北加賀屋がぶっ飛んでる

住之江区北加賀屋がアートの町になっているらしく、調べているとちょうどヤノベケンジの展覧会が開催中なのを見つけました。人が少なそうな金曜日に訪ねたのですが、見落とした作品が少なくないことに気づき土曜日に再訪、2日分をまとめて投稿です。

四つ橋線北加賀屋駅から500mほど歩いた工場街にシップスキャット。金曜日に撮ったこの1枚、画面右側に向こうへ歩いていくドレッシーな黒いドレスの女性が写っていて、工場街との対比がとてもシュールでいい感じだったですが止むなくカット。

工場の事務所だったらしき建物屋上のSHIP's CAT(Hope)

KENJI YANOBE LUCA

Open Storage 2025  KENJI YANOBE LUCA: THE LANDINGというアートイベント、会場はMASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)、5年前まで鉄工所だったらしい。金曜日帰り際に撮った写真と土曜日に再訪した時の写真です。

シップスキャットののった元事務所はグッズショップになっていて、行列はグッズを求める人達、作品の見学は金曜土曜ともパンフレットをもらってすぐに入れました。入場無料です。

メタリックレッドのSHIP's CAT(Cosmo Red)、どこかで見たような…、近鉄特急ひのとり。

作品名や解説などは掲示されておらず、もらったきたパンフレットで作品の配置図と解説文を、撮ってきた写真を何度も見比べながら理解したことを綴ります。

SHIP's CAT(Flying)はシップスキャットデフォルトの朱色、古来「神聖な色」「邪を祓う色」とされてきた色です。

本展のメインとなる宇宙船LUCA(ルカ)号、バルーン製の太陽の塔型ロケット、搭乗員はシップスキャットたち。9月6日までGINZA SIXの吹き抜け空間にインスタレーション(空間全体をひとつとしたアート)として展示されていたのをクラウドファンディングで移設、本展終了後は解体され断片が支援者に配分されるらしい。

SHIP's CAT(Speeder)は電気自動車、画面左下ではシップスキャットのフィギュアとスピーダーのツーショット撮影中。

ナビゲーターはSHIP's CAT(Whiter)。京都のGLM社製で、ナンバープレートが付いているように公道走行可能、YouTubeで京都市内の走行風景を見ることができます。

SHIP's CAT(Island)は飯能市のムーミンバレーにあるテーマパーク、メッツァに開業したハイパーミュージアム飯能の湖に8月末まで浮かべられていた「宇宙猫の秘密の島」を移設してきたものらしい。

中に入るために行列、土曜日にはずっと長い行列ができていたのですが、外から中を覗くこともできます。シップスキャットがお風呂に水を注いでいました。

シップスキャットに先立つ作品2点。ラッキードラゴンは2009年の水都大阪で遊覧船の上に設置され火焔を噴いていたもの、1954年の水爆実験で被爆した第五福竜丸に因む名前らしい。

近づけなかったので頬に傷のある顔と手にもつ太陽の一部しか見えなかったサン・チャイルド No.2、太陽はチェルノブイリの保育園に描かれていた希望の象徴、放射能防護服を脱いだところです。

SHIP's CAT(Ultra Muse / Red)はGINZA SIX屋上のスケートリンクに展示されていたと分かりました。

アルミ製の宇宙船ルカ号。バルーンのルカ号よりかっこいい。太陽の塔好きの自分としては大いに気に入りました。太陽の塔内部の下から伸びる太陽の塔の生命の樹とは逆に蔓が下に伸びていて金色の命の素(?)か何かを抱えています。赤い体内の肉襞が全部シップスキャットでできているのはちょっとキショい。左側に立てられているのはお腹の蓋です。

金色の顔の胴体からの離れ方も太陽の塔の黄金の顔と同じ、太陽の塔の黒い顔同様に背中に緑色の顔が描かれているのが少し見えるものの、後ろに回り込めないのが残念。ヤノベ氏のウェブページで緑色の顔を確認できます。ルカ号に乗って35億年前の地球にやってきた宇宙猫の物語もYouTubeで確認できます。

岡本太郎の「芸術は爆発だ!」を継承するヤノベケンジ。岡本太郎記念館でヤノベケンジ:太郎と猫と太陽との展示が昨年開催されていて、ヤノベケンジは岡本太郎の後継者と岡本太郎自身の公認を得ているようです。先ごろ幕を閉じた大阪・関西万博、太陽の塔に代わるシンボルとしてルカ号とシップスキャットだったら、自分も1回こっきりじゃなくてもっと通っていたかも。

ここからは様々なクリエイターとのコラボ作品。クボタ弘成 大阪廻船、その下にヤノベケンジ ラッキードラゴン 構想模型(LUCA the Landing バージョン)、船上の観覧車はMin Ferris Wheel

やなぎみわ ステージトレーラー 花鳥紅、移動舞台車で駆け回るシップスキャットたち、ポールダンスのシップスキャットがかわいい。

宇治野宗輝 THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD, THE HOUSEシップスキャット・モフモフ22

名和晃平 N饗スペクタクルコンサート「Tale of tehe Phoenix」舞台セットSHIP's CAT Flying

満足して出て来ました。グッズショップになっている元鉄工所事務所上のSHIP's CAT(Hope)をアップ、とても凛々しい。

外壁に掲げられたSHIP's CATホーロー看板

ストリートアート

MASK以外のアートを探して町歩きへ。5分ほど歩くと、造船所のようなところで何やらイベント開催中。名村造船所大阪工場船渠跡で正面は2号ドックでウインチが残されています。昭和54年頃まで現役だったようです。

右手のヤシの木の並ぶ建物で開催中のイベントは、訊ねてみるとアートイベントじゃなく、どこかの企業イベントでした。

右手になぜかロンドンバス。左手の岸壁に上田要 北加賀屋の空気という鏡のオブジェ、自分の体が歪んでます。北加賀屋クリエイティブビレッジのマップの⑥番。

造船所敷地の隅っこにマップの⑤番、楢木野淑子 あるべきようわ、ムコの山大きな帽子型に組まれたタイルに不思議な動植物がびっしり、タイトルの意味は不明です。

2号ドック左手で北加賀屋 MULTI BARTHE、MASKでの展示会に合わせた日程で開催されているアート&サウナ複合イベントとのこと。なぜBATHではなくBARTHなのかは不明です。

キャンピングカーのエアストリームの上にSHIP’S CAT SAUNAがのっています。金曜日ここを訪ねた時には気づかなかったのが土曜日に再訪した理由です。中も凝ったものらしいものの、お風呂が苦手な自分なのでパス。

造船所跡向かいに。パラドールと名付けられたこの場所には異質で、スパニッシュスタイルの瀟洒なマンションの前、北加賀屋クリエイティブビレッジのマップの②番、鐡羅佑 かすむ。オオサンショウウオならぬ、巨大カスミサンショウウオです。スペインでお城や修道院などを改装した国営ホテルがパラドール、大昔に泊まったことを思い出しました。

パラドールの隣には対極的な白馬荘・乗鞍荘・穂高荘、造船所で働く人たちのためのアパートで今も現役、家賃19,000円〜だそうです。素敵なホームページを見つけました。外観からはわからない清潔な関西間らしい広めの部屋も紹介されています。造船所の人たちのためなのに白馬・乗鞍・穂高。

造船所跡の塀にマップ①番のウォールアート、b.friends on the wallです。

その先、マップには紹介されていないものの、バンクシー風のイラスト。「TONA」とネームが添えられています。ストリートビューをチェックすると、2020年7月にはもう描かれていました。TONAはドイツ出身のアーティストで釜ヶ崎周辺にもたくさん足跡を残しているらしい。インスタアカウントを見つけフォローさせてもらいました。

㉒TABBY Love in Full Bloom、花吹雪に破れ傘を差して、丈の短い着物に花かんざしの少女。とってもいい!

2階建ての古い家屋の壁一面に㉔Jeremy Yamamura無題

素敵なロゴのKUMADEという古着屋さんの外壁一面にも特大ストリートアート。フランス人のユニットElla & Pitrの㉓La dance du porte-clé(キーホルダーのダンス)、右下のひょっとこ踊りはキーホルダーのフィギュアらしい。興味深げにひょっとこダンスを眺めるメガネっ子の楽しげな視線がいい。

北加賀屋駅近くまで戻ってきました。駅は地図右下の南港病院の少し右辺りですが、地図にあるモリムラ@ミュージアムに行ってみることにします。

角のたばこ屋さんにスピーダーのホーロー看板とさっきのサウナへの道案内。たばこ屋は昔から角と決まってます。

ラバーダックのマンホールの蓋、みっけ。しっかり大阪市の澪標が刻まれています。

北加賀屋の町並みが描きこまれた⑯Vasco Mourão Creative Kitakagaya Perceptions、停められた自転車の列とバッチリ。

鯉のぼりのオブジェがぶら下がってます。藝術工場◉カナリヤ条約という創造スペースと教えてもらいました。「◉」は特殊記号で「じゃのめ」で変換できました。競馬で「本命中の本命」を意味するらしい。

モリムラ@ミュージアム

カナリヤ条約の隣がモリムラ@ミュージアム、ひっそりしていて、ここがそうですか、と立っている人に訊いてみようとしたら、立っている人はオブジェです。

ちょっと躊躇して2階へ上がります。こちらは常設ですが、金土日祝のみの開館、有料で600円。現代芸術家、森村泰昌の私設美術館で、活動40周年記念展「勝手にしやがれ」を開催中。

森村の代表作、肖像ゴッホ。1985年の本作以来、現在に至るまで40年、他者に扮し他者になりきってきた森村です。

となりの部屋はMy Favorite Works 4という自薦のベスト4、右は小説家のカフカ、左はレンブラントに感化された白い闇、正面は昭和天皇とマッカーサーの両者に扮し、実家の茶舗で撮影されたもの。

後ろには駒場のマリリン、同大駒場講堂での撮影だそうです。この隣にドアがあって中に入るとスライド上映、これでもかというくらい、たぶん100点以上のコスプレ写真、絵画が映し出され圧倒されました。

元の展示室に戻りじっくり鑑賞。まずはベラスケスの王女マルガリータの森村、かなりエグい。

ここに存在すべくして存在しているという感じのモナリザ。森村かどうかイマイチよく分かりません。

フリーダ・カーロ「いばらの首飾りとハチドリの自画像」の森村。原作と異なり、いばらで血は流していません。

ベルサイユのばらのマリー・アントワネットの森村、顔はどうみてもタレントの千秋。

チェ・ゲバラの森村。ほぼソックリ。

フェルメール 真珠の耳飾りの少女の森村はカルーセル麻紀風。ベラスケス ラス・メニーナスの森村、描かれている全員が森村です。

このブログを書きながら見ていた10月26日の日曜美術館に森村氏が登場してビックリ。大原美術館で個展開催中らしく、もう巨匠です。ウチの近所、細工谷の生まれで桃陽小学校、夕陽ヶ丘中学、高津高校、京都市芸大卒、ずいぶん親近感を感じてきました。

Hermitage 1941-2014はナチス・ドイツ軍に包囲され150万点もの作品を疎開させたエルミタージュ美術館に留まった女性館員を描いた小説にインスパイアされ制作された作品。同一シリーズの作品がエルミタージュ美術館に寄贈されているらしい。

超絶的なナルシシズムを感じさせる山口小夜子の森村。

ナポレオンの森村で締めます。

階段のホールに置かれたヴェロッキオのダビデ像の森村。ブロンズ像じゃなくて布か何かの柔らかい素材でできていることを、通りかかった美術館の人が触ってみせてくれました。次の展示会も必ず訪ねてみたいと思います。ファルネーゼのアトラスの森村の登場に期待。

加賀屋天満宮のデュランタにホシホウジャク。

ストリートアート後編

北加賀屋クリエイティブビレッジを続けます。土曜日の新なにわ筋より東側です。㉓La dance du porte-cléを正面から。キーホルダーのひょっとこが人間大、つまり、このメガネっこはシン・ゴジラの長澤まさみサイズ。

㉑oakoak 無題、キャンバスは壁だけじゃない。

café&bar O’haraの壁に㉕dotmasters Indigo defaces Monaもバンクシー風、エリザベス女王はあえて似せていないようです。

次はどこかなとキョロキョロしていると、近所のお宅からおじいさんがあっち、とアゴで教えてくれた方の路地に入ると㉗REMA FOREIGIN MATTER: ‘Sand in woman’(異物:砂の女)、粒子径1mm以下の砂でできているそうな。パンフのイメージよりはるかに大きくてビックリ。

ハート型のオブジェクトもセットになっているようです。それと後ろ姿。

空き地に㉘増田セバスチャン Polychromatic Skin -Gender Wall-、その向こうに何と大阪市電。

同じ空き地に造船所跡のサウナと同じエアストリーム。

さらにロンドンバスも。

市電は3000形3012、市電廃止後富田林の幼稚園に保管されていたのが、2019年にこの場所に移されてきたらしい。

だいぶ離れたところに㉞酒谷 星子 A BOY、この裏手にマップには掲載されていないDOTMASTERS発見。

マップに掲載されている内、半分くらいしか見てないけど、現代アートの面白さにどっぷりハマってきました。現代美術だと硬いし、モダンアートだとダサい、不思議な言葉です。以上、アーティスト名の敬称略はご容赦を。