土佐電鉄伊野線

もう廃止されて7年になる単線の路面電車、名鉄の美濃町線や揖斐線に乗ったことがあります。すごく雰囲気がいい路線で美濃町から新岐阜までや、黒野から忠節まで延々と乗り続けていたのは記憶によく残っているのですが、残念ながら手元に写真が残っていません。どこかにあるはずなのですが…

電車でGo名鉄編の美濃町線にはハマりました。YouTubeにも美濃町線や揖斐線の動画が多数アップされているのですが、本物が無くなってしまったのはいかにも寂しい限りです。

ところがこのブログ記事で美濃町線の雰囲気が高知に残っていると知り、先週、出張の合間を見て訪ねてみました。

限られた時間で降りてみたのが、朝倉駅前電停です。ここから鏡川橋にかけての区間は広めの道路から外れて古い町並みの狭い道路を走っています。

朝倉駅前から200mほどのところに朝倉電停があり、交換駅になっています。2車線の道路の片側車線がほぼ線路でいっぱいになっています。

電車の交換です。同じ600形ですが、微妙にカラーリングが異なっています。619はオカッパ、626はセンター分けです。ほぼ自分と同じ世代の車輌ですが、とても好ましいスタイルですねぇ。

土佐電鉄は狭軌(1067mmゲージ、JRと同じ)なので、標準軌(1435mmゲージ)の阪堺電車より小ぶりです。都電と同じくらいのサイズでしょうか、どっちも「とでん」ですが、都電の主力7500形のように80年代風の四角いボディに載せ替えられていなくて、60年代の優しいデザインがそのままで嬉しいです。

626の窓のところに輪っかがありますよね。タブレットです。

車内から見たタブレットです。輪っかの下にバッグがあって、その中に金属製の標識が入っているはずです。単線区間の交換駅から交換駅までの間に入ることのできる電車は1本だけです。その通行許可証がタブレットで、電車の運転手さんが交換駅毎にタブレット交換をする訳です。輪っかは受け取りやすくするための取っ手です。

単線路線でも今や殆どの路線では電気的なシステム化されてタブレット交換を見ることができるのは全国的にも稀です。原始的なシステムですが、高速運転の必要がなく、それなりに高頻度の運用が必要な中で、運転時刻に柔軟性を持たせることができるはずで、この路線には最適なシステムとして維持されているんだと思います。たぶんこれで続行運転も可能になっているのでは。

文珠通(高知市内方面)行きが発車していきます。道路にグリーンで塗られた部分があります。これが要はプラットフォームです。

その反対車線を隔てたところに待合所があります。

古いのはいいけど、これじゃあまり雰囲気はないですね。ちなみに後ろに見えるビルは高知大学で、より待合所がみすぼらしく見えますが、昭和っぽい両隣のお店の雰囲気はグッドですね。

近くにはホウロウ看板も残されてました。

1kmほど歩いて鏡川左岸の歩道橋がいい撮影ポイントになっているのに気づきました。短い区間が専用軌道になって橋に繋がっています。きついカーブを曲がって行く2000形です。

続いて600形がやってきました。やっぱこっちがずっとカッコいい。

歩道橋の下をくぐると鏡川橋です。

鏡川の右岸、鏡川橋電停から複線になって、運転本数もグンと増えます。マルハンのラッピング車輌の向こうに小さく見えるのはアンパンマンのラッピング車輌です。鏡川から西側ではあまりラッピング広告車輌はみかけませんでした。広告効果を考えて運用されているんだと思われます。

その分、鏡川から西側は鉄ちゃんにとって、より好ましい路線になっているということです。

土佐電鉄のオペレーション、かなり上手くやっていると感じます。

ちょうどこの日はよさこい祭り、めちゃ暑い日でしたが、高知の町中では、高知の人たちのさらに熱いエネルギーを存分に感じさせてもらいました。