枯木灘のイソヒヨ

南紀の江住へ行ってみたくて、ずっと天気予報とにらめっこしていたのですが、大潮で干潮が昼間、降水確率はほぼ終日10%、最大風速も3m/s、条件の揃った今日に決めました。

JR西日本はお盆も平日ダイヤ、休日は6:49発の紀州路快速湯浅行は6:45発で関空快速と併結運転、日根野で分割のため4分早発です。この湯浅行は3月まで新大阪始発梅田貨物線経由だったのが天王寺始発に短縮されてしまったものの、行き止まり式の3番線発、それに丸いヘッドライトの223系0番台でひとり盛り上がります。

元新快速乗り鉄

朝の紀州路快速は熊取の先も快速運転なので昼間より10分くらい早く和歌山到着、8:05発117系の紀伊田辺行333Mに乗り換えます。

車内は新快速当時のままのフルクロスシート。冷水浦を過ぎた辺りから海が見えてきます。対岸はマリーナシティ

しばらく山の中を走った後、印南からふたたび海岸線に出てきます。海へ向かう踏切右手の森は岩代王子

誰もいない千里の浜を眺め、ほどなく紀伊田辺に到着。

一色塗りに変更された117系も、ドドメイエローやドドメグリーンと違って、水色一色は許せます。4連ワイパーもカッコいい。

283系のくろしお1号がやってきました。283系は故障が多く、白浜から南へは乗り入れしなくなったと聞いていたのですが、復活したようです。ここで283系が似合う美人運転手さんに交代。

283系、117系、105系、微妙に水色が異なっています。くろしお1号は9連、増結最後尾は貫通型のクハ283。

回送表示になった117系SG001編成を観察、中間車2両は117系300番台で一部ロングシート化されていました。号車札や種別表示札のサボ受けがそのまま残っていたり、車側灯が車両によって形状や設置個数も違っていたり、側面方向幕は埋め込まれてしまっていたりと1両ごとに違っています。

車体の傷みが激しく、晩年の常磐快速線103系を彷彿とさせるものの、車内は清潔で、空調も程よく効いて快適でした。

次の新宮行まで45分もあります。ちょっと外へでてみたものの暑いので、駅に戻ります。3番線には117系が冷房を効かせたままですが入れません。JR西日本和歌山支社の社員さんたちはいつも愛想よくて好感しているだけにちょっと残念。

漸く117系の向こうの側線に止まっていた105系が折り返し入線してきました。大阪から江住へは特急でも18きっぷでもこの2331Mが1番列車になります。

紀伊田辺からは単線、こっちが発車する直前に新宮発くろしお16号が到着も。105系の汚れた窓でピント合わなかったものの、ウェッジシェイプのクロ283を先頭にこちらも9連、つまり18両しかない283系全部が稼働していることを確認できたことになります。183系と同じデザインの側面種別幕が嬉しい。

見老津発車、海を正面にカーブして岬を回り込みます。白浜から串本へかけての岩石海岸が枯木灘海岸です。

小さなトンネルを抜け、今日の目的地江住駅に到着。2016年の1日平均乗車人員13人、トイレも閉鎖されていました。

列車交換で乗務員さんや鉄分の濃い人たちが外へでてきます。287系のくろしお20号がゆっくり通過。

江住の集落を跨ぐガーター橋を105系が渡って行きました。

今日もイソヒヨドリがお出迎え。前回和歌浦ではイソヒヨドリに会えず和歌山へ来ればかならずイソヒヨドリに会えるというジンクスは途切れてしまったものの、ジンクス再開。

江須崎島

駅にトイレがなくても心配ありません。駅から80mほどのところにローソンがあります。たぶん全国でも屈指の眺めのいいコンビニかと。

はるか沖合を貨物船がゆっくり移動しています。飲み物食べ物を補給して今日の最終目的地、江須崎島へ向かいます。

左手は本州最南端潮岬、潮岬灯台も見えます。

目的地の江須崎島への陸繋砂州、向こう側とこちら側で海の色が違ってます。その手前の小さな浜はジモティさんのプライベートビーチ状態のようです。ジモティさんたちから気持ちのいい挨拶でキブンが盛り上がります。

浜に面したお宅に咲く真っ赤な大輪の花はハイビスカス、アロ~ハ〜。

江須崎島に到着。陸繋砂州の道は2mくらいの高さはありそうです。南紀にモンサンミッシェルみたいなところがある、と見つけのがこの旅のきっかけだったのですが、どうやら満潮でも島へ歩いて渡れそうです。

島へ渡る前に潮溜まりをチェック。縦縞の小さなのはシマスズメダイ、もう1枚はアジかと。

潮溜まりの魚としてはかなり大きくて10cmくらいの黒いやつ。出っ張った目と丸い胸鰭、ハゼのようです。もっと観察したいのですが、何とも暑い。我慢できなくて木の茂る島へ渡ります。

江須崎島暖地性植物群落として島全体が国の天然記念物に指定される一方、春日神社の神域になっています。鳥居を潜り坂道をのぼります。

鬱蒼と茂る木々はジャングルっぽいです。自分の手のひらより大きいクロアゲハ。

江須崎島から陸繋砂州の西側と東側、やはり海の色が全然違ってます。東側は間口の広い湾状になっていて砂が堆積しているためと思われます。東側の対岸にきのくに線の小さなガーター橋が見えます。15分ほどで紀伊田辺行普通列車が通るはずなので、わずかな日陰に入って撮り鉄スタンバイ。

イソヒヨドリが岩の上をジャンプ!里山や町中でもよく見かけるイソヒヨですが、これぞ正に磯ヒヨドリ。

遠くて見える範囲も限られているので危うく見逃すところだった105系です。

半島側の断崖に石段が続いています。崖の上に日本童謡の園というのがあるらしく行ってみることにします。

10cmくらいの黒っぽい魚はやはりハゼのようです。電線に止まっているのはイソヒヨじゃなくてメジロでした。

うみはひろいな、大きいな

断崖の石段を下を見ないようにして登りきると童謡の園、歌碑が点在しています。

正しく、うみはひろいな、大きいな♪

沖を行くのは天保山でよくみかけるセメント専用船のようです。足元を覗くと砕け散る白波。

赤とんぼの歌碑の前を通ると、センサーで歌が流れ出しました。誰もいないところで自分だけのために歌ってくれてます。

赤とんぼがいないか探していたら、かなりくたびれたウラギンシジミ♀。

道端にカニ、背中に赤いスマイルマーク、アカテガニの♀あるいはジュニアです。14:23の新宮行に乗って隣の和深駅へ行くつもりだったのですが、童謡の園であっという間に時間が経ってしまい、もう間に合いそうにありません。

江須崎島から見えた小さなガーター橋を105系が通り過ぎて行きました。この次は17:50までないので、ホームから海を見下ろせるらしい和深駅は次回のお楽しみとなりました。

炎天下を歩くことおよそ30分で道の駅すさみに辿り着きました。途中道を間違ったり足が痙ったりしてもうフラフラです。人のいない場所を見つけてビショビショになったシャツを着替えてほっとひと息。

窓際の長テーブルに案内してもらい注文したのは瓶ビールとカツカレー、道の駅でビールを飲むのは少し気が引けたものの、こっちは徒歩なので遠慮なくプファー。このカツカレー、ハンパなく美味でした。窓の右手には江須崎島先端の灯台。

カツカレーの向こうはフィリピンのミンダナオ島あたりです。

次の紀伊田辺行までたっぷり時間があるので、道の駅の中にあるすさみ町立エビとカニの水族館に入ってみます。体育館を改造してできた水族館だそうです。チケットを買って入った真正面のでっかいタカアシガニにはイマイチ惹かれなかったものの、猛毒のスベスベマンジュウガニは今後の注意のために撮っておきました。

内外の大小様々なエビやカニ、カブトガニや、ザリガニ、ヤドカリもいっぱいいて、じっくり観察すると楽しいはずですが、ヘロヘロに疲れているせいか、いまいち気持ちが入らず、サワガニにちょと惹かれたくらいで10分ほどで出てきてしまいました。

駅まであと少し、白い家にイソヒヨドリ♀。声をかけてきてくれたジモティさんに声で返事ができず笑顔を返します。とっても気さくな土地柄です。

ローソンまで戻ってきました。サンガリアのスーパーストロングレモンを買ってローソンのテラスから海を眺めます。潮岬を向こうに枯木灘は潮が満ちてきて表情が変わってます。砕けた白波が岩を滝のように流れ美しい。

波間に浮かぶ2羽はひょっとして海鳥か、と思ったらカルガモでした。

ローソンから浜辺へ下りる道がありました。波が高くなってきたようです。

薄い赤紫の花びらが二重に咲いた大輪の花、名前は調査中です。駅へ戻るとイソヒヨドリ♂、出迎えてくれた同じ子が見送ってくれるようです。

和歌山はええなぁ

江住駅でもホームから海が見えます。このローソン、すさみ町で唯一のコンビニらしいです。正に海辺のオアシス。

17:02発紀伊田辺行に乗車、見老津からお母さんと子供二人が乗ってきました。おばあちゃんが外から窓を叩いています。孫たちとの別れがとてもつらそうです。

見老津を出てトンネルに入ったところで急停車、運転手さんが何か異音を感じたとのこと。列車司令と連絡をとって信号場で車両点検することになりました。見老津-周参見間は約10kmあって途中に紀勢線唯一の信号場、双子山信号場があります。

山の中の双子山信号場は両線とも赤信号、安全側線も見えます。運転手さんが外に出て点検、特に問題がなかったようで出発進行。

紀伊田辺には遅れを回復して到着、朝乗ってきた117系が側線に止まっています。20:37発の396Mまで毎日10時間も紀伊田辺でお昼寝の117系です。

紀伊田辺からは御坊行の113系。広い運転台の狭い窓から千里の浜辺りの夕日を眺めます。御坊で225系に乗り換え和歌山到着。

やはり真っ直ぐ帰るの惜しくなり、いつものように酒一でいっぱい、と思って外に出たところ、前回、酒一の本店にあたる多田屋というお店が近くにあると教えてもらたことを思い出しました。店はすぐ見つかりました。広い店内にカウンターやテーブルがあって、ゆっくり飲めます。

おでん前のカウンター席をゲット、この厚揚げはとてもクリーミー、バカうまでした。メニューはお酒もアテも思いつく限り何でもあるという感じで、どれも美味しそうです。ご飯物も豊富でお昼に来るのも良さそうです。酒一と違って7人くらいの年配女性で切り回しているので、大声で注文する必要があります。

やっぱり和歌山はええなぁ、とすっかりええ塩梅になって阪和線の時刻表をみると、次は天王寺行普通、駅員さんに聞いてみると日根野で関空快速に連絡しているようです。225系に乗り込んだとたん、疲れと心地よい酔いで爆睡、気がつくともう美章園、つまり各駅停車で1時間45分乗り通してしまいました。