近鉄の鮮魚列車

以前、京成沿線に住んでいた時、行商専用列車というのがありました。

巨大な荷物を背負った、成田や佐倉あたりの農家のおばあちゃんたちが、東京の下町、曳舟とか町屋あたりに行商に行くための専用列車です。赤い京成電車の中で、古い緑色の車両が使われていた記憶があります。

調べてみると、なんと今も運行されているようですが、列車全体ではなくて、一部の車両だけになってしまっているようです。確か常磐線でも快速が103系だった頃、一部が行商専用車両になっていた記憶があります。

灯台下暗し、近鉄でも大阪線に鮮魚列車なるものが今も運行されていて、9時ちょうどくらいに3・4番線に入線、ホーム先端の方に停車するとの情報を得て、朝の上本町駅に行ってみました。

なぜか3番線降車ホームには台車を準備したおっちゃんたちが多数います。8時57分の国分行普通が出たらすぐに入線してきました。昔ながらの近鉄マルーン一色塗装の2680系3両編成、正面には白い帯があります。

やはりホームの先端の方で止まり、改札口の方までは入ってきません。行商のおばあちゃんたちが降りてくることを期待していたら、車内は、魚が入っていると思われるダンボールを積み下ろす人たちばかりです。ホームで待機していたおっちゃんたちはその荷受を手伝いにきていた人たちと分かりました。どうやら鮮魚列車は行商専用列車とは自分の思い込みで、これはあくまで鮮魚列車のようです。

ホーム先端に停車しているのは、目立たないようにするためかな、と思っていたのですが、そうじゃなく、3番線ホームの先端の方、シェラトンホテルの裏あたりにどうやら秘密の出口があるらしく、そのためと分かりました。

2680系は元々急行列車用で、クロスシートでトイレ付きです。大半のクロスシートはロングシート化されていまいますが、トイレの前はクロスシートが残されています。近鉄で初めて冷房を装着した車両でもあるようです。

近鉄のサイトに鮮魚列車の由来が掲載されていました。

近畿日本鉄道では、三重県の漁港へ早朝に揚がった海の幸を奈良や大阪へ運ぶ行商人のために、宇治山田→上本 町に鮮魚専用列車(以下、鮮魚列車)を運転しています。

とあります。やはり本来は行商のおばあちゃんたちのための列車だったようです。それが、おばあちゃんたちがいなくなって、違った利用のされ方になっているみたいです。渋滞に巻き込まれない商品の搬送方法みたいな感じかなと、思うのですが、詳細は不明です。

でも自分が見かけた運んでくる商品量からしたら、ちょっと納得できない感じがします。あるいは行商のおばあちゃんたちは鶴橋あたりで下りてしまったのかも、とも考えられます。上本町までくるよりも生野区あたりの方が、販売先がずっと多いはずです。鶴橋に行ってチェックしてくる必要がありそうです。