庭からヒーホイヒーと響いてきたので引き返しました。逆光のピンボケですが、やはりイカルでした。間違ってなくて良かった。
切り株にスギゴケ。
スギゴケの上に小さなシダ。たわわに実ったマンリョウ。
山焼きは諦める
近鉄奈良駅まで戻ってとりあえずドトールでいっぷく。山焼きまでまだ2時間くらいあります。もう少しどこかで時間をつぶして大仏池まで戻ろうかと考えたものの、ドトールを出るともう足がガクガク、18,000歩13kmも歩いてました。山焼きは諦めることにします。
難波行急行が動き出しても平城京跡から山焼きという方法もあるなとまだ迷っていたものの、平城京跡は吹雪の様子、とてもここで長時間スタンバイする気にはなれずやはり山焼きは諦めることにします。
東花園にはまだ12200系スナックカー2連が留置されたまま、その向こうには雪雲。
大阪市内は晴れ上がっているのに生駒は雪雲の中。6年前の若草山山焼きの様子です。この日はなんと、草内→徒歩→山城多賀→103系乗り鉄→平城山→徒歩→水上池周辺→バス→三条通→バス→水上池周辺→徒歩→西大寺駅、とえらくタフな1日、読み直してみるとそれでも快晴の小春日和で、雪が吹きすさぶ今日は山焼きを諦めて正解だったようです。
追記:
3年ぶりに実施の若草山山焼き、花火600発は打ち上げられたものの、山焼き自体は積雪で殆ど燃えなかったそうです。