ヒラギノ角ゴ

台風が接近する三連休、その次の三連休も雨の予報で、自分が自営業だったことを思い出しました。今週しなければならないことは概ね片付けたと判断、バッグにパソコンを入れて京都へ。

出かけることに決めてからカメラの電池を充電したので、出町柳に着いたらもう12時を廻ってました。市バス4系統に乗車、道路沿いじゃなくて一の鳥居の前にある上賀茂神社前のバス停は見覚えがあります。6年前に来てました。

4系統の終点、西加茂車庫前に到着、目の前に五山送り火の船形。反対側は比叡山、

西賀茂橋からの眺めです。川上に北山杉の森が見えるあの辺りが今日の目的地ですが、その前に腹ごしらえ。

正面のビルの1階にテレビで見たMKバイキングというバイキングレストランがあります。MKタクシーの社員食堂が一般に開放されているそうで、色んな惣菜の他にカレーや麺類もあって30品以上が食べ放題600円。ドリンクバー付だと+250円はサイゼリアと比べて止めておきました。食券を買ってとりあえず席に荷物を置いたら、おばちゃんが近づいてきて、その席うちらが確保してると文句を言われ、よく見るとひとりずつ配られるらしいお手拭きがテーブルに置かれ席取りされていると分かりました。それぞれトレイを手に料理を取っているのですが、トレイが見つからず、お店の人らしきを見つけ尋ねると、あっちの受付でと無愛想に案内され、店舗入口の食券券売機から遠い一番奥で食券と引き換えにトレイとお手拭き、お箸、それに料理を取り分ける時に使う手袋が渡されました。お腹いっぱいにはなって、これが近所にあればまた来ることになりそうですが、せっかく京都まできて…、というのが率直な感想、後でホームページをチェックしてみたところ600円は平日だけのようです。

鴨川(賀茂川)の水辺に今年初モノのヒガンバナ一輪。川面にはツバメがいっぱい舞っているものの高速飛行ばかり、と思いきや電線に止まっていました。

その先の実った田んぼにヒガンバナがビッシリでビックリ。撮り方が拙いのか、ビッシリすぎて一輪だけの方がずっと綺麗です。

柊野

いい感じに変色した京都バスの柊野バス停、掲げられた時刻表をチェックしてみると、何と春分の日のみ、11:57の1本だけの運行、それも市原から高野車庫まで片道だけのようです。なぜ春分の日だけで秋分の日には運行されないのか、どうやら路線を廃止してしまうと復活させるのが大変なので、最低限だけ運行して路線維持しているということのようです。

京都バスとは別に市バスの柊野バス停が東側に並行する雲ヶ畑街道沿いにあり、1時間に1本程度、北大路バスターミナルから運行されています。西賀茂車庫までは出町柳からだけでも4系統の他に、1系統、37系統がそれぞれ15〜20分ヘッドで運行されていて便利です。

庄田橋左岸に北山大橋と同じ看板、現在地を示す赤丸の位置だけが違ってます。庄田橋の川上は柊野堰堤、看板をよく見ると右端だけ橋の形じゃなくて長方形になってました。ここが今日の目的地です。

鴨川上流のマップを丹念にチェックしていてみつけた柊野(ひらぎの)、聞き覚えがある地名です。Macの標準フォントのひとつ、とても美しく読みやすいヒラギノフォントは、その名がこの地に由来するそうです。このブログの本文も以前からヒラギノ角ゴが基本設定、MacやiOSではヒラギノ角ゴで表示され、Windowsの場合はMeiryoになるはずです。ヒラギノフォント作者がこの地の出身なのか、それともこの地の美しさをイメージして制作したのかは不明ですが、前から鴨川の上流に行ってみたかったことと併せ、ヒラギノフォントのひみつが見つかるかも、とやって来た次第です。

庄田橋から川面を覗くとここでもハグロトンボが舞ってます。

鴨川上流といえば特別天然記念物のオオサンショウウオ、密かに期待していたものの見つからず。

右岸から柊野堰堤、流れはさすがに綺麗です。

堰堤の上はこんな感じ。説明板によると昭和16年完成で、洛中の穏やかな鴨川の姿を支えている砂防ダムと分かります。

柊野湿原

先へ進むとトイレと四阿があって、河原は砂利ではなく草原が広がっています。対岸の左岸は整備されたグランドで右岸を選んだのは正解だったようです。鴨川は山峡を縫って10kmほど先、雲ヶ畑の志明院辺りが源流、北大路駅前から雲ヶ畑へ1日2本のコミュニティバスがあるのでいずれ訪ねてみるとして、喉が乾いてきたので今日はこの京都盆地のどんつきで引き返します。

ハグロトンボ♀が間近、かなりくっきり撮れていて拡大すると背中のオレンジ色の部分は構造色じゃなくて背中が裂けているように見えます。

河原の草原を越えて川辺に出られないかと四阿の石段を下りてみたら、草原は湿原みたいになっていて足が吸い込まれていきます。

信州辺りの湿原よろしく木道が掛けられていて、試してみたものの安定しておらず、どろんこにはなりたくないので川辺に出るのは諦めました。

足元の水は澄んでいて、こっちへ流れていたりあっちへ流れていたり、それにボコボコっと水紋が見えたりします。川が流れ込んでいるのではなく、湧水で間違いなさそうです。調べても出てきませんでしたが「柊野湿原」と呼んでよさそうです。

四阿の湿原側に意味不明の看板が立てられていました。現在地の右に同心円が描かれていて、湧水を意味しているように見えます。

堰堤の端っぽにイソシギ。

川下からイソシギ。この前も似たような排水路の端っぽにイソシギいました。貴船川の堰堤の端っぽでもカワガラスがいました。流れてくる水生昆虫を見つけやすい場所なんでしょうね。

堰堤の滝壺には魚がいっぱい。何種類かいるようです。

横縞のトラ模様はたぶんヨシノボリ。その左手の大きめのはカマツカかな。

左岸の道路は鞍馬街道、正面のふたこぶ山の向こうは叡電の通る市原です。南は街道沿いじゃなくてまっすぐ経線を下ろすと平安京が築かれた時に基準点になったといわれる船岡山、さらに真南に平安京大極殿です。何か曰く有りげなロケーションの柊野ですが、それを語るような寺社や遺跡も見当たらず、京都としては、とても不思議な場所と言えそうです。

なにげなくさりげなくすごい、が柊野とヒラギノ角ゴの共通点という気がしてきました。まだ色んな発見がありそうですが、やはり喉が乾きました。近くに自販機もは見当たらないので川を下ります。河原にイカルチドリ。

鴨川を下る

右岸を歩くとワンドのような池、中にいるのはたぶんヌマムツ。漸く自販機を見つけて一息つけました。

叡山ロープウェイの切れ込みがよく見えます。

MKバイキングの対岸にローソンがあってそこから河原に遊歩道が始まっていました。五条大橋まで続く右岸河原の出発点は賀茂川通学橋という歩行者専用の橋です。

会話が聞こえてきそうなツバメたち。カルガモたちも水生昆虫狙いのようです。

セグロセキレイがいました。イカルチドリはムカデのような何かを捕まえたようです。

いつもより鋭い目つきのイカルチドリです。

中洲にはカワウが3羽、黄色い喉をブルブル震わせていました。

市バス車庫に通じる西賀茂橋の下に西賀茂の飛び石、川幅は狭く流れも穏やかなので渡ってみることにします。飛び石の真ん中から川下の景色です。

もう一度柊野を振り返ります。飛び石を渡った左岸を歩くと土手の上に瀟洒な佇まいのパチンコ店、何かと逆風のパチンコ店ですが、この佇まいだと応援したくなります。

木の枝に止まっているセグロセキレイは初めてみたかも。中洲にはまたまたイカルチドリ。

水辺に真っ白なフヨウ。ヒガンバナはやはり一輪だけが美しいかも。

柊野堰堤から3.2km、北山大橋に到着。半木の道と呼ばれる植物園沿いの左岸の桜並木に対し、右岸の加茂街道は巨木が並んでいます。エノキ、ケヤキ、ムクなどのニレ科の木々だそうです。

ここでのまたまたはセグロセキレイ。北山大橋の下でお兄さんがクラリネットの練習中、曲はガーシュインの巴里のアメリカ人かと。自分は京都の大阪人。

この先は2週間前に歩いたのでここで引き上げることにします。橋のすぐ近くにあったバス停は本数が少なく、橋を渡って加茂街道でバスを待ちます。

バス停近くの河原のシモツケ、一輪だけの白いシモツケがとてもチャーミング。

バスはふたつ先の北大路バスターミナル止まり、北大路のイオンに大好きないきなりステーキやかなり久しぶりの大戸屋も見つけたもののお腹は減っておらず、ビールよりコーヒーが飲みたくてタバコの吸える喫茶店を探してみたものの見つからず。1系統のバスで出町柳へ移動。

出町柳駅には早々と5000系の特急が入線してました。発車直前8000系が向かい側ホームに回送の表示で入線してきたので、ラッシュ時対応で収容力のある5000系に車両交換という運用のようです。平日夕方ラッシュ時の京阪特急なんて初めて、立つ人も多いものの十分余裕のある込具合といったところです。木津川を渡る8000系が見えました。

枚方市を過ぎた辺りで美しい夕日、カーブの多いので夕日があちこちに移動して楽しませてくれる京阪特急です。オオサンショウウオには会えなかったけど大満足の金曜日でした。