南海フェリーで吉野川河口干潟
とくしま好きっぷという割引きっぷを見つけました。期間限定じゃなくて通年販売、難波から徳島港まで電車+フェリーで2000円、高速バスと所要時間に大差なく、南海フェリーで徳島へ行ってみることにしました。学生時代に徳島の友人を訪ねて何度か乗った時以来です。
フェリーかつらぎ
かつての小松島港連絡特急四国号を思い出しながら、特急サザン和歌山港行で和歌山港到着。南海フェリーとは連絡橋でつながっていて、連絡橋にはムービングウォークが設置されています。国内で現存する鉄道連絡船は全国的にここと宮島口だけです。
ベタ凪の和歌山港を出港、一旦キャビンのリクライニングシートに落ち着いてはみたものの、すぐさまデッキへ移動。
茶色いカモメが数羽、ユリカモメ以外のカモメの同定はどうも苦手ですが、夏羽のウミネコかと。
船はフェリーかつらぎ2620総トン。上空には関空へ着陸態勢の中華航空ジャンボ。
世代、性別に関係なく海が大好きな人が多いです。現在地はココ。
左舷に僚船のフェリーつるぎ、乗船中のフェリーかつらぎと、就航時期や大きさはほぼ同じですが、同型船ではないようです。
沼島が近づいてきました。島の南側は断崖絶壁が続いています。記紀の国生み神話で最初に作られた島、オノゴロ島とはこの沼島説が有力だそうです。日本列島最古の陸地なのかも。
よーく見ると左舷遠くに超大型クルーズ客船の船影。船影からググってみたところ、スーパースター・ヴァーゴのようです。75,338総トン、こちらフェリーかつらぎのほぼ30倍です。大阪港から横浜、清水、鹿児島、上海と廻って7泊8日で108,000〜398,000円。JRのクルーズトレインより余程リーズナブルで楽しそうです。
右舷に大鳴門橋が見えてきました。
徳島のシンボル、眉山、その右手に今日の目的地、吉野川河口。干潟が広がっているのが確認できます。
徳島港入港、海上保安庁第五管区海上保安本部の巡視船よしのが沖に停泊中。
岸壁に横付けされた自動車航送船みたいなフェリーりつりん、13,000総トン。昨年9月に就航したばかりのピッカピカの新造船です。東京-徳島-新門司を結んでいて、難波-和歌山-徳島-東京というルートが成り立ちそうです。こちらに乗船した方のブログがありました。シンプルさにこだわり相当清潔快適みたいですが、自分的にはこのフェリーかつらぎの方が居心地が良さそうです。
徳島港に到着、徳島駅行のバスが吉野川河口の方を経由するかのかよくわからないので、とりあえず歩くことにします。
マップで測ると2.6km、炎天下を歩くこと約40分で吉野川の土手が見えてきました。
吉野川河口干潟
土手を上がると吉野川河口、上流側に広がる中洲の干潟を歩いてみることにします。
干潟に下りて出迎えてくれたのはミサゴ。
中洲の干潟の砂浜を川の中ほどまで歩いてみました。粒子の細かい砂が詰まっていて淀川の干潟よりずっと歩きやすく、海風が吹いて炎天下でも心地いいです。
河口ギリギリのところに何か円筒形の構造物が立ち並んでいます。河口から上流側すぐのところに阿波しらさぎ大橋という5年前にできたばかりの橋が架かっていて、干潟の環境保全を訴える反対運動を押し切って架けられたようです。それだけじゃなくて、さらに四国横断自動車道の橋を架ける計画があって、どうやらこの円筒形の構造物はその橋の土台と思われます。この心地よい開放的な空間は、遠からず無くなってしまう可能性が高そうです。
色んな貝殻が打ち上げられている中に10cmくらいの巻貝の貝殻、全然欠けていないので拾ってきました。調べて調べて、寿司ネタにもなるアカニシガイで間違いないかと。
中洲は阿波しらさぎ大橋のすぐ手前まで広がっていて、クリークもあり、もっと色んなのがいていいと思うのですが、橋の名前通りアオサギ、ダイサギ、コサギしかいません。橋の向う側の干潟へ向かってみます。
阿波しらさぎ大橋上流側の住吉干潟、干潮を2時間くらい過ぎたせいか、干潟は狭いです。
土手から下りてみると、一面に砂団子、しばらく様子を見ていると、やはりコメツキガニが出てきました。
コメツキガニのウェービング。23秒目くらい砂団子製造シーンも確認できます。
ソリハシシギがあらわれた。ソリハシシギは様子をうかがっている。
お尻フリフリしながらカニを何度も咥えなおして、漸く飲み込みました。
コメツキガニをポートレート風に撮ります。
ハクセンシオマネキもいるらしいのですが見当たりません。シギチもソリハシシギ1羽以外には何もおらず、干潟を引き上げることにします。
阿波赤石駅往復
干潟から15分くらい歩いてバス停を見つけたものの1時間に1本のバスが行ったばかり、さらに15分歩いて徳島大学前から徒歩15分の距離だけバスに乗れました。
和歌山市駅はもちろん、JR和歌山駅とくらべてもはるかに賑わいと活気がある徳島駅です。高松や高知と違って商業集積が駅前に残っているようです。
お昼を食べたいところですが、すぐに牟岐線の普通があるので、290円のきっぷを買って入場。自動改札じゃなくて、昔ながらの駅員さんがハンコを押す方式ですが、駅員さんが若い女性なのが昔と違ってます。どうせなら、ハンコじゃなくて鋏にすればよろしいかと。駅の裏側には徳島運転所あってキハがいっぱい止まっています。
牟岐線海部行の1500形のキハに乗車、単行ボックスシートの車内は部活帰りの高校生で満員も後部かぶりつきをゲット。二軒屋駅で上りの1200形と交換。
園瀬川を渡ると田園風景が広がります。既に刈り入れが始まっています。四国のお米は早い。
かつて小松島線が分岐していた中田駅、右端のレールの残る側線は小松島線の跡のようです。
阿波赤石駅で下車。この周辺で撮り鉄する計画だったのですが、帰りのフェリーまで時間がないのですぐ折り返します。
阿波赤石駅のすぐ北側には短いレンガ積みのトンネルがあって、トンネルの向こうから顔を覗かせるキハを撮りたかったのですが、諦めます。
1500形の先頭かぶりつきをゲット、トンネルを抜けると田園地帯に運河が延びています。この運河の反対側から撮り鉄する予定だったのですが、いずれまた。
徳島駅に戻ってきました。キハキハキハ…、吉野川河口でシギチをこれくらい見たかった。2編成並んでいるのは1500形のモデルチェンジ車。
この分岐、萌えます。徳島駅は四国の西大寺といって過言はないでしょう。
乗ってきた牟岐線は3番線到着、2番線には2000形の特急うずしお高松行、その先の欠き取り式のホームが1番線です。
徳島運転所の奥の方にターンテーブルが残されていました。
意外なくらい頻繁に列車が入線してきます。4番線には1500形の阿波池田行、続いて2番線に1500形の板野行…、ん?2番線にはまだうずしおが止まっているはず。
板野行は2番線後方で停車、うずしおが高松へ向けて発車すると2番線の前方へ移動して客扱いをしていました。昔ながらの長いホームを上手く利用しています。
跨線橋から運転所を望むと、種類が異なるキハが並んでます。手前からキハ47形、1500形、キハ185形、1200形。
左奥にキハ47形のタラコも!15時台で特急普通併せて12本も発着していて、こんなに活気のある駅とは思っていませんでした。JR四国、がんばってます。
紀伊水道の夕日
徳島駅の改札内には駅そばが営業中も徳島港行のバスが心配なので空腹をガマン。駅前のバスターミナルをウロチョロしていたらほどなく南海フェリー行のバスがやってきて、徳島港に着いたら出港までの時間はあまりなくて、結局船内の売店で2つだけ残っていた幕の内弁当が今日のランチになりました。
行きと同じフェリーかつらぎです。キャビンで仙台育英-大阪桐蔭を見ながら弁当を使い、デッキへ移動。右舷太平洋側に四国最東端の伊島の島影。左舷の大鳴門橋上空には徳島空港へ着陸態勢のJAL機。
デッキには朝もお見かけした人が何人か、同じワンちゃんも乗ってました。船に乗るために船に乗っているという人も少なくないのかも知れません。
展望デッキへ上がってみると快晴、再び沼島の南を航行。
西日を受けたフェリーつるぎと交換、夕日の中に入り込みました。
紀伊水道の夕日、残念ながら海じゃなくて、淡路島に沈みそうです。まだこんなに暗くはなっていません。カメラがこう写しました。
イルカが見えないか、とじっと目を凝らしていたら、船の進路と垂直方法に何かがビュンビュンという感じでかなり高速で飛んで行きます。形からツバメかな、と思ったのですが、ツバメが船の下から飛んでくるはずはなく、トビウオではないかと気が付きました。まともに撮れるはずはないとは知りつつも、カメラを向けていたら、それらしき影が写っていました。赤い丸印です。
だいぶ赤くなって日没と同時に和歌山港入港。
イソヒヨドリが船のレーダーに止まって出迎えてくれました。和歌山に来ると必ずイソヒヨドリに会えるという約束を今日も守ってくれました。
今日のベストショット、船の浮き輪で泉屋のクッキーを思い出しました。
和歌山港駅の向こうにあかね雲が広がっています。和歌山港駅ホームからフェリーかつらぎ、あっという間の2時間、もっと乗っていたい船です。