自分には向いてない

会う人会う人、もう20回行った、30回行った、めちゃ楽しいよ、終わったら万博ロスになる、とか散々聞かされています。だいぶ前にゲットした大阪関西万博入場チケットID付き南海電鉄1日フリー乗車券、もうそろそろ入られへんようになるかもと聞かされ、ようやく万博へ行ってみる決心がつき2日前に入場予約したばかりです。土日でも入れるチケットですが、土日はすでに予約不可、平日券との差額1500円が消えました。

チェックボックスにチェックして上に戻って次ページへ移動とか、予約サイトの使い勝手の悪さにはビックリ。それでも二千万人もの人たちがこのUIを使っていることに大いに驚かされます。

谷四で中央線に乗り換え、1時間に24本は山手線よりすごい。次から次へとやってきて、やってきたのは森ノ宮始発でガラガラ。それでも堺筋本町、本町、弁天町とどんどん乗り込んできて満員に。「次はいよいよ夢洲です」と車内放送があって、コブクロの万博テーマソングが流され、夢洲駅に到着。

東ゲートの外をグルグルと歩かされ、列が止まってかなり待たされ、チケット確認と持ち物検査のレーンになって果てしなく待たされ、隣のレーンの方が早く進むのにイライラし、中に入るまで1時間12分、行列するのがチョー大嫌いな自分にはジゴクの一時間でした。曇り空で気温は30℃くらいだったのでまだましだったのかも知れません。

大屋根リングです。パビリオン予約は全滅だったので、とりあえずブラブラ歩いてみます。

ルクセンブルクパビリオンは240分待ち、240÷60=4時間です。ルクセンブルと思い込んでいたのですが、正しくはルクセンブルだそうです。

行列はレストランに並ぶ人たち。

最初東ゲートにしか喫煙所がなく、後づけで設置された大屋根リング北側の喫煙所でいっぷく、月曜朝の新大阪駅喫煙所を思い出させる大混雑も青天井なので煙がこもらないだけマシです。世間にはまだこんなに喫煙者がいたのかと、いささか安心感のようなものを感じた次第。

大屋根リング

エレベーターに並んで大屋根リングに上ってみました。

大屋根リングは単なる円じゃなくて、2つの円を交錯させるような感じになっていて外側は花壇もある土手になってました。その土手をヒョコヒョコとハクセキレイ。

風に揺れる草の茎に縦向きで掴まりヒッヒッと鳴いているのはセッカ。

大屋根リング上の道と土手の道がX字形に交差しています。トンビがなんやこの人、人、人と高みの見物。

アンゲロニアです。西ゲートを見てビックリ、人が全然いません。大失敗です。

ダイハツ丸2(3,206総トン)、内航自動車運搬船です。その向こうは海上自衛隊阪神基地、右端の吊橋は阪神高速東神戸大橋。

ポートタワーもよく見えます。

西ゲート南側の池の向こうに明石海峡大橋、その手前は神戸空港で拡大すると滑走路に機体が見え、ポートアイランドとスカイブリッジでつながっています。夢洲内側の池をよくみるとカモが5羽います。ダーウィンがきたにも紹介されていたくらい数年前までコアジサシの繁殖地だった夢洲です。左下のアトムはパソナパビリオン。

右手に視点を戻すと正面に甲山、西ゲートの北側には大嫌いなメガソーラー。右下にガンダムの手。

赤い球体はシンガポールパビリオン。

夢洲沖の廃棄物処分場新島です。この新島にコアジサシが営巣し始めているという情報を聞いたことがあります。

大阪灯台です。以前ピサの斜塔のように傾いていたのが万博に合わせて修正されたようです。飛んでいるのはツバメ、かなりの数がいました。夢洲で営巣しているのかも。

大屋根リング内側の池はウォータープラザ、噴水ショーが行われるらしい。

近くにいた人が神戸空港からの飛行機や、と言ってたのですが、機体番号JA830Aで調べると伊丹発那覇行の全日空B789です。

大阪灯台のすぐ脇を行く中国のコンテナ船・恒裕。夢洲はかなり切り立った造成がなされているようです。

ナデシコも色々、タツタナデシコと白いナデシコ。

大阪灯台の向こうにりんくうゲートタワービル。ちょっと向きをかえて関空。気象観測用ドップラーレーダーの白い球体が確認できます。

さっきの全日空機とは違う方角からやってきたのは深圳航空B738、旋回して関空へ着陸態勢。

広がる緑は南港野鳥園、緑の三角屋根の展望塔が確認できます。背景は金剛山と大和葛城山。

見たことのない角度からの景色が堪能できたので大屋根リングから下りるとトルクメニスタンパビリオンは1時間30分待ち。

何もかんも高い

来る前に近所の喫茶店でモーニングしてきたので、必携と言われてきたおにぎりは買って来なかったものの小腹が空いてきたのでフードコートに入ってみると、表の広告と別の店かもしれませんが、たこやき6個950円。アホらしくなってでてくると、キッチンカーでハンバーガーが2,000円。キッチンカーのオーナーさんのボッタクリじゃなくて、出店料がハンパないためと想像に難くありません。

コモンズEは行列が短かったので入ってみると何やらアニメの原画を展示する小さな展示室があるだけで大きな展示室はブルーシートが敷かれただけの休憩所になっていました。もっと出店国があるはずだったのが集められなかったあとと思われますが、まるで被災地の避難所、2,000円のハンバーガーとのギャップが大きすぎる。

ガンダムと鉄腕アトムをみて会場の西端、人が少なそうな風の広場へ行ってみます。

エスニック系フードコートを覗いてみたものの、食欲が失せるほどバカ高い。自分にとって「おいしい」は味だけじゃなく価格も含まれます。安ければそれでいいということじゃなくて、この値段でこんなに美味しいのかということが感謝に繋がります。自分の価値観の逆を行く万博、逆に毎週通っている近所のインド・ネパール料理店やカツ丼やさん、和食やさんらのありがたさにしみじみ。

ミャクミャクのモニュメントに向こうにあるくら寿司は予約制。

海沿いの休憩所前の屋台で漸くビールとソーセージゲット。締めて1,900円は許せる範囲か。でもソーセージが多すぎてビールが少なすぎ、ソーセージを残したのは初めてかも。ソーセージは好物なのですが、しばらく食べたくないです。それに付いてきたフォークは自分が大の苦手のアイスクリームのヘラみたいなやつ。我慢して食べたけど、ソーセージにうまくささりませんでした。隣の人のジュースをみるとファーストフード店でも見なくなったドリンクを不味く感じさせる太い紙ストロー、SDGsのいやらしさがふんだんに発揮されている万博です。SDGsはその理念は良しとしても単なるマーケティング。

海を眺めながらソーセージを食べてます。海上保安庁巡視艇まやかぜ26総トンと、大阪市消防局の消防艇まいしま136総トン。

もう西ゲートから帰ろうかと思ったのですが、まだパビリオンにはひとつも入っていないのが悔しいので戻ります。東ゲートに並んだ時のような行列はおみやげやさんです。ファミマやセブンにも長蛇の列。

万博一番人気のイタリア館、手前の行列は入館じゃなくてジェラートを求める人たち。

パビリオン

行列の短かったバルト館に入ってみました。バルト3国じゃなくてなぜかエストニアは不参加でラトビアとリトアニア2国のパビリオンです。

約300種類の薬草標本の展示が美しい。

館内の奥に黒板じゃなくて水滴が付着した絆の壁、流暢な日本語のスタッフさんに字を書いてくださいと声をかけられました。館内は涼しいものの思わず思いついた字は「暑い〜」でした。

あれもう終わりかと思ったら、中央に繊細な木のモビールが吊るされた白い部屋、清潔感200%なバルト館です。ラトビアの首都リガ(たぶん左側)とリトアニアの首都ヴィリニュスをモチーフにした木のレリーフ。

フロントに見覚えのある水色ヘアのおにいさん、日本推しラトビア人のアルトゥルさんです。Xフォローしてますよ、がんばって、とお声がけしたら、ガッツポーズでありがとうございます、と返してくれました。

そろそろ日没時間、もう一度大屋根リングへ上ってみました。赤く焼けなかったけどいい感じです。尖った高取山をバックにしたポートアイランドから須磨アルプスをバックにしたスカイブリッジを渡ると、明石海峡大橋をバックにした神戸空港。

バルト館の2軒となりのカンボジア館に入ると、水牛と頭像が迎えてくました。ChatGPTによると黒い頭像は仏像ではなくクメール美術のアプサラ(天女像)の頭部レプリカらしいのですが、髪や髪飾りの彫刻がすごい。

展示室の一番奥に黒いピラミッド。コーケー遺跡のプラサット・トムの模型です。カンボジア北部に位置する10世紀アンコール朝初期の遺跡で世界文化遺産、実物は高さ35m、墓ではなくヒンズー教寺院だそうです。トムはクメール語で「大きい」の意味。

展示室全体が稲穂の実る田園のように演出されています。

仮面舞踏のお面と影絵芝居スパエクです。

影絵の下にアンコール・ワットのジオラマ、12世紀に建立されたヒンズー教寺院で16世紀に仏教寺院になったそうです。ジオラマでは伝わってきませんが、東京ドーム43個分の敷地を持つ世界最大級の寺院。ジオラマの隣には仏頭のレプリカ。

カンボジアといえばアンコール・ワットのことを少し知っていただけが、ちょっとパビリオンを訪ねただけで、タイやベトナムとは全く異なる歴史や文化を持つと分かり、俄然興味が出て来ました。

バルト館やカンボジア館と建物を共有するチリ館に入ってみると、展示室中央はチリワインの試飲エリア、チリの人たちらしきが盛り上がっていたのを見ただけで出て来ました。

向いの建物のエジプト館に入ってみたかったもののかなり並んでいたので諦め。エジプトを表現するにはかなり小さなパビリオンです。

セネガル館に入ってみます。アフリカ大陸の西端に位置する国です。さまざまな紹介はほぼ英語オンリー、別の展覧会とかの使い回しではないかと。見るからに日本の商社マンとおぼしき男性が懸命に説明されていたのが印象的でした。

セネガルの隣はバングラデシュ。さまざまな産業の紹介がメイン、紅茶がバングラデシュの主要産業のひとつとは知らなかったものの、インドのアッサムやダージリンに隣接しているので至極当然です。

この他、外食パビリオンに入ってみたものの、テイクアウトの屋台が並んでいるだけでした。

夜のガンダムです。おもちゃ店でガンダムプラモはさんざん売らせてもらったのですが、ガンダム世代じゃなくてアニメも全然見ていなくてストーリーも知らない自分です。当日予約もできるらしく、手続きのためのQRコードが掲示されていたので、読み込んでみたものの、面倒になって止めました。

足が痛くなってきたので帰ります。西ゲートで案内係の女性に予約なしでも乗れますかと訊くと、手前のDのりばに急いでくださいと教えてくれました。ゲートを出ると予約がないとバスに乗れない場合があると脅すような録音放送が繰り返し流されていたものの、難なく乗れました。

25,000歩、15km歩いてました。モノレールや動く歩道、電気自動車と充実していた1970年の万博に比べて会場内のモビリティが貧弱というか無さすぎ。

渋滞もしていないのに夢洲から桜島まで30分近くかかってビックリ。桜島駅上空に不思議な白い光が6つ。近くにいた警備員さんに訊ねてみるとUSJの何か、らしい。

桜島から上本町までどうやって帰るか、西九条から阪神、野田から千日前線、大阪駅から谷町線、と悩んで鶴橋まで行くことにしました。鶴橋駅前の回転寿司、落ち着きます。

お寿司をつまみながら、やっぱ万博は自分には向いてなかったとつくづく感じます。20回、30回と訪ねている人たちは、その経験と多様な情報からしっかり計画的に見学しているので楽しめるのだろうと思われるのですが、1回じゃ無理、何より東ゲートからの入場がつからった。それでもカンボジア館のクメール文化のように新たな興味の対象を見つけられたことは良かったです。跡地がバードウォッチングできるような場所になることに期待。