105系と曼珠沙華

山の辺の道へ。ヒガンバナの季節、それに桜井線の105系が今月いっぱいで見納めです。

踏切事故があったらしく五十鈴川行急行は上本町を9分遅れで発車。昭和48年製の2610系は抵抗制御音を響かせ、これが近鉄かと思わせるぐらい110km/hでぶっとばし五位堂では何と4分遅れに回復。八木には3分遅れくらいで到着も5分遅れのしまかぜを退避。運転手さんにすごい遅延回復ですね、と思わず声をかけてしまったら、そんなこと無いですよ、と謙遜されたものの、結局3分遅れくらいで桜井に到着。

上本町出発時にはほぼ諦めていた10分接続の桜井線に余裕で間に合いました。初めて乗車する227系1000台、広島の227系と違ってワンマン運転用のバックミラーが前面展望を遮ってます。今どきの最新型、バスみたいにカメラとモニターにすればいいのに。

三輪駅北側、大神神社参道の踏切で桜井方面行が来るのを待ちます。駐車場の片隅に一輪だけ開いたヒガンバナ。

バッチリ三輪山をバックに105系、それも桜井側は常磐線フェイスのクハ105。

奈良側はクモハは常磐緩行線103系1000番台の中間車に105系フェイスを取り付けたタイプ。M83運用と分かり、これをヒントにツイッターと近ヒネ105系編成表からSW14編成、クモハ105-523、常磐線フェイスはクハ105-13と判明。

大神神社二の鳥居前のお店でランチ。周りがみんな冷そうめんかにゅうめんを食べていて、親子丼や天丼を注文するのは気が引けてしまい、にゅうめんにしました。冷そうめんは2年くらい前の夏に食べたような記憶があるものの、にゅうめんは多分50年ぶりくらいだと思います。

小学生の頃、夏休みといえば祖母が作ってくれた冷そうめんが定番で、弟と青やピンクの麺を取り合いっ子した記憶は鮮明ですが、その食感があまり好きじゃありませんでした。

年をとって味の好みもずいぶん変わった今、にゅうめんも悪くないとは思ったものの、やはり蕎麦の方が好みです。味の染みた大振りの干しいたけは美味、えのき茸もたっぷり入ってはいるのの、動物性タンパク質はカマボコ1枚なので、少し物足りません。

キバナコスモスにツマグロヒョウモン。まだつぼみが多く、今年のヒガンバナは例年よりかなり遅めです。

ヒカゲチョウです。耳成山の向こうに大和葛城山、あれ?、こんな光景見覚えがありません。もう歩き慣れたはずの山の辺の道南端部ですが、道を間違えたことに気づき引き返します。

檜原神社の鳥居の正面に二上山。井寺池への道にねこ。

数十羽の何か、レンズを向けるとメジロが写ってました。

井寺池下池です。斜面の木の陰からジ、ジ、ジ、とウグイスかムシクイらしき地鳴きが聞こえてくるものの、木の陰を移動してるのがちらっと見えるだけ。

上池下池の間の土手の道の雑草は刈払われたばかりでイトトンボはいません。川端康成揮毫の歌碑もむき出しより草に覆われていた方が風情があります。

柿の木畑のヒガンバナは殆どがまだつぼみ。

枯れた花が交じるより、つぼみが多い今が綺麗なのかもしれません。

三輪山と井寺池上池、こちら側でもジ、ジ、ジ、と地鳴き、下池よりもっと近くから聞こえてくるものの密集した叢の中。

ナミアゲハのカップルがいちゃつきながら舞ってるものの花には止まってくれませんでした。

葉っぱの裏側にウラギンシジミがぶら下がってました。柿の木のメジロを探していたらトントントン。

手ブレ動画でコゲラ。

メジロです。よく見ると小さなイモムシを咥えてます。花の蜜ばかりじゃなくて、メジロにもやはり動物性タンパク質が必要なようです。

ヒガンバナと蝶、それも今日の役者はナガサキアゲハ♂、初見です。とは色柄がずいぶん違ってます。翅の内側に青く光る放射線状の点線がキレイ。

ヒガンバナと最高のコントラスト。シーボルトが長崎で初めて採取したのでナガサキアゲハだそうです。

三輪山とヒガンバナ。ようやっとシロバナマンジュシャゲを見つけました。やはり彼岸花より曼珠沙華と呼んだ方が色っぽいです。

巻向川の川辺に群生してるのを見つけました。トボトボ歩いている自分を抜いていった自転車のおじいちゃん、てっきり農家の人かと思ったらヒガンバナのところに自転車を止めて、一眼レフを取り出しました。この角度から滝(というか川の段差)を背景に撮れるよと教えてくれましたが、自分のカメラ(というか自分の腕)だとこれくらいが限度。

まっすぐ下った辺りにもいっぱい咲いてるよ、とのおじいちゃんの助言に従って巻向川に沿って歩くと、多武峰をバックに群生、すすきも穂をなびかせていました。川沿いにも群生。

コスモスにイチモンジセセリ。箸墓古墳(たぶん卑弥呼の墓)の裏側に広がった空間で桜井線撮り鉄。だいぶ日は西に傾いたものの彼岸過ぎとは思えない暑さです。

やってきました、常磐線フェイスの105系。めいっぱい拡大すると車番はクハ105-5、あるいはクハ105-6と読めます。検索してクハ105-6はこの3月に全検出場したばかりで塗装はピカピカ、下回りも黒光りしていると分かりました。一方、写真のクハ105は車体塗装にツヤがなく、下回りもサビサビ、クハ105-5で間違いなさそうです。後ろの相棒はクモハ105-515と分かります。何やら鳥や蝶の同定に似てきました。新しい鉄道の楽しみ方を見つけたような気がします。

レイルラボによるとクハ105-5は元クハ103-1017の1971年川崎重工製、国鉄松戸電車区に配置され常磐緩行線千代田線で活躍した後、1984年105系に改造され奈良運転所に移動しています。自分が常磐線沿線に引っ越したのは1985年なので、この電車にお世話になっていた可能性は高くないです。

でも、常磐緩行線に203系が導入された後、松戸に残った103系1000番台は常磐快速線に転用、エメラルドグリーン一色に塗装変更され、嫌というほど乗っています。おそらく自分にとって累積最長乗車時間の電車は今も常磐快速線の103系だと思います。

このクハ105の色は常磐線のエメラルドグリーンとかなり近いです。貫通幌が取り付けられたものの少し窪んだ正面窓はそのまま、環状線や阪和線の延命化改造された103系では埋められたしまった戸袋窓もあります。柏から川崎まで長距離通勤していた頃のことが、つい昨日のことのように思い出されます。

薄汚い車内、効かないクーラー、塗り重ねた車体塗装がところどころ剥げ落ち、ひと足お先に引退した環状線や阪和線の103系よりよほどボロかった105系ですが、いなくなると思うとやはり寂しいです。105系のページを作っておきました。

三輪山をバックに227系1000番台、古代が息づく里山に令和の電車が走ります。