年の初めのカワガラス

昨年同様高野山へ元旦雪見。数日前まで大晦日から元旦の天気予報には雪マークが並んでいたのに、気温はそのままに雪マークが日を追うごとにどんどん減ってしまいました。雪はあまり期待できそうになくなってしまいましたが、特急券は確保済みです。

30000系こうや号

3日前に空席をチェックすると8時発のこうや1号の1号車3番が空いていたので即ゲットした次第。30000系かぶりつきです。

スタフ(行路表)がデジタルになってました。1時間23分35秒の旅、「学(学文路)」「下(下古沢)」「細(紀伊細川)」「神(紀伊神谷)」に付けられた○にXは単線区間での列車交換を意味しているはず。「GPS」をタップすると地図に現在地が表示されるものと推測できます。

2000系8連、貴重な存在になった高野線伝統のズームカー急行です。

泉北準急の難波到着が少し遅れたので、本来並走するはずのラピートβが少し先を行きます。

天下茶屋では6000系の泉北準急。

大和川を渡ります。まだ日差しが低く30000系のシルエットがかっこいいです。この前左岸から30000系を撮ったばかりです。

1000系すみっコぐらし号です。

橋本に到着、6000系8連が迎えてくれました。

デジタルスタフ通り、学文路で2300系と交換。

中古沢橋梁を渡ります。30000系の正面窓上部はスモークがかかっています。フィルムを貼っているのではなく曲面の成形ともども、かなり特殊な構造になっているように見えます。

下古沢駅のバックミラーに30000系。

下古沢では2000系橋本行きを待って4分35秒の停車。

笠木集落が見えてきました。

紀伊神谷のホームは白く薄く雪が積もっていたものの去年の20cmくらいに対して5mm程度です。

極楽橋

フランス語のアナウンスを聴きながら極楽橋に到着。

極楽橋駅前です。「クマ出没!注意」の看板があるだけです。ちなみにここでクマも、シカもサルも、鳥たちにも会ったことがありません。

極楽橋にはうっすら新雪、降雪量はわずかでも今朝も降ったようです。なぜか橋の向こう側からのふたり分の足跡。歩くとキュッキュッといい音がします。高野町の午前7時時点の気温は-6.3℃、午前10時で0.9℃、去年の元旦午前7時は-3.9℃、午前10時-2.9℃。晴れ間が広がり日差しはあるものの寒波自体は今年のほうが強烈です。

駅から橋までの雪道歩き、薄いですが一応新雪です。大阪人はこの程度でもテンションが上ります。

30000系がこうや2号になって折り返していきます。難波方の2丁パンタがかっこいい。

まさに女王様の風格と優美さが漂います。

50‰下り勾配のトンネルに入って行きます。

思いっきり冷たそうな不動川の川面を黒い影がビューンと通り過ぎました。岩の上に下り立ち尾羽を立ててます。カワガラスです。

今年「鳥初め」のカワガラス、ひょこひょこと果敢に川上へ向かって行きます。極楽橋駅前で出会った初めての鳥でもあります。

見るからに冷たそうな急流に立ち止まり、水生昆虫を探して水の中に頭を突っ込んでます。まるで滝行をしている行者です。

高野山

ケーブルカーで高野山へ上ります。バス専用道の積雪状況です。

千手院橋でバスを降りて壇上伽藍へ向います。つららが伸びてます。気温は低いものの風はなく、好天のスキー場の温泉街にやってきたみたいな感じです。

壇上伽藍への参道、積雪は15cmくらい。手水舎はギンギンに凍ってます。

壇上伽藍です。お坊さんたちのおつむが寒そうですが、マフラーを頭に巻くことは許されているようです。

三昧堂とその手前に西行桜、治承元年に西行法師がここに移築造営したそうです。新・平家物語で神出鬼没的に何度も登場する西行さんですが、平清盛と同期の北面武士から出家後、嵯峨等に庵を結び平泉への旅の後、高野山へ入山、以降60歳を超えるまで長年高野山をベースにして、崇徳院を偲んで四国巡礼とかしていたようです。

晩年再度平泉への旅に出、鎌倉で頼朝に面会しています。新・平家物語 静の巻、義経と静の赤子を海へ「捨てる」ように頼朝から命じられた安達新三郎が赤子を捨てるふりをして助けるところを西行が目撃、それを見逃す場面は息を呑みました。

雪原が広がる壇上伽藍。

壇上伽藍南側の蓮池はほぼ完全に凍結も一部は水面も残りスケートは無理です。池畔から木の間の壇上伽藍。

宿坊の門を覗くと暖かそうなニャンコ。軽トラのダンプは福島ナンバー、後ろの2台は札幌ナンバー、雪道に似合ってます。

去年と同じ「丸万」で鍋焼きうどんとお屠蘇。元旦から営業はマジありがたい。中庭にあるトイレを借りて手を洗うと水が冷たくて飛び上がりました。

もう一度壇上伽藍へ。さっき通ってから2時間しか経っていないのに、雪はかなり解けてしまってます。

根本大塔の瓦屋根から雪の塊がどさっと落ちてきます。その一瞬を狙ってしばし粘ってみたのですが、目を離したとたんに落ちるばかりでした。鐘が突かれる時間を狙って戻って来たのですが、動画で撮った鐘の音が割れてました。鐘に近づきすぎたのが拙かったようです。

温かいコーヒーを飲みたくなったので、去年と同じ店へ行ってみます。確か奥の院への途中だったはず、とやってきたバスに乗って車窓から探してみたものの見つかりません。

奥の院前ではチラチラと降り出しました。ジャケットの袖に雪の結晶。いつまでも解けませんでした

奥の院前から歩いて戻るとめざす喫茶店「ひぐらし」は奥の院への途中というより千手院橋からすぐのところでした。去年はウクレレの賛美歌でしたが、今日は千住真理子さんのバイオリンソロを聴きながら温かいコーヒーです。窓の外はまたチラチラ。

31000系こうや号

満員のケーブルカーを降りると2番線に31000系こうや号、3番線に30000系こうや号が到着。どっちもかっこいい。

1番線の2300系も捨てがたいものの、31000系で帰ります。アーバンライナーplusのように窓框がスラントしている30000系と違って31000系はモノが置けるようになってました。

高野下に常駐している保線車両を間近に。よく見るとバッファー(緩衝器)がついてます。ボンネット型の方にはMJK(松山車両工業)のエンブレム。

丹生川橋梁から龍王峡を覗くと、県道がクネクネと歪んでました。

難波に到着、折返しは橋本行りんかん。1編成しかない31000系ですが、30000系も2編成しかなく、りんかん用の11000系がこうや号になることはない(できない)ので、こうや号のチケットを買うと1/3の確率で31000系に当たります。

ちなみに南海の案内では自動案内放送も含め「特急こうや」ですが、鉄ちゃんや利用者、おそらく駅員さんも「こうや」ではなく「こうや号」と呼ぶはずです。「りんかん号」「サザン号」「ラピート号」と呼ぶことはないのに「こうや」だけが「こうや号」です。

「号」の付く列車といえば、「今日も新幹線をご利用いただきありがとうございます。この電車はのぞみ号東京行です」を即思い出します。「ひかり号」「こだま号」、それに「さくら号」「みずほ号」です。

もう少し調べてみると「はやぶさ号」「やまびこ号」「Maxとき号」「はくたか号」「つばめ号」と新幹線はどこも東海道山陽新幹線同様に「号」付き、在来線特急は「サンダーバード○号」「くろしお○号」「あずさ○号」「かもめ○号」「南風○号」「北斗○号」と自動放送でも○号と番号付きの号、JR東海だけ「しなの号」「ひだ号」でした。「サンダーバード○号」を単に「サンダーバード号」とするとかなり違和感がでてしまうのは、特撮人形劇で耳慣れてしまっているからでしょうね。

私鉄特急は「はこね○号」「えのしま○号」「スペーシアけごん○号」、西武は「ラビューちちぶ号」「小江戸号」と番号無し、「スカイライナー」は号無しでした。近鉄では鉄ちゃんも子どもたちも「ひのとり号」「しまかぜ号」とは絶対言わない訳で、近鉄自身も「ひのとり7列車」と徹底的にJRと差別化するほどです。番号無しで「号」を付けると古臭い感じはするものの特別な列車感は漂います。新幹線の場合は「ひかり号」以来の特別な列車としての伝統が古臭さを上回っているということかと。

ことばの音感や鉄道会社のマーケティングによって様々あっていいです。「特急こうや」と案内しつつも「こうや号」と呼ばれるのがいいと思います。正月早々とりとめもないことにこだわってしまいました。