サッちゃんの商店街めぐり

鳥と電車の次くらいに商店街が気になってきました。いっとき面白ポスターで話題になった文の里商店街へ行ってみます。

天王寺駅をくぐってあびこ筋を南へ、大阪市内でも来たことのないエリアです。市立工芸高校は大正時代のモダンな建築が現役。

文の里商店街

阪神高速高架下の文の里駅を過ぎてちょっと行くと左手奥に文の里商店街のアーケードが見えました。文の里商店街は鈎形になっていて、あびこ筋に並行して南北方向に約250m、北端から東西に50mほど続いています。写真はその角ですが、薄暗く、殆ど人の気配が感じられません。

東西方向の短いアーケードを抜け阪神高速をくぐった反対側にも文の里明浄通商店街という短い商店街があります。でも見渡す限り和菓子屋さんとお寿司屋さんの2軒しか営業していません。

文の里商店街東端の入口、この右手に谷町線文の里駅の7番出口があります。アーケード入口のさかな屋さん、ずいぶん寂しい品揃えですが、仕入れの限られる日曜日だからでしょうか。スポット照明の電気代だけで足が出てしまわないか心配です。

話題になったポスターがまだ掲げられています。

ポスターは掲げられていても殆どはシャッターが下りたままです。

どのポスターもセンス良く、面白いのですが、一回見たら十分で、何年も同じものを掲げ続けるものではないかと。

明らかに数年前にここを盛り上げた人たちの姿はもうここにありません。なぜ継続的なアクションを取れなかったのか、活動に対する効果測定はしなかったのか、商店街が大手広告代理店のおもちゃにされてしまっただけなのでは、というのが率直な印象です。

ポスターじゃなく毎週笑えるチラシを発行するとか、ウェブで定期的に更新情報を発信するとか、商店街の人たちとクリエーターさんたちが一緒に活動できる態勢になっていなかったのではないか、大きな資金を注ぎ込まなくても、若くて優秀なクリエーターさんとマーケターさんたちで、もっと強力で有効な支援ができたはず、残念でなりません。

ポスターを掲げ営業中の揚げ物屋さんがあります。ポスター無しでも豊富な品ぞろえで営業中の塩干屋さんもあります。

文の里商店街を南へ抜けると松虫通、その先にも昭和町二丁目商店街が続いています。ここも殆どシャッターが下りているものの、大きな肉屋さんが何人ものスタッフで営業中なのは頼もしいです。

昭和町

昭和町交差点です。阪堺電車と同じ、青地に黄色の創英角POP体フォントで「←スグ!!岡崎屋質店」の看板、辺りには「岡崎屋スグソコ」の電柱看板もあちこちに立っているもののフォントが違ってます。

せっかくなので行ってみます。スグでもないくらいの距離、予想と異なり、閑静な住宅地に昔ながらの質屋さんの風情が残る岡崎屋本店がありました。電車のようなハデハデ看板もありません。堅実な商売をされているようです。

お腹が減りました。昭和町交差点近くでこれは間違いなさそうというそば屋さんを見付けました。

かき揚げ板そば一尺五寸1,230円、石臼丸挽きそばだそうです。ハイハイタウンの「ええじゃないか」が店じまいしてしまって以来、数年ぶりで美味しいそばをいただきました。カリッと揚がったエビのかき揚げもボリュームたっぷりで大満足。

サッちゃんがね、とおくへいっちゃうって、ほんとかな

昭和町交差点からほど近く、日本キリスト教団南大阪教会に併設された南大阪幼稚園の敷地の角にサッちゃんの歌碑があります。スパニッシュスタイルのタイル壁の歌碑、南大阪教会の十字架、それにハルカス。

ユーモアとペーソスが絶妙に織り込まれた小さい頃から大好きな歌ですが、特に3番は小学校入学前後の頃の甘酸っぱい記憶と交錯します。名古屋へ引っ越したあの子はその後完全に音信不通です。

「おなかがへるうた」も同じ阪田寛夫作詞で、この南大阪幼稚園の卒園生だったそうです。

幼稚園の向こうは阿倍野高校、母の母校です。正門側に回ってみました。2022年が創立100周年という横断幕には阿倍野高等女学校と併記されています。母は阿倍野高等女学校の最終卒業生と聞いた記憶があります。実家のある丸山通から1kmくらい、自転車に乗れなかった母がこの学校を選択した理由が理解できます。

母はサッちゃんじゃなくて、エッちゃん。ほんとにとおくへいってしまいましたが、ぼくのことわすれてはいないかと。

画面に納まりきらないくらいの桃山学院の校舎と可憐なチャペル、この周辺には教会やキリスト教系の学校が多いです。

いかにも阿倍野区っぽい佇まいの住宅も少なからず残っています。

長屋は改造されてカットハウスや整体スクールに変身。

狭い路地の地面にはチョークで描かれた絵、何かのゲームかも知れません。うさぎさんも描かれています。自分の育った家の前の路地もちょうど同じくらいの道幅、ケンパのマスをチョークで描いていました。

桃ヶ池公園です。トンボや蝶が少なくなさそうですが、池の周囲は柵で囲われ近づけなくなっています。

王子商店街

阪堺電車を見たいので西の方へ向かいます。イヤーワームが止まらなくなってきました。サッちゃんはね、バナナがだいすき、ほんとだよ♪

文の里商店街と同じように鈎形になったアーケードの南北方向方向の中ほどにたどり着きました。あべの王子商店街です。

あべの王子商店街南端からアーケードをゆっくり引き返してみます。南北方向に約400m、東西方向に約150mで文の里商店街より大きく、人通りはさほど多くないものの、シャッター開いてる率はかなり高めです。物販だけでなく、飲食店や医院も少なくないです。

若い経営者が出店してイマっぽく改装したカフェや、おそらく代替わりして業態変更したと思われるクラフト工房もあります。

閉店セール、店じまいと店中に貼紙されているものの、おそらくず〜っと閉店セールをやっているのではないかと思われる園芸店、隣のシャッターの前まで出張って頑張ってます。大変珍しい角地ではないタバコ屋さんはふすま屋さんの兼業です。

アーケードの途中で舗装のタイルが違うものになりました。見上げると天井からぶらさがっている電飾看板も別のデザイン、あべの王子商店街ではなく王子商店街になってます。つまりタイルの境目が商店街の境目と分かります。

アーケードの東西方向はさらに別の商店街、王子本通商店街で、舗装タイルも電飾看板もデザインが異なります。くつ下とお菓子の店、サンタクロースには便利です。

王子本通商店街を抜けると阿倍野王子神社。あべの王子商店街、王子商店街、王子本通商店街と分裂しているにも関わらず、文の里商店街より営業店舗率が高くまだ活気があります。1kmも離れておらず商圏は重複し客層も殆ど変わらないはずですが、大手広告代理店が入った方より入ってない方が衰退が止まっているのは皮肉というだけでは片付けられないと思います。

APPENDIX

松虫通沿いのセブンイレブン前で一服していたら踏切が鳴り出しました。岡崎屋質店ラッピングのモ355号です。今まで岡崎屋質店ラッピング電車を忌避していたのですが、岡崎屋質店本店の佇まいを見て、不思議と嫌いでなくなってきたみたいです。続いてモ710号のパンダ電車。

モ161形は今の時期走っていませんが、モ351形もツリカケな訳で、夏の阪堺電車乗り鉄撮り鉄してみようか、という気にもなってきました。

松虫でパンダ電車とハルカス、普通の電線はウザいけど、電車の架線には萌えます。四天王寺石鳥居前の自動販売機でなぜか京都限定のコカコーラを売っていました。

聖徳太子がお好み焼きを焼いてます。電線のない青空をバックにもう一度コカコーラ京都。生八ツ橋みたくニッキの風味でもついているのかと飲んでみたところ、何が京都なのかは全然分かりませんでした。

頭の中ではずっとイヤーワームが響いています。だけどちっちゃいから、バナナをはんぶんしかたべられないの…♪