難波のアサギマダラ

日本伝統工芸展開催中の高島屋へ。

その前にランチ、Google Mapに行ってみたいマーカーを付けていた日本橋のおにぎり屋さんへ。日本橋駅からオタロードを突き抜けた、もう恵美須町に近いところにある「ツインテール」というお店、キャピキャピのお嬢さん3人で切り盛りしていました。おにぎり食べ放題と、おにぎり+からあげ食べ放題があって、おにぎり食べ放題にしておきました。おかわりはひとつだけにしておいたのですが、おかわりの海苔は別途30円もこの大きさならナットク。隣の席のカップルは女性もおにぎりふたつおかわり、唐揚げもおかわり、スレンダーな人なのにビックリ。とん汁や煮物もなかなか美味。

高島屋への道すがら、なんばパークスの古巣に立ち寄ってみました。先ごろ経営破綻しドン・キホーテグループに事業譲渡されたばかりです。開店して20年近く、いささか古びた店内もそこそこ賑わっていました。自分担当のメインだったアクションフィギュア売場がずいぶん小さく狭くなっていてビックリ。業界では男キャラとも呼ばれていた戦隊ヒーローや変形ロボット、怪獣フィギュアなどのジャンルですが、スーパー戦隊シリーズが終了した影響が大きそうです。ちなみに男キャラを「アクションフィギュア」と名付けたのは自分だと自負しています。アメリカでの売場名のACTION FIGUREをカタカナにしただけですが。

日本伝統工芸展

高島屋7階グランドホール「第73回日本伝統工芸展 大阪展」です。まずは硝子工芸や七宝などの諸工芸が32点、日本工芸階奨励賞の安藤玲子 七宝蓋物 流氷、流氷をかき分け進む砕氷船から着想された、金属の線で枠を作り、その中にガラスの釉薬を流し込んで焼き上げる有線七宝。

高野誠 瑠璃香炉・香合、香炉は10cmサイズの瑪瑙を削ったもの。高野氏は天然の貴石を巧みに削り出す砡(ぎょく)工芸の第一人者で、現代の名工および黄綬褒章受章、今年4月に逝去されていまていて他の作品とは別枠。ぬめっとしてピクピク動きそうな瑪瑙の蝸牛です。

木竹工が40点。重要無形文化財保持者、つまり人間国宝の須田賢司 楓と桜の小箱 春秋日月。三浦信一 紫檀木画箱 あきいろ。

染織品は37点。日本工芸会新人賞の加藤伸子 久留米絣着物 皎月の夜、皎月(こうげつ)とは明るい晩のこと。文部科学大臣賞 宮入映 浮織生絹煮物 樹雨、樹雨とは木の梢や葉に絡んだきりが水滴となって落ちてくる現象。人間国宝・森口邦彦  友禅着物 位相四ツ組方花文、染液はタマネギの皮らしい。

陶芸は何と94点。人間国宝・鈴木藏 志野茶碗、伝統的な桃山志野の美をモダンに昇華させた、現代陶芸の最高峰とも言われる志野碗。

この7月に逝去された人間国宝・伊勢崎淳 備前黒茶盌、1,200度に達する極限の窯の中から、焼成中の茶碗を直接外へ引き出して急冷させる引出黒技法。

有田焼の人間国宝で昨年逝去された井上萬二 白磁染麦彫文壺、描かれているのは麦ですが、秋草手を強く感じさせます。こちらも他の陶芸とは別枠。

有田焼清六窯・中村清吾 白磁壺、祖父故中村清六の伝統を受け継ぎながらも現代的な感性を取り入れた白磁。いずれの白磁壺もため息がでるほど美しい。

九谷焼の武腰潤 川蝉集う角瓶、粘土の板を組み立てて成形するタタラ技法によって作られた角瓶、反対側も含めカワセミが6羽。

安田直子 金魚文壺、金魚しか描かない作家として知られるらしい。

人形は21点、山下玉枝 陶彩色 さざなみ。山川玲子 木芯桐塑和紙貼 好日、ひとり旅の行先は京都でしょうか。

金工は35点。鹿島和生 布目銷盛象嵌ワルリ文朧銀赤銅接合せ花器 大地の営み、ずいぶん長いタイトルですがワルリ文はインドの先住民族ワルリ族が描く伝統的な壁画をモチーフにした文様。井尾建二 銀製葡萄唐草透彫文吊香炉は、蓋には可愛いリス。

藤川耕生 布目象嵌蓋物 夏夜、蓋が身よりずっと大きい。

人間国宝・玉川宣夫 木目花瓶、異なる色の金属板を何層も重ねて接合し、鍛造や彫りによって表面に木のような美しい層状の模様を浮かび上がらせる木目金(もくめがね)と呼ばれる金属加工技法。

漆芸は40点。人間国宝・前史雄 沈金壺 清風。人間国宝・西勝廣 沈金箱 山葵の花。

漆の上に絵を描いて金粉を蒔く蒔絵に対し、沈金は漆器の表面に刃物で模様や文字を彫り、その溝に漆を摺り込んで金粉や銀粉などを埋め込む漆芸技法。

山本蓉子 乾漆蒔絵箱 シュカブラ、シュカブラとは風雪紋を意味するノルウェー語。人間国宝・藤田正堂 彫漆蒟醤鉢 響、蒟醤(きんま)は漆の塗面に専用の彫刻刀(蒟醤刀)で文様を線彫りし、その凹部に朱や緑などの色漆を埋め込んで研ぎ出す技法、青い漆器は初めて見ました。

中條伊穂理 乾漆螺鈿紋合子、麻布と漆を何層も重ねて成形する乾漆技法を土台に螺鈿で花文様。清水英姿 蒔絵箱 盛夏、黒漆に蒔絵と螺鈿で真夏のタチアオイ。

鳥毛清 沈金飾箱 蝶紀行、今年は山の辺の道でも京都府立植物園でも会えなかったアサギマダラ、ついに大阪難波で会えました、それもいっぱい。銀地の部分はよく分からないものの金地の部分は明らかにフジバカマ。嬉しくていろんな角度から撮ってみました。

江藤國雄 蒔絵飾箱 川辺の譜。そして塩津容子 乾漆描蒟醬箱  山間の花、漆黒の器に朱漆などで下絵なしの一発勝負で草花文などを描き、その上からさらに漆を塗り重ねて研ぎ出す描蒟醬(かききんま)技法。

総計302点もの出展、内人間国宝作品が39点、ほぼ毎日増え続けている「となりの人間国宝さん」と違って、人間国宝(重要無形文化財保持者)は2026年7月時点で芸能分野が55人、工芸技術分野が54人、10月に新設されたばかりの生活文化部門(料理、醸造、華道)で3人で合計112人、年間200万円の助成金が交付されることもあり、保持者が亡くなると認定が解除される一代限りだそうです。

本展では出品目録で数えてみた限り40点もの人間国宝作品、すごい展覧会でした。なかでも漆器の美しさには心底ビックリ。いささか殺風景な展示室に300点はちょっともったいない感じ、ひとつずつ床の間や飾り棚に置いてながめてみたい。

最後に特別展示の小石原焼、原田マハリーチ先生で陶工見習の沖高市(架空の人物)がバーナード・リーチ一行を案内するのは小鹿田(おんだ)焼の大分県小鹿田村ですが、高市が生まれ育ち、物語の主人である父・亀之助から陶芸の手解きを受けたのはのは小鹿田から西へ6kmほどの(歩くと3時間はかかる)福岡県小石原村。その小石原焼です。江戸時代中期に小石原の技法を小鹿田に伝えられて以来、兄弟窯の関係にあるらしい。

小鹿田焼特有の飛鉋模様に似ているものの、小石原の方がいくぶん洗練されているような感じです。鉄分が多く黒く硬い小鹿田の土に対し小石原の土は白く整形しやすく、3家の世襲で伝統技法を受け継ぐ小鹿田に対し小石原は50軒以上も窯元があり進化家の作陶が盛んとのこと。

APPNEDIX

先月16日から21日まで開催されていた高島屋の民藝展を訪ねています。陶磁器、木工品、ガラス器、漆器、鉄釜、染色など多様なジャンルの「用の美」の展示即売の中に小鹿田焼が出展されていて、飛鉋のぐい呑みを見つけてつい買ってしまいました、1,600円(税別)。しっかり飛鉋が刻まれていて、内側の釉薬のたれ具合が気に入った次第。ぐい呑みひとつの会計に30分くらい並んでしまい、民藝の人気ぶりにビックリ。久保惣でもらった手拭いを敷いて撮ってみました。

民藝運動の初期から100年以上、河井寛次郎や柳宗悦らと深く関わりながら「用の美」をサポートし紹介し続けている高島屋です。

先月のあべのハルカス近鉄本店では諫山諫山宝樹展が開催されていました。徳川大坂城本丸御殿の模型の障壁画を制作された日本画家の展示会です。障壁画とは趣の異なる美人画を思わせる楊柳観音像、水月観音像。ちょうど諫山先生在廊中で、大坂城障壁画模型を拝見しました、とご挨拶できました。

隣のギャラリーでは蒔絵漆塗りの展示。千鳥蒔絵重香箱、そして原羊遊斎 花月台杯(下絵)酒井抱一、谷文晁、江戸時代末期から明治時代のものかと。日本工芸展の新しい漆芸とは異なる、格式高さを感じさせるものの、イメージよりずっとリーズナブルでビックリ。

諫山宝珠展、蒔絵漆塗りとも撮影、ブログアップOKまでいただいきました。

あべのハルカス近鉄本店タワー館6階の喫煙室には革のソファが並べられ実にゆったりでビックリ。

美術館だけでなく百貨店のアート鑑賞もハマりかけています。ただ財布のヒモはきっちり締めておかねば。