六甲のアサギマダラ
アサギマダラの季節です。調査と熟慮を重ね、六甲山に上ってみることにしました。
阪神梅田駅で六甲まやレジャーきっぷ【阪神版】をゲット。よくある磁気カードのとくとくきっぷと違って、団体410円区間(阪神の最長区間)と印字されたきっぷが2枚と5枚綴りの回数券みたいなのがセットになっています。【阪急版】もあって阪神御影の代わりに阪急六甲経由になっているのですが、なぜか【阪神版】より150円高いです。
阪神御影から六甲ケーブル下まで神戸市バスで30分強、阪急六甲からだと15分ほどなので、【阪神版】と【阪急版】の150円の違いはこの15分の速達料金ということのようです。
40年以上ぶりの六甲ケーブルです。2両編成のケーブルカーの後向きにならんだ座席は満席。窓はなくてオープンエア、雨が降った時はどうするのか、聞きそびれました。
六甲山上駅に到着、眼下に神戸の町が広がってます。山上バスとの連絡が良くてのんびり景色を眺める余裕もなく高山植物園へ。
東入口のチケットブースでフジバカマの場所を訊いてみると、フジバカマはもう終わっているみたいですが、とりあえずその場所へ向かってみます。湿生植物区というエリアに木道が架かっているものの、咲いている花は多くないです。
盛りを過ぎたフジバカマがありました。全体で10株程度かな。アサギマダラがやってくる雰囲気はありません。
ベニシジミが止まっているのはたぶんソナレギク。紫の花はヤマトリカブト、よく知られた毒性植物です。
入場してまだ30分ほどですが、そのまま西入口へ抜けてバスでもうひとつの目的地に向かうことにしました。六甲まやレジャーきっぷで100円引きの600円、それでも植物園としてはかなりお高いです。カンツリーハウスや人工スキー場同様に阪神電鉄の直営らしいですが、同じ六甲山中で面積は3倍、入場料は半額の神戸市立森林植物園と較べてかなり見劣りします。
バスを待っているとメジロ。ケーブル六甲山上に戻り再び神戸の町を俯瞰したものの、次のバスも接続が良くてゆっくりは眺められませんでした。
六甲摩耶スカイシャトルバスを摩耶山天上寺前で下車。天上寺への石段を上がって行くと、人が集まっていてフジバカマは簡単に見つかりました。
白花のフジバカマの上をかなりの数のアサギマダラが舞ってます。
群生した白花の周りに藤色のが点在していました。本来紫に近い藤色ですが、いろんなバリエーションがあって、フジバカマの藤色は紅藤色と言えそうです。
後翅の隅に黒い斑点(性票)が無いので♀です。
赤藤に3匹、いや4匹。
白花もいいけどやっぱり赤藤色の方が、アサギマダラには似合うかと。
もう目の前30cmほどなので、iPhoneで動画。まもなく5G対応(のはず)のiPhone12がリリース、このiPhone7 Plusもそろそろお役御免となる予定ですが、4年間もお世話になりました。やはり、ちょっとザラついた画面が気になります。
キタテハもやってきました。アサギマダラとツーショット。
ちょっと奥行きのある写真が撮れました。ほんとはもっといっぱいアサギマダラが舞っているのですが、全体の感じを伝えるのは困難、これだけのまとまった数の蝶を一度に見たのは、伊丹の昆虫館の温室以来だと思います。
青空背景にちっちゃくアサギマダラ。
サインペンでマーキングされたアサギマダラが少なくないです。これは賛否両論ありそうです。渡りをする蝶として未知の生態も残るものの、成虫になってからわずか4ヶ月の命、美しいままで過ごさせてあげたいとも思います。
参道をさらに上ってみます。入山料は志納で小さな箱にコインを2枚落としておきました。境内にもフジバカマ。
2匹両方にピントを合わせられないので1匹ずつ。
天上寺金堂です。関西花の寺25ヵ寺の第10番札所になっています。フジバカマは花のリストに入っていなくて、初夏のヤマボウシや沙羅双樹のサラが主たる花だそうです。
昭和51年に不慮の火災で七堂伽藍(大小30の堂塔)が全焼全壊してしまったそうですが、第1期、第2期の復興事業が完了、第3期の復興事業計画が進行中の由です。
仙人来朝之庭という石庭の向こうに天空の大舞台。
天空の大舞台からの眺めです。明石海峡の手前は須磨アルプス。
右手の目を移すと先日、高砂島からみた上島、その右手のひょっこりひょうたん島みたいな島は鞍掛島です。
句碑とアサギマダラ
筒鳥の 鳴く摩耶の坊 借りにけり 播水
俳句の心得は全くないものの、ツツドリじゃなくてアサギマダラで一句ひってみました。
摩耶の坊 渡りの蝶が 旅支度
夏井先生、いかがでしょうか?
1本の木から削り出された「無事カエル」が見送ってくれます。
天上寺から摩耶ロープウェイへの遊歩道を歩いていると視界が広がりました。電波塔が並んでいる辺りが、六甲有馬ロープウェイの六甲山上駅付近です。六甲山の一等三角点932mはロープウェイの駅から山道を東へ1時間以上歩くようです。
右手には大阪平野、淀川に沿って日が差しています。
香櫨園浜と夙川河口が確認できます。その先南芦屋浜辺りに巨大クルーズ船らしきが見えます。あんなところにドックとかあったかな、と調べてみると、海の上じゃなくて埋立地に建つ芦屋ベイコート倶楽部という、自分には巨大クルーズ船以上に全くご縁が無さそうな会員制ホテルと分かりました。
ロープウェイの駅がある掬星台に到着、エナガたちが出迎えてくれたものの、すぐ行ってしまいました。
EF210が牽く長編成のコンテナ列車が見えます。真正面には夢洲。
摩耶ロープウェイで下山。ロープウェイからケーブルカーに乗り換えるケーブルカーの駅の東側に旧摩耶観光ホテルのプレートがありました。雑草のジャングルの葉陰に廃墟が少し見えますが、立入禁止になってます。
自分の学生時代、摩耶観光ホテルは既に廃業、阪神間の大学の同好会やゼミの合宿所、通称「マヤカン」になっていました。自分も2度ほど合宿で利用した記憶があるものの、何やらおっかなくて好きな場所ではありませんでした。
その後劣化が進み合宿所としての営業も終了、阪神大震災で倒壊は免れたものの大きく損傷し立入禁止となり、現在は廃墟マニアのためのガイドツアーが時折開催されているようです。
摩耶ケーブルの最大勾配は546.5‰、スキーのジャンプ台とほぼ同じだそうです。摩耶ケーブル下からのバス便は少ないので、神戸っぽい下り坂を観音寺バス停まで歩きました。この無名のバス停から三宮駅前までのバスも六甲まやレジャーきっぷに明記されています。
天気予報では終日晴れマークが並んでいたのに、実際は一時を除いてずっとどん曇りだったのですが、今になって晴れ間が広がってきました。三宮に到着、胸ポケットに入れておいたはずのきっぷが見当たりません。運転手さんまで一緒になって探してくれたら、さっき脱いでバッグに突っ込んだジャケットのポケットに入ってました。