師走の週末

クリスマスソングが鳴り渡る12月になり、気忙しさばかり先立ってしまいます。土曜日は何年かぶり、いや何十年かぶりの観劇で近鉄アート館、おぼろげな記憶の限りでは、ジーザス・クライスト・スーパースターかキャッツ以来かと。まだお昼前で快晴なのに薄暗い天王寺駅前です。

ヌーのコインロッカーは使用禁止

ひょんなことでチケットをいただいた上西雄大さん率いる劇団テンアンツの「ヌーのコインロッカーは使用禁止」、同名の映画の舞台版です。早めに入場も早々に上西さん自身による前説が始まり舞台の世界に引き込まれました。

舞台は通天閣が見える西成区か浪速区辺り、出所してきたばかりも覚醒剤売買で一儲けをたくらむ、上西さん演じる「カーブ」と、自分が捨てられたコインロッカーの前で絵を書き続けている自閉症の「ヌー」の物語です。

ヌーを演じるのは公演ごとにテンアンツ看板女優の徳竹未夏さんと古川藍さんの交代でこの回は徳竹さん、古川さんはヌーの描いた絵を買いに来る出版社編集長役。ちょっと裸の大将を彷彿とさせるストーリーも、自閉症という課題に真正面から取り組んだ社会派の作品でもあります。

総勢50人ほどの個性たっぷりの役者さんたちによる涙あり笑いあり、前説も含めて延々4時間もの大舞台も、あっという間でした。涙を拭いつつエントランスホールでお見送りの上西さんに握手してもらって大感激、物語にも登場したジャンジャン横丁へ。

駒川商店街

そして日曜日、去年の同じ日に訪ねている駒川商店街へ。駒川中野駅側はさほど人が多くないものの、針中野駅へ進むほど混んできて歩きにくいくらいになります。

ダイソーの店頭に「店内写真撮影OK」のポスター、その下に「店内撮影☓」とも掲げられていて矛盾していますが、どうやらOKのようです。ダイソーの自信の現れかと。

針中野食堂はウチの近所のまいどおおきに食堂よりかなりメニューが豊富。テイクアウト専門の吉野家も初めて見ました。

入ってみたいお店がいっぱいあるのですが、結局今日もさんきゅう水産にしました。近鉄南大阪線の高架下、電車はパンタグラフしか見えず、吉野特急の短い通過音が聞こえてきます。

大ネタ、仕事をしたネタが10貫880円のサービスセット、手前右のシャリだけに見える巻物はエンガワです。シャリの5倍くらいあるギョクはちょっと甘めでお気に入り。お椀はしっかり骨に身の残っているあら汁。最近よく行く布施や小阪にあるもりた水産も以前はさんきゅう水産だったらしく、サービスセットの内容はほぼ同じですが、ギョクはさんきゅうの方が少し大きく見えます。

不動産屋さんの店頭を覗くと、自分ちの周辺より2割くらい安げです。住心地の良さげなこの街にちょっと惹かれます。

タバコの吸える喫茶店を見つけいっぷく。カウンターの上のカゴに老眼鏡が詰め込まれていて客層が見えてきます。

いい感じの模型店、自転車の向こうの駐車場らしきところにはミニ四駆のレーシングコースがあります。

10分ほど歩いて長居植物園の北東ゲートに到着。

長居植物園北東ゲート外側から内側へ

開設されてからもアジサイとかのピーク時以外は植物園の北東ゲート、漸く計画されていた無人ゲートが完成したもののQRコードが無いと入れないようです。証明書ご提示でご入園のお客様はお手数ですが植物園正門へお回りください、とあります。ジョウビタキらしき声が聞こえるもののここからは入れません。

以前のように植物園の西側、南側をぐるっと回らなくても、水辺の無い「水辺の散歩道」から正門へショートカットできるようにはなったので、10分ほど歩いて正門へ、免許証を提示して高齢者無料で入ります。あっちからは入れないんですかと尋ねると、ネットから登録してQRコードを発行するシステムになっている由、説明書をもらいました。出る時は誰でも出られるそうです。

ネモフィラやヒマワリが一面に広がっていたライフガーデンは何も植えられておらず土くれの原っぱが広がるばかり、コウテイダリアが背を伸ばしていました。

コウテイダリアを撮ろうとしたら上空でチョウゲンボウがホバリング、何とか証拠写真が撮れました。

キッチンガーデンでは白ナスが細長い実をならせてていて、コスモスが僅かに残っていました。

今の時期、花は少ないはずと思っていたのに、バラ園がこんな時期にバラがいっぱいでビックリ。

地面から離れた背の高いプランターにのった朱色のバラはトランペッター。幹が地面から伸びていてバラは樹木と分かります。

Rayon de Soleil、まさに太陽の光のように輝いてます。

純白のアイスバーグ、別名が白雪姫、世界バラ会議で殿堂入りしている白バラの名花だそうです。

開ききっていないゴールドバニーと中が淡いピンクのエーデルワイス、何とも色っぽい。

ディズニーランドローズとBlue Bajou。カリブの海賊にあるレストランのことかと思いきや、TDLの方はBlue  Bayouです。

構図も光の加減も、バラの花を撮るのはすごく難しく奥深いと初めて気づかされました。園芸品種の花にはあまり興味がなかったのですが、バラの魅力を改めて教えてもらったようです。

バラ園となりのボタン園にはなぜか一輪だけボタン。ボタン園の向こうにジュウガツザクラ、薄ら寒い空が似合う桜です。

まだ僅かに残っているダリアが可愛い。寂しさを訴えかけているような一輪のダリア、何となく昨日の徳竹未夏さんのヌーを彷彿とさせます。やはり美しさばかりのバラより好きかも。

八重咲の賑やかなダリアじゃなくてなぜか地味な一重のダリアばかりが残ってます。

万葉のみちにまだフジバカマ。

萩の花 尾花 葛花 瞿麦なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝皃あさがおの花 - 山上憶良

足元に立てられた、秋の七種の花を詠んだ山上憶良(万葉集巻八)の歌です。尾花とはススキ、アサガオは当時まだ渡来しておらず朝皃はキキョウのことだそうです。花の名前を並べただけでもこんなリズミカルに情緒たっぷりな表現ができるんですね。

隣にはツワブキ。

ノジギクが満開。

父母の殿との後方しりへの ももよぐさ 百代ももよいでませ わがきたるまで ‐ 生玉部足國

ももよぐさはノジギクのこと、屋敷裏に咲いていた百夜草のように自分がもどってくるまで両親がずっと元気でいてくれることを願った、遠江から筑紫に派遣された防人の歌です。

ノジギクの花びらにのっているのはヒラタアブ(たぶん)。

長居植物園北東ゲート内側から長居公園南西口

北東ゲートの内側まで1時間かけてやってきました。正面にあべのハルカス。

小池を囲むメタセコイアが圧巻。

芝生広場の半分くらいを一面モヤモヤっとした植物が覆い何やら幻想的。ミューレンベルギア・カピラリスというイネ科ネズミガヤ属の一種だそうです。向こうに見える白い部分は大池の池面。

反対側へ回って小池のメタセコイアをバックにミューレンベルギア・カピラリス、触ってみるとフワフワしています。季節や時間、天候で大きく変化しそうな景色です。

おや、オオバンじゃなくてバン、淀川に行かなくなったのでずいぶん久しぶり、お尻がこんなにきれいだとは初めて気づきました。

体の大きさとアンバランスなヒレの無い大きな足です。

イロハモミジと三裂の紅葉はトウカエデ。

こちらも久々、オカヨシガモです。

スイレンの葉っぱの間にホシハジロもいました。

自分から3mくらいのところで魚を狙うダイサギ。

カワセミも登場。慌てて撮った一枚ですが、コントラストが強いのでくっきり撮れてました。まだ3時過ぎなのに薄暗くなってしまった長居公園南西口、寂しさがつのる景色です。

帰ってから植物園でもらった説明書に沿って手続きしてみようとしたら、マイナンバーカードのコピーをアップロードして、さらに1回登録すれば何度でもOKじゃなくて、植物園に行きたい日の前日までにその都度登録する必要があると分かり、アホらしくなって止めました。まったくもって不可解なシステムですが、北東ゲートから出られるようになっただけでも良しとしておきましょう。もし針中野駅周辺に引っ越すことになって、その時もこのままだったら植物園に文句をいうことにします。