干潟から山登り

大潮で干潮のピークは午後1時半頃、大阪市内より2〜3℃涼しいはずの和歌浦干潟へ。

男里川を渡ります。まだ秋のシギチの渡りにはちょっと早いと思われ今日は素通り。(注記:秋のシギチの渡りとはシベリア辺りの繁殖地からオーストラリア辺りの越冬地への渡りのことで7月末〜9月初です。北へ向かう途中の春のシギチの渡りは4月末〜6月初、春と秋の間隔が短いのは繁殖地と越冬地の中間点より日本が北にあるからかと。)

尾崎駅4番線のレールにちっちゃなカラス、じゃなくてスマホで撮った不鮮明な写真ですがハッカチョウで間違いないです。これまで男里川で遭遇したことはなく、ここにいるということは今後男里川河口や尾崎の浜で会える可能性が高そうです。

鳥取ノ荘を過ぎると車窓に広がる海、右端のいい感じの建物の手前にいつのまにかソーラーパネルが敷き詰められてしまったのでトリミングしておきました。

和歌山市駅に到着、今は2階へ上がるエスカレーターが設置されていますが、以前は地下へ降りるエスカレーターが設置されていて、焼肉屋さん1軒だけが営業していました。高校野球和歌山県予選を見ながら焼き肉食べたのは6年前の夏

和歌山バス4系統新和歌浦行に乗り込むと、市駅発車時点では完全貸切状態。

和歌浦干潟

不老橋に到着、左側はあしべ橋。曇り空ですが、今の時期はこれくらいの方がありがたいです。

あしべ端からの和歌浦干潟の眺め、まだ干潮のピークまで2時間くらいあって水位は高く干潟が広がっていません。橋の袂には今日もチヌ。

石段の堤防でお弁当をつかいます。キーノで並んでいた「からだ想い弁当」にちょっと惹かれたものの和歌山なので「かだら想い弁当」だったら買っていたのですが、隣にあったうな丼にしました。お弁当を開いた途端パラパラと雨が降り出し、咽が詰まるほど慌ててかきこんだで鰻の味はよく分かりませんでした。

雨はすぐ止んで、干潟の潮が見る間に引いて行きます。干潟の小島、妹背山へ向かいます。

妹背山へ渡る三断橋の復旧工事は完了したようですが、まだ土嚢が積まれたままです。

三断橋の袂にシギチのシルエット。イソシギかと想いきやキアシシギです。

日が射してきて水の色が変化しました。男里川河口にもキアシシギが来ているかも知れません。

ずっとお尻フリフリ、ノリノリキブンでカニは採り放題。もっとシギチたちが集まっておかしくない和歌浦干潟ですが、ここでシギチに会ったこと自体初めてです。

クロベンケイガニらしきがいっぱい。小さなヤマトオサガニも穴から姿を出してます。

この茶色っぽい大きいのはフタバカクガニかな。

キレイな水色のチゴガニはバンザイウェービング、ハクセンシオマネキは片手で道路工事ウェービング。

少なくともチゴガニ5匹とヤマトオサガニが7匹写ってます。

妹背島の石垣の上から真下にハクセンシオマネキ。

かなり近いのですが、男里川左岸河口のハクセンシオマネキと違って全然逃げません。

晴れているのにまたジョワーっと降ってきました。松の木の下で雨宿りできる程度です。

対岸の名草山が霞んでます。

ハクセンシオマネキと違って硬そうな場所に穴を掘るチゴガニです。

シンクロするチゴガニたち。

穴を掘らない大きいカニたち。色の薄い方はフタバカクガニ、濃い方はクロベンケイガニかと。甲羅の形がぜんぜん違ってます。

不動橋から運河を遡ると、今年も会えました、トビハゼ。

もう一匹、死んでるのではなくゴロリンチョした一瞬です。

トビハゼとヤマトオサガニは仲良し。

今日のトビハゼくん、なかなかかっこよくジャンプしています(46秒辺り)。

もうお腹をこすりそうな浅瀬を悠々と泳ぐキチヌ。

章魚頭姿山

運河の突き当りの御手洗池、今日はこの裏山を目指します。和歌浦を北側から覆う山並み(雑賀山)の稜線を東西に潮騒の小径という遊歩道が続いていて、ニホンリスがよく出没するそうです。

潮騒の小径の入口は紀州東照宮の東側ですが、Google Mapではよく分からなかった和歌浦天満宮から潮騒の小径に抜けられるルートは現地の案内図で確認できました。御手洗池の奥に和歌浦天満宮、石段にちょっと怯みます。

正面の石段の脇に迂回ルートの石段がありました。迂回ルートを上って楼門から振り返った眺めは見事。

菅原道真が太宰府に流された際、風波を避けるためにここに立ち寄ったことに由来し、太宰府、京都北野と並ぶ由緒ある天満宮だそうですが、ひっそりしています。関西の日光と称される紀州東照宮よりも当然はるかに古い歴史があります。

境内の片隅からそれらしき薄暗い山道が伸びていました。境内で作業をされていた人(作業着姿でしたが宮司さんだったかも)に章魚頭姿山(たこずしやま)への道はあれですか、と確認して山道を進みます。

クロアゲハが間近に止まってくれました。他にも、白いところが目立つたぶんモンキアゲハとか黒いアゲハがたくさん舞っていたものの、撮らせてくれたのはこの一頭だけでした。

10分ほど山道を進むと歩きやすい潮騒の小径に出てきました。潮騒の小径は尾根道で右手にはチラッチラッと和歌山市内が見えるものの木立に隠れています。

開けた場所に出て左手に海が広がりました。

最後は一気に急坂になって章魚頭姿山151mの展望台に到着。展望台の柱には、高津子山展望台、竣工平成 11年6月、事業主 南海電気鉄道(株)、というプレートが取り付けられています。高津子山とも書くもののタコの形に似ているので章魚頭姿山とも表記されるそうです。片男波の砂州の先端から章魚頭姿山の写真を5年前に撮ってました。リンク先写真左側のピークが章魚頭姿山です。一旦凹んで右側のピークが天神山93m、和歌浦天満宮から天神山の北側を回り込んで章魚頭姿山にたどり着いたとわかります。天神山をタコの頭、章魚頭姿山をタコの足と捉えるとタコの形に似ているかも。

形のよい岩にホオジロ、背景は和歌浦干潟、紀三井寺も見えます。あとで分かったことなのですが、何と平成8年までここまでロープウェイで上ることができ、展望台は回転展望台だったそうです(資料)。ロープウェイや回転展望台の廃業後、南海電鉄がこの簡易な展望台を設置したようです。

展望台からの眺めです。まずは右手から、和歌山市内中心部はかなりの局地的大雨が降っていると分かります。

少し左手、雑賀崎です。

さらに左手、対岸はマリーナシティ、手前は萬波リゾート、岩場は蓬莱岩。

そして片男波海水浴場、「快水浴場百選」にも選ばれているそうですが、人出は多くなさそうです。砂州の内側の干潟はまだ干上がってます。

キアゲハは翅がボロボロ。展望台の下に腰を下ろして陸屋根の並ぶ雑賀崎の集落や雑賀崎灯台を眺めます。

展望台の西側には北へと南へと2つの道があるものの何の道標も見当たりません。一旦北の道を進みかけたものの何となくおっかない感じがして、南の道もえらく急坂で、上ってきた道に引き返そうかと思ったものの、海が近くに見え遭難することはまずなさそうなので、南の道を下りることにしました。道端になぜかハマユウが一株。

途中に木のベンチが置かれていてちょっとホッとしてさらに急坂を下ると海が間近になりました。反対に急坂の登りからスタートしていたらメゲていたところです。萬波リゾートの手前で海岸通りに到着、残念ながらリスには会えず。和歌浦天満宮を出てからここまでリスだけじゃなくニンゲンにもひとりも会いませんでした。

新和歌遊園のバス停からみた透明感のある青い海、大阪湾の色じゃなくて太平洋の色です。たどり着いた新和歌遊園バス停から雑賀崎を右回りのJR和歌山駅行バスは20分ほど先、少し離れた反対方向のバス停に向かうとちょうど雑賀崎を左回りで回ってきた南海和歌山市駅行がやってきました。南海和歌山市駅-雑賀崎-JR和歌山駅の30系統のバスは1時間ヘッドですが、和歌浦周辺では実質どちら方向でも使えるので県庁前までは実質30分ヘッドです。

なぜ新和歌遊園という名前のバス停なのか、章魚頭姿山へのロープウェイはここから伸びていて、どうやら須磨浦公園のように山全体が遊園地のようになっていたようですが、現地では山上でも麓でもその痕跡には全く気づきませんでした。

いつもならJR和歌山駅前の多田屋か立呑の酒一に向かうところですが、バスが市駅行だったこともありキーノでプファーにします。手元に和歌山観光きっぷのおまけ、キーノで使える500円クーポンもあります。難波−和歌山市930円+サザン指定席が520円+不老橋/新和歌遊園までのバスが390円=1,840円、その往復とキーノのクーポン分で4,180円のところ、これが2,520円なのでほぼ4割OFF。最近各社のとくとくきっぷの割引率が下がる一方の中、極めてコスパが高い和歌山観光きっぷです。

紀の川を渡って帰ります。干潟と眺めのいい山歩きが連続して楽しめる場所は全国的にも珍しいはず、白砂青松のビーチや透明度の高い磯、それに万葉からの歴史が公共交通機関で手軽に楽しめる和歌浦、放置されたままだった廃墟ホテルも多くが撤去され、リゾートマンションや老人ホームへの建て替えが進んでいるようです。衰退した昭和の一大観光地の好ましい方向への変化を見てきた思いがします。

難波に到着。前4両の7100系7121編成は4月に全検明け出場したばかりでピッカピカ、現役7100系でトップナンバー、つまり南海本線で最古参の1970年6月製です。指定席じゃなくてこれのカブリツキにすればよかった。