コハクチョウとクロヅル

いつ行くかずっとタイミングを見計らっていた湖北のコハクチョウ、仕事もひと段落、天気予報もバッチリぽいのを昨日確認して米原駅前のレンタカーを予約しました。

大阪駅7:30発の新快速で米原6番線に到着、5番線から名古屋発敦賀行しらさぎ1号が発車。1975年に湖西線が開通するまで米原駅に特急白鳥が発着していたものの、湖北のコハクチョウではなく、新潟の瓢湖のコハクチョウに因む列車名でした。2002年から特急白鳥は津軽海峡線の列車名となり(陸奥湾にオオハクチョウが多数飛来するのでOK)、2016年の北海道新幹線開業で消滅してしまった一方、特段地域性の無いしらさぎ(ダイサギやコサギ)は特急電車として今も現役なのが不思議です。

トヨタレンタカー前のゆうれい坊やが飛び出し坊やに戻ってました。

コハクチョウたちのねぐら立ち

いつもの第1チェックポイントJA北びわこカントリーエレベーターをカーナビで設定できず、とりあえず早崎内湖ビオトーブへ向うと、湖面に白い点々がびっしり、さらに湖周道路沿いにはカメラマンが珍しく多数。

500mほど離れた早崎内湖北側に駐車スペースを見つけ歩いて戻ります。雲ひとつ無い大空の下伊吹山が美しい。湖面が見えない内湖西側の道を歩いていると、ウーウーとコハクチョウたちの声が聞こえてきて急ぎ足に。

内湖じゃなくて後ろからもウーウーと聞こえ振り返ると上空にコハクチョウたち。今日のファーストショットです。

早崎内湖ビオトーブ西側の道です。

右手の草むらの向こうからバシャバシャバシャと湖面を駆ける音が聞こえ、コハクチョウたちが上空へ。

内湖の東南角にやってきました。ざっくり400羽くらい。

数分のインターバルを開けて次々にテイクオフ。数年工事が続いていた早崎内湖ビオトーブが一年前くらいからコハクチョウたちのねぐらとして復活、二番穂を求めて田んぼへ出勤するところに、めちゃグッドタイミングでやってきたようです。工事以前のねぐら立ちはもっと朝早かったと記憶するのですが、コハクチョウたちに朝寝坊の習性が身についてしまったようです。

大きな水しぶきを上げて湖面を駆けるコハクチョウたち。

大空に上がると美しい編隊を組みます。

まだ首がグレーの幼鳥たちも湖面を駆けて行きます。実にダイナミックで大好きなシーンです。

どのグループも北へ離陸して南へ向け旋回、伊吹山とコハクチョウたちです。

おばあちゃんことオオワシの棲む山本山とコハクチョウです。

ビオトーブに残るはあと50羽ほど。

3分ほどのツギハギ動画、ウーウーウーが聞きたいのでBGMは無しです。

3羽横並びでテイクオフ。翼の上げ下げもシンクロしています。

迫力の水しぶき。旋回して直線編隊で南へ。

残った僅かのグループもテイクオフ。ビオトーブにはあと14羽だけ。

16年ぶりのクロヅル

4羽に続いてなんかちょっと体型の違う子が。

コハクチョウと違って風切羽が黒い。間違いなくツルです。琵琶湖でツル、もちろん初見。

クルマに戻ります。ビオトーブ東側の道からコハクチョウの最後のグループも飛び立ちました。

正面の低山は虎御前(とらごぜ)山230m、美しく気立ての良い虎御前が身ごもって15匹の小蛇を生んでしまったために自害したという伝説に因む山、足利尊氏と直義兄弟の戦いがあり、そして小谷城攻めで小田軍の陣が敷かれた山です。

コハクチョウたちは伊吹山の方へ飛んで行ったものの、行き先は遠くではなく姉川より北側の田んぼに下り立って二番穂をついばんでいるはずです。

田んぼの向こうの白いクルマは今日の相棒、Yaris君です。

湖北野鳥センターにやってきました。ホワイトボードにツルがリストされていないので、レンジャーさんにさっきのツルの写真を見てもらったところ、クロヅルと教えてくれました。国内ではまれに鹿児島県出水のナベヅルやマナヅルに混じって飛来することがあるものの、琵琶湖では何と2009年1月以来16年ぶりに飛来の珍鳥とのこと、飛翔姿を撮れたのは超ラッキーだったようです。

野鳥センター前の島ではヒシクイがカワウのように翼を広げて甲羅干ししていました。

竹生島の右側、琵琶湖対岸の今津の町が今日は蜃気楼じゃなくてくっきり見えます。

何か食べていこうかと野鳥センター隣の道の駅に入ると、鶏白湯風味のコハクチョウラーメン。よほどこれにしようかと思ったものの、コハクチョウを見たばかりでコハクチョウラーメンはどうも、という気がして、米原のコンビニで買った冷めたホットドッグを食べておきます。

湖北野鳥センターから山本山へ向かう道にはほとんどいなかったものの、琵琶湖の湖岸に出ると、オオワシ狙いのカメラマンがびっしりでビックリ。オオワシのおばあちゃん27年連続の飛来ですが、何と今年はオオワシの幼鳥もやってきているとのこと。おばあちゃんの子どもや孫なのかは不明です。オオワシの飛び立ちを待つつもりは無いのでコハクチョウたちの下り立った田んぼを探しに向かいます。

カントリーエレベーターへ向かって県道を走っているとカントリーエレベーターよりずっと手前で白い点々、それにかなりの数のカメラマン。

そこへまだ下りてくるコハクチョウたちも。

コハクチョウたちからちょっと離れてクロヅルがいました。10年前に宍道湖で会ったナベヅルと似た感じです。

飛んでいるときはもっと白く見えたのですが、全体的にグレー、虹彩は赤いとわかりました。

山本山とクロヅルです。

それにしてもツルは水鳥じゃなく泳げないので、コハクチョウファミリーに入り切ることはできないはず。コハクチョウたちが湖のねぐらにいる間は、どうしているんでしょう。たぶん湖の畔の草むらにいて、コハクチョウが飛び立つのを密かに待っていたんじゃないかと推測。コハクチョウファミリーに紛れ込んで行動を一緒にすれば飢える心配はないはずです。シベリアのコリマ川周辺が繁殖地だそうでコハクチョウと同じ、ひょっとしたら年中一緒にいるのかも知れません。

まだ集まってくるコハクチョウたち。クルマにもどってラストショット。

大満足して次の目的地へ向かいます。次は鳥見じゃなくて歴史探訪です。この項続く