高津の富亭

桂文太師匠が主催する寄席で、毎月1回、古典落語の高津(こうづ)の富で知られる高津宮の境内にある高津の富亭で開催されています。ちなみに1600年程前のことですが、仁徳天皇が民のカマドの煙の少なさを見て免税を決めたのがここ高津宮です。

動楽亭と同じように、桟敷の一番前でかぶりつきで楽しませてもらったのは、よかったのですが、高座に向かって見上げる角度になるので、首が痛くなりました。

2時から開始になっていましたが、1時50分くらいに文太師匠が登場、田辺寄席同様に開口0番がありました。開口0番のネタは盲導犬のお話、師匠が千早赤阪村にある施設で盲導犬と一緒に訓練した時の珍しいお話です。楽しく笑わせてもらいながらも、目が見えないということってこういう世界なのか、ということを実感させてくれました。

まずは文太師匠が二席、最初は「ぜんざい公社」、自分としては今日一番の楽しみだったのですが、お役人のハンコの押し方や、無責任な老医師の表現はさすがです。

お次はパンフレットでは疝気の虫になっていたものの、「天神山」というお噺に変更、でも今日一番気に入りました。

桜の頃、皆が花見に出かけるのを横目に、へんちきの源助は、一心寺のお墓にでかけ、石塔や卒塔婆を相手にお酒を飲みに行き、しゃれこうべを持ち帰ることになります。そのしゃれこうべは小糸さんという美女、源助のところに現れ、源助は幽霊の小糸と所帯を持つことに。

この話を聞いた隣に住むやもめ、胴乱の幸助(喧嘩の仲裁の好きな人物の噺で胴乱の幸助という噺もありますね)も一心寺にでかけるものの、そう簡単に美女のしゃれこうべが見つかるわけがありません。

ところが一心寺の向かいの安井の天神さんへやってくると、キツネが若い男に捕まって、高津の黒焼き屋に連れていかれるところ助け出します。助けだされたキツネは幸助のところに嫁にやってきます…

噺がどんどん転化してイメージを広げ楽しませてくれます。イモリの黒焼きとかを薬として商いしている店が高津宮の近くで戦前まで実在したそうです。

今日は仲入りなし、お次は露の団姫(まるこ)さんの「村芝居」、忠臣蔵を村人が演じるお噺です。劇団ひまわり出身で、先日もNHK朝ドラの主役のオーディションに落ちてきたばかりだそうですが、演技力はさすが抜群です。上方女性落語家期待の星といって間違いないでしょう。

トリは文太師匠の「不動坊」。暮に南光師匠の不動坊を楽しんできたばかりですが、文太師匠レパートリーの幅広さは半端ないですね。

三度の出番で毎回出囃子も違っていました。ヨドバシカメラのCMソングの出囃子が耳にのこっています。団姫さんは「おどるポンポコリン」でした。