安堂寺橋
大阪は八百八橋といわれるが、大阪には「はし」はない、みんな「ばし」や。戎橋、天神橋、天満橋、淀屋橋・・・、ほら「ばし」ですやろ。京都は逆に「はし」が多い、三条大橋、四条大橋、五条大橋…という小噺があります。
なら東京も言問橋、駒形橋、勝鬨橋、とみな「ばし」やんか、とツッコミたくなるのですが、それでも大阪の町に橋は多く、それぞれに歴史もあり、興味が尽きません。
そんな大阪の橋を自分なりに書きためてみようと思いつきました。
第1回は安堂寺橋。
上方落語に「東の旅」という伊勢参りをテーマにした大河落語があります。旅先での出来事が20編近くの落語で構成されています。詳細はWikipediaを参照していただくとして、「東の旅発端」や「煮売り屋」「七度狐」「三十石」あたりはよく高座にかけらますが、聞いたことのない噺も少なくありません。
そんな大河落語の喜六・清八の旅のスタート地点が安堂寺橋です。ここで友達に送られ、玉造、深江を抜け、暗峠を超えて、奈良、伊勢へと向かいます。
今も東横堀川に架かり南船場と松屋町をつないでいますが、川の上に阪神高速があり、一日中陽の差さない冴えない橋です。長堀橋通りのひとつ北側で、標記は見当たらないもののこの通りは安堂寺橋通と呼ばれるそうです。
この安堂寺橋通、上町台地に住む自分にとっては、実にありがたい通りで、松屋町筋から谷町筋にかけての勾配が他のルートと較べて緩く、勾配の距離も短く、かつ交通量も少ないので、チャリンコで、船場方面から帰宅する際は、いつもこの安堂寺橋を渡ります。
その度に喜六・清八になった気分にさせてくれます。いつも「東の旅発端」の「その道中の陽気なこと~♪」のフレーズを思い出し、ひとりでニコニコしながら橋を渡ります。
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