ヒガンバナからコスモスに

今年のヒガンバナはだいぶ遅め、まだOKかもと考え葛城古道の九品寺へ。近鉄御所駅から約3km、歩くのも悪くないですが、今の時期の週末は臨時バスが運行されていると分かりました。

尺土駅に到着、1番線に橿原神宮前行の普通が止まっていたので、御所行は向こう側のホームかと思って階段を上りかけたら、御所行は橿原神宮前行発車後に到着とのアナウンス。

かつては阿倍野橋から御所行準急が頻繁に運行されていたのですが、今や早朝の御所発を除き直通準急はなく、古市からの送り込みを除き、終日ほぼ15分ヘッドの折返し運転になったものの、同一ホームで乗り換えられるので便利です。

駅の西側の折り返し線で待機中の御所行の脇を特急がかすめていきます。

駅の東側にも渡り線とシザースクロッシングがあります。つまり御所線の電車はどのホームからでも発着できるようになっていて、御所から4番線に到着、引き込み線で運転手さんが反対方向の運転席へ移動、上下本線を渡って1番線から御所へ折返しが基本パターンのようです。

3番線から特急を退避していた準急が発車。

引き込み線の6400系のライトが点灯、上下本線をくねくねと渡り4番線に入線。編成が長いともっと面白いはずですが、2連でもそれなりに楽しいです。

ボーッと行きていいんだよ

近鉄御所駅到着、20分ほど待って臨時バスに乗車。車内に年配の女性がひとり、てっきり乗客と思いきや、車掌さんというか、おそらく臨時バス運行企画元の御所市地域交通会議の人、あるいはその委託先の人で、この年配女性から500円のフリーパスを購入、乗客は自分ひとりだけ。臨時バスは「かもきみの湯」という日帰り温泉まで40分も走るのですが、10分乗った九品寺バス停で下車、その後乗客があったかどうかちょっと心配。

九品寺です。ウェブサイトとか見つからないものの、御本尊は重要文化財、行基による開基なので奈良時代の創建ですが、拝観料とかなくて、自由に境内に入れます。

門前の標語、自分なら、ボーッと行きて何が悪い、と言ってしまいそうです。ご住職の人柄が伝わってきます。

ヒガンバナは境内北側に咲いていましたが、ヒガンバナよりもコスモスがきれいです。

ヒガンバナの豪華な群生も見頃は過ぎていました。なぜかタイ人の観光客、それもカップルや若い女性が多いです。タイでドラマの舞台にでもなったのか、調べてみてもわかりませんでしたが、やはりタイの女性は美人が多いです。

予想よりはるかにたくさんコスモスが咲いてます。

モズの高鳴きが聞こえ、100mほど先の鳥を撮ってみると、写っていたのはイソヒヨ♀でした。

大和三山の視界が広がります。中央のぽっこり少し高い山は畝傍山、その左手奥は耳成山、その向こうが先週行った辺りです。畝傍山の右手奥が天香久山、画面右端は明日香です。

アキアカネとウラギンシジミ。

コスモスとツマグロヒョウモン♀。

また高鳴きが、こんどは間違いなくモズ。

ツバメがまだいました。遠くの地面にフォーカスしてからシャッター半押しのまま空にレンズを向けるとこういう写真も撮れると分かりました。

大和葛城山とヒガンバナ、ロープウェイのケーブルが見えます。道端で天日干しの赤唐辛子はヒガンバナと同じ色。

近鉄御所駅の謎

ラグビーが見たいので早めに引き上げます。フリーパスがもったいないですが、1時間に1本なので歩きます。そんなに遠くないはずの二上山が小さく見えます。

近鉄御所駅に戻ってきました。終端駅で線路はプツンと途切れています。開業前昭和初年頃に学文路(橋本市)までの鉄道免許を取得も、御所から南へ線路は伸びることはなく、平成3年に免許自体が失効しています。学文路はともかくも、十津川や熊野への入口で、林業の集散地でもある五条へは線路を敷く強い意志があったはず、と途切れた線路から感じられます。

ちなみに御所線は昭和3年、大鉄(近鉄南大阪線の前身)の系列、南和電鉄が開通させています。和歌山線の高田-二見間を明治29年に開業させたのは似た名前の南和鉄道という会社で、明治37年には関西鉄道に事業譲渡、明治40年には国有化されています。南和の南は、京都を北都とした場合の奈良の異称の南都、南和の和は無論和歌山です。あくまで推測ですが、短期間で夢ついえた南和鉄道の関係者が大鉄をスポンサーに始めた新事業が南和電鉄ではないでしょうか。

ほどなく臨時バスが近鉄御所駅に戻ってきて、十数人が降りてきました。これくらいの利用があれば、継続できそうな臨時バスです。

時刻表を見ると次の電車は1日1本だけの2番線から発車と分かりました。終端駅なのに構内踏切があります。万一のオーバーラン対策だそうですが、それでもこの踏切が必要になるのは1日1回だけです。

南海多奈川線のみさき公園駅でも1日1本だけ切り欠きの4番線から発車します。そちらはどうやら車両交換のためと思われるのですが、御所駅は終端駅なので、その必要もないはず。

交代の運転手さんが2番線ホームで待機していたので、どうして1日1本だけ2番線なんですか、と訊いてみたのですが、よくわからないものの、設備の管理とかの関係でしょうね、との回答。つまりレールのサビ落としのためということでしょうか。

2番線を廃止すれば、レールやポイントの保守、それに踏切も不要になるはず。それをしない不合理さに鉄ちゃんとしては萌えます。南和電鉄創業の意志を近鉄が律儀に今も受け継いでいるのかも知れません。