アプリでモ161

12月に2回も阪堺電車に乗った(これこれ)のにモ161形はいずれも全員お休みでした。阪堺電車の運行情報のアプリでモ161形が運行されているかどうかが分かるという情報を見たような記憶があって、調べてみると既に自分のiPhoneにインストール済の南海アプリで阪堺電車の情報も発信されていることに今更ながら気づきました。

青いアイコンがノンステップの堺トラムと1101形、緑がツーステップのモ601/701形、黄色が補助ステップのモ351/501形、赤がワンステップのモ161形、基本的に鉄ちゃん向けではなくバリアフリーのアクセシビリティで色分けされているのですが、モ161形が一目で分かります。

南海線や高野線ではアイコンが列車種別毎に色分けされ、加太線だけ車輌毎それぞれ独自の描き込まれたアイコンです。

南海アプリと時刻表アプリでモ161形が天王寺駅前毎時0分発我孫子道折返し運用に就いていると分かりました。今日の運用はモ161号です。2011年に昭和40年代の姿に復元され基本貸切専用になり、2013年にうたげ号と名付け友人たちと貸切で楽しんだことがあります。去年クラウドファンディングを元手に大改修を受け、それを記念して一般運用に就いているそうです。

ドア板がうたげ号の頃と違って木目調になってます。車内の照明も白熱灯色に取り替えられていて、ぐんと落ち着いた感じです。

運転席まわりに大きな変更はなさそうです。車番のプレートや神戸/川崎車両會社/昭和参年の銘板もそのままです。穴から伸びたワイヤーはチンチンのベルを鳴らすもののようです。

帝塚山四丁目から住吉まで専用線上り下りのツリカケ動画です。

我孫子道に到着。とても御年93歳には見えません。早逝した自分の父と同い年です。

浜寺からやってきた1101に乗ってすぐ折り返し、最新形の1101から最古参のモ161を眺めます。初乗りの1101、車内も堺トラムとほぼ同じですが、シックな趣の堺トラムに対し1101はモダンさを前面に打ち出しているようです。堺市からの支援で導入された堺トラムと違って堺市のプロモーション広告はなく、堺トラム以外の車輌とも異なり、自動放送は広告のない日英2ヶ国語、車内広告スペースには阪堺電車の懐かしい写真の数々を掲示。

廃車された後も我孫子道の車庫の奥で部品取り用に保管されているモ163の2008年の写真、篤志家の尽力で旧塗装復活と紹介されています。篤志家とはこの写真の撮影者とある平芳資也(ひらよしもとや=ニックネーム「南海太郎」)さんです。旧塗装になる前はド派手な広告電車だったはず、調べてみたら1990年代のモ161形広告電車の一覧ページが見つかりました。モ163は水色で北畠のスイミングスクール、モ162はピンクで近鉄百貨店の広告電車です。

どう考えても車齢50年以上の電車にはなんとも不似合いなド派手なラッピング広告ですが、これを憂慮、私費を投じてモ162とモ163を広告のないかつての南海グリーンに復元してくれたのが「南海太郎」さんです。惜しくも2008年に早逝されていますが、モ161形の価値を世間に知らしめた「南海太郎」さんの思いが、今般のモ161号大改修のクラウドファンディングにも引き継がれていると言えそうです。

モ205形の写真です。てんがじいちゃんち(母の実家)へ行く時、北天下茶屋の踏切で何度も見かけて以来ぞっこんだった電車です。14mクラスのモ161形よりぐっと小さな11mサイズの2ドア車がなんともチャーミング、平野線の主力でした。

昭和11年の南海沿線名所案内図もありました。宿院から分岐して大浜海岸までの支線も描かれています。現在のフェニックス通りを走っていたはずです。(たぶん)ポシャってしまった堺東と堺駅を結ぶLRTの計画はこの大浜支線の復活延長だった訳です。

ここでもライバル路線だった阪和電鉄を完全にシカトしているものの紀勢線や和歌山線の省線(後の国鉄)は描かれていています。南海は和歌山県全体を沿線と捉えていたようです。紀勢線は椿で途切れ、その先下里から新宮が部分的に開通していたようです。高野山にどどーんとスキー場が描かれていてびっくり。調べてみるとリフトも何もなくてソリ遊び程度のようですが高野山のスキー場は現存しているようです。イラストのタッチなど今でも通じる楽しさがあり、とても戦前のものとは思えない名所案内図です。

神ノ木で下車、1101を見送ります。南海アプリの青アイコンです。黄アイコン、自分と同世代のモ351形が住吉への勾配を下りていきます。

赤アイコンのモ161がツリカケ音を響かせ勾配を上ってくる所を動画で撮ったのですが、風切り音がすごすぎて静止画を切り出しました。

モ161が天王寺から戻ってくるまで、カイロ代わりに買った缶コーヒーで手を温めながら約30分スタンバイ。寒いけど高野線の電車がひっきりなしに通過するので退屈はしません。

緑アイコンのモ701形の広告電車が通過。これで4色のアイコンが揃いました。

築堤を上るモ161。3年前の晴れている時の写真と見比べると、新しいカメラのディティール描写が優れていると分かりますが、阪堺電車の塗装技術もレベルアップしているようです。

神ノ木の立体交差でモ161形と南海6000系のツーショットを撮りたいところですが、まず無理です。高野線の8300系が思いっきりパンタを下げて阪堺上町線をくぐります。

6000系の急行が住吉東を通過。堺トラムで帰ります。

夕方南海アプリを改めてチェックしてみると赤アイコンが今池辺りを走行中でした。偶然出会う楽しみはなくなったものの、このアプリで阪堺撮り鉄乗り鉄は格段に便利になりました。特にモ161形が乗り入れる機会が少なくなった恵美須町方面や堺市内乗り鉄撮り鉄には欠かせないアプリです。