奈良公園のスパンコール
アサギマダラの季節です。この4年欠かさず会いに出かけてるので今年もフジバカマの咲くところへ行こうかと思ったものの、翅にマーキングされたアサギマダラを見るのはつらいと思い出し、今日は止しておくことにしました。
もうその生態は必要十分に知られているはず、これ以上マーキングする必要はないんじゃないか、マーキングを継続する必要があったとしてもあんなにデカデカと油性ペンで名前や場所、日付を書かなくても、他にも追跡する方法があるんじゃないか。それに見かけるマーキングの多くは訪ねた日やその前日、公開され更新が続けられているネット上のデータベースとかも見当たらず、マーキングしても追跡できる可能性はよほどの偶然がないかぎりゼロに近いはず。いずれにせよ、短い寿命の美しいアサギマダラが哀れ。関連する本を読んだこともあり、これまで追跡調査に携わって来られた方々の功績は大として、そろそろアサギマダラのマーキングはやめるべきかと。
ということで、3連休の晴れは今日だけらしく、アサギマダラは忘れることにして奈良公園へ。
奈良行普通の阪神1000系に優勝記念のヘッドマークというかペラッペラのちっちゃいポスター、せっかくなのでもう少しちゃんとした表示をして欲しいところです。例えばこんな感じで。阪神電車がJR西日本広島支社に負けていて、クライマックスシリーズだいじょうぶか、と心配になります。
奈良町
近鉄奈良駅はこんなに人がいるのを見たことのないくらいごった返していて、自動改札を出るにもひと苦労。まずはGoogle Mapで見つけた★4.6のお店へ向かいます。東向商店街もすごい人、中谷堂でお餅を買い求める行列もかなりの長さなのに、猿沢商店街でシャッターを上げているのは土産物店1店舗と自販機だけのお店が2店舗だけ、どうやら午後から営業のお店が多いようです。
猿沢池西側からの眺めです。目的のお店はすぐ近くなのですが、開店時間まで20分くらいあるので、その辺をぶらぶら。
ならまちマルシェというイベントをやっていました。
いろんなめだかが蓋を締めるねじ切りのある駄菓子屋さん用のガラスの壺で販売中、お断りして撮らせてもらいました。
なかなかに美しい、「めだかすくい」もやってました。
11時半になったので入店、最初の客が自分です。店内では童謡がずっと流ていて、女将さんも口ずさんでいます。でたでたつきが〜♪、とんぼのめがねはみずいろめがね♪、からすなぜなくの♪、あれまつむしがないている♪、まつぼっくりがあったとさ♪…、秋の歌の大特集です。
ところどころに芸妓さんの写真が飾られていて、ハッピーバースデーと書かれたカードに芸妓さんらしき名前、いささかお年を召したとはいえ美人の女将さんと見比べ、思い切って、これお母さんの写真ですか、と尋ねてみたらピンポン。綺麗ですねと自分、いえ化粧が上手いだけ、とご謙遜。
注文した小皿膳定食がでてきました。何と小皿が7つ、ごまどうふのみそあえ、高野豆腐の卵とじ、大好きなミョウガも入った酢の物、自家製と思われるぬか漬け…。小ぶりのお茶碗に軽く盛られた粒の立ったごはんが何とも美味しくおかわり。お椀が無いのがちょっと残念ですが、小皿と同じレベルのお椀を出すとしたらこの値段では無理だろうと考えると全然OKです。
これだけの小皿が並ぶと熱燗が欲しいところですが、まだこれから歩き回るので我慢。満足してお店を出ると店頭のお品書きに「熱燗・冷酒・ビール、三品セット、おでんセット」とありました。奈良で足繁く通わせてもらうことになりそうなお店を漸く見つけたようです。
平城の明日香
大満足ではあるものの精進料理のような小皿膳では動物性タンパク質が足りなくていまいち歩く足に力がでません。今度は頼んでいる人が多かった鶏ソテー定食にしたいと思います。猿沢池を南側から。
奈良ホテルの敷地を通り抜けさせてもらうと、結婚式場の聖ラファエル教会。警備のおじさんがいて怒られるかと思いきや、おつかれさまです、と声を掛けてくれました。
前回石段を見て腰が引けてしまった瑜伽(ゆうが)神社に上ってみます。バンテリンサひざポーターを忘れて来たのですが、難なく上れました。
万葉集の大伴坂上郎女の歌碑。
古郷之 飛鳥者雖有 青丹吉 平城之明日香乎 見樂思好裳
ここ瑜伽神社は平城遷都の際に飛鳥京の鎮守の社を遷してきたもので、この小山は平城の飛鳥と呼ばれるそうです。奈良へ引っ越してきた大伴坂上郎女が故郷の飛鳥を懐かしんで詠んだ歌ですが、飛鳥京(現明日香村)のあすかは飛鳥、ここ奈良のあすかは明日香と使い分けていることが興味深いですが、作者の意図は不明。巻向山、三輪山、音羽山、多武峰、大和三山、金剛山、葛城山、二上山、生駒山と見渡せる高台、あおによし、と奈良に対する感嘆符を付けたくなるような場所だったようですが、今は木立に囲まれてしまっています。
瑜伽神社の小山を半周するように歩くと鷺池の畔、瑜伽山園地に到着。
前回モリアオガエルの声が賑やかだったのですが静まり返ってます。池の向こうは茶室「䕪庵(たくあん)」です。大根の漬物ではなく、「䕪」とは「泥や土砂が固まってできたもの、また、その場所」を意味するそうです。
先週、将棋のヒューリック杯白玲戦、里見香奈白玲vs西山朋佳女流三冠の第4局がここで開催されていたそうです。庭の景色が映り込んだピカピカのガラス障子の八畳間が対局会場だったと思われます。将棋は駒の動かし方くらいしか知らない自分、大谷翔平選手や三笘薫選手の凄さと較べ、藤井聡太七冠の戦略や読みの凄さを理解できていません。
リスアカネが出てきてくれました。
サワガニに会いたくて二月堂へ。春日大社の参道は道頓堀状態。
角切が終わったばかりでむさ苦しい♂が目立つ中、可愛いバンビちゃん。過日鹿苑で鹿の虐待があったとのニュースがありました。奈良公園の鹿じゃなくて、公園外に棲む鹿が畑を荒らすとかで鹿苑に保護されたものの、満足に餌も与えられずガリガリにやせ細った鹿が映されてました。正確な事実は分からないものの、餌を与えられない状態での保護は駆除よりも酷いと思います。
二月堂から戒壇堂
鹿のフンをできるだけ踏まないように細心の注意払いながら浮雲園地、春日野園地を抜け、手向山八幡宮前へ出てきました。校倉造は重要文化財の手向山八幡宮宝庫、何気なく1300年前の木造建築物が目の前に立っている奈良の凄さが感じられます。平重衡の焼き討ちも、松永弾正の焼き討ちもくぐり抜けてきてた建物です。
三月堂前のお茶屋さんに大和の茶粥発見、久しく口にしていない大好物ですが、今は体が動物性タンパク質を求めているので今日はパス。
今日の二月堂です。そしてお気に入りの二月堂裏参道、丹念に参道の側溝をチェックしたもののサワガニはお留守でした。
サワガニがいないのでとりあえずウスバゼニゴケを撮って大仏池。
ずっと工事中だった戒壇堂の足場が外され公開が再開されていました。大仏殿を小さくしたような建物です。
吉城園
いつものように吉城園母屋の縁側に腰を下ろしてひと休み。ミヤギノハギです。
センリョウとヤブラン。
茶花の庭上空をずっと舞っていたクロアゲハが青もみじの葉っぱに止まって、翅を目一杯広げてくれました。違う角度から撮ってみようと近づくと行ってしまいました。
たぶん自分の様子を見ていたアメリカ人らしき背の高いお嬢さんがお友達に Butterfly! と教えています。アゲハは英語で何というのかと調べてみると長い尾状突起に因んで Swallow tail です。だとするとクロアゲハは Black swallow tail かと思いきや、Spangle だそうです。ピカピカ光るおしゃれ素材のスパンコールはこの Spangle が訛った和製英語だそうですが、スパングルよりもスパンコールの方が華やかな語感があります。たしかにクロアゲハの翅も真っ黒じゃなくてスパンコールを散らしたみたいです。
シロバナマンジュシャゲです。ヒガンバナもそろそろオシマイ。
ヤブミョウガ、最近何度も見ていてブログにも書いているののなかなか覚えられません。白いのは蕾で黒いのは実、さっき酢の物になっていたミョウガとは別の植物です。
氷室神社へ抜ける扉とは別のところにいつのまにか新しい木戸が設置されていました。南大門と国立博物館へ抜けられると案内されています。
木戸を押して外へでると、吉城園の内側から撮っていた鳥たちのいる塀の外の森に遊歩道が続いています。今日は鳥たちがさっぱりですが、この道はありがたいです。まだ工事は完了しておらず遊歩道の一部は竹で覆われたえらく上等なパイロンとバーで囲われていました。
森を抜けるともうひとつ木戸が設置されていて左へ行くと南大門、右へ行くと国立博物館です。奈良の木戸はすべて鹿が入ってこないように、外側から引くようになっています。
もうすぐまた正倉院展が始まる国立博物館前でひと休み。次々とバスがやってくる東大寺大仏殿・国立博物館バス停で案内、誘導しているバイトの兄ちゃんの流暢な英語に感心。以前カワセミに会った鴎外の門脇のきれいじゃない池には、柵を飛び越えてきた鹿がいるだけなのを確認。大宮通りをまっすぐ駅へ向かうこともできるのですが、人が多いので吉城園に戻ります。
吉城園に入る木戸の外側には何も案内がなく、知る人ぞ知るのみ状態。まっすぐ向こうが南大門の駐車場、ずいぶん便利になりました。
ススキが美しい。さっき気づかなかったけどフジバカマがつぼみを膨らませていました。わずか2株ほどだけなので、アサギマダラが嗅ぎつけてくれるとは考えにくいですが、先々株が増えてくればひょっとするかも知れません。
砂利道にリスアカネ、ピントが合わないまま飛んでいってしまい、探していみると池の太い枝に止まってる、と思ったらリスアカネがナツアカネに交代してました。
吉城園に隣接するホテルの工事が完成「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」としてオープンしていました。マリオットグループの最高級カテゴリーブランドだそうで、ツインで2名様10万円以上、一生ご縁はなさそうですが、東大寺の塔頭のような門構えです。その西側のずっと閉鎖されていた道路も両側の白壁がきれいに塗り替えられ通れるようになっていました。
サワガニにもヤマガラにも会えなかったけど十分楽しい奈良散歩、2万歩弱でした。
平城宮付近の車窓です。日本語アナウンスは声優の有田洋之さん、英語はシンガーソングライターのダヴィーナ・ロビンソンさんと数日前に見た近鉄公式チャンネルで分かったばかりです。
奈良駅の発車案内で次は難波行急行になっていたので急いで乗り込み、布施で下りてプファーにしようかと思っていたら、ダヴィーナさんのアナウンスを聞いていてなんか変、乗り込んだのは1本前の三宮行快速急行とやっと気づきました。近鉄のホーム外の発車案内は1分前くらいに切り替わるので要注意です。生駒で下りて次の急行を待つと多分座れないはず、快適なLCカーでこのまま地元へ帰り、ホルモン焼きで動物性タンパク質を補充しました。
動画の0:45辺り、車窓をひのとりが通過、奈良発16:03の難波行ひのとりがあると分かったのは帰宅後。今度はひのとりでプファーにしよっと。