中之島で考えたこと
先週名古屋から帰って美の巨人たちを見ていたら森村泰昌さんが登場、行くべきか行かざるべきか迷っていた、中之島美術館の「驚異の部屋の私たち、消滅せよ— 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ —」へ後押しされてしまいました。
ウルトラ―黒い太陽の反対側にはSHIP's CAT、内部には去年北加賀屋でも見た宇宙船LUCA号。北加賀屋ではよく見えなかった背中の顔の全体が確認できました。
美の巨人たちでメインとなっていた森村泰昌 境界線上の船遊び 浄瑠璃船木谷千種のためにその壱は中之島美術館コレクションに含まれる木谷千種・浄瑠璃船の船上の人物全てが森村氏。美の巨人たちでは実物大で制作した船をプールに置いての撮影シーンが紹介されていました。
裏面は浄瑠璃船木谷千種のためにその弐。太夫の読む「傾城恋飛脚」で、忠兵衛と梅川の人形浄瑠璃が演じられています。
やなぎみわ アルゴー船の船首像の両側はロンドンなどの博物館で撮影された船首像、中央のふたつは新たに石膏等で作られたものの写真を逆さに並べた写真によるアート作品。
3人の最新プロジェクトの展示室の先は何も置かれていない、白いだけの展示室。あとでパフォーマンス作品消滅美術館で、自分が通った時は上演の空白時間でした。マイム俳優、ダンサー、講談師、落語家、能楽師など様々な人たちの15分間のパフォーマンスが行われているようです。このパフォーマンスとヤノベ、森村、やなぎの作品とどう関連づけられているのかは不明。パフォーマンスの感想とかAIにも探してもらったのですが、見つからず。
会場を出るとヤノベケンジ ジャイアント・トらやん、作品としては、首や腰を回し、腕を振って歌い踊り、口から火を噴くという機能があるらしいものの、ここでの展示では動きません。北加賀屋での展示のように、音や動きがヤノベ作品には欠かせないのではと感じます。
結局3氏のコラボ作品は最初のSpeederだけ、「驚異の部屋の私たち、消滅せよ」の意味は結局自分には理解できず、ヤノベ氏の作品は充実していたものの、森村氏の作品は北加賀屋のモリムラ@ミュージアムで得た感動は得られず、やなぎ氏の作品は改めて個展等で再確認しなければと思った次第。
フェルメールはパス
「驚異の部屋の私たち、消滅せよ」と並んで4階で開催中の「高島野十郎展」のタペストリー、4階も5階と変わらず賑わっているようです。ロウソクを描いた作品で知られ孤高の画家と呼ばれる高島野十郎展は明日まで。調べてみると展覧会は巡回し、7月からは渋谷区立松濤美術館。ところが中之島美術館は1,800円なのに、松濤美術館は1,000円、展示内容はほぼ同じらしくこの差は大いに疑問です。
周知のように8月にフェルメールの真珠の耳飾りの少女がここ中之島美術館にやってきます。ところがフェルメール作品がもう1点と、他のオランダ画家の作品が10点だけで3,000円というかなりべらぼうな価格設定で、さてどうしたものかと思っていたのですが、この高島野十郎展の松濤美術館との違いを知ってフェルメール展に行く気は失せてしまいました。
森村氏の境界線上のお船遊び 浄瑠璃船木谷千種のためにと並べて中之島美術館所蔵である木谷千種の浄瑠璃船が展示されていなかったのは、森村氏の意向だったのか中之島美術館の都合だったのかは分からないものの、モディリアーニや佐伯祐三などを含む6,000点もの中之島美術館のコレクションが長く公開されておらず、死蔵されたままになっていることがかなり気になりました。北野恒富や島成園など大阪画壇の名画も多数含まれており、これらは貴重な大阪市民の財産であり、大阪を愛した人々からの思い込めた寄贈品でもあり、貴重な自館コレクションを定期的に公開することは中之島美術館にとってフェルメールで稼ぐよりもずっと大切な使命であるはず。中之島美術館の運営が長期契約で民間事業者に委託されているのであれば、せめて天王寺の市立美術館で公開すべきかと。
外へ出るとそぼ降る雨にSHIP's CATが寂しげに佇んでいました。
もういちど第七景ハイハイタウン物語、実は美の巨人で北加賀屋で見なかったこの作品が紹介されているのを見て今日の展覧会にやってきた次第。自分が15年間通いつめているお店、居酒屋のはずがなぜかうどん屋になってます。ハイハイタウン(ハイハイ横丁)で撮った写真をモノクロにして並べてみました。のれんだけじゃなくて、開業当初からと聞く木製のカウンターチェアではなく森村氏扮するオードリー・ヘップバーンが座っているのはスチール製です。でも木のカウンター(一直線に40席分あり日本一長いと呼ばれる)や床のタイルはハイハイ横丁で間違いありません。ベテランのお店の人に訊いてみたものの、森村氏がいつ撮影にやってきたかは不明でした。
いつもの白鹿本醸造(白鹿のロゴ入りグラスでお酒が美味しくなる)とやきとり(塩)でチビチビやりながら中之島美術館の問題について考察を続けている自分です。
ある美術館の館長さんが、美術館の大規模特別展は、保険料や輸送費がかかりすぎて大半は赤字、もっと常設展を大事にすべき、と話されていたことが記憶に強く残っています。フェルメール1回で藤田は3回、久保惣は電車賃含めて2回くらい行けると考えたら、フェルメールを見たい気持ちは残るもののやはりパスです。