安来の田んぼ
無事仕事も終えたので今日は安来へ鳥見に向かいます。昨日同様に晴れるとばかり思っていたのに朝の天気予報では夕方までずっと曇りでがっくり。
そろそろコハクチョウたちは北帰行ですが、米子水鳥公園さんの昨日のブログではまだ滞在中のようです。米子水鳥公園はねぐらで昼間採餌のために「通勤」するのが安来の田んぼです。
早朝まとまった雨が降ったらしく路面が濡れているものの薄く日が射している松江駅です。
米子行普通はドドメイエローの食パン形115系電車か、たらこ色のキハ40系かと思いきや、やってきたのはキハ126系でテンションが上がりました。山陰でしか乗れない車両です。
バックミラーで記念写真。115系と比べると段違いに広い快適なボックスシート。
安来駅からコミュニティバスのイエローバスで目的地の田んぼへ。観光ループという路線ですが、車内は市立病院へ向かうと思われるおじいちゃんおばあちゃんでほぼ満席。モニタのルート案内はうなぎではなくどじょうです。
山を上ったり下りたり、目的の方角とはだいぶ違うところをぐるぐる回って、伯太川の土手に出ると田んぼの中に白い点々、期待通りコハクチョウたちです。一番右のすすきの穂の向こうです。
六反田橋周辺
少し先の田んぼでもコハクチョウたち、バス車内からこちらに向かって飛んでくるファミリーも見え、あわてて降車ボタンを押しました。
当初目的地にしていた「出雲織・のき白鳥の里」より3つ手前の「六反田橋」で下車。バス停の標識もないドリンクの自販機と郵便ポストがあるだけのバス停です。手前の交差点にはローソン。
県道102号が吉田川という小さな川を渡ったところに、コハクチョウが100羽くらい。橋とは気づかなかったものの渡ってきたところが六反田橋のようです。
今日はなぜか飛んでるコハクチョウになかなかピントが合わず苦戦。
県道左側の田んぼから1羽が飛び立ちました。県道右側の田んぼにもコハクチョウたちが点々と。近くに腰を下ろして休憩中はカメラマンじゃなくてたぶん農家のおじさん。
川の土手からもう少し近づけそうですが、とりあえずズームで。
県道右側の田んぼへ向かうとコハクチョウたちの向こうに別路線のイエローバス。
少し晴れ間が広がった空にコハクチョウとは飛び方が違う大きな白い鳥たちが。ほとんどホバリングするくらいに小さな円で旋回しています。
黒い風切羽、なんとコウノトリです。興奮を止められず田んぼの真ん中で叫んでる自分です。
ゆらゆらと自分の頭上を舞ってます。ゆっくりなのでピントがよく合ってくれました。3羽一緒のコウノトリの飛翔を見たのも初めて。
ゆらゆらと北の方へ行ってしまいました。ここ安来に棲んでいるのか、どこかへ移動中なのか。拡大してみても足輪が付けられていないようですが、兵庫県立コウノトリの郷公園の最新情報による野外個体数の野外巣立ち等は全部で254羽、その内訳の島根県雲南市の17羽に含まれる3羽に出会った可能性が高そうです。
コハクチョウたちは、数日中には実行されるはずの北帰行に備え、せっせと栄養補給中です。
左手の山頂の稜線が長い山は毛無山(けなしがせん)1218m、その右手はたぶん白馬山1060m。根雨駅東側の鳥取岡山県境です。
美しい三角錐はたぶん金ヶ谷山(かながやせん)1164m。大山、氷ノ山、と鳥取県では「山」を「せん」と呼ぶと今更ながら気づきました。
この辺り、赤褐色の石州瓦のお宅が多いです。
今日もピンボケ大量生産、その中からまともなのを選んでます。
頭上を通過するとバタバタバタと羽音が聞こえてきます。やはりコハクチョウの飛翔姿はコウノトリよりはるかに美しい。
着陸シーンと、ぎりぎりペアが収まったシーンです。
あぜ道を挟んで隣の圃場にもいました。県道102号北側のコハクチョウたちをiPhoneの超広角で。なんとも空が美しい。
ローソンでトイレを借りてホットコーヒー。まさに田んぼのオアシス、ローソン安来折坂町店です。
当初の目的地、出雲織・のき白鳥の里へ移動します。イエローバス六反田橋停留所にはやはりバス停も時刻表も見当たりません。
5分ほど歩くと野方停留所、こちらはバス停標識があって時刻表もかかげられています。12:07の観光ループ便で足立美術館へ行ってみるつもりです。30分しかなく急ぎ足に。さっきまで今朝の天気予報は何だったんだと思うくらい晴れていた空に、急に雲が広がり始めてきました。
出雲織・のき白鳥の里周辺
野方町付近の田んぼにもコハクチョウたち。
出雲織・のき白鳥の里が見えてきました。バスの時間まで15分ほどしかありません。
振り返るとドドーンと大山。雲をかぶっているものの、山のスケール感がさっき見た毛無山辺りとぜんぜん違ってます。
ずっと西の遠くの田んぼにも白い点々、ざっとですがこの周辺で採餌しているコハクチョウは千羽近くになりそうです。東側のコハクチョウの向こうは安来市立第二中。
出雲織・のき白鳥の里に着いたもののバス停がどこにあるのか、バスは敷地内まで入って来るのか来ないのかも分かりません。遊びに来ているファミリーとかはいるものの、建物の中に人気はなく尋ねようもありません。
県道に出て大山をアップで。バスに乗れなかったらもう一度コハクチョウたちのところへ行ってみることにしてバス停を改めて探していると、乗車するバスの向かう方向とは反対車線沿いに朽ちかけた時刻表が地面に刺さっているのを見つけ、しばらくすると定刻でイエローバスがやってきたので手を上げると止まってくれました。
降車ボタンもないマイクロバスに乗り込むと、バス停でなくても乗れるフリー乗降エリアになっていると分かりました。それにしてもかなり正確に時刻表通り運行されているコミュニティバスで、信頼感があります。ただGoogle Mapでもイエローバスが検索対象になっておらず、もう少し情報発信を充実させてほしいところではあります。
車窓からコハクチョウにお別れ。今日会えなかったら週末に琵琶湖湖北に行こうと思っていたのですが、それは来シーズン(たぶん11月)の楽しみに取っておくことにします。
足立美術館
13分で鷺の湯温泉・足立美術館前に到着、バスを下りると小山のてっぺんから流れ落ちる不思議な滝。
さぎの湯温泉という小さな温泉街の一角に足立美術館があります。ランチを先に済ませようかとお店を探すとお寿司屋さんが営業していたものの、2,000円と2,500円の2種類だけのメニューを見てパス。
足立美術館の入口です。ここの庭園が19年連続日本一と評価されている日本庭園だそうで、最近日本庭園にハマっている自分としてはどうしても見たくて訪ねてきた次第です。左手の松から鳥の地鳴きが聞こえてきて見上げるとエナガたち、慌ててカメラを取り出したものの撮れず。
入館料2,300円にはちょっと腰が引けました。ネットでは日本一入館料が高い美術館とも出てきたのですが、さらに高い美術館もあるようです。エントランスホールを抜けると日本庭園が広がりました。がっ、ガラスの向こうです。
巨大ガラス窓前に並べられたソファに腰をおろしてお庭を眺めます。腰を下ろすと目の前にお庭の詳しい説明。ところがオープンエアじゃないせいか、周りの人たちの話し声が響いてきてかなり気になります。
先へ進むとガラス越しじゃなくてお庭が眺められる建物と建物の間の狭い場所がありました。敷き詰められた白砂には波模様とかはなくてべた凪です。遠くにさっき見た不思議な滝、どう見てもポンプで汲み上げているのがバレバレで感心しないです。コーヒーでもと思って喫茶室のメニューを見ると1,000円で当然パス。
もう少し広い場所からガラス越しじゃなくて白砂青松の庭が眺めなれる場所では白砂じゃなくて石が赤いです。意図して赤いのかどうかは分かりません。鹿威しも水を流すだけで音を鳴らしていませんでした。
自分的に一番残念なのは、池泉廻遊式じゃないことです。ガラス越しに四季の変化は感じられたとしても、スギゴケの上に落ちたモミジの葉とか、もちろん松の木に止まった鳥たちも、瞬間の美しさはこのお庭で楽しむことはできないです。
本館2Fは横山大観をメインにした膨大な日本画コレクションの展示、20世紀前半の作品が殆どです。美人画とかには惹かれなかいものの、屏風いっぱいに描かれた華鳥風月の世界には惹き込まれました。作品ごとにわかりやすい説明や作者の言葉が添えられていてもっとじっくり見てくればよかったのですが、ここでもまわりの声が気になってじっくり見た作品はわずかだけでした。そんな中でも、山元春挙「瑞祥」が記憶に残ります。架空の世界の蓬莱山が、まるで見てきたように描かれた二曲一双の屏風絵です。
今まで殆どご縁のなかった近代日本画の世界に興味をもたせてくれた足立美術館です。他に、美味しんぼの海原雄山のモデルにもなっている料理家・美食家としても知られる北大路魯山人の陶芸品や書画の膨大なコレクションが展示されています。今も引き続きコレクションの収集が続けているらしく、高い入場料にちょっとだけナットクしました。
足立美術館から安来駅まで無料シャトルバスが運行されています。3時のシャトルバスで帰ろうとしたらかなりの人が並んでいて、近くにいた係の人らしきに訊いてみると乗車整理券が必要とのこと。美術館のチケットブースに戻り3時半のバスの整理券をゲットしました。
バスを待つ間、温泉街外れの田んぼに出てみると稜線に奇妙な形の樹木が並んだ山。月山富田城と分かりました。作者も作品名も思い出せないのですが、尼子晴久や山中鹿介が登場する小説を読んだ時以来、山城の月山富田城へ行ってみたいと思っていたのですが、期せずして遠くから眺めることができました。航空写真を見るとかなりの急斜面を上ることになりそうで、眺めることができただけで満足です。読んだ作品では月山富田城ではなく富田月山城だったようにうっすら記憶があります。
買ったばかりの靴のせいか、履きなれないヒートテックのくつ下のせいか、大して歩いていないのに足がむくんで痛くて、何か見つかりそうな目の前の飯梨川の土手に上る元気もなくなり戻ります。鷺の湯温泉「手湯」の竹筒からお湯が出ていたのでちょっと触ってみるとあちっ、50℃以上ありそうです。足にかけるには熱すぎます。
足立美術館と隣接する安来節演芸館と共用と思われるバス100台は停まれそうな駐車場には奈良交通の観光バス、あれに乗せてもらえるといいのですが。
無料シャトルバスの車窓から大山が見えるもののコハクチョウの採餌エリアからは外れているようです。琵琶湖湖北だとコハクチョウ採餌エリアは山本山付近から姉川付近までのかなり広いエリアのどこかなので、クルマか自転車がないと厳しいですが、コミュニティバスと3km程の徒歩でもかなり確実にコハクチョウたちに会える安来の田んぼです。
シャトルバスも定刻通り20分で安来駅に到着、待ち時間5分ほどで米子行普通に乗り換え、乗れなかった1本前の無料シャトルバスでも同じ列車でした。
駅の向こう側はプロテリアル(旧日立金属)安来工場、古代のたたら製鉄の歴史に連なる安来鋼の製鋼所です。安来港の近くにはプロテリアル安来製作所やYSSヤスギハガネも立地する今も鉄の町、安来です。街道をゆく7 砂鉄のみちで司馬先生が訪ねた和鋼博物館もあり、こんど安来に来た時には訪ねてみたいと思います。やってきたのは再びキハ126系。
向こう側に足の届かないキハ126形のボックス席です。米子運転所のターンテーブルの先にねずみ男列車を見て米子到着。
米子駅
米子駅には黒いDE10、嵯峨野観光鉄道のディーゼル機関車です。ググってみると後藤総合車両所から検査出場後、試運転中に不具合が発生して戻されてきたと分かりました(参照元)。鉄ちゃんの世界は何とも情報が濃いです。
ホームの向こうに見えるのは新型の除雪車キヤ143形、DD15形ディーゼル機関車を置き換えたものですが、なぜか機関車ではなく気動車の扱いです。
0番線にネコ娘列車が到着。
いつの間にかずいぶん狭くなって混み合っている米子駅の改札を抜けると銀河鉄道999「風」のモニュメント。松本零士先生が亡くなられたばかりなので感慨深いです。頭の中でゴダイゴの歌が回り始めます。
米子駅がえらく小さくなっていてビックリ。以前はどんな駅だったかストリートビューに残っていました。本来の駅ビルは全面的に建て替えで、隣接する日本旅行が入っていた3階建の小さなビルが米子駅の仮駅舎になっていると分かりました。
ずっと向こうに見える茶色いビルが日本交通のチケット売り場、かなり遠くなってしまいました。
以前の米子駅の写真がブログで見つからなかったのでアップしておきます。2012年4月25日の写真です。改札口の上には大山の絵が描かれていて、2階にはレストランがありました。ちょっと大昔の京都駅のような雰囲気のある駅でした。
なんば行高速バスのチケットをゲットしてイオンで遅い昼食。米子市文化ホール前の白鳥のオブジェはニルスのふしぎな旅を彷彿とさせますが、ニルスが乗っているのは首のところ、このオブジェに乗ってる子どもたちは頭の上です。
イオンで鍋焼きうどんをかきこんでバスに乗り込みました。米子道に入ったところから大山、相変わらず標高1000m辺りより上は厚い雲の中。
高速バスvsやくも+新幹線で、なんばまで時間はほぼ同じで、バスは半額、乗り鉄の楽しさから381系の激しい揺れと御堂筋線に乗らなければならないことを差し引きしてもやはりバスの勝ちです。
日本交通高速バスの車内です。バスや電車のコンセントは出力が弱いので、最近買ったモバイルバッテリーで充電、4時間の旅もGPSで現在地をチェックしながら乗っていると退屈することなくなんばOCATに到着。