新しいカメラ

長年愛用してきたカメラがおかしくなりました。電源を入れると「電源を入れ直して下さい」というエラーメッセージ。何度入れ直しても同じエラー、時々電源が入ることもあるものの、これまでに2度同じ症状を経験していて、1度目はまだ買ってから1年経っていなかったので無償修理、2年くらいして同じ症状で、修理に本体価格の半分くらいの費用がかかった覚えがあります。2回目の修理以降は5年以上元気に動いていたのですが、どうやら限界のようです。

Fuji FilmのS1という機種で、ネオ一眼とも呼ばれる高倍率ズームのコンパクトデジカメです。640gで50倍ズーム、1200mm相当の超望遠で価格も手頃、バードウォッチングを始めるには最適と購入したのが7年前です。

夜間の撮影はからきし使い物にならなず、動きのあるものも苦手ですが、とても使いやすいカメラで、毎週のお出かけに欠かせない道連れになり、100m先の鳥と間近の花や昆虫をレンズ交換することなく撮ることができ、自然にふれる醍醐味を存分に味あわせてくれました。このカメラで撮ったコハクチョウの写真をちちんぷいぷいで褒めてもらったこともとても嬉しい思い出です。

機種選び

いずれ一眼レフとはずっと思っていたものの、バードウォッチングには本来、500mmや600mmの超望遠レンズが必要で、価格も大きなハードルですが、クルマをもっていないので、重さも価格と匹敵するハードルになります。2kgもあるようなレンズとなるとそれを支える頑丈な三脚も抱えて歩くことになり、できれば箸より重いものは持ちたくないという自分にはとても無理です。

このS1の寿命は長く無さそうとはずっと感じていたので、代わる機種はずっと探していました。Fuji Filmは既にネオ一眼から撤退、他のメーカーも積極的なネオ一眼の開発は行わていないようです。ネオ一眼の最高峰となる125倍ズームのNikon P1000はネオ一眼なのに1.5kg近くありネオ一眼の気楽さや軽快さがありません。発売後3年ほど経つものの概ねFuji Film S1と同等のスペックのCanon SX70が価格も手頃で第一候補と考えていました。

で、先週大原野の田んぼで実際にS1がおかしくなって、さあどうしようと見つけたのが9月に発売されたばかりのSony Vlogcam ZV-E10というミラーレス一眼です。レンズ交換ができるカメラでも本体重量が300gを切ってます。静止画より動画メインで「めざせユーチューバー」に向けた分かりやすいマーケティングで、kakaku.comの売れ筋ランキングでも圧倒的な一位のようです。早速ビックカメラへで実機を手にとってみたところ、オートフォーカスがすごく速くて一目惚れしてしまいました。

気になるのはファインダーが無いことですが、照準器をつけることもできますよとお店の人のアドバイス。まだ発売されて間がないものの、早速試してみたユーチューバーさんたちの動画も多数、売れ筋一位なので今後どんどん情報が発信され、サードパーティのアクセサリーもさらに充実してきそうとも期待できます。お店に在庫は無いものの他店の在庫を手配できるということで即決、初期ロットから十分な生産数が手配されていたようで、Sonyの自信が感じ取れます。Sonyの担当さんの説明が、ネットで自分で調べるよりずっと分かりやすかったのも大きなポイントになりました。

S1で懲りているので、5年間長期保証付きで購入、3日後手元に到着。コンパクトなボディに多様な機能がびっしり収まったところはいかにもSony、ミノルタの光学技術をベースにSonyのマーケティングが詰め込まれていると感じさせます。大学生の時、初代Walkmanを買ったことを思い出しました。

Vlogには必須とされるシューティンググリップも併せてゲットしたものの、てっきりジンバルのような強力な手ブレ補正があるとばかり勘違いしていました。シューティンググリップだと手ぶれ補正は本体に依存すると分かったものの、スマホ用と異なりカメラ用ジンバルはそれだけでもかなりの重さになってしまうので、これで良しと自らをナットクさせます。

吉城園

まだ使い方が殆ど分かっていないものの、とりあえず出かけてみることにします。望遠ズームはまだ買っていません。16mm-50mmだけです。鳥を撮る時にはS1がまだ動いてくれることを期待して両方持って奈良公園へ。iPhone12を含めて3つのカメラの写真が混在するので、機種名を写真の隅に重ねておきます。

いつものように東向商店街から奈良基督教会脇の坂道を上り興福寺。なぜか溝でくつろぐ鹿たち、たぶん溝に溜まった湿った落ち葉が心地いいのではないかと。

吉城園でVlog風動画にチャレンジしてみたものの、色々と課題に気づきました。

  • カメラを左右に回すのが速すぎます。もっとゆっくりゆっくりと。
  • 風音軽減のためのもふもふの布のついたウィンドスクリーンが付属しているのですが、取り付け方が分からずそのままで撮ったら自分の息まで録音されていました。さらに風音低減のメニューもオフになっていました。砂利の上を歩く音はいい感じです。
  • 電動ズームは動画ではぎくしゃくしてモーター音も入ってしまうので、手動でレンズを回すか、それより動画の途中でズームインズームアウトはできるだけ避けてオートフォーカスが合ってから録音するのが良さげです。
  • 手ぶれ補正してくれるSonyのアプリを試してみたものの、画面をトリミングすることで補正しているので、画面全体がピンボケっぽくなってしまい、ソフトでの手ぶれ補正はやめました。

まだまだ課題が出てきそうですが、いつも気軽に楽しませてもらっているVlogerさんたちの作品の数々はかなり勉強と工夫と投資の成果と痛感しました。

茶花の庭に一輪だけシュウメイギク、花の端境期で広い庭園で咲いていた花はこの一輪だけでした。花びらに止まった虫は不明。

その隣にチャバネアオカメムシ。

エナガ軍団が登場、どう考えてもZV-E10では無理なので、慌ててS1を引っ張り出して撮りました。コゲラも登場。

ZV-E10に戻ります。花の代わりに園内を華やかにしてくれていたのがリスアカネ、たくさんいてそこら中を飛び回っていました。今年はリスアカネの当たり年なのか、アキアカネやショウジョウトンボよりもよく見かけます。

スギゴケの発色はいい感じです。

S1でシダに止まったリスアカネがとてもいい感じに撮れました。S1修理するのも選択肢かなぁ。

ヤマガラくんが出てきてくれました。ZV-E10でこんな感じ。このあと1m近くまで来てくれたのですが撮れず。

砂利に止まったリスアカネ。

吉城園を出て右手、依水園の向こうに見えるのは月は上りぬにもでてくる南大門の西側です。

ぐるっと奈良公園

前回も同じ場所にいたイソヒヨドリ♀。全画素超解像ズームで50mmからさらに2倍くらい画質を落とさずにズームできるのは結構使えます。

吉城園からまっすぐ北に戒壇院の石段、ここも月は上りぬにでてきました。戒壇院を左手から回り込んだ北側に大仏池があります。

若い冬毛の牡鹿がやってきました。かっこよくギャロップ、4足とも宙に浮いてます。このシーンはZV-E10ならではかも。

ツマグロヒョウモンがエッチしてました。あっという間に離れてしまい、♀の「早すぎ(- -メ」という声が聞こえてきそうです。

大湯屋前の古池、クロイトトンボはS1で。

体長20cmくらいのウシガエルです。S1で寄せるといささかグロテスクもZV E10で引くといい感じに写っていたものの、ファインダーが無いので被写体を見失いやすいです。

二月堂裏参道にサワガニはおらず、いないところをS1で撮ろうとしたら「電源を入れ直して下さい」エラー発生。何度かレンズを強く押して電源を入れ直すと電源が入ることもあるものの、どうにも当てにならなくなりました。

水谷茶屋でひと休み。

ちょっと恥ずかしいけど、せっかくのVlogカメラなので自撮りを試してみました。もっと引いて撮るべきですが、背景はいい感じでボケてます。

一輪だけ残っていたサルスベリ、引いて撮っても花の精細感があります。東金堂と五重塔の間から撮った興福寺南円堂はかなり距離があるのに、宝珠水煙までくっきり。それに全体の奥行きも感じられます。

東金堂前で西門跡の発掘現場が公開中、発掘された回廊の基壇付近から平清盛の南都焼討の時の焦土が見つかったそうです。さらに五重塔の公開も行われていました。

前から行ってみようと思っていた猿沢池近くのお店で松花堂弁当。シューティンググリップの三脚を広げて撮ってみたビールの背景のボケ方はいいものの、料理自体はiPhone12のほうが美味しそうに撮れました。

S1の前はSony WX300という20倍ズームのコンデジ、このWX300でカワセミが撮れたことがバードウォッチングにはまる大きなきっかけになりました。50倍ズームのS1になって100m先まで被写体になり感動体験を重ねてきました。さてZE-V10でどんな新しい体験ができるでしょう。そのためにはこれまでのカメラと違ってかなりの使いこなしが必要になりそうです。

早速ひとつ文句をつけるとしたら、メニュー画面のユーザーインターフェイスがめちゃ使いにくいです。スマホがこれだけ普及している中、タッチパネルといっぱいボタンやダイヤルを装備しながら、都度マニュアルサイトを参照しなければならない分かりにくい操作とダサいデザインは、スマホにやられっぱなしのカメラ業界の弱点をさらけだしているように感じます。ソフトウェアアップデートで対応できるはず、Xperiaの開発チームからデザイナーをスカウトするといいかも。