青空文庫
林芙美子のある短編紀行を探していました。アマゾンにはなく、絶版のようです。大阪中央図書館を探しても見当たらず、どうやら全集に収録されているようですが、全集の中をチェックするとしたら、膨大な全集を全部借り出して調べるしかないのかもしれません。
ところがウェブでキーワードからその短編そのもののサイトが見つかりました。青空文庫に収録されていました。1997年、インターネット黎明期からあるウェブサイトですが、すっかり存在を忘れていました。
著者が亡くなって50年経ち著作権が消滅した作品が、ボランティアの人たちの手によりデータ化され、テキストファイルとHTMLファイルが配布されています。現在1万点以上の作品が収録されており、夏目漱石、森鴎外、島崎藤村、芥川龍之介…、と錚々たる文豪が並んでいます。
例えば、藤村の夜明け前は第一部上、下、第二部上、下の4つにわかれていて、第一部上だけで、zipに圧縮されたテキストファイルでも200KBあります。入力そして校正されたボランティアの方たちの膨大な作業に頭が下がるばかりです。
HTMLで配布されているといういことは…、と気がついて、探してみたらありました、iPhoneアプリ。いろんな専用リーダーアプリがあるようですが、bREADERという250円のアプリをインストールしてみました。
とても読みやすく美しい明朝体の縦書きで行間も広くとても見やすい表示です。ページの左右端をタップ、あるいは左右にスワイプしてページ送り、中央をタップすると操作メニューが表示され、しおりを入れたり、横書きに変えたり、ページ移動したり、読書に最適な操作が並んでいます。
方向の固定もでき、バックライトがあるので、寝っ転がって読むのも極めて快適です。実は自分はいささか潔癖症で、図書館で借りてきた本で、食べ物をこぼした跡とかがあると、もう読む気がしなくなるのですが、そんな心配もありません。本を閉じても、次に開くと読んでいたところが開きます。紙の本にはできない芸当です。iPhoneでの読書がこれほど快適とは思いませんでした。
岩波文庫とか著作権の切れた名作でも結構な値段がするのですが、それがタダ、しかも何十冊でもどこにでも持ち歩けるとは、マジありがたいです。何か面白い本はないかな、と本屋さんに行く必要はなくなったかな、と思います。
さっそく「坊ちゃん」をダウンロードしてきました。恥ずかしながら初めて読むことに気づきました。読んだけど全然忘れてしまっているのかもしれません。お手伝いさんのお婆さん、清さんと主人公の関係がとてもいい感じです。