神戸電鉄粟生線と北条鉄道

スルッと関西3dayチケットで有馬の湯と明石焼というテーマを決めてでかけたのですが、有馬まで行って気が変わり北条鉄道に乗ってみたくなりました。

鈴蘭台から、危機的状況と言われる粟生線に乗って終点の粟生に向かいます。周辺に高速道路網が四通八達、クルマ社会の進展と高速バスに徹底的にやられてしまい、ニュータウンや多くの住宅地と神戸の中心地を結ぶ都市型鉄道であるにも関わらず、廃止も検討されている路線です。(粟生線の現状参照)

鈴蘭台で有馬線の三田行と同時発車、粟生線はいきなり単線の急勾配を登りはじめます。その勾配がハンパじゃなくて、全くの山中を走る南海高野線山岳区間と同様50‰(1000mの水平距離に対してで50mの高低差)もあります。しかし一方的に登るだけでなく登っては下りを繰り返すのが高野線と大きく異なります。

全国登山鉄道パーミル会という鉄道会社のグループがあります。南海電鉄、神戸電鉄、富士急、大井川鉄道、叡電、箱根登山鉄道の6社が参加しているのですが、他の5社の路線が、町から山を登って特定の目的地を結ぶ、基本的に登っては登りで、同じ神戸電鉄でも有馬線は部分的に下り坂があっても基本的に登っては登りなのですが、ちょっと粟生線は性格が異なるようです。

前面展望していると、普通、鉄道は行く手を山が遮っていた場合、トンネルを掘るか、水平方向に迂回するはずのところ、この粟生線は、上下に越えるんですよね。並行する道路より勾配が強いところもあったりして、急な坂道を一気に登って下り坂は一気に惰性で下っていく、つまりジェットコースター感覚の設計がされているように思われます。

日曜日の昼下がり電車、1時間に4本ある電車もうち3本は途中の志染(しじみ)という駅で折り返しになります。それでも志染から先も三木くらいまで、3両編成の座席の7割くらいは埋まっている感じです。小野を過ぎてようやくガラガラになりました。

乗車している1100系のトップナンバー1101です。なんか見覚えあるなぁ、と考えてみたら小田急の2400系そっくりです。丸いケースに入った2灯式ヘッドライト、Rの強い正面の窓、絞りのないストレートなボディ、3ドア両開き、2段式の窓、内装(写真は同系列の1300系)もブルーグリーンで、シートのモケットだけが小田急の青に対して緑なくらいで、車内放送で、急行箱根湯本行です、とか流れてきそうです。

昭和40年代っぽい雰囲気が存分に味わえる車輌で、帰りも同系列の1300系でした。新しい3000系、5000系、6000系も登場しているものの、まだまだ1100系や1300系は最主力のようです。

急行や準急であっても途中通過駅は少なく、追抜きは全くなく、到着時間も普通と大差ありません。山岳路線で高速運転に限界があることの他、鈴蘭台以外には際立って中心駅となるような駅がないことも関係ありそうです。全線を往復して廃止になるほど寂れているとはとても感じられず、なんとしても存続してもらいたいものです。全線4両編成乗り入れのための改良工事などサービスや経営の改善は続けられ、単年度赤字も減少するなど多少の希望も見えてはきているようです。

終点の粟生に到着、神戸電鉄粟生線、JR加古川線、北条鉄道のジャンクションになっていて、昼間の運行本数はそれぞれ1時間に1本ですがかなり効率的に連絡しています。

乗車したフラワ2000-1号、全線一閉塞、途中に交換駅もないので、これが粟生北条町間を行ったり来たりしています。

車内はドア付近を除いてゆったりしたボックスシートになっています。とても可愛い相客がいました。帽子がとてもカッコいい。

北条鉄道はスルッと関西じゃないので、1日乗車券を購入、鉄好みの硬券になってます。

北条町駅にはもう1台が泊まっています。10分で折り返し、途中の法華口駅で下車、次の列車まで1時間待つことにしました。

列車を見送る女性はボランティア駅長さん兼法華口駅内で営業するパン屋さんの店長さん(たぶん)、もう一人の女性と交代で上下の列車が到着する度に、列車が見えなくなるまで見送ってくれます。

駅舎は大正4年築、とてもきれいに整備されています。駅舎の屋根にクリスマスツリー用のライトが張り巡らされていて昨日から点灯しているそうです。

長~い自分の影、空にはひこうき雲、駅舎の中でのんびりコーヒーをいただきます。

ここまで梅田から2時間で来れるんですよ。