六甲山避暑

関西で避暑地といえば六甲、高野山、天川村、伊吹といったところでしょうか。手近なところで六甲へ日帰り避暑に決めました。阪神梅田の駅長室で2,500円の六甲有馬周遊パスを買って直通特急に乗車するとえらく混んでます。ほとんどは甲子園で下車、今日も猛暑日予想なのに高校野球観戦、自分にはとても真似できないと思いつつも、春夏共に出場経験の無い我が母校がもし出場すればたぶん行くと思います。

調べてみると今夏は4回戦敗退も2022年秋季大会はベスト16で大阪府の21世紀枠に推薦されており、自分が在学していた頃よりかなり強くなっているようです。丸坊主じゃなくて長髪なのもすごくいい。大阪府代表に限らず私立校じゃなくて公立普通校を応援したくなる自分です。

六甲高山植物園は8月10日から15日までいつもより1時間繰り上げて9時開園。それに合わせてもっと早く行くつもりだったのが、阪神御影駅についたのは9時10分頃。9時15分発のバスがいたけどこの先コンビニも無いので、松屋でソーセージエッグ定食納豆付をかきこみ9時半の市バス16系統に乗り込みました。

鶴甲団地辺りから渋滞、振り返ると表六甲ドライブウェイへ続く右側車線は大渋滞、六甲で手軽な避暑という発想は皆同じです。

ケーブルカーは出たばかりで20分待ち。ここでも標高250mあるので心持ち涼しく感じます。

六甲山上駅からの眺めです。もっとゆっくり眺めたいのですが、いつもケーブルカーとバスの連絡が良すぎます。

六甲高山植物園東入口に到着。チケットブースのおねえさんに温度を訊いてみると、もうひとつの事務所に電話で確認してくれ、25℃と分かりました。高山植物園の標高は830mほど、100mで0.6℃気温が下がるという公式からこの時点の神戸港の気温は30℃のはずです。

現在地は高野山の壇上伽藍がほぼ同じ標高ですが、交通費は半分ほど、この気軽さはありがたいです。東京で2時間ほど、往復2500円で行ける標高800mは無いはず、軽井沢や富士五湖、那須野辺りまで足を伸ばさないと涼しいところまで辿り着けないかと。

高山植物園

最初に出迎えてくれたのはちーっちゃいニホントカゲ、体の太さは1cm無いくらいです。

朱色の花はナデシコ科のフシグロセンノウ。

見慣れない黒い蝶が間近に止まってくれました。ダイミョウセセリです。大名の紋付き姿に似ていることからこの名があるそうです。以前にも会ったことがあるものの茶色い紋付きというより羽織みたいなのばかりで、こんなに黒くて紋付きぽいのは初めて、後翅の白い裾もカッコいい。

オミナエシとマツムシソウ。

オニユリは園内の色んなところで咲いていて今がピークのようです。

ネギ坊主みたいなのはたぶん花が開く前のヒゴタイ。

キレンゲショウマのつぼみに頭を突っ込んでいるのはたぶんハナバチの仲間。朝ドラ「らんまん」で描かれていたように要潤さん演じる矢田部良吉教授(ドラマでは田名部教授)発見の一属一種のキレンゲショウマを園内各所で見ることができます。

ごつごつした岩の斜面にいたイタチと一瞬目が合いました。とりあえず撮っておいたものの、やはり写っていません。

何ともゴージャスなタキユリ。

ツリガネニンジンと紫の花を丸く咲かせたヒゴタイ。

さっきのよりかなり大きなニホントカゲ、お腹がかなり膨らんでいるので何かを飲み込んで消化しきれていないところのようです。

茶色いツルツルしていないのはカナヘビ。

コマクサは一輪だけ残っていました。岩が濡れているのはスプリンクラーです。

細長い薄紫はコバギボウシ、これも園内各所で咲いていました。

岩場のもじゃもじゃはアサギリソウ。

ヤマユリも日本特産のユリ、シーボルトがカノコユリの球根を持ち帰ったように、日本はユリの在来種や固有種の宝庫、カサブランカをはじめ世界中で親しまれている園芸品種のユリの多くが日本発祥だそうです(参考)。日本が誇るべき花はサクラだけじゃないです。

この前咲くやこの花館で上手く撮れなかったレンゲショウマ、iPhoneで下から撮ってみました。ミルク金時色、同じく一属一種のキレンゲショウマとは全然違う花と分かります。

小さな黄色い花はオトギリソウ。漢字では弟切草、弟殺しの伝説のある薬草です。

見上げると鉄塔、何の設備かは調べてみても分からなかったのですが、現在地から40mほど上で、鉄塔の向こう側は日本最古で明治36年開設の神戸ゴルフ倶楽部、こんな山の上にあるとは全く知りませんでした。お金を積んだだけではメンバーになれない超名門倶楽部、ゴルフには全くご縁も興味も無い自分ですが、ホームページにはマツムシソウやカワラナデシコ、それにキジやタヌキも紹介されていて、さっきイタチに会ったばかりのここ高山植物園でキジやタヌキにも会えるはずと分かります。

宇宙の広がりをイメージさせるような形と色あいで何とも涼しげなヒゴタイは阿蘇の草原に咲く花、花言葉は「実らぬ恋」、かなり気に入りました。

ヒオウギは7月の花、宮津市の名産品で床の間に生ける花として祇園祭に欠かせない花だそうです。

もういちどマツムシソウ。

通り過ぎる人たち皆がカワイイと歓声を上げていた白い花はヤマハハコ、その可愛さが写真では伝わっていません。

多肉植物の可愛い花はミセバヤ、白にピンクグラデーションの小さなブーケです。

赤紫のアサマフウロは浅間山麓で多くみられるものの絶滅危惧IB類。

カナヘビをアップで。ミソハギもところどころに咲いてました。

滝壺に咲いていたツバメの尾羽に似た花びらのエンビセンノウ。期待していたサギソウは見当たらず。

金平糖が並んだような花はティアレラです(たぶん)。

500mほどの道のりを1時間もかけて西入口前の池までやってきました。水鏡のオニユリです。

間近に止まってくれたのはアキアカネ。

おなじみのクロイトトンボです。アキアカネはまだじっとしていました。

自分の視点より下にクリのイガ。水面には中身がびっしりつまったコウホネのつぼみ、ボケた背景はアサザです。

西入口前のお土産屋さん前にはキレンゲショウマの生垣、スプリンクラーで水をまいているところです。

中では「牧野の足あと」展を開催中、以前の展示と変えて、牧野富太郎博士の六甲での活動を中心に紹介されていました。

ノリウツギです。

今日3匹目のニホントカゲ。カナヘビを足すと今日5匹目。

タマアジサイにマルハナバチ。びっしり中身が詰まっているのはタマアジサイのつぼみ、この球体のつぼみからタマアジサイと名付けられたそうです。

ファミリーが地面の小さなクワガタを見つけ盛り上がっていました。コクワガタだそうです。これだけ植物園や里山歩きしているのにクワガタやカブトムシにはとんとご縁がない自分です。

タマアジサイにトラ模様のカミキリムシ。ヨツスジハナカミキリです。

六甲おろしに颯爽と、蒼天翔ける日輪の♪

ちょっと向こうにはオオシオカラトンボ。ヨツスジハナカミキリはちょっと移動。

クリンソウの湿地で1輪だけがまだ花を咲かせていました。

オオシオカラトンボとアキアカネ。初めて訪ねた時はイマイチ感が強かった六甲高山植物園ですが、訪ねる度に好きになってきます。やはり植物に興味を持たせてくれた牧野博士のおかげです。

今日は六甲まやレジャーきっぷじゃなくて六甲有馬周遊パス、バスでロープウェイ六甲山頂駅へ。植物園からロープウェイ山頂駅へのバスは超満員もほぼ全員がひとつ手前のガーデンテラスで下車。

有馬温泉

何十年かぶりの六甲有馬ロープウェイ、ケーブルの山頂駅からロープウェイに乗ってここで乗り換えて有馬へ下りた記憶があります。駅前にキッチンカー、ベンチに座った中国人カップルの食べてるカレーが美味しそう、山上のキッチンカーとしては価格もリーズナブル、よほどここでランチ、とも考えたのですがとりあえずガマン。

頭上にはロープウェイの乗り場らしきが、でも有馬はこの反対方向のはず。ウチへ帰ってから頭上の乗り場らしきは平成16年に休止となったケーブル六甲山上方面への乗り場と分かりました。廃止じゃなくて休止なのは国立公園内にあり、廃止となると原状復帰捺せなければならず莫大な費用がかかるためだそうです。待合所には「本日、雷雲接近のため運転を見合わせる恐れがあります」とのお知らせに早く有馬へ下りなきゃと焦っていまったものの、せっかく避暑に来たのにもう少しゆくりしてくれば良かったかも。

カフェやレストランは意外と少ない六甲、カフェよりも峠の茶屋みたいなのがあればいいなと探してみると、かつてロープウェイ駅から山頂側にへ00mほどのところに茶屋があったそうで、今も展望台とドリンクの自販機があるらしい。次回訪ねてみたいと思います。

2020年に導入されたオーストリア製のゴンドラです。

係の人が乗り込んで出発、肉声の面白おかしく為になる観光案内が始まりました。全長2764m、高低差441m、つまりこれを下りると2.6℃くらい暑くなるはず。

右手をご覧ください。鉄塔の立っているところが六甲山頂931mです。バスは通っていないので、ハイキングかヒッチハイクになります、とのこと。

思っていたより山深い六甲山、ゴルフ場も大嫌いなメガソーラーも見えません。国立公園に指定されているおかげかと。

深い谷に切り立った垂直の岩壁が立ち並んでいるのもかなり意外。

右手に見えるトンネルポータルは芦有道路、芦屋のベンツやレクサスがここを抜けて有馬温泉へ保養に来る道路です。

ロープウェイ有馬温泉駅が見えてきました。写真右上の丘の上に建つのが、「ホテルニューアワジ」「関西電気保安協会」同様に関西人は節を付けないと読めない「有馬兵衛向陽閣」、その丘の下辺りに神戸電鉄有馬温泉駅があります。有馬兵衛向陽閣♪キダ・タロー先生作曲です。

正面に三田方面の景色が広がります。山が切れた辺りにクレーンが何本も建っているのが見えるのは建設中のアマゾンの流通センターだそうです。

有馬温泉癒やしの森という遊歩道が整備されているようです。よく見ると憧れのギンリョウソウが見られる場所が詳しく紹介されています。ロープウェイ駅から20分くらいで行けそう、来年の春チャレンジしてみたいと思います。ビュンビュン飛び回っていたツバメが電線でひと休み。

六甲山上より心持ち暑いくらいです。神鉄有馬温泉駅まで15分ほどの道のり。芦有道路を抜けてきたと思われる高級車に黒服のスタッフさんたちが深々とお辞儀してお見送りしています。この宿で1泊2食はちょっと自分には無理ですが、夕食付日帰りの1万円は手が届く範囲、日帰りでもお見送りしてくれるのかどうかは不明。

六甲有馬周遊パスで無料で入れる金の湯です。まだスルッとKansai 3dayチケットが使えた頃、一度入浴したことがあるものの、人がいっぱいですぐ出てきた記憶があります。あるいは銀の湯だったかも知れません。ブログをチェックし直してみたものの見つかりませんでした。今日も男性10分待ちと掲げられていました。

温泉街に人は少なくないものの、賑わいのある通りは僅かな区画だけで城崎より寂しく感じられます。そんな中で長い行列のお店、なま炭酸せんべいとあります。有馬といえば炭酸せんべいですが、なま炭酸せんべいとは、と調べてみると、焼き立てはふにゃふにゃで5秒経つとパリッとする、賞味期限5秒、まさに現地でしか賞味できないなま炭酸せんべいだそうで行列が十分ナットクできました。

今どきの温泉街というとどうしても廃墟が思い浮かんでしまうのですが、有馬でも廃墟は少なくないようです。上掲の写真、右端の「有馬兵衛向陽閣」の左手に建つ茶色い塔のような建物は池之坊満月城、昭和43年の30名も亡くなる火災を起こし、後年営業を再開するも阪神大震災で再度休止、後規模を縮小して営業再開も平成19年頃に無期限休業、現在は駐車場だけを運営しているそうです。今も駐車場の案内だけのホームページが残されているものの女将ブログが2012年1月以降更新されていないのが寂しく悲しい。

温泉街で何か食べて行くつもりだったのですが、コスパを考えるとやはり三宮へ戻ることにしました。発車直前の1100系有馬口行に乗り込み先頭車へ移動、1100系ならではのかぶりつきロングシートをゲット。

ひと駅だけのかぶりつきで有馬口に三田からの5000系とほぼ同時入線。新開地まで行かない鈴蘭台行の3000系に乗り換え、谷上で神戸市営地下鉄に乗り換え、三宮到着。このルートも六甲有馬周遊パスで利用でき、新開地経由より30分も早く着いて40円安くなってます。

実は今日六甲まやレジャーきっぷじゃなくて六甲有馬周遊パスにしたのは、阪神で途中下車して、テレビで紹介していた岩屋駅近くの定食屋さんに行きたかったためですが、すでに定食屋さんのお昼の営業時間をとっくに過ぎているのでいつもどおりセンタープラザへ。

地下鉄東西線三宮駅はてっきりJRのの南側にあると思いこんでいたのですが、JRや阪急の北側を元町(県庁前)方面へ向かっていると今更ながら気が付きました。迷ってとりあえず地上で出ると暑さはやはりハンパなく、ようやくJR高架下を抜け、センタープラザにたどり着きました。京都はかなり詳しくなったものの、神戸はまだまだな自分です。

すっかりお店のお母さんに顔を覚えてもらったタルショウでプファー、まじ美味かった。串は手前から鶏皮ぎょうざ、豚味噌漬け、たまねぎタレ焼です。

長田本庄軒は長蛇の行列で諦め、以前はお気に入りだった天ぷらにしたものの、口がぼっかけ焼きそばになってしまっていたせいか、イマイチでした。阪神三宮で直通特急に乗車も隣にLCカーの快速急行が入線して来たので乗り換え。自分で席をひっくり返して快適モードも甲子園でドカドカっと乗り込んできて車内は超満員、大阪ドームの阪神戦観戦の人たちです。背番号29 TAKAHASHIって誰や?

前の席の人が大窓のカーテンを下ろしたのを何とか少しブロックしながら尼崎に到着、さらに混雑した車内もドーム前でほぼ全員下車。かつて死のロードと呼ばれていたこの時期ですが、今や空調の効いたドームの方が甲子園よりずっと快適なはず。

ウチに帰ってサンテレビを付けると、怪我から復帰、1009日ぶりに1軍マウンドの背番号29髙橋遥人投手が初回三者三振から5回無失点で勝利投手に。今日高山植物園で会ったヨツスジハナカミキリを思い出しつつ、なかなか感動的なゲームでした。