太秦・御室(御室編)

承前、嵐電北野線御室仁和寺駅から真正面150mで仁和寺の二王門。

仁和寺

仁和寺では仁王門じゃなくて二王門です。御所庭園800円と御室花祭り特別入山料500円が共通券で1100円、高いです。

御所庭園は靴を脱いで白書院に上がり廻廊をめぐるようになっていました。これまでに経験したことのない方法での庭園鑑賞、小さな花を見つけても、池にトンボがいたとしても近づけない訳で自分には800円の価値が理解できませんでした。

中門より北側が御室花祭り特別入山料のエリアで門をくぐって左手に有名な御室桜の庭園が広がっているものの、もちろんまだつぼみも膨らんでいません。入山料はどうやら昨日からゴールデンウィークまで摘要され、普段はこのエリアは無料で入れるようです。例年、御室桜は京都市内のソメイヨシノより開花が遅いそうで、なら入山料摘要開始はもうちょっと先延ばししてほしいところです。

中門右手の瓦の埋め込まれた土塀沿いに梅の木が1本。

品種は不明ですが、この時期のウメとしては見事です。

重要文化財の五重塔は江戸時代初期の築、瓦が汚れていたりして興福寺とかと較べて整備がイマイチな感じです。

桜がまだなのが申し訳ないと、境内奥の方にたくさん植えられたシャクナゲが満開。

御室八十八ヶ所

境内奥の西門にもチケットブースがあって外に何かのマップが立てられています。チケットを見せて外へ出ようとすると、一番札所へ行かれますか?、と訊かれました。何の意味かわからず尋ねるとこの北側の山に御室八十八ヶ所霊場が広がっていて約2時間でぐるっと回ってこれるそうです。マップはそのルート案内図です。

とえあえず一番札所まで行ってみました。江戸時代後期文政時代に四国八十八ヶ所霊場が再現されたそうです。お江戸の富士塚巡りと同じ発想のようです。

10mほど先に二番極楽寺、すぐ先に三番。寺名は四国の本物と同じですが、お堂というより祠です。

四番と五番、ここから林に入って行きます。

八番は屋根を修復中、十番まで行ったものの、ずっと同じ感じで続いているので八番に戻り、池の見える坂道を下ってみます。

いきなり御室八十八個所結願所に出てきました。古池にマガモたち。

その向こうに八十六番、来る途中で八十七番と八十八番は整備中では入れませんという案内があったのですが、八十七番です。

とすると八十八番はどこに? 八十八ヶ所すべてを回るのを日課にしているような近所の人と思われる男性がやってきたので、訊いてみると結願所が八十八番と分かりました。周囲はまだ工事が終わったばかりの様子がありナットク。

仁和寺に戻りマップを改めてチェックすると2時間コースを1/10ほどにショートカットしてきたことが分かります。西門チケットブースの人に八番から道を曲がるといきなり結願所でびっくりしました、と声を掛けてみると、それは良かったです、と喜んでくれたのがなんか嬉しかったです。

御室桜はまだまだ先ということを今一度確認しつつ御室仁和寺駅へ戻ります。

北野線には乗らず踏切を越えて南へ。

双ヶ丘

前から行ってみたかった双ヶ丘(ならびがおか)に上ってみます。京都の町中にぽっこりとした山がわずかに残されていて、ひとつは吉田山。吉田山と平安京の正反対の位置にあるのが双ヶ丘で御室仁和寺駅のすぐ南側に広がっています。

とりえず最高峰の一の丘を目指し、石段を登ります。石段は木に変わり階段はジグザグせずにほぼ真っすぐ伸びていて、頂上が見えてもなかなか近づいてきません。

息が切れるどころではなく、痙攣しはじめる足を宥めながら登ります。鳥見用じゃなくて町歩き用の靴で来ていることに気づいたのも後の祭り。何度かもう引き返そうとも思ったもののきっと下りは他にも道があるはず、後ろを振り返ると足がすくんでしまうのは間違いなく足元だけを見つめ登り続けました。

一の丘頂上に到達、おじいさんがひとりいました。息も絶え絶えの自分を見て、どこから登ってきはったん、と訊かれても声が出せず、あっちと指差すと、一番きつい道や、と教えてくれました。

一の丘からの眺めです。西の方かと思いきや南の眺めと分かったのは帰ってから。画面を桂川が横切り、その向こうは向日市、山の切れ目は天王山です。

双ヶ丘(雙ヶ丘)標高116.2m。遠くにうっすらと見える屹立した山は金剛山で間違いなさそうです。その右手の山には鉄塔がならび生駒山です。

北側は樹間から仁和寺。50mほど上からの視点と境内が傾斜していることが相まってまるでジオラマです。

おじいさんは下りてしまい、一の丘には自分ひとり、不安が広がり撮った写真はわずか。

一の丘の山頂付近は、不自然に盛り上がっているのが見て取れる古墳です。その古墳部分を下りて、おじいさんに教えてもらった方角の道を下ります。

枯葉の積もった道ともいえない道でこれで合っているのかますます不安が広がる中、漸く公園で遊ぶ子供たちの声が聞こえてきて一安心。なんとか普通の山道に出てきました。吉田山と違って山中にはカフェも神社や寺院もなく、ほぼ自然のままです。

公園に出てくるとさっきのおじいさん、もう足ガクガクですわぁ、とお礼。双ヶ丘の地形図を見ると、登ってきた地形図右下の等高線の密集度がすごいです。距離は110mも標高差46mと分かりました。

双ヶ丘の野鳥の紹介。転んでも壊さないようにバッグにしまったカメラを取り出し、山裾の道を歩きます。

ズッ、ズッ、とウグイスより音の低い地鳴きが聞こえてきて樹間を見回しているとソウシチョウです。

地面に降りてきてくれました。小さな木の実を加えています。ピンボケで飛び立つところ。

とても可愛いソウシチョウですが、特定外来生物に指定されています。でも10年ちかくバードウォッチングやっていて自分が出会ったのは、武田尾金剛山に続いて3度目、さほど繁殖していないようにも思えます。

6羽が1カットに収まりました。双ヶ丘の南端から外に出て下から見上げた双ヶ丘、左手が一の丘です。

双ヶ丘116.2m、吉田山105.12mの他にもうひとつ京都の町中にぽっこりした山があります。船岡山111.7mで、双ヶ丘と吉田山を結ぶ直線と船岡山からの垂線との交点に平安京大極殿があります。学術的な裏付けはないようですが、平安京大極殿造営の際にこの3つのぽっこりした山が基準点になっていたのは間違いなさそうに思われます。

そういえば畝傍山と天香久山を結ぶ直線と耳成山からの垂線の交点に藤原京があります。偶然の一致とは言い切れないです。

嵐電車庫の入換

丸太町通を10分ほど歩いて常磐駅、カルダン駆動のモボ2001です。

帷子ノ辻でみんなが下りるのを待って車内をパチリ。カムカムひなたがおまんに座っていた青いロングシートじゃないのが残念。映画嵐電の大西礼芳さんの抑えた抑えた演技とは真逆に、ハツラツと自分を存分に出し切る川栄李奈さんのひなたにもうすぐ会えなくなるのは寂しい。

帷子ノ辻から混み合ったレトロ電車に乗り換え。四条大宮まで向かうつもりが、西院にモボ301がいたので下車。モボ301は上り本線に出てきて、車庫の4番線に入って行きました。

すると車庫3番線にいたもう1両のレトロ電車、モボ27が上り本線に出てきて電鐘式踏切手前で停車。

モボ27は車庫2番線に入線。車庫3番線でモボ27の後ろにいたモボ101形が出てきました。

あれ?このモボ101形、車番プレートがありません。調べてみるとしまじろう号になったモボ105と分かりました。

上り本線上でモボ105の運転士さんが反対側へ移動、車庫2番線に入線して行きます。どうやらモボ27とモボ105の連結順を変えるための入換だったようです。車庫3番線が空っぽになってモボ301がひっそりと佇んでいました。

西院からだとたぶん梅田まで立ちっぱなしになるので河原町に出ると、御室八十八ヶ所や双ヶ丘の人のいないところばかり巡ってきたせいか、人が多すぎて双ヶ丘の急坂以上に腰が引けました。