スナガニの妖精
午前3時にアラームをセットしておいたらしっかり起きられました。5:50の和歌山市行急行にはまだ時間があるので、深夜未明にしかできないクライアントサイトのシステムアップデートをしておくことにします。1つ目、2つ目はあっさりアップデートできたのに3つ目で躓きました。エラーメッセージをチェックすると、どうやら3つ目にしかインストールしておらずあまり使っていないモジュールが原因っぽい。今日の予定は諦めかと思いつつ、一旦バックアップにレストアして、このモジュールを外し再度アップデートで無事完了。急いで出発、5:37の尼崎行準急に飛び込みセーフ、間に合いそうです。
2回乗り逃して3度目の正直、5:50発の和歌山市行急行に漸く乗れます。終電に泉佐野行急行があるものの、春木にも停車するいわゆる「白線急行」(種別幕が急行は「急行」白線急行は「-急行-」)なので、純然たる土日の急行はこの1本だけです。今や特急サザンと空港急行ばかりですが、自分が通学していた頃は、急行と「白線急行」が毎時2本ずつ、それと四国号か名無しの和歌山市行特急が1本だったはず。
当時、四国号は旧1000系(ヒゲ新こと元11001系)も急行運用は7000系か7100系ばかりだったので、隣にいる7100系だともっとそれっぽいのですが新1000系です。ラピートまで並べて横から撮ると「行」だけ撮れてました。
秋分の日、6時でもまだ暗いです。大阪の日の出は5:46で日の出は過ぎていて、この週末は青空が広がると聞いていたのにどん曇と気づきました。横揺れの激しい1000系のボックス席でぼーっと外を眺めていると、車窓をちらっと見ただけで自分には今どこを走っているか分かる南海本線、地面を走っているので北助松辺りかと思いきやもう和泉大宮だったりしてビックリ。サザンだと通過する羽衣、泉大津、貝塚に停車も、空港急行の停車する春木は通過の和歌山市行急行、50年前との違いは天下茶屋停車だけです。
尾崎に到着、「急行」の種別表示かくっきり撮れてました。
尾崎の浜から左岸河口
7時を少し回った尾崎の浜の石段防波堤、ホーチミンからの夜行便、ベトナム航空A359が到着。まだ前輪のライトがくっきり。
沖の大きな船は沖縄奄美からの定期貨物船、A LINE(マルエーフェリー)の琉球エキスプレス。
雲が低く空一面がどんよりですが、明石海峡大橋はくっきり。関空の向こう、六甲山は山頂付近が雲の中。こんなに朝早く、こんなお天気も初めての石段防波堤、朝の空気がとても心地いい。
尾崎の浜の全景、干潮のピークは7時前、それに今日は低い満潮と高い干潮の差がなくなり満潮と干潮が1回ずつの「一日一回潮」でこの後上げ潮がずっと続きます。
振り返ると紀泉アルプスから湧き上がる雲が美しい。
クロベンケイガニ(たぶん)が5匹くらい。
クロベンケイガニ(たぶん)ともう1匹は目と目の間が離れていない別のカニ、Bardで調べてみるとどうやらイワガニのようです。Googleの新サービスのBard、ChatGPTより活用させてもらっています。
いつも一服する水路脇の砂浜にカニの巣穴が広がっていました。巣穴の周りの砂団子はまだ湿っていてスナガニが出てきそうですが、しばらくスタンバイしてみたものの出てきません。何やら小さな黒い影が巣穴を出入りしているのをちらっと見かけただけです。
イソヒヨドリ♀です。
いつも炎天下でスナガニを撮ってる砂浜にもいつも以上に巣穴と砂団子が広がっていますが、スナガニは姿を現さず。
いつもの砂浜以外にも巣穴が見つかるものの生き物の気配が感じられません。写真の色が違っているのはたぶんちょっと日が差してきたからかと。
TGのB777、バンコクからの夜行便です。テトラポッド下の湿った砂浜に巣穴と大きめの砂団子、しばらくスタンバイしていると期待通り甲羅が黒いハクセンシオマネキが出てきてくれました。
男里川左岸河口に到着、秋のシギチの渡りのピークのはずですが何もいません。羽田からのJAL221便、国内線到着第1便ですが、伊丹へは7:30に羽田からの到着便があります。
水辺にオレンジ色のカニの幼生の死骸が多数打ち上げられていました。何があったのか不明ですが痛々しい。とても写真を撮る気になれなかったもののボラやフグの死骸も打ち上げられていました。赤潮とかがあったのかもしれません。
左岸土手の薄紫の花はホシアサガオ、第二次大戦後にやってきた帰化植物だそうです。
兎砥橋から河原を覗くとヒガンバナ。酷暑が2ヶ月も続いて今年のヒガンバナは遅目のようです。
右岸河口
ファミマで休憩せずにこのまま右岸へ。ヘクソカズラを久々に見ました。
キマダラセセリです。なかなかに美しい。
男里川右岸の道、遠近感を狂わせる面白い一枚が撮れました。真正面からANA A320がテイクオフ。右岸堤防の向こうは関空島北端のビル群、白い球がのった塔は大阪管区気象台ドップラーレーダー庁舎、その左手手前は関西空港海上保安航空基地、その奥は飛行機が間近で撮れる関空展望ホールSky View、六甲の山並みに見える鉄塔は六甲山一等三角点931m付近です。
堤防の手前、画面左下は温水プール前バス停、男里川右岸ですが右岸先端部分は阪南市の飛び地で、泉南市のコミュニティバスさわやかバス(イオンモール行1日4本)と阪南市のコミュニティバスさつき号(尾崎駅方面1日2本)の共有バス停です。本数は限られるのでいずれも乗ったことは無いのですが、13:35のイオンモール行に乗れば鳥見、蟹見のあと、いきなりステーキでランチができると今更ながら気づきました。
清掃工場の塀の上のツユクサ、視点の位置で咲いてます。
防波堤を超えて河口に下りると花びらに雨露をのせた野生のアサガオ。
Fedexの三発機MD11が明石海峡大橋をバックにランディング。雲は薄くなり晴れ間が出てきました。
右岸河口先端に近づくとシロチドリたちが飛び立ちました。でも左岸の水辺に下りてなんとか撮らせてくれ、直後、静かな河口にミューと声が聞こえ自分の頭上をキアシシギが通過。
ハクセンシオマネキエリアは賑やか、近づくとスッと巣穴に引っ込むものの程なくまた出てきます。尾崎の浜テトラポッド下のずっと待たされるハクセンシオマネキとは生態が違ってます。
ヤマトオサガニもいつも通り。
黒い甲羅の左大鋏♂と脚が黄色い♀。
でっかいアシハラガニ、全幅10cmくらいあります。
見覚えのある十字の白い花、先週高野川べりにいっぱい咲いていたセンニンソウです。ちっちゃい赤い花を咲かせたいかにも海浜植物っぽいのはホソバノハマアカザ。
鳥たちは全然見つからないので引き上げます。樽井駅からどこか別の場所へ向かうか、もう一度左岸へ行ってみるか悩みながら堤防を越えて石段を下りると、野鳥の会の探鳥会に参加すべくやってきたという高齢女性から、キョウジョシギはいましたか、と声をかけられました。いつものシロチドリが3羽くらい、それとキアシシギが少し残っているようです、と正直に答えておきました。
声をかけてきてくれた女性が左岸方向だったので何気なく左岸方向へ歩いて来てました。清掃工場の塀にさっきは気づかなかったヒルガオも視点の位置に咲いてました。
兎砥橋に近い中洲にイカルチドリが3羽、いや4羽寛いでいました。
ファミマでおにぎりを買って、隣の小さな公園の丸い椅子に腰をおろして頬張ります。椅子に描かれた「あんたがたどこさ」を頭の中で歌いながら。
花壇にナデシコ、海浜植物のハマナデシコです。花壇に咲いてはいるものの自生かもしれません。
左岸河口から尾崎の浜
まだ10時を過ぎたばかり、尾崎の浜のカニの巣穴が気になるので引き返すことにしました。左岸の水辺からバタバタっと右岸へ飛んでいったのを追いかけるとピンボケのキアシシギ、仲間たちは殆ど皆、既に南の国へ向かったようですが、出遅れ組のようです。
さっきホシアサガオを撮った辺りの草むらを歩くと一歩進むごとにバッタが飛び出してきます。一匹が足元の石の上、Googleレンズはクルマバッタモドキと教えてくれました。
左岸河口先端内側の池は殆ど干上がっていてハママツナの草原になってました。
尾崎の浜のテトラポッド下ハクセンシオマネキエリアは既に海に沈んでました。
さっきと違って巣穴の周りの砂団子は乾いてしまってます。
それでもしばらく観察していると、何かが出てきました。スナガニじゃなくてコメツキガニ?
コメツキガニじゃなくて目の形で間違いなくスナガニです。でも親ガニの較べて体はずいぶん小さく、赤みも殆どありません。スナガニの稚ガニのようです。来る時にちらっと見た小さな黒い影もこのスナガニの稚ガニだったようです。
小さく軽いせいか、ものすごい速さで5mほど移動、砂浜にホコリが飛んでるくらいの感じですがしっかり脚を動かして移動していました。秒速5m、時速に換算すると18kmくらい、親ガニと形は同じなので、ゾエアとかメガロパといった幼生ではないですが、まるでスナガニの妖精です。
今朝も一服したポイント左手の砂浜、砂団子は乾燥してしまっています。
眼の前を通過するウミネコがかっこよく撮れました。
しばらく巣穴を見つめていると出てきてくれました。やはり親ガニの半分もない大きさですが少し赤みがでてきたスナガニの稚ガニを正面から。
それにしても親ガニたちはどうしたんでしょう。このちっちゃい稚ガニが大きな砂団子を運び出せるはずはなく、親ガニが近くにいるはずです。生物学の素養のない自分の推測ですが、基本的に夜行性のスナガニ、未明に掘った巣穴の奥に親ガニは引っ込んで爆睡中も、好奇心旺盛な稚ガニだけが様子を見に外へ出て来たというところかと。
まるでコアジサシのようなポーズで海中の獲物を狙ってホバリングしているウミネコです。
明石海峡大橋をバックに舞うウミネコたち。
エバー航空のA333がテイクオフ。そろそろ引き上げます。
尾崎駅前のいつもの喫茶店、生ビールの注ぎ方がイマイチですが、突き出しのシャキシャキしたチンゲンサイのおひたしがホウレンソウよりずっと美味しくてビックリ。まだお昼になっていませんが、ここまで5時間も歩いて19000歩、10.6kmです。鳥見としてはほぼボウズだったものの、蟹見でたっぷり楽しませてもらいました。何度行っても飽きない男里川河口です。
7100系+10000系サザンで帰ります。4両目で電車を待っていたもののかなり混んでいたので、5両目の指定席車に乗り込みました。アテンダントさんに案内されかなり揺れる車内を6両目へ移動、ぽっちゃりめのアテンダントさんに毎日こんなに揺れる車内でお仕事大変やね、とお声がけするとニッコリが返ってきました。
難波に到着、入れ違いに31000系こうや号が出ていくと、3番線の橋本行急行は前2両だけ6000系。ステンレス無塗装に戻された6001編成が来ないか10分ほど待ってみたもののやって来ませんでした。遠からず高野線撮り鉄に向かうつもりです。