日帰りの離島 - 菅島

青い海を見たくなって伊勢湾の入口に浮かぶ菅島へ行ってみることにしました。

離島の定義はWikiPediaを読んでもイマイチ釈然としないのですが、行ったことのある淡路島や沖縄本島、関空島、琵琶湖の竹生島は離島という文脈にはそぐわない感じです。その文脈に沿ったところでは、礼文島、瀬戸内海の真鍋島、エーゲ海のイドラ島へいずれも何十年も前に行ったことがあるくらいで、それ以来の離島の旅ということになるはず。

7時8分の賢島行特急で出発。伊勢市到着直前の車窓にヒマワリ畑、結構広範に点在しているようです。

ドア上のLEDに22000系ACEのカラーイラストが走ってました。

池の浦-鳥羽間の近鉄が海沿いを走る唯一の区間です。JR参宮線の池の浦シーサイド駅が毎年僅かな日数だけ営業していた時に炎天下のこの付近を歩いています。

M78、光の国に到着。22000系ACEを見送ります。

鳥羽から菅島

鳥羽駅から10分ほど歩いて佐田浜マリンターミナル、菅島行の船まで1時間以上あるのでマリンターミナルのラウンジでモーニングして桟橋先端から島見物。3つ並んだ島はズバリ「三ッ島」。

霞んだ三角の島は神島、こちらよりよほど伊良湖岬の方が近いものの、あの島まで三重県、その先は愛知県です。

みつしま19t、レーダーの支柱に近鉄のロゴが見えます。志摩マリンレジャーという会社の船で鳥羽湾めぐりと三ツ島の向こう側にあるイルカ島の観光船です。

岸壁のフェンスの上に並んだウミネコたち。

乗船するのは鳥羽湾めぐりじゃなくて鳥羽市営定期船、高速船3隻と旅客船3隻で4つの島の7つの港へ頻繁に運行されています。目的地の菅島まで510円。

桟橋から水面を覗くと港なのにえらく水が綺麗、シマシマの魚はたぶんイシダイ。

菅島行しおさいに乗り込んだところです。冷房の効いた船室ではなくオープンエアのデッキに直行。

伊勢湾フェリー知多丸2410tが入港、伊勢湾フェリーはここ佐田浜じゃなくて。中之郷駅前の中之郷桟橋がターミナルです。伊勢湾フェリーからイルカやスナメリを見ることができるらしく伊勢湾フェリーのホームページでも情報が発信されています。ウミスズメ、オオミズナギドリなど憧れの海鳥に会えることもあるらしく、よほど菅島じゃなくて伊勢湾フェリーで伊良湖岬へ渡りさらに知多半島の河和へ渡り名古屋へという大昔にデートで辿った記憶のあるルートにしようかとも考えたのですが、今日は満月の大潮、鳥羽の干潮は12時ちょうどで8cm、めったにない機会なのでやはり菅島へ。

2024/7/30追記: 大昔のデートコースは当時運行されていた鳥羽-師崎航路だったかも。

鳥羽市営定期船しおさい75tのブリッジです。鳥羽を出港しました。

さっき見た志摩マリンレジャーの船は後ろからウミネコたちが追いかけていたので、同じことを期待するもやってきませんでした。どうやら志摩マリンレジャーの船ではカモメたちを餌付けしているらしい。

フラワーマーメイド199t、こちらも志摩マリンレジャーの鳥羽湾めぐり+イルカ島観光船です。イルカ島は島全体がテーマパークになっていて無料で島へ入れるものの、志摩マリンレジャーの船でしか渡れないようです。

かいりゅう110t、消防艇かと思いきや、伊勢湾に入る大型船を先導するエスコートボートで、上野マリタイム・ジャパンという民間企業の船舶です。

菅島が近づいてきました。波はほとんどないものの結構上下にピッチングします。島の西側は採石場になっていて航空写真ではブサイクな景観ですが、海上からその様子は見えません。しかしながらかなり古くからの採石場で砕石プラントなど見てみたいと思わせる景色が広がっているらしい。セントレアの埋め立てもにも使われた石材だそうです。

左手の小さな三角錐は答志島の北東に位置する無人島の小築海(こずくみ)島。

菅島港に入港。正面に見える見える3階建ては鳥羽市立菅島小学校、2023年度時点で在校生は20人だそうです。

看板の地図左下のしろんご浜が目的地。佐田浜を出る時に水を買って来るのを忘れたのですが港に自販機がありました。

港の上に架かる橋桁の裏にツバメたち。

しおさいが鳥羽へ戻って行きます。

鳥羽磯部漁協菅島支所にもドリンクの自販機。

木陰にエゾビタキみたいな胸に小さな斑点がいっぱいある鳥を見つけたものの写っていませんでいた。。

サクラソウの仲間かと思ったら花びらがギザギザ、ハマナデシコです。

ハマカンゾウです。ヤブカンゾウと較べて花びらがシャープです。

干潮なので船を引き上げるレールが海面に届いていません。

フヨウです。砂利浜には割れてるのに見目好い貝殻。

美しい小さな浜に出てきました。水も綺麗。

赤い小さいのは最近よくみるヒメヒオウギズイセン。ここから坂道です。

ふたたびハマナデシコ。その隣の長いフサフサの植物はたぶんナガバヤブマオ。

山道は鬱蒼とした茂みに。オオムギワラトンボ(オオシオカラトンボ♀)です。半ズボンを履いてきたので念の為虫除けスプレーをかけておきました。

しろんご浜周辺

山道が下り坂になり、数百メートルあるくと海が見えてきました。オニヤンマがやってきたものの撮れず。

坂道を下るとしろんご浜、沖を行くのは伊勢湾フェリー鳥羽丸2410t。

しろんご浜です。海水浴場にはなっているものの砂浜じゃなくて砂利浜に近いです。浜にはファミリー一組と船でも見かけたたも網を持った若い男の子たちのグループだけ。

水辺を歩くも特に何も見つからずミズクラゲだけ。

浜の西端の僅かな日陰にたどり着きました。毎年7月8日にしろんご祭という海女さんたちのお祭りの日以外は禁漁になっているしろんご浜、去年のしろんご祭の様子のYouTubeです。観光三重の菅島紹介ページの青い海を見て行ってみたくなったのがキッカケで、海はさほど青くなかったものの十二分に美しい浜です。観光三重のページの写真はちょっと彩度を上げすぎではないかという気がします。

浜の崖にハマカンゾウ。

地面が固くて歩きやすい浜の崖沿いを戻ります。いかにも海浜植物ぽい葉っぱ、トベラとハマアザミです。

沖の正面に浮かぶ小築海島、見目好い島です。右手には神島、その向こうは伊良湖岬。イルカがジャンプしていないか目を凝らすも見つからず。

砂地に茎を伸ばしている花は、男里川河口尾崎の浜でもよく見るハマゴウ。

岩にへばりついていたのはマダラウミウシで間違いないかと。ウミウシを見つけたのは初めて。水の中や水辺にしかいないと思っていたのですが、水面よりかなり高い位置にいました。

しろんご浜の東端までやってきました。さらに東側から続々と戻って来る女性たち。

持っている浮き輪が海水浴用じゃなくて何気にプロフェッショナル仕様、白い装束ではないものの海女さんたちで間違いないかと。しろんご浜の向こう側は禁漁区ではないようです。

しろんご浜東の浜はしろんご浜と違って全く波が無く、海は透き通っていました。

沖の小舟には海女さんらしき姿も見えます。

磯を覗いてみるとカニたち。歩脚がカエルの足のようなのが特徴的な白いカニはシワオウギガニと思われます。

もう一枚はイソガニかと。砂浜のカニとちがって、磯のカニたちは甲羅の模様や色の個体差が大きく、同定が難しいです。

白いシワオウギガニを動画で。甲羅の模様がコアラの顔みたい。

1本ストライプで甲羅がゴツゴツしてますが、これもたぶんイソガニ。

白い平べったいのはヒライソガニで間違いないかと。

さらに島の東側へ回り込むと砂利浜じゃなくて完全に磯が広がっていました。南向きなので海は三河湾じゃなくてもう太平洋です。

崖の上に菅島灯台が頭を出しています。磯から階段が続いているのでここから灯台まで上れるようですが、この暑さで無理は禁物。港で買ってきた水もあまり残っていません。

菅島灯台をアップで。この付近には岩礁が多く難破する船が多く、江戸時代初期に建てられた日本初の公式灯台とされる御篝堂が明治になって洋式灯台に引き継がれたもので、現存する日本最古の煉瓦造灯台。竣工式には西郷隆盛を初め政府高官が多数列席したそうです。

灯台下の崖にはハマカンゾウがいっぱい咲いてます。

しろんご浜東の浜まで戻ってタイドプールをチェック。

クサフグが泳いでました。長松海岸の磯ですっころんで怪我をしたことがあるのですが、この浜の磯は磯が砂利浜に囲まれるように点在していて、タイドプールが観察しやすい。来る前に折りたたみ式たも網やマリンシューズを買っておこうかと、釣具店やドン・キホーテをチェックして来たものの、結局何も買わずいつもの干潟靴だけでやってきたのですが、これで十分でした。

港への道

しろんご浜背後の崖に長い石段、この上に白髭神社があります。

山道を港へ戻ります。灯台への分岐点の道標には近畿自然歩道とあります。やはり近畿地方なのか東海地方なのか微妙な三重県です。

来る時にも会ったオオムギワラトンボ、さっきとは別個体。

切り通しの崖に何故か上まで続く階段、上に何があるかは不明です。

小築海島とエスコートボートかいりゅう、大潮の干潮のせいか周囲に岩礁がたくさんあるのが見てとれる海域です。

崖に咲くハマカンゾウ。

来る時に見つけた小さな浜に降りて、岩を巻いて流れる潮を撮ってみました。

菅島港に戻ってきました。ガザニアがきれい。

漁港に停泊しているのは一本釣りの竿を立てた大きめの船と、エンジン以外に何も艤装の無い海女さんたちサポート用と思われる小舟の2種類です。

ハマユウが咲いてます。

漁港の競り場に人が集まって競りが始まっていました。競られているのはサワラのようです。

カゴにはアワビ。

事務所前に立てられたホワイトボードには第8回アワビ口開けとあります。口開けとは解禁の意味だそうです。その下に自分には意味不明の数字が並んでいるのですが念の為モザイクをかけておきます。

漁港の集落を歩いてみるつもりだったけどもうその元気が無いというより、歩くのが危険なくらいの暑さです。それでも水がきれいと聞いていた漁港の橋を渡ったところの海水浴場を見に行ってみたものの、どうってこと無い感じで戻りかけると船が港に入ってきました。喫茶店に貼っていた時刻表を読み間違っていたようです。

急いで港に戻り乗船、かがやき74tです。オープンデッキじゃくてエアコンの効いた船室で涼みます。一本釣り答志島トロさわらのポスターが貼ってありました。

ウミウシや色んな海浜植物に会えたし、さほど青くはなかったものの海はとても綺麗だったので大満足ですが、今度から島歩きでは出発直前にペットボトルの水x2本調達が必須と痛感。

日本初の煉瓦造灯台が菅島に築かれたのは太古から船乗りたちを悩ませた多くの岩礁がこの海域にあったため、でもその岩礁の海だからこそ、色んな海藻からイルカや海鳥までの豊かな生態系が育まれ、今も海女さんたちが漁を続けられるということをこの目で見て来ることができました。

うな丼

佐田浜に戻ってきました。駅付近のお店で海鮮丼か何か食べるつもりだったけどイマイチそそられず、普通電車で松阪へ向かうことにしました。松阪からだと特急券が300円ほど節約できます。

スマホをチェックすると五十鈴川で急行に乗り換えた方が早いと分かり、五十鈴川で階段を下りて上って4番線から1番線へ、急行は名古屋行でも大阪上本町行でもなく名張行、1日2本だけのレア物ですが、古い車両で冷房の効きに難。

松阪途中下車で大口屋さんへ。5月と全く同じ席で同じうな丼(松)をいただきました。

JRと近鉄共同使用の松阪駅、近鉄ホームには無いJRホームの冷房の効いた待合所でしばし休憩。

30000系ビスタカーで帰ります。

久々の2階席、窓の外には5200系名古屋行急行。来る時にみたヒマワリ畑は宮町駅の北側付近で、8月中旬頃まで見頃が続くとの記事を見つけました。

ビスタカーの階段で仕切られた狭い空間で前方に賑やかな若い女性グループの大声、大笑いが耳に響きます。よほど注意しに行こうかと思ったけどお嬢さんたちの楽しい旅の思い出の最後の1ページで自分がネガティブに登場するのは拙いと必死で我慢しました。

上本町駅8/9番線に到着。ウチへ帰るには一番便利な地上ホームですが、駅からウチまでのもわっとした暑い空気が今日一番キツかった。