蕪栗沼行追補

宮城県北部ラムサール条約登録地めぐりの追補です。

御嶽山の先に北アルプスがバッチリ撮れていたので、航空写真と見比べて山の名前を書き入れてみました。山に詳しい方、間違っていたらご指摘を。(画像クリックで元画像)

穂高連峰から松本盆地に流れ込む梓川も見えます。新島々から山小屋の番人をしていた友人を訪ね徳本峠、雨の中上高地へ抜けたのはもう30年以上前のことです。針ノ木岳の向こう側、黒部湖を挟んで立山は雲の中かと。立山に上り、黒部渓谷鉄道に乗ったのも30年くらい前。

もう1枚、八ヶ岳です。北アルプスと比べるとずっと優しい稜線が麓の高原に広がっています。この麓のペンションでバイトしていたのは40年ほど前の話。調べてみたらそのペンションまだ元気で営業していました。折からのペンションブームで脱サラして東京から八ヶ岳山麓へやってきたオーナー夫妻、めちゃがんばったようです。

ペンションの雑記帳に、昨日のビーフシチュー、めちゃおいしかった、と書かれていて、缶詰を開けただけだったとはとても言えなかったのが懐かしい。でもニジマスのホイル焼きとかはしっかり作りました。

伊豆沼・内沼周辺案内図です。新田駅の隣に石越駅という聞き覚えのある駅、栗原電鉄(電化廃止でくりはら田園鉄道と名前を変え平成19年に路線廃止)の起点だった駅です。今回の旅は殆ど鉄分ゼロだったのですが、調べてみるとなんとくりはら田園鉄道公園というテーマパークが平成22年にオープン、去年3月にはくりでんミュージアムという鉄道博物館もオープンしています。案内板に農産物直売所くりでんとある位置、栗原電鉄本社や車両基地のあった若柳駅だった場所です。

900mほどの線路が整備されていて、月1回くらいの乗車会が開催されているそうです。動態保存が5両、静態保存が3両もあり、いずれも保存状態は良く気動車の運転体験もやってます。レールバイクというアトラクションも楽しそうです。航空写真をじっくりチェックしてみると、石越駅から細倉鉱山駅までほぼ全線の路盤が残っているのが分かりビックリです。

写真は伊豆沼周辺の田園地帯ですが、おそらく栗原電鉄廃線跡沿線でも似た光景が見つかるはず。

伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターに掲げられていた蕪栗沼紹介パネルです。周辺水田は「ふゆみずたんぼ」とあり、空からの写真で沼の東半分がそれっぽく見えます。もうひとつは蕪栗沼現地の注意看板です。沼の東半分は白鳥しらとり遊水地と紹介されていて、その東側の広い田園地帯も野谷地遊水地となっています。

オオハクチョウたちがヨシの茂みに点在していた沼の東半分が現役の田んぼとはどうしても思えず、調べまくって漸く白鳥遊水地は10年ほど前に沼に復元されていると分かりました。

ふゆみずたんぼ(冬期湛水農法)はコウノトリの豊岡安来市の田園でも実施され鳥たちを育んでいるのを実際に見てきたのですが、特に安来で見た冬期湛水田と較べるとこの付近の水深はかなり浅いように見えます。気になってさらに調べているとふゆみずたんぼについてかなり詳しく紹介しているサイトを見つけました。

冬期湛水時の水深を少なくとも20cm以上に保つ必要があると示されているものの、野谷地地区の田んぼがこの条件に沿っているようには見えません。それでも動画のようにものすごい数のマガンたちが集結していました。どうやらマガンたちは野谷地地区の田んぼでギリギリまで採餌して、自分が帰ったのはちょっと早すぎて、もっと暗くなってから他の湛水田あるい蕪栗沼や白鳥遊水地の塒へ移動したんじゃないかと思われます。これはいずれ改めて出直す必要がありそうです。

当地から始まった冬期湛水農法は全国的に広まり、豊岡や安来も宮城県から学んだものと思われますが、農薬や化学肥料を使用しないことで慣行栽培と比べ2割減収、さらに農閑期でも厳密な水管理が必要な訳で、ふゆみずたんぼに取り組む農家さんに頭が下がります。

ラムサール条約登録が単に蕪栗沼だけじゃなくて「蕪栗沼・周辺水田」として人の営みも含めて登録されており、ふゆみずたんぼに取り組む農家さんの活動を評価し支援することが明確になっています。ちなみに豊岡も「円山川下流域・周辺水田」として2012年に登録されており、周辺水田が含まれているのは全国で今のところこの2箇所だけです。

農機具小屋ひとつ立っていない登米市野谷地地区の田園、白い点々はオオハクチョウ、低い山並みの向こう側は南三陸町です。