豪雪のあと - えちぜん鉄道編
キーボは田原町からえちぜん鉄道のベテラン運転手さんに交代、福井鉄道の若い運転手さんに見送られ三国芦原線に入ります。
八ツ島駅、大型車用ホームを通り過ぎた先に低床車用ホームがあります。
その先、新田塚駅は大型車用ホームの両側に低床車用ホーム。左側のドアが開いて、右側ドアの向こうには大型車用ホーム。
九頭竜川を渡ります。
その先は一面の田園地帯。福井鉄道沿線より雪は薄く、雪が溶けた田んぼはシャーベットが張ってます。この付近LRTとは思えない速度で、広電宮島線といい勝負かも。
鷲塚針原
キーボの終点、鷲塚針原駅に到着。本線の東側に低床車用行き止まり式ホームが設置されています。
6000形福井行が発車、キーボの目の周りの部分が赤く尾灯になっています。
この先三国港方面へは21分待ち、鷲塚針原から先は相互乗り入れのメリットは殆どありません。運転手さんも折り返しまで40分もあるので、ホーム周辺の掃除を始めました。この辺りもまだ雪が残っていますが、運転手さんに聞いてみたところ、2月の豪雪ではこの辺りで1m、福井市中心部で1.5mは積もったそうです。
田原町方向は目がテンに切り替えられ、反対側が赤い目に。この何とも言えない下膨れの可愛いフェイス、機能的に意味のない無駄な装飾を施すこと無く、表情を演出した極めて秀逸なデザインです。M岡デザインと対極にあると思います。
福井市から坂井市に入った下兵庫こうふく駅付近、両側に広ーい田園地帯が広がるものの、もう雪は殆ど残っていません。車窓から必死にマガモやコハクチョウがいないか探しますが何も見当たりません。チョウゲンボウが電車と並走して飛んでいるのは見ました。
えちぜん鉄道のアテンダントさんのユニフォームが去年のベージュのスーツから濃いブルーに変わってました。相変わらず美人が多いですが、女性運転手さんも多い福井鉄道とは違って、依然、検札や発券と案内だけの綺麗どころ的な業務だけのようです。本来の車掌さん的業務をもっと任せると彼女たちのキャリアパスにもなるはず。
あわら湯のまち駅でレンタサイクルを借りることにして、6000形電車を見送ります。芦原温泉の温泉街はこの周辺で、JR北陸線芦原温泉駅からだと、温泉旅館の送迎バスにお世話にならざるをえず、えちぜん鉄道に優位性があります。あわら湯のまち駅に低床車用ホームを作ってキーボやフクラムを福井駅から直通させると相互乗り入れの意義も高まるのでは。
広ーい田園地帯も鳥は全然見つかりません。2峰の尖った山は丈競山、高い方の南峰が1045m。
漸く電柱でお食事中のミサゴを発見、山が迫るものの海も遠くないのでミサゴがいて不思議はないです。川にいたコガモたちは数10mも先の自分の僅かな動きに気づいてバタバタバタと逃げていきます。これほど人恐れするカモは珍しいです。
田園地帯の真ん中で三国芦原線を撮ります。2枚目中央の真っ白な鋭鋒は福井県最高峰の経ヶ峰。
本荘
一日中晴の予報だったのに、だいぶ曇ってきました。目的地のひとつ本荘駅に到着、去年車内から見つけた電鐘式の構内踏切です。
5分ほど上り電車を待っていたら、道路の踏切は鳴りだしたものの構内踏切はいつまで経っても鳴りません。漸く構内踏切は下り線だけと気づき、20分先の下り電車を待つことにします。
駅周辺をぶらぶらしていたらミサゴが登場。さっき電柱の上にいたのと同じミサゴかと。
本荘駅です。昭和3年築の駅舎は登録有形文化財。今日の相棒のレンタサイクル、フレームとチェーンカバーにえちぜん鉄道のシールが貼られていて、電車を運転している気分になれます。1日100円は安すぎ。
駅名標の向こうの雪山の嶺はたぶん能郷白山。漸く「大関駅を出ました」が点灯しました。
チンチンチンチン、電鐘式サウンドです。誰も下りてこないと思ったらひとり下りてきたので、電車到着まででカットしています。
6000形電車を見送りあわら湯のまちへ戻ります。またまたミサゴ登場、獲物をぶら下げています。
ミサゴ以外には何も見つかりません。鳥見でボウズ(釣果じゃなくて鳥果が少ない)の時ってミサゴが出てきてくれると気が付きました。南港野鳥園が典型的で、吉野川や夢前川でもそうでした。
中角
せっかく有名温泉街に来たのにやはりお風呂には入りませんでした。
今日最後の目的地、中角駅です。乗ってきた6000形が九頭竜川橋梁を渡って行きます。なんとここでもミサゴがホバリングしてました。実に今日4回目ですが、本荘とは別のミサゴのはず。
キーボがやってきました。
本荘付近より田んぼに雪が残っています。曇り空でも映えます。
立地上低床式ホームを設置できない中角駅をキーボは通過、九頭竜川橋梁を渡ります。
線路の東側から6000形。振り返るとスキージャム勝山のゲレンデ全体がよく見えます。コースのバラエティ感まで見て取れます。調べてみたら手ぶ楽パックという板もブーツもウェアも借りて1日券込で10900円、スキーとはとっくに縁が無くなったと思っていたけど、これはアリかも。
5000形電車で帰ります。1両だけ残る京福時代からの車両で、えちぜん鉄道唯一のロングシート車です。新田塚でフクラムブルーと交換。
土曜日の夕方の上り電車、よく混んでますが、田原町で乗り換える人は少く、福井までこのまま乗車の人が殆どです。アテンダントさんのサービスは福井口まで。
福井駅
福井に到着、その先崖っぷちのようなところで線路が途切れています。このホームは2022年開業予定の北陸新幹線のもので、えちぜん鉄道が間借りしている状態です。
えちぜん鉄道福井駅ホームの隣に赤いビルができていて6000形が崖っぷちギリギリのところに停まっていました。えちぜん鉄道福井駅はこの赤いビルの中に移転し6月に開業予定で、もうかなり仕上がっていて既にレールも敷かれています。
えちぜん鉄道が北陸新幹線のホームを間借りしている経緯は鉄道ジャーナル2016年7月号に詳しいです。去年来た時もこれを読んで福井へ行って見たくなった訳ですが、この赤いビルと崖っぷちで途切れた線路を見て、長く工事の続く福井駅の完成イメージが明確に理解できました。間借りしているホームが新幹線にしてはえらく狭いと思っていたのですが、北陸新幹線福井駅は新幹線の駅としては全国的にもたぶん類を見ない島式ホーム1面2線しか無いということです。
開業後、追い抜きや緩急接続はできません。折り返し列車の設定も容易ではなく、金沢-福井先行開業が難しい理由にもなります。遠い将来大阪まで開業しても福井駅は1面2線のままの可能性が高いです。福井鉄道の市役所前-福井駅間のように、ダイヤ設定のネックにならないか、心配になってきました。
福井駅東口に現れたえちぜん鉄道の駅ビル、東口は仮囲いで囲まれ全面的に工事中です。整備の完了した西口にはブロントサウルス、時々首が動きます。
駅前でちょっといっぱいやって出てきたらすっかり日が暮れていました。駅前バスロータリーに出入りしているのは京福バスばかり、見慣れた京都バスと同じクリームと臙脂色です。京福電鉄が撤退してえちぜん鉄道になったもののバスは昔のまま、福井の地域交通のかなりを今も京阪グループが担っていてビックリです。
福井駅経由越前武生行普通の770形、ホームで待つ人影は疎らです。去年同じ場所でレトラムとキーボのツーショットを撮った時、駅前の東横インに泊まると楽しいだろうな、と想像していたのですが、去年はたまたまイベントの日だっただけで、普段はほぼ終日上下それぞれ30分に1本だけ、殆どが880形か770形で、せっかくのフクラムが入線することも多くはないことが分かりました。
福井駅から越前武生方向への短絡線の計画はあるようですが、まだまだ先のことかと。えちぜん鉄道への第三セクター化や、経営破綻した福井鉄道の上下分離方式での存続、LRT導入や相互乗り入れ開始、福井駅と周辺再開発もほぼ見えてきたところで、えちぜん鉄道は黒字化、福井鉄道も大幅に乗客増という結果を出しており、大変な紆余曲折を経てようやくここまでたどり着いたとはよく理解できるのですが、いっぱいやった飲み屋店内の賑わいは街に広がっていないようにも感じられます。まだまだ長い長い道のり途中にあるようです。
希望が膨らむには、えちぜん鉄道と福井鉄道の経営一本化が手っ取り早いのでは、と思うのですが、どうなんでしょう。