茶室に上る

紅葉のピーク、色々迷って奈良公園へ。大混雑でイライラさせてくれる東向商店街を抜け、餅つき見物の人だかりとよもぎ餅を求める大行列の中谷堂前を抜け、猿沢池へ。

この前はもう暖簾が外されていた阿慈味でランチ。朝から踊りのお稽古だったとかでまだ開店準備中のところを入れてもらいました。甘めの味付けが気に入った高野豆腐の卵とじです。

猿沢池の南側に殆ど水の枯れた水路があって中洲に舟形に囲まれたお地蔵さんが並んでいるのが前から気になっていたのですが、枯れた水辺まで下りることができると分かりました。率川(いさかわ)地蔵尊と呼ばれ、古いものではなく、周辺の河川工事の際に見つかった石仏が集められたそうです。枯れた水路の率川は春日山を源流とし、この猿沢池南側を除いて暗渠になって、佐保川に繋がっているそうです。こちらのページに流路が紹介されていました。

猿沢池から土管がまっすぐ伸びていて、覗いてみると猿沢池北側の紅葉らしきが見えます。

眼の前にオンブバッタ、♂が♀の背中に乗ろうとしているところです。オンブバッタって緑色だけじゃなくいろんな色があるようです。この大きな♀はほぼ真っ黒に白い斑点。♂の方はちょっと茶色っぽい。

率川から見上げた興福寺五重塔、見たことのない角度からの眺めです。保存修理工事のため、遠からず見えなくなってしまう五重塔、今のうちに撮っておきたいです。

錆びきった不審ヶ辻子(ふしがづし)町の住居表示看板。郵便番号が記載されているので昭和43年以降のものですが、広告は高島屋、奈良に高島屋があったことはないはずです。そごうは長屋王邸跡、今のミ・ナーラのビルにありました。

奈良ホテルバス停の裏に大イチョウ、あの辺りが今日の最初の目的地です。

瑜伽神社

瑜伽(ゆうが)神社です。石段下からの紅葉は期待ハズレ。さっきみつけた大イチョウが見えます。

ところが石段を途中まで上がりモミジの下に入ると一変、期待を上回る紅葉に圧倒されました。

石段を途中まで上ったところの眺めです。

本殿前の眺め。

坂上郎女が平城(なら)の飛鳥と詠んだこの小山からの眺め、大和三山は建物に隠れてしまっているものの、左手に音羽山、三輪山、右手に大和葛城山まで一望できます。万葉集をつくった男 小説・大伴家持という本を読んでいるところで、美しくも厳格な、大友一族にも朝廷にも強いリーダーシップを発揮する家持の伯母さん、坂上郎女です。

奈良大文字は高円山。

隣接する奈良町天神社境内には百度石ならぬ千度石、ずいぶんハードルの高い願掛けですが、神社によっては万度石もあるそうです。

奈良町の風情を色濃く残す高畑町の一画、右手の土塀は旧最勝院、興福寺子院の遺構です。

浮御堂前のホシハジロたちと鷺池のダイサギ。

電線にエナガ。

ナンキンハゼにカワラヒワたち。

下の禰宜道から茶山園地

下の禰宜道を歩きます。だーれもいません。

牝鹿が出迎えてくれました。

玉砂利の 奏楽めくや 初詣 青畝

自分でも読み取れる句碑、昭和の俳人、阿波野青畝の句です。幼少期から難聴だったそうですが、サクッザクッという玉砂利を踏む音が聞こえてくる句です。

新しい角が生えてきた若い牡鹿と目が合いました。

水谷茶屋は満席。「みずたに」と思い込んでいたのですが「みずや」と分かりました。

若草山の西側、茶山園地を歩きます。

五重塔が遠望できます。紅葉の額縁に入らないか試してみたカットです。

エナガが10羽くらいやってきました。

淡い紅葉のモミジがエナガによく似合ってます。

二月堂から大仏池

手向山八幡宮のイチョウ、門の屋根に積もった枯葉がいい感じ。

二月堂に上ってみました。ここが二月堂、隣が三月堂、向かいが四月堂、その隣が食堂、とさっきすれ違ったおじさんのダジャレがえらく気に入りました。

二月堂裏参道も紅葉。

裏参道の側溝にサワガニはいないものの、ゼニゴケとチャルメルソウ(たぶん)。

大仏池ではもうイチョウの落葉が地面を彩っていました。鹿たちが啄んでいるのはたぶん銀杏。

大仏池のモミジと鹿たち。花札のモミジの10点のような構図を期待していたのですが、ちょっと鹿が多すぎ。

子鹿がお母さんのお腹の下に潜り込みおっぱいタイム。

吉城園

新しくできた森の道から木戸を開けて吉城園に入ります。森の道から紅葉と黄葉、手前は吉城園の御手洗いです。

もう一度木戸を開けて茶花の庭に入ると何とも艶やか。

何かの木に絡まったツタも紅葉。

フジバカマの花がまだ残っていました。

逆光と順光でモミジ。

離れ茶室で「木霊と霊陶 岩﨑伸一個展」を開催中、「入場無料 どうぞご鑑賞ください」とあるので上がらせてもらいます。

いつも周りから眺めるだけの離れ茶室に入るのは初めて、靴を脱いで上ると石の手水鉢。そこかしこに木霊たち。

ずらりと並べられた木霊たち。突然木霊一体がコトンと倒れました。隣の部屋にいた人にスミマセン、僕が倒したんじゃないですが、と断っておきました。たぶん岩﨑さんご本人です。ついでに写真OKですか、と断って了解してもらいました。

障子の向こうはよくヤマガラが遊んでいる茶室の前栽です。

古池のある南側に三畳だけの小さな茶室、こちらには霊陶が並べられていました。

背の低いにじり口のような入口をくぐってきて、注意しなきゃと思っている矢先、写真を撮っている側の出口も低く、思いっきりガッツンと頭を打ってしまいました。

2週間前、奈良女のお嬢さんたちがお箏を聞かせてくれた縁側からの眺めです。

お気に入りの和風ハロウィンみたいな吊り灯籠を間近から。

母屋脇のモミジは紅葉じゃなくて黄葉。透明感のある黄色が美しい。

円筒を広げた20世紀初頭の板ガラスに映り込んだモミジ。この時から3年で20回くらい通っている吉城園です。